「23. 欧州最強と異世界最強」の前半部分において、同一シーンが重複して掲載されていたことを確認し、修正いたしました。
発見が遅れ、長期間そのままとなってしまったことをお詫び申し上げます。
普段はメモで執筆したものを投稿フォームへ貼り付けた後に編集作業を行っているため、
その際の重複コピーが原因と思われます。
現在、念のため他話についても確認を進めております。
今後はこのようなミスがないよう、より一層注意してまいります。
引き続き「トリコロールの旗を掲げて」をよろしくお願いいたします。
グラメウス大陸・某所
ここは『世界の扉』の外側。
魔王軍が太陽神の使いに敗れ、この扉の奥に潜んでいるとされている場所と言われている。
ドーパ王国がこの扉を管理し、絶対に人が立ち入る事ができない領域だ。
そう、立ち入る事ができない領域のはずだった。
「ダクシルド様!こちらの計器類はどちらへ?」
「そこの魔力保管容器の近くに置いておけ!」
アニュンリール皇国、魔帝復活対策庁所属のダクシルドは手元にある資料の束を荒々しく机に叩きつける。
よほど重要な任務であるらしく、彼も自分から物資を運んでいたりしていた。
「接続完了しました!最終チェックに入ります!」
「保管装置完成!魔力注入を開始します!」
「そのまま続けろ!……残りは指揮系統の準備と……」
そこでダクシルドはこの遺跡の中央に存在する物に目を向ける。
『魔王ノスグーラ』、かつて
ダクシルドの任務は、封印されている魔王を目覚めさせる事だった。
「………コイツの復活か」
『魔王ノスグーラ』、かのラヴァーナル帝国が復活後も世界を支配し続けるために作られた兵器。
コストパフォーマンスは劣悪であるが、当時の魔帝がありとあらゆる技術を使用したらしい。
過去の資料には廉価版が量産されていたことも記されている。
ダクシルドの仕事内容には廉価版の復活も含まれていた。
そして、この仕事量だ。
間違いなく対価は素晴らしいものになるであろう。
全て成功すれば前例のない大出世は確定し、魔帝が復活したらその功績を讃えられるかもしれない
その夢が彼の仕事への熱量を最高まで高める。
ただ、同時に焦りも引き起こしていた。
「ダクシルド様、本国からの増援はいつ到着予定ですか?」
「……ん?確か、明日には着くぞ。皇帝陛下が選抜部隊を送ってくださるらしい」
「選抜部隊ですか…?魔獣は我々で使役できますし、なぜ軍のエリート部隊を?」
「俺にもわからん。ただ、裏ではミリシアルやエモールがしつこいらしいからな。
……それに、フランス共和国だ。アイツらは、コア魔法を所持している」
「こっ、コア魔法ですか!?」
衝撃的な話題に思わず部下は大声で言ってしまう。
周りの職員の目線が一気にこちらに向いた。
「こ、コア魔法を持つ国が我々意外にいるのか……?」
「そんなことはありえない……フランスは科学国家と聞いたぞ」
「だがフランスはパーパルディアにコア魔法を使用したらしい」
「全員静まれ!
我々と同じコア魔法を所持している言うことは、フランスは偉大なるラヴァーナルの子孫かもし
れない!」
「なるほど!
