三好inアニポケ(仮)   作:フォークロア

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第十一話 オレンジ諸島・後編 ラプラス

──朝のオレンジ諸島。

 

波音が穏やかに響き、潮風が砂浜を撫でていた。

マサカズとリーフは、木陰のそばで静かに朝食を取っていた。

ミュウが浮かびながら、フルーツを切り分けている。

 

「……今日いっぱい探して見つからなかったら、カントーに帰ろう」

 

マサカズが言うと、リーフは頷いた。

 

「うん。新しい仲間をもう見つけたしね」

 

元々、ラプラスはこの世界でも希少な部類に入るポケモンなので、二人ともキリの良いところで捜索を打ち切るつもりであった。

朝食を終えた後、バタフリー、ミズゴロウたちを海上捜索に送り出すと、マサカズがふと思いついたように言った。

 

「なあ、昨日ゲットしたポケモンたちで、バトルしてみないか?」

「えっ、バトル?」

「俺はサイドン、オコリザル、エイパム。リーフはガルーラ、ピジョット、ロコンがせっかく仲間になったんだ。様子を見ておきたいと思ってな。どうだ?」

 

リーフは少し考えた後、笑顔で頷いた。

 

「うん、いいね。みんなのこと、もっと知りたいし」

 

二人は砂浜の広いスペースを使い、即席のバトルフィールドを作った。

波打ち際から少し離れた場所に、マサカズはサイドンを、リーフはガルーラをそれぞれモンスターボールから出すと、二体が向かい合って立つ。

サイドンの巨体は地を踏みしめるたびに、砂が小さく跳ね上がる。

一方のガルーラは子どもを背中の袋に隠し、両腕を構えて低く身を落とす構えを見せた。

どうやらこの二体、恋仲だからといって、手は抜くつもりは一切なかったらしい。

 

「よし、始めるぞ。サイドン、”とっしん”だ!」

「ガルーラ、いくよ! ”アームハンマー”」

 

合図と同時に、二体は同時に地を蹴った。

 

──ズシンッ!

 

サイドンの突進。

その巨体が生む慣性は、まるで戦車のような迫力。

角を突き出し、一直線にガルーラへと迫る。

一方のガルーラは一歩も引かず、右足を軸に体をひねると、サイドンの突進を肩で受け流す。

そのまま、反動を利用して“アームハンマー”を叩き込む。

 

──ゴッ!

 

──鈍い音が響き、サイドンの首がわずかにのけぞる。

 

「サイドン、”メガホーン”!」

 

だが、サイドンは怯まず、すぐに“メガホーン”で反撃。

角が唸りを上げてガルーラの腹部をかすめ、砂煙が舞い上がる。

 

「すご……!」

『まるで相撲取りの取っ組み合いです!』

 

リーフが思わず声を漏らす。

ミュウも興奮気味に空中でくるくると回っていた。

ガルーラは後退しながらも、すぐに体勢を立て直す。

その目は、サイドンをまっすぐに見据えていた。

 

『……やるわね、サイドンさん』

『お前こそ、なかなかの踏ん張りだ』

 

ミュウが通訳を挟む暇もないほど、二体の間には言葉を超えた火花が散っていた。

 

「サイドン、”とっしん”!」

「ガルーラ、 ”カウンター”!」

 

再び突進するサイドン。

だが今度は、ガルーラが“カウンター”を構える。

サイドンの“とっしん”が命中した瞬間、ガルーラの拳が逆巻くように振り抜かれた。

 

──ドガァッ!

 

サイドンの巨体が砂浜を滑り、波打ち際まで押し戻される。

だが、すぐに立ち上がると、鼻息を荒くして地面を踏み鳴らす。

 

「サイドン、”じしん”!」

「ガルーラ、躱して ”れんぞくパンチ”!」

 

次の瞬間、サイドンが“じしん”を発動。

地面が揺れ、砂が波のように盛り上がる。

ガルーラはそれを読んでいたかのように、素早く横へ跳び、揺れの外へと抜ける。

そして、“れんぞくパンチ”でサイドンの脇腹を打ち込む。

 

「サイドン、”がんせきふうじ”!」

 

