まのさば二次創作を書きたい   作:ひざぎ

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すみません。以前書いたものが内容としてボロボロだったので、改めて書き直しました。
また更新が遅れてしまい申し訳ございません、ご査収ください。


いつかの約束⑥

 

「……ふぅ」

 

 何もすることは許されないまま長時間の移動をすごしたせいか、普通に過ごした時よりも疲労が重なっているような気がする。

 

 何かしら時間を潰すために、勉強なり読書なりに励むことが出来れば、それが一番いいのだが、移動中はそれさえも許されない。あくまで牢屋敷の存在は極秘とされているが故なのだが、そんな対応になんともやきもきしてしまう自分がいる。

 

 ……いや、きっとそれ以外にもため息をつきたくなってしまう要素はいくつもあるのだが。

 

「……」

 

 今の牢屋敷には瘴気と言われているようなものや、魔法に関連する作用はどこにもない。正直、正気というのはナノカから聞いた話でしかなく、当時の私でも感じられたものではないのだが。

 

 それでもこうして牢屋敷を目の前にすると、どうしたって色々なことを思い出してしまう。

 

 だからこそ、適切に前を向くことが難しい。

 

 すべてが終わったこと。

 

 そして、なかったことになったこと。

 

 魔法を使える少女たちの殺し合いは、もう存在しない。それは私が死に戻りをしたからこそ達成できたものであり、それ以上も以下もない。

 

 それでも脳裏に過ることが多すぎる。そして、それを忘れるという選択肢も、どこか選びたくないという気持ち。

 

 彼女たちとの様々なかかわりがあったからこそ、現在の自分というものが形成されている部分。忘れてしまえばいい、なんて安易なことを私はあまり思いたくはなかった──。

 

 

 

「──わぁー! ヒロちゃんだぁ!」

 

 

 

 そんな考え事に耽っていると、聞き馴染みのある声が目の前から聞こえてくる。

 

 その声の主は遠くから楽しそうな声をあげながら、花畑のすぐそばで立ち止まっている私に駆け寄ってくる。それに私は軽く手を振りながら「久しぶりだな、ノア」と彼女の名前を口に出して声をかけていた。

 

 

 

 

 駆け寄ってくる彼女の顔は、何かを描いていたのだろうか、絵の具で節々が汚れているような気がする。特に頬の辺りには青色や橙色、その他様々な色が擦れており、そんな彼女にすぐに文句をつけたくなってしまう。

 

「……何か、描いていたのか?」

 

 私がノアに聞けば、彼女はそれを嬉しそうにうなずいて返す。

 

「うんっ! みんなに『牢屋敷を虹色にする』って約束したからやろうかなぁ、って思ったんだけど、流石に難しそうだったから絵でそれを表現しようかなって描いていたんだぁ!」

 

「……まあ、そうか」

 

 そんな彼女の言葉の通りというべきか、遠目に見える牢屋敷を見据えるそばで、イーゼルと、イーゼルに置かれた彩のある絵が視界に入る。

 

 ……実際に牢屋敷をペンキで塗りたくっていないだけマシと言えばいいのだろうか。

 

 それでも以前と同じように、いや、以前よりも前向きになって絵に取り組んでいることには感心するし、嬉しい気持ちもある。

 

 ……彼女を魔女化させるため、本意ではないにしても、彼女の絵を愚弄したことが頭に過るからこそ、こうしてノアが絵に取り組んでいることは、そこそこの安堵を私に感じさせた。

 

「それで、他の子たちは? もう来ているのか?」

 

 私がノアにそう聞くと「まだレイアちゃんしか来てないよー!」と間延びした声を返してくる。

 

「レイアが? ……早いな」

 

 なんとなく私が一番乗りだと思っていたために、私よりも先についていたらしい彼女の存在に少し驚いてしまう。

 

 まあ、牢屋敷に来る際のヘリコプターの手配などは国が用意し、私たちはそれに従うのみであるため、その順番をどうこうする力は少女たちにはない。だから、先客がいてもおかしいことではないし、なんなら私が最後だって可能性は──。

 

「──あれ? そういえばエマちゃんは? 一緒に来ると思ったのにー」

 

「──……別に、一緒に来るとは限らないだろ」

 

「えー、そうかなぁ」

 

 自然と話題に出てくるエマの名前に、私は少し落ち着かなくなる。

 

「確か、エマちゃんとヒロちゃんって近所の幼馴染なんでしょ? だから、一緒に来るのかなーって」

 

「……まあ、私もそう思ってはいたのだが」

 

 ……実は敢えて彼女とは違う便で行くことにした、とは言えないな。

 

 私としてはエマが一緒にいてもいい、という気持ちがあるものの、エマの方が私とずっと一緒にいてもいい、と考えてくれているかはわからない。

 

 エマは優しい。優しいから、こんな私であっても、言葉では「ヒロちゃんとなら!」と快く返事をしてくれるだろう。……でも、それを対面では無理して言わせてしまうような気がして、わざと彼女とは違うヘリを手配した。

 

 ……なんて、そんなことをノアに、彼女たちに言うことは難しい。きっと彼女たちは私たちが仲直りしていると思っているだろうし、実際には仲直りをしたにはしたのだが……。なんとも言葉に表しがたいが故に、誤魔化すように咳払いをしてしまう。

 

「まあ、そんなことはいいだろう。とりあえず皆に久しぶりに会うんだ。挨拶をしに行かなきゃな」

 

「あっ、うん! のあもそれがいいと思う!」

 

 そう話題を逸らすようにして、改めて牢屋敷を見据える。

 

 じゃあ、今のところ牢屋敷にいる面々としては、ノア、アンアン、マーゴ、ナノカ、そしてレイアという感じか。

 

 各々は牢屋敷でどのように過ごしているのだろう。そんなことを考えながら、私とノアは一緒に牢屋敷の方へと歩みを進めていった。

 

 

 

 

 

 

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