決してエタろうとしている訳ではありません。
外交シーンが面倒でやる気が無かったぐらいです……
では、どうぞ
神聖ミリシアル帝国・港町カルトアルパス
ミリシアルの第二の心臓と言われる港町は、いつもより多くの軍人や市民でごった返していた。
カルトアルパス港管理局局長のブロントも目の前の光景に言葉が出ずにいる。
「なんなんだよ………こんな光景は見たことないぞ」
彼の目には二つの異様な光景が映っている。
一つは帝国最強の第零式魔導艦隊の艦艇が全て揃っていること。
もう一つはフランス共和国海軍の原子力空母『シャルル・ド・ゴール』率いる空母打撃群だ。
「なんてデカさだ……」
遅れて到着した副局長も目の前の光景に思わず足を止めた。
それも無理はない。
彼らが知る中で航空母艦といえば帝国が誇るロデオス級航空魔導母艦だ。
しかし、ゆっくりとこちらに進んでいる『シャルル・ド・ゴール』は30mほど大きい。
「なんてデカさだ……」
遅れて到着した副局長も目の前の光景に思わず足を止めた。
それも無理はない。
彼らが知る中で航空母艦といえば帝国が誇るロデオス級航空魔導母艦だ。
しかし、ゆっくりとこちらに進んでいる『シャルル・ド・ゴール』は30mほど大きい。
桟橋に留めさせようとタグボートが何隻か近づくが、空母や他の艦艇から複合艇が次々と降ろされていく。
「………おいおい、留めないなら俺たちが曳船出した意味ないじゃん……」
複合艇は8隻ほど降ろされ、『シャルル・ド・ゴール』からNH90が2機離陸したが、このNH90がミリシアル軍を驚愕させた。
「……おい!あいつら、回転翼機を実用化しているぞ!」
「俺たちでもまだ構想段階なんだぞ!?」
「魔帝の属国は本当だったのか……」
「全員、相手が何してもいいようにいつでも撃てるようにしとけ!」
やがて複合艇群が桟橋に到着し、ミリシアル兵からしたら初めてみる装備をきた隊員が次々と上がってくる。
しばらくすると一隻の複合艇が護衛されながら外交官らしき人物が出てきた。
張り詰めた空気が港を支配する。
「全員、構え!」
「大統領を守れ!シールドは前にでろ!」
ミリシアル兵が一斉にライフルを構え、GIGNの隊員たちが防弾シールドで壁を作る。
どちらも銃を向け合い、湾内では艦艇同士が主砲で睨み合う。
一触即発の空気が漂う中、睨み合う両者の間に人影が入った。
「待ってくれ!銃を下ろしてくれ!」
「貴方は………在パーパルディア大使のルネウ様!?よくぞご無事で!」
ルネウの姿を見た司令官はすぐに部下たちの銃を降ろさせる。
それを見てホッと一息吐いたルネウは状況を説明し始める。
「こちらにいるのはフランス共和国の外交団だ。すぐに会談の手配をしたい」
「わ、わかりました。すぐに外務省に連絡し――「その必要はない」――リアージュ様!?」
外務省統括官のリアージュが人混みの中から現れ、司令官は驚きの声を上げる。
「無事で良かった、ルネウ。そして…………ようこそ、
「派手なお出迎えありがとう。僕は
大統領、と聞き慣れない単語にリアージュは一瞬思考するがすぐに微笑みを貼り付ける。
そして本来の外交ならありえないことを話した。
「はじめまして、シュヴァリエ大統領。皇帝陛下がお待ちです」
「皇帝陛下直々にお呼びかい?この世界ってすごいね、ロシュフォール」
「日本の天皇陛下に謁見するようなものですよ」
「立ち話はこれくらいにしておきましょう。では、
進もうとしたシュヴァリエの足が止まった。
確認を含めてロシュフォールが聞き返す。
「
「皇帝陛下がお互い護衛無しで話そう、とおっしゃっているんです。
護衛の方々はここでお待ちください」
「……ロシュフォール、大丈夫だ。皇帝と一対一で話してくるだけだから」
「……わかりました。我々はここで待ちます。しかし――」
ロシュフォールは一瞬、間を置くと刃物のように鋭い目つきで
「大統領の身に何かあった場合、――この国を焦土にしましょう」
「………心得ました。では、こちらへ」
リアージュに促され、シュヴァリエは車に乗って行った。
「………ドローンで追いかけてください。万が一の救出チームも待機で」
会談室は静まり返っている。
その中央のテーブルを挟んで、一人のフランス人がいた。
フランス共和国大統領、ヴィクトル・シュヴァリエ。
その正面に座るのは、
神聖ミリシアル帝国皇帝、ミリシアル8世。
沈黙が、重く空間を支配する。
やがて皇帝が口を開いた。
「……お前がフランスの代表か」
低く、圧し潰すような声だった。
シュヴァリエは感じる威圧を気にせず、静かに頭を下げる。
「はい。フランス共和国大統領、ヴィクトル・シュヴァリエでございます。本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます」
「礼はいい」
即座に切り捨てられる。
「本題に入る」
皇帝の視線が鋭く突き刺さる。
「パーパルディアを焼いた“あれ”は何だ」
空気が張り詰める。
「光。爆発。都市の消滅。あれは通常兵器ではない。
魔帝のコア魔法――違うか?」
断定に近い問いだった。
見る者を震え上がらせるその瞳でシュヴァリエを見ている。
シュヴァリエは、わずかに息を整えた。
「結論から申し上げます」
一拍。
「あれは、魔法ではございません」
「では何だ」
皇帝の声が低くなる。
「核兵器でございます」
「……核?」
「はい。我々の世界において開発された、純粋な科学技術による兵器です」
沈黙。
だがその沈黙は、納得ではない。
「ふざけるな」
皇帝の声が一段低くなる。
「魔法でなければ説明がつかん」