だが、サイドンはそのままガルーラの腕を掴み、引き寄せて“がんせきふうじ”を繰り出す。

岩の破片がガルーラの足元を囲み、動きを封じる。

 

──互いに一歩も譲らない。

 

拳と角、技と技、読みと読みがぶつかり合う。

 

やがて、両者が大きく息を吐き、距離を取った。

サイドンの肩は上下に揺れ、ガルーラも額に汗を浮かべている。

だが、どちらもまだ戦意を失っていない。

 

マサカズとリーフも、思わず息を吐いてしまう。

 

「……圧がすごい……」

「圧がすごい……」

 

二人は同時に呟き、顔を見合わせて笑った。

その時、モンスターボールが二つ、砂の上で静かに開いた。

オコリザルとピジョットが姿を現し、互いに睨み合う。

 

「……次は、こいつらか」

「うん。まだまだ、続けよう!」

 

マサカズとリーフはサイドンとガルーラをモンスターボールへ戻すと、次なる砂浜の決闘へと移る。

熱気が残るフィールドで、オコリザルとピジョットが、互いに睨み合う。

どうやら、この二体もサイドンとガルーラの熱気に当てられ火が点いたらしい。

 

「オコリザル、構えろ。お前の動き、昨日見た通りだ。風に負けるな」

「ピジョット、空を使って翻弄して!」

 

マサカズとリーフが同時に指示を飛ばす。

ピジョットが翼を広げ、上空へと舞い上がる。

オコリザルは地を蹴り、拳を構えて待ち構える。

 

「“かぜおこし”!」

 

ピジョットが旋回しながら風を巻き起こす。

砂が舞い、視界が揺れる。

 

「オコリザル、“みきり”!」

 

オコリザルは目を細め、風の流れを読みながら身を低くする。

ピジョットの突撃を紙一重で躱し、拳を振り上げる。

 

「“インファイト”!」

 

拳が唸りを上げ、ピジョットの腹部に直撃。

空中でバランスを崩し、砂浜へと落下する。

 

「ピジョット、立って!」

 

リーフの声に応え、ピジョットは翼を広げて再び飛び上がる。

だが、オコリザルはすでに次の動きを読んでいた。

 

「“かみなりパンチ”!」

 

拳に雷が宿り、跳び上がったピジョットに向かって放たれる。

直撃──ピジョットは地面に倒れ、動かなくなった。

 

「……ピジョット、戻って。よくやってくれたね」

 

リーフは静かにモンスターボールを構え、ピジョットを戻す。

 

「オコリザル、よくやった。お前の読み、見事だった」

 

マサカズが微笑むと、オコリザルは鼻を鳴らして腕を組んだ。

次にマサカズはエイパムを、リーフはロコンをモンスターボールから繰り出す。

エイパムは尻尾を揺らしながら、どこか落ち着かない様子。

ロコンは砂の上に軽く足を踏みしめ、構えを取る。

 

「エイパム、“でんこうせっか”!」

「ロコン、“ひのこ”!」

 

マサカズが指示を飛ばす。

だが、エイパムは一瞬だけ迷ったように動きが遅れる。

その隙を突いて、ロコンが先制で“ひのこ”を放つ。

火花がエイパムの足元をかすめ、尻尾を焦がす。

 

「エイパム、“かげぶんしん”!」

「ロコン、“アイアンテール”!」

 

再び指示を飛ばすが、エイパムは動きが鈍い。

ロコンが素早く距離を詰め、“アイアンテール”で叩き込む。

エイパムは地面に転がり、立ち上がろうとするが、動きに迷いが見える。

マサカズはリーフへ降参を告げてバトルを終わらせる。

 

「……エイパム、戻れ」

 

マサカズは静かにモンスターボールを構え、エイパムを戻す。

その表情には、わずかな疑問が浮かんでいた。

 

「エイパム、調子が悪いの?」

「かもしれないな」

 

(……指示に対する反応が遅い。技の選択も迷っていた。

もしかして……バトルが苦手なのか?)

