三好inアニポケ(仮)   作:フォークロア

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第十六話 サントアンヌ号・後編

マサカズとサトシ、ライバル同士の対決はお互いを認め高めあう良い刺激となった──だが、静かな余韻は長くは続かなかった。

 

船内の照明が突如として落ち、ホールが暗闇に包まれる。──次の瞬間、甲高い笑い声が響き渡った。

 

「世界の破壊を防ぐため!」

「世界の平和を守るため!」

「愛と真実の悪を貫く!」

「ラブリーチャーミーな敵役!」

「ムサシ!」

「コジロウ!」

「銀河を駆けるロケット団の二人には!」

「ホワイトホール、白いあしたが待ってるぜ!」

「ニャーンってニャ!」

 

ステージに飛び出したムサシ、コジロウ、ニャースが、堂々と名乗りを上げる。

そして、ムサシが指を突きつけて叫んだ。

 

「この船に乗ってるポケモン、全部いただくわよ!」

 

「…そう言うわけにはいかないな」

 

マサカズが一歩前に出る。

リーフとサトシも並び立ち、それぞれモンスターボールを構える。

 

「ピカチュウ、行