アルペジオ:ロスト・アンカー 霧の艦は未知の海を征く   作:おかーちゃんサーナイト

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昇り龍の逆鱗、降り龍の悲鳴

 

 その日の早朝。

 

 日本の全てのテレビ局が、突如として通常の番組を中断し、同じ一つの映像へと切り替わった。

 

 それは政府からの緊急放送要請による特別番組だった。

 

 画面に映し出されていたのはどこかの海上から撮影されたライブ映像。

 

 少し揺れるカメラワーク。上空から見下ろすようなアングル。

 

 画面の隅には、『映像提供:東洋方面第一巡航艦隊』というテロップが表示されている。

 

 それはイージス艦『おおよど』から発艦し、上空でホバリングする、あの万能哨戒攻撃ヘリから送られてくるリアルタイムの映像だった。

 

 そのカメラと機体を操作しているのは、もちろん副官の大淀だ。

 

 日本中の人々が息を呑んで画面を見つめていた。

 

 早朝のニュース番組を見ていたサラリーマンも。

 

 朝食の準備をしていた主婦も。

 

 学校へ行く支度をしていた子供たちも。

 

 誰もがこれから何が起ころうとしているのか、固唾を呑んで見守っていた。

 

 映像は静かに浜辺へと乗り上げていく十数隻の奇妙な舟艇──二式内火艇の姿を捉えている。

 

 そしてその先頭の一隻から現れる一人の黒衣の男。

 

 新井木厚士。

 

 彼が浜辺に一本のポールを突き立てる。

 

 そしてその先端の旗を解き放った、その瞬間。

 

 日本中の時間が、止まった。

 

 バサッ……

 

 風にはためく、赤と白の、鮮やかなコントラスト。

 

 中央の赤い円から、放射状に伸びる十六条の光線。

 

 ──旭日旗。

 

 かつて、この国の誇りであり、象徴であった旗。

 

 だが戦後、様々な政治的な思惑によってその輝きは封印され、ある者はそれを軍国主義の象徴だと非難し、また、ある者はその旗の下で起きた悲劇を思い出し、目を背けてきた。

 

 自衛隊が使うその旗でさえ、どこか、遠慮がちに掲げられていた、そんな時代。

 

 だが今、画面の中ではためいているその旗は違った。

 

 そこには、何のてらいも言い訳もない。

 

 ただ堂々と、そして誇り高く、日本の領土である竹島の朝日に照らされながらはためいている。

 

 そのあまりにも美しく、そして力強い光景に。

 

 日本中の人々は、様々な感情を抱いた。

 

 ある老人は涙を流した。

 

 かつて自分が信じた日本の誇りが、再び帰ってきたことに。

 

 ある若者は拳を握りしめた。

 

 今まで教科書の中でしか知らなかった、自分たちの国の本当の強さと、美しさに初めて触れた気がした。

 

 ある子供はただ純粋に、そのカッコよさに目を輝かせた。

 

 それは、イデオロギーや政治的な立場を超えて。

 

 全ての日本人の魂のその一番奥深くにある何かを、強く、強く、揺さぶる光景だった。

 

 日が、また昇る。

 

 この国に、新しい夜明けが来たのだと。

 

 その一枚の旗は何よりも雄弁に、そして、何よりも静かに、全ての国民の心に語りかけていた。

 

 画面の中で旭日旗が堂々とはためいている。

 

 その旗を見上げる新井木厚士の横顔。

 

 その表情はどこか満足げで、そして誇らしげだった。 

 

 日本中の誰もが、その光景に見入っていた。

 

 新しい時代の始まり。

 

 その象徴的なワンシーンに誰もが心を奪われていた。

 

 

 ────パンッ。

 

 その乾いた小さな音がスピーカーから響き渡ったのは、その直後だった。

 

 一瞬誰もが、それが何の音か理解できなかった。

 

 風の音か。あるいは機材のノイズか。

 

 だが、次の瞬間。

 

 日本中の時間が完全に凍りついた。

 

 画面の中の厚士の頭が、がくん、と、大きく揺れた。

 

 彼の右側頭部から、まるで赤い絵の具をぶちまけたかのように鮮血がブシュッ、と、噴き出した。

 

 彼が被っていた、あの黒い軍帽が宙を舞い、ぽとり、と、力なく、浜辺の砂の上に落ちる。

 

 噴き出した血の飛沫が、すぐ脇に停泊していた二式内火艇の、灰色の装甲を真っ赤に染め上げていく。

 

 そして。

 