……でしたら僕の星魔信*1を使い、直ちに本国に連絡して
使節団を派遣すべきです!」
部下の一人がやけに無骨で大型の通信機器を起動させる。
「問題ない。彼らはパーパルディアを滅ぼし、敵を一つ減らしてくれた。
少しすれば皇帝陛下が礼を伝えるために使節団を送るだろう。
………さぁ、話は終わりだ。1日でも早く魔王を復活させるんだ!」
「「「はいっ!」」」
「この機械がここで、システムを構築っと。で、次は………」
魔帝復活対策庁の若い職員は、遺跡の端で魔力が保管されているタンクの管理をしていた。
「君、その注入量を少し上げてくれ」
「了解で〜す……って、ダクシルド様!?」
「気を抜くな。失敗は許されないんだ」
見回りに来ていたダクシルドが彼に声をかける。
「もちろんです!最後まで完璧に仕事をこなしてみせます!」
「よし、その息だ。成功したら昇級間違いなしだからな」
目を輝かせながらダクシルドの話を聞く職員。
彼にとってダクシルドは心から尊敬できる存在であるそうだ。
「絶対ダクシルド様のように出世してやる……!」
再びモニターに向き合い、魔力の注入量の調整を始める。
仕事内容は簡単だ。ダクシルドの言うとおりに少し増やせば良い。
「……あれっ、注入量が上がらない……もっと上げるか、」
軽くレバーを捻るが全く変わらないので、思いっきり捻ってみる。
それがいけなかった。
パチッ
「おいっ!制御コードが切れたぞ!」
誰かが叫んだ。
その瞬間、縛りから解放された膨大な量の魔力がタンクを破壊し、核爆発の爆風の様に広がる。
「うわっ!?なんだこれ!尋常じゃない量の魔力だぞ!」
「す、すごい、今までにないほど力が湧いてくる!」
「全員落ち着け!直ちに魔力を回収し、予備タンクに集めろ!」
周りから見れば珍しくダクシルドが冷静な指示を出す。
比較的冷静さを保っていた職員たちが真っ先に動き始める。
その時、地面が揺れた。
「こうして体を動かすのはいつぶりだ?……………忌々しい勇者に負けてからだな。
――――貴様は誰だ?」
あまりの威圧感に、ダクシルドは指一本を動かすことでさえできなかった。
グラメウス大陸から18海里
外洋調査艦隊
R 91 シャルル・ド・ゴール
C 702 ストラスブール
DD-115 あきづき
海洋観察船 プルクワ・パ?
天気は快晴、波は穏やかで絶好航海日和だ。
『シャルル・ド・ゴール』艦長のジャグワーは艦橋から海を一望していた。
「艦長、『プルクワ・パ?』より連絡、『五分後に観測を開始する。音響測深器を使用後、
CTDロゼットを使い海底の砂を集める』とのことです」
下士官からの報告にジャグワーは頷くと、無線機に手を伸ばす。
「『シャルル・ド・ゴール』より『ストラスブール』『あきづき』、対空警戒を継続し、
陸地にいる魔物に対する警戒も開始してくれ。攻撃の判断はそちらに任せる」
海底の観測も海軍の立派な仕事だ。
すでにフランス周辺からロデニウス大陸、パーパルディア周辺の観測は終了している。
今回はドーパ王国との国交が締結したので、原子力潜水艦が潜航できるか確認するために来た。
「『プルクワ・パ?』からのソナーを確認。
……海底の様子は地球とあまり変わりませんね。ここら辺はそれほど水深は深くないようです」
ソナーに映し出させる海底の様子は全艦で共有されており、役割が少ない下士官などが釘付けに
なって見ていた。
「……まぁ、海底が全く別物だったら潜水艦が全く潜航できなくなっていたかもしれないし、
正直、変わった海底も見てみたかったけど、これでよかったな」
「艦長、『ストラスブール』からです。
どうやら、上空のラファールの音に魔物が反応しているようで……
沿岸部に集まっています」
「そりゃまいったな……まぁ、艦載機がいなくてもワイバーンは落とせるし、戻すか」
「了解、
『こちらアイランド。艦長、正体不明の衝撃波が確認されました!
離陸した機体は全て高高度で待機させています!』
「なんだと!?」
ジャグワーは急いで窓辺に向かい、双眼鏡を覗き込もうとする。
だが、少し遅かった。
艦が揺れた。
「うわぁっ!?」
「大丈夫か!被害を確認しろ!」
転倒した隊員を立たせながらジャグワーは被害状況を確認する。
ぱっと見ても、目立った被害はなさそうだ。
彼は安堵する。
そう、ぱっと見は被害が無いのだ。
『こちら機関室!原子炉の冷却ポンプが停止しました!』
艦橋の空気が一瞬で凍りついた。
副長が急いで確認を入れる。
「機関室!状況はどうなっている!ポンプの再稼働はしたか?何でもいいから冷却をしろ!」
『再稼働できません!温度が上昇しています!艦長!指示を!』
「艦長!原子炉を停止させましょう!メルトダウンしますよ!?」
副長がジャグワーに詰め寄る。
進言もあって、彼の判断は速かった。
「機関室へ!原子炉を緊急停止し、防護服の着用、ダメコン班は急行!