「その通りでございます」
シュヴァリエは即答した。
「この世界の常識では、説明は困難かと存じます」
「ならば答えろ」
皇帝は言う。
「お前たちは何者だ」
空気が変わった。
単なる疑問ではない。
国家の正体を問う質問だった。
シュヴァリエは一瞬だけ視線を落とし、そして上げる。
「……我々は」
言葉を選ぶ。
「この世界の国家ではございません」
ざわめきが一層大きくなる。
「異世界から来た国家、でございます」
完全な沈黙。
数秒間、誰も動かない。
皇帝だけが、じっとシュヴァリエを見ていた。
「……続けろ」
「我々は“地球”という世界に存在していた国家です。
ある日、突如としてこの世界へ移転しました」
「地球……」
皇帝は低く繰り返す。
「そこで発展した技術が、あの兵器か」
「はい」
シュヴァリエは頷く。
「我々にとっては
再び沈黙。
皇帝は腕を組み、深く考え込む。
「……魔帝ではない、と言うのだな」
「断言いたします」
シュヴァリエは一歩も引かない。
「我々は魔帝とは無関係です」
「ならば何故、あれを使った」
鋭い問い。
シュヴァリエは、わずかに目を細める。
「国民を守るためでございます」
簡潔だった。
「敵対勢力に対し、圧倒的優位を確保する必要がありました」
その言葉に、会談室の空気が変わる。
これは弁解ではない。
戦略の説明だった。
皇帝はしばらく黙っていた。
そして――
「……面白い」
小さく呟いた。
「恐怖ではなく、合理で語るか」
玉座に深く座り直す。
「いいだろう。話は通った」
将官たちがざわめく。
「魔帝の手先ではない、か」
皇帝はシュヴァリエを見る。
「ならば――ひとまず敵ではないな」
シュヴァリエは即座に応じる。
「我々は貴国と敵対する意思はございません」
「ならば?」
「可能であれば、友好的な関係を築きたいと考えております」
皇帝は鼻で笑う。
「簡単に言う」
「外交とは、そういうものでございます」
シュヴァリエは微笑んだ。
一瞬の静寂。
そして皇帝は言った。
「気に入った」
その一言で、空気が変わる。
「フランス共和国。お前たちとは良い関係を結べるように取り計らってやろう」
それは事実上の承認だった。
「光栄でございます」
シュヴァリエは頭を下げる。
「ただし」
皇帝の声が再び重くなる。
「その力、忘れるな。
お前たちはすでに、この世界の均衡を崩している」
「承知しております」
シュヴァリエは静かに答えた。
「その責任も含めて、我々は行動いたします」
皇帝は満足そうに頷いた。
「……いい目だ」
短く言う。
「また会うことになるだろう」
「その時を楽しみにしております」
会談は終了した。
先ほどの会談とは異なり、ここには帝国の中枢だけが集められていた。
重厚な扉が閉まり、外界と切り離される。
長机の中央に座るのは、ミリシアル8世。
その左右には、軍務大臣のシュミールパオや国防長官のアグラ、外務大臣のペクラスなどがいる。
最初に口を開いたのは、アグラだった。
「……信用できるのですか?異世界から来た国家など、前例がありません」
別の将官が続く。
「しかも、あの兵器。一撃で都市を消滅させるなど、魔帝のコア魔法そのものです」
ペクラスも口を開く。
「魔帝ではないという証拠も不十分です」
会議室には疑念が満ちている。
その中で、沈黙していたミリシアル8世はゆっくりと口を開いた。
「……異世界、という点はどうでもいい」
一言で切り捨てた。
全員が顔を上げる。
「重要なのは二つだ」
ミリシアル8世は指を二本立てる。
「敵か、味方か。そして、制御できるかどうかだ」
空気が引き締まる。
「結論を言う。フランスは
――敵ではない」
場がざわめく。
「だが、味方でもない。現時点では利用可能な独立勢力だ」
ペクラスが慎重に尋ねる。
「……危険性は?」
「極めて高い。が、同時に極めて有用だ」
シュミールパオが眉をひそめる。
「どういう意味ですか」
「単純だ」
ミリシアル8世は言う。
「グラ・バルカス帝国だ」
その名が出た瞬間、空気が変わる。
「奴らが動いている」
「はい。確認されています」
「ならば必要だ
――“対抗できる存在”がな」
誰も反論できなかった。
「フランスは、グラ・バルカスに対抗し得る唯一の新勢力だ。むしろ、舞台に上げる」
全員が顔を見合わせる。
「……列強入り、ですか」
ペクラスが呟く。
「そうだ。先進11カ国会議でフランス共和国を五大列強に推薦する」
「ですが、前例が……」
「前例など関係ない」
切り捨てる。
「力があるなら、それが基準だ」
ミリシアル8世ははっきりとした声で言った。
読んでくださり、ありがとうございます。
ふと思ったんですが、小説家になろうと漫画でキャラクターの口調が変わったりしているんですかねぇ……。
私はなろうを参考にしていますが、キャラの口調が違う、などを感じたらご指摘ください。
そう言えば、次世代原子力空母(PANG)の名前が決まりましたね。
『フランス・リーブル』、人名じゃなかった……
正直、名前を現実に合わせようか迷っています。
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マクロン大統領が新世代原子力空母(PANG)の名前を発表しました。本作はどうする?
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名前を合わせる『フランス・リーブル』
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名前を合わせない『ジャンヌ・ダルク』