 厚士の身体が、まるで糸の切れた人形のように、ゆっくりと前のめりに崩れ落ち、竹島の浜辺に、どさりと、倒れ伏した。

 

「…………………………………………………………………………………………」

 

 日本中が、沈黙した。

 

 テレビ局のスタジオも。

 

 官邸の危機管理センターも。

 

 街角の大型ビジョンを見上げていた人々も。

 

 そして、茶の間で固唾を呑んで見守っていた全ての家族も。

 

 誰も、一言も発することができなかった。

 

 何が起きたのか、理解できなかった。

 

 理解したくなかった。

 

 だが画面は無情に、その現実を映し続ける。

 

 浜辺に倒れ伏し動かない黒い人影。

 

 その頭の下から、じわじわと、広がっていく赤い染み。

 

 しかし。

 

 彼がその命と引き換えに突き立てた、あの旭日旗だけは。

 

 まるで主の意志を受け継ぐかのように倒れることなく。

 

 ただ堂々と、竹島の浜辺に突き立ち、その太陽の輝きを少しも失うことなく、朝の風にはためき続けていた。

 

「……あ……」

 

 誰かのか細い声が、漏れる。

 

「……あ……ああ……」

 

 そしてその声は、やがて絶叫へと変わった。

 

「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

 悲鳴。

 怒号。

 嗚咽。

 

 日本中が混乱と悲しみと、そして、どうしようもない怒りの坩堝と化した。

 

 希望の頂点を見せられたその直後に突き落とされた絶望のどん底。

 

 そのあまりにも残酷な光景は、この日、この瞬間を、目撃した、全ての、日本人の、心に、決して、消えることのない世界への敵愾心を刻みつけた。

 

 絶望。

 

 そして日本中を包み込む、深い静寂。

 

 その静寂を切り裂いたのは、轟音だった。

 

 竹島の沖合で海上封鎖を行っていた霧の海防艦、その全て。

 

 そして、遥か後方で待機していた大戦艦キリシマと、重巡タカオ。

 

 その全てのVLSハッチが、ガシャン!という金属音と共に、一斉に開かれたのだ。

 

 無数のミサイルが今、まさに発射され、この小さな島を地図の上から完全に消し去ろうとしていた、その瞬間。

 

 彼女たちの戦術ネットワークに直接、あの聞き慣れた、そして今、失われたはずの男の声が響き渡った。

 

『──落ち着け、お前たち』

 

「「「「「────ッ!?」」」」」

 

 キリシマもタカオも、そして、上空のヘリの中で涙を流しながら操縦桿を握りしめていた大淀も。

 

 その声に思考がフリーズする。

 

『撃たれたのは、ナノマテリアルで作った俺の『ダミー』だ』

 

 その言葉と同時に。

 

 浜辺に乗り上げていた二式内火艇の中から、一人の男がひょっこりと顔を出した。

 

 軍服ではない。ポロシャツにカーゴパンツという、どこにでもいるような、ラフな服装の厚士だった。

 

 彼は、浜辺に転がっていた自分の軍帽を拾い上げると、パンパン、と、軽く叩いて砂を落とす。

 

 そしてそれを自分の頭に被り直したその瞬間。

 

 先ほどまで血の海に倒れ伏していたはずの『厚士の遺体』が、青白い光の粒子となって霧散し、彼の身体へと吸い込まれていった。

 

 あっという間に彼は、いつもの見慣れた黒い軍服姿に戻っていた。

 

 パンッ!

 

 再び銃声が響く。

 

 だが今度の銃弾は厚士の身体に届く前に、彼の周囲に展開された六角形の不可視の壁──クラインフィールドによって、カキン!と、甲高い音を立てて弾かれた。

 

「……なるほど。あっちの岩陰か」

 

 厚士は銃弾が飛んできた方向を冷静に見据える。

 

 そして彼は、再び戦術ネットワークを通じて、的確な指示を飛ばし始めた。

 

『全海防艦、海上封鎖を徹底。内火艇部隊、射撃を許可。犯人を燻り出せ。それと、現地の韓国警備隊にも事情聴取だ。大方、中国さんの手の者だろうが、韓国側の独断という線も捨てきれない。───大淀! しっかりしろ、大淀! 俺は死んでない! ヘリをこっちに寄越せ。直接そっちに帰る!』

 

 そのあまりにも鮮やかすぎる復活劇。

 

 日本中の絶望は一瞬にして、安堵と、そして、熱狂的な歓喜へと変わった。

 

 だが一人だけ。

 