副長、艦内封鎖だ!防護服を着ていない乗員は原子炉から直ちに離れろ!」
艦内のハッチが次々と閉められ、全員が防護服とガスマスクを着用する。
その間にも原子炉の温度は上昇し続けていた。
『こちらダメージコントロール。機関室に到着しました!
予備ポンプを稼働させ、海水による冷却を開始します!』
原子炉の冷却ができなくなった場合、まず船底から海水を引き上げ、原子炉に注入しなければいけない。
これが出来なかったらメルトダウンが起き、水蒸気爆発で艦が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
1963年・米原潜スレッシャーは深海を航行中、配管の溶接不良から浸水が発生し、
電気系統がショートして原子炉が緊急停止。
その後、冷却ポンプを動かす電源も失われ、浮上できずに水圧で圧壊し、乗組員は全員死亡した。
これは海中の例である。
原子力空母がメルトダウンを起こし、水蒸気爆発したらどうなるであろうか。
飛び散った放射線が周りの艦艇や乗員を被爆させ、甚大な被害が出る。
退艦中の原子力空母の乗員は間違いなく助からないだろう。
『こちらダメージコントロール。艦長、冷却完了まで四日です』
「了解。『シャルル・ド・ゴール』より全艦へ。原子炉の冷却ポンプが停止した。
直ちに本艦から距離を取れ。
副長、
原子炉冷却完了までの間、護衛する艦艇を出してくれ、と」
「艦長、『アミラル・カバニエ』がこちらに急行中です。到着まで半日」
『こちらアイランド。艦長!上空待機中の六機はどうしますか!』
「確か382マイル先に『かが』がいる。そこに着艦させろ」
ジャグワーと副長が手分けして指示を出す。
二人の的確な指示で、少しした後には艦内の混乱も治っていた。
「……艦長!レーダーに反応ありです!速度から見てワイバーンですが……野生ですかね?」
「野生のワイバーン…?……まぁ、いいか。
『ストラスブール』『あきづき』は対空戦闘を開始!」
「艦長!『シャルル・ド・ゴール』から対空指揮権が委任されました!」
「『あきづき』とレーダーを共有しろ。撃ち漏らすわけにはいかないからな」
「艦長、11時方向からワイバーンがシースキミング高度で接近中です」
艦長は『あきづき』のFCS-3とリンクしたレーダーを覗く。
「やっぱり
……HELMA-Pを充電開始、1.5を切ったら撃て」
「了解!HELMA充電開始。
「
「距離、5マイルを切りました!『あきづき』、Aster 30発射!」
フランス製兵器が発射できるように改造されたMk41VLSからAster 30が白煙を引いて飛び立つ。
『ストラスブール』に装備されている対空レーダー兵器HELMA-P 4機がワイバーンに向いた。
「距離2マイル!NARWHAL 20C攻撃開始!」
20mm機関砲F2が
これだけでもワイバーンは次々と落ちていくが、さらに不可視の攻撃が待っていた。
「チャージ完了!」
「
先頭を進むうちの四体が突如溶け始め……いや、燃え始めた。
数秒でレーザーに焼殺されたワイバーンは海に落ちる。
異変に気づいたワイバーンが回避行動をしようとするが、翼から燃え始め、海に落ちる。
射程内であれば照射した瞬間に目標に命中するレーザー兵器。
ミサイルですら一瞬で落とせる出力70kW*2がワイバーンを一瞬で焼き尽くす。
「グッド・トラッキング……
「目標1から17、
「………ワイバーンが進路変更しました!陸地に戻って行きます!」
急にワイバーンが方向を変え、陸地に戻って行く。
艦長は少しの違和感を感じた。
「操縦士は乗っていなかったのに撤退だと…?
報告書で見たワイバーンと違うな……」
「………………配下のワイバーンを60ほど失った。
だがしかし、太陽神の使いとはまた違った旗だな………」
魔王ノスグーラは立ち上がり、ダクシルドたちが残して行った魔力保管機を手に取る。
そして、口に入れた。
「………下等種族にしては、良いものを持ってきてもらったな。褒めてやろう」
「…………っ!」
物陰から様子を見ていたダクシルドは急いで逃げ出した。
読んでくださり、ありがとうございます。
今回登場した『プルクワ・パ?』は?がついていますが正式名称です。
フランスの探検家、ジャン=バティスト・シャルコーのモットーである「Pourquoi Pas ?(なぜ駄目なのか?)」が名前の由来だそうです。
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