 

だが、確認する間もなく、空からバタフリーが急降下してくる。

ミズゴロウたちも後を追い、慌てた様子で陸地へ戻ってきた。

 

「どうした!?」

 

血相を変えて戻ってきたポケモン達の状態にマサカズはただ事では無いと悟る。

ミュウが通訳を始める。

 

『近くの海域で、2匹のラプラスがドククラゲとメノクラゲの群れに囲まれてリンチに遭っているそうです!』

「なんだと!?」

 

マサカズはリーフと顔を見合わせ、即座に頷く。

 

「……行くぞ!」

「うん!」

 

マサカズは、エイパムの疑問を後回しにした。

今は、命を守るための戦いが先だった。

 

マサカズとリーフはミュウのサイコキネシスで海上へと移動すると、現場へ駆け付ける。

 

「……あれか!」

 

目の前に広がるのは、荒れた波と毒々しい光を放つクラゲの群れ。

その中心には雄のラプラスが雌のラプラスを庇いながら、必死にクラゲたちと戦っている光景が広がっていた。

雄のラプラスが雌のラプラスを庇い、ドククラゲの“どくづき”を受けながらも、決して退かない。

雌のラプラスが雄の背後で、身を震わせていた。

 

「リーフ、ミズゴロウの“れいとうビーム”でメノクラゲたちを凍らせてラプラスを救出しよう!」

 

マサカズの提案にリーフは頷く。

 

「ミズゴロウ、“れいとうビーム”!」

「ミズゴロウ、“れいとうビーム”よ!」

 

二体のミズゴロウから放たれた“れいとうビーム”により海面が凍りつくと、クラゲたちも動きが止まった。

マサカズとリーフは氷の上に降り立ち、ラプラスの元へ駆け寄る。

 

「ラプラス! 落ち着いて!」

 

だが、雄のラプラスは警戒を解かず、“みずてっぽう”を放ってマサカズを弾き飛ばす。

 

「マサカズ!!」

 

リーフが叫ぶが、マサカズは受け身を取り、すぐに立ち上がる。

 

「……大丈夫だ」

 

再びラプラスに近づく。

今度は攻撃してこなかった。

マサカズは静かに言葉を紡ぐ。

 

「子どもを守るために戦ったんだろう。……お前の気持ちは、わかる」

 

リーフは口元を抑える。

微かに震えていた雌のラプラスがタマゴをくわえているのを認めたからだ。

ミュウがふわりと浮かび、雄ラプラスの状態を確認する。

 

『毒状態です。すぐに治療を』

 

マサカズは頷くとバッグから『どくけし』を取り出し、雄のラプラスにそっと使う。

ラプラスの瞳が揺れ、警戒が少しずつ解けていく。

ミュウを介して、マサカズは語りかける。

 

「俺たちにゲットされてみないか。研究所に行けば、安全な住処と食事が約束される。子どもも安心して育てられるし、望まない限りお前達を戦わせたりはしない。どうだ? 俺たちと一緒に来てみないか?」

 

ラプラス夫妻は静かに耳を傾けていた

雄のラプラスが雌のラプラスを見つめる。

雌は、タマゴをそっと水面に浮かべ、頷いた。

ミュウが通訳する。

 

『……行きます。あなたたちなら、きっと守ってくれる』

 

マサカズたちは静かにモンスターボールを差し出す。

ラプラス夫妻は自らその光に包まれ、ボールの中へと収まった。

静寂が海を包む。

クラゲたちはすでに散り、波は穏やかさを取り戻していた。

 

「ラプラス……ゲットだな、リーフ」

「えっ? あっ、うん。そうだね///」

 

リーフはマサカズに見とれていたことに気づき、慌てて視線を逸らす。

 

(こんなゲットの仕方があるなんて……やっぱりマサカズは、普通のトレーナーじゃない)

 

リーフはマサカズの横顔を見つめ、そっと微笑んだ。

その夜、マサカズとリーフは、焚き火の前で静かに語り合う。

 

「これでオレンジ諸島の旅は終わりだ。どうだった、リーフ?」

「……楽しかった。また、来たいな」

「その時はラプラスで海を旅してみるか」

 

二人は笑い合い、潮風の中で静かに星空を見上げた。

そして、ミュウのテレポートで、カントー地方へと帰還する。




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