 その安堵を、純粋な、そして、氷のように冷たい『怒り』へと昇華させた少女がいた。

 

「…………………………………………………………………………………………」

 

 上空の哨戒攻撃ヘリのコックピット。

 

 大淀は無言だった。

 

 だが、その普段は冷静な彼女の瞳には、今まで誰も見たことのない、燃え盛るような怒りの炎が宿っていた。

 

 ──一度ならず、二度までも。

 

 私の、愛する、司令(ひと)を、この目の前で撃ち殺そうとした下手人。

 

「──許さない」

 

 彼女の唇から漏れたのは、それだけだった。

 

 次の瞬間、彼女はヘリの操縦桿を握りしめ、機体を急降下させながらトリガーを引いた。

 

 機体から、二発の中距離誘導ミサイルが、白煙を引きながら一直線に、先ほどの岩陰へと殺到していく。

 

 彼女の頭の中は、怒りで満たされていた。

 

 だが、その思考は驚くほど冷静だった。

 

(……足の一本や二本、千切れ飛んでも構わない。生きてさえいれば、口を、割らせることはできる。そして、たとえ衝撃で死んだとしても……霧の技術なら、その脳から直接情報を抜き取ることも、可能。つまり、生きていても、死んでいても、頭さえ無事なら、それで構わない、ということ……!)

 

 怒りに任せながらも、最低限の計算はできている。

 

 それが新井木厚士の、副官として仕込まれた彼女の、恐ろしさだった。

 

 岩陰で狙撃銃を構えていた哀れな暗殺者は、まさか空から自分に、死が降り注いでくるとは夢にも思っていなかっただろう。

 

 そしてこの一連の出来事が、日本中に『新井木厚士は殺せない』という、新しい都市伝説を生み出すことになるのを、まだ、誰も知らなかった。

 

 

±±±±±

 

 

 竹島に轟いた爆発音。

 

 大淀が放った二発の中距離誘導ミサイルは、狙撃犯が潜んでいた岩陰を完全に粉砕した。

 

 数分後。

 二式内火艇から降り立った妖精さんたちが、瓦礫の中から一人の男を引きずり出した。

 

 男は奇跡的に生きていた。

 

 もっとも、その状態を『生きている』と呼べるのであればの話だが。

 

 両足は爆風であり得ない方向に曲がり、全身は焼け爛れ、ただかろうじて心臓だけが動いている、という惨状だった。

 

 その哀れな下手人はすぐに沖合で待機していたイージス艦『おおよど』の医務室へと搬送された。

 

 その数時間後。

 

 『おおよど』の艦橋で厚士は大淀から、最終的な報告を受けていた。

 

「……以上です。犯人の身元は中国人民解放軍、特殊作戦群に所属する工作員と断定。本人の自白も取れました」

 

「そうか。ご苦労だったな」

 

 厚士は静かに頷いた。

 

「しっかし……よく、あの状態で口を割らせたな。拷問でもしたの?」

 

 その問いに、大淀はにこりと、淑やかに微笑んだ。

 

「いいえ? 私はただ、彼に最適な治療を施しただけですわ」

 

 その笑みはどこまでも美しかったが、瞳の奥は全く笑っていなかった。

 

 彼女が行ったのはこうだ。

 

 まず、男の生命維持を最優先し、霧の医療技術で、その身体を治療する。

 

 だが、麻酔は一切使わない。

 

 砕けた骨を、ナノマシンで再結合させる激痛。

 

 焼け爛れた皮膚を再生させる、灼熱の苦しみ。

 

 その地獄のフルコースを、意識がはっきりとした状態で、何度も、何度も、味わわせた。

 

 そして彼が痛みで気を失いそうになるたびに、今度は精神に直接作用するナノマシンを注入し、強制的に覚醒させる。

 

 その無限に続く地獄の中で、彼女はただ、静かに問いかけるだけだった。

 

『───さあ、お話、いたしましょうか?』、と。

 

 どんな屈強な工作員でも、それに耐えられるはずがなかった。

 

「……そ、そう。それは、うん、何より。ご苦労さん」

 

 厚士はそれ以上、深く聞くのをやめた。

 

 自分の副官の、怒らせてはいけない一面を、また一つ知ってしまった気がした。

 

「それで、黒幕はやはり……」

 

「はい。中国共産党、中央軍事委員会の直接命令であるとの言質を取りました。証拠となる脳内の記憶情報も、ナノマシンで完全にスキャン済みです。いつでも提出できます」

 

「……そうか」

 

 厚士は深く、息を吐いた。

 

 やはり、あの愚か者どもか。

 

 彼は艦長席のアームレストを指先で、とん、とん、と、叩きながら、しばし思考の海に沈んだ。

 

 さて、どうするか。

 

 この動かぬ証拠を突きつけて、国際社会で中国を断罪するか?

 

 いや、それだと韓国の二番煎じで面白みに欠ける。

 

 社会的なインパクトもイマイチだ。

 

 ならばこちらもそれに相応しい『お返し』をしてやるのが礼儀というものだろう。

 

 厚士の口元に、冷たい、そして、どこまでも獰猛な笑みが浮かんだ。

 

「大淀、瑞丸中将へ上申を。中国への経済制裁の可能性、その内容に、中国船籍の艦娘護衛任務の見直しを検討したい、と」

 

「了解しました。直ちに上申書の草案を作成します」

 

 大淀はいつものように冷静に、そして的確に厚士の苛烈な命令を受け止めた。

 

 彼女が端末へと向き直ろうとしたその瞬間だった。

 

 すっ、と。

 

 厚士が静かに艦長席から立ち上がると、そのまま彼女の身体を背後から優しく、しかし、どこか縋るような力強さで抱きしめた。

 

「───い、一佐……!?」

 

 突然の行動に、大淀の身体がびくりと、硬直する。

 

 厚士の顔が彼女の肩口にうずめられ、その荒い呼吸が首筋にかかる。

 

「……少しだけ」

 

 厚士の声は、いつもの自信に満ちた指揮官のものではなかった。

 

 どこか弱々しく、そしてナイーブな響きを持っていた。

 

「少しだけ、こうさせて……」

 

 大淀はすぐに理解した。

 

 そうだ。

 

 彼は確かに言っていた。

 

 『ダミー』を操作していたのは自分自身だと。

 

 その言葉の、本当の意味を。

 

 彼がダミーと神経を直接リンクさせて操作していたのなら。

 

 あの銃弾が、ダミーの側頭部を撃ち抜いたあの瞬間。

 

 たとえ直後で、神経接続がカットされたとしても。

 

 彼の脳には、明確に『死ぬ』という感覚が、焼き付いてしまったはずなのだ。

 

 頭蓋が砕け、脳を銃弾が蹂躙し、意識がブラックアウトする、あの絶対的な恐怖と、痛みと、絶望。

 

 彼は平然と振る舞っていた。

 

 復活劇を演じ、的確な指示を飛ばし、そして次なる報復の計画まで立てていた。

 

 だが、その強靭な精神の鎧の下で、彼の魂は確かに傷つき、そして震えていたのだ。

 

「……はい」

 

 大淀は、何も言わなかった。

 

 ただ静かに、彼の腕の中にその身を委ねる。

 

 そして自分の手を彼のその震える手に、そっと重ねた。

 

 言葉はいらない。

 

 今、この人に必要なのは、ただ誰かの温もり。

 

 自分が一人ではないと感じられる、確かな繋がり。

 

 それだけでいい。

 

 厚士はしばらくの間、子供のように彼女の温もりに顔をうずめていた。

 

 その背中はいつもよりもずっと小さく、そしてどこまでも人間らしく見えた。

 

 やがて。

 

 彼はゆっくりと顔を上げた。

 

 その瞳にはまだ、わずかに恐怖の残滓が揺らいでいたが、もう大丈夫だった。

 

「……ごめん。少し、感傷的になった」

 

「いえ」

 

 厚士は大淀の身体から離れると、いつもの不敵な笑みを浮かべてみせた。

 

 だが、その笑みは、いつもよりも少しだけ、優しかった。

 

「ありがとう、大淀。助かった」

 

「……勿体ない、お言葉です」

 

 大淀は静かに一礼した。

 

 彼女は改めて思う。

 

 この人は、決して完璧な超人などではない。

 

 自分と同じように傷つき、恐怖し、そして、弱さを抱えた、一人の人間なのだと。

 

 そしてその弱さを自分にだけ見せてくれる。

 

 その事実が、大淀の心を何よりも強く、そして、温かく満たしていくのだった。

 

 

±±±±±

 

 

 束の間の、休息の後。

 

 厚士の瞳にはもはや、一切の弱さも感傷も残っていなかった。 

 

 そこにあるのは、愚かな敵に対する氷のように冷たい怒りだけだった。

 

「大淀」

 

「はい」 

 

「瑞丸中将へ緊急の上申。頼んだ」

 

 厚士の声は静かだったが、その静けさこそが、彼の怒りの深さを物語っていた。

 

 その言葉に大淀は息を呑んだ。

 

 それは事実上の、兵糧攻めだった。

 

 大陸国である中国にとって、海上輸送路の完全な封鎖は致命傷にはならないかもしれない。

 

 だが、深海棲艦が闊歩するこの世界において、日本の艦娘による護衛がなければ、彼らの海外との貿易は壊滅的な打撃を受けることになる。

 

 それはじわじわと、しかし、確実に、龍の経済を締め上げる毒となるだろう。

 

「そしてもう一つ」

 

 厚士の口元に冷酷な笑みが浮かんだ。

 

「経済的な圧力だけでは、あの厚顔無恥な連中は堪えんだろう。だから彼らが、最も触れられたくない傷口を抉ってやる」

 

 彼は手元のコンソールを操作し、一つの匿名掲示板へとアクセスした。

 

「──二度目の召集だ、同志諸君」

 

【緊急再招集】同志たちよ、再び、力を貸してくれ【超弩級報酬あり】

 

1:青のあつこちゃん

> 観ての通りだ。

> 隣のデカい耄碌した四千年のトカゲの国が、ついに一線を越えた。

> 俺の命を狙ってきやがった。

>

> 故に、これは正当な報復だ。

 

2:名無しの提督さん

!!!!???

あつこちゃん、生きてたのか!

 

3:名無しの提督さん

マジかよ! あの中継見て、心臓止まるかと思ったぞ!

 

4:名無しの提督さん

一体、何がどうなって……いや、今はそれどころじゃない!

中国がやったのか! あのクソどもめ!

 

5:青のあつこちゃん

> そこで再び、お前らの力を借りたい。

> 特に、国際情勢板、現代史板、そして、ネットの闇に通じる全ての猛者たち。

>

> 『天安門事件』に関する、あらゆる真相と証拠を、なんでもいいから集めろ。

> そしてそれを、中国国内の掲示板から政府、国連、欧州の人権団体、全世界のメディアに、徹底的に叩きつけてやれ。

> あの共産党が自国の国民に何をしたのか。その血塗られた歴史を、今一度全世界に思い出させてやるんだ。

 

6:名無しの提督さん

天安門……!

ついに禁断の封印を解くのか……!

 

7:名無しの提督さん

ヤバすぎるwww

だが、最高にロックだぜあつこちゃん!

 

8:名無しの提督さん

報酬はどうなんだ報酬は!

今度の相手はデカいぞ!

 

9:青のあつこちゃん

> 報酬はもちろん、特級品を用意した。

 

> 報酬1:

> 霧の哨戒攻撃ヘリに初めて乗り込み、その複雑な計器類を前に、緊張と期待で瞳をキラキラさせている、初々しい大淀さんのドアップ。

>

> 報酬2:

> 大戦艦の艦長席にふんぞり返り、腕を組みながら脚まで組むキリシマ様。パンツスタイルから伸びるその脚線美。左足を上に組んだことで強調されるむっちりとした素肌の太ももと、そして腕を組んだことでさらに強調される豊満な胸の芸術だ。

>

> 報酬3:

> 日本海の洋上プラントから無限に供給される資源で、超重力砲を撃ちまくり、資源使い放題フィーバー状態に突入し、心の底から楽しそうな、無邪気な笑顔を浮かべるタカオ様のベストショット。

> ───以上、三枚だ。

> どうだ? やるだろ、同志たち。

 

10:名無しの提督さん

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!

 

11:名無しの提督さん

キリシマ様の御御足とお胸……だと……!?

死ねる……! これで俺は、心置きなく死ねる……!

 

12:名無しの提督さん

タカオ様の笑顔、尊すぎる……!

守りたいこの笑顔!

そのためなら共産党の一つや二つ、俺が潰して灰にしてやんよ!

 

13:名無しの提督さん

全同志に告ぐ!

これより、対中情報戦を開始する!

グレート・ファイアウォールをブチ破れ!

天安門の真実を、世界に解き放て!

総員突撃ィィィィィィィィィィィィィッ!

 

 その日。

 

 新井木厚士という一人の男の逆鱗に触れた代償として。

 

 中国という巨大な龍は、その二つのアキレス腱を同時に断ち切られることになった。

 

 一つは、経済を支える海の大動脈。

 

 そしてもう一つは、彼らが最も隠し、そして恐れてきた自らが犯した、血塗られた罪の記憶。

 

 その二つの激痛に、巨大な龍がもがき苦しむ声が、世界中に響き渡ったのだった。

 

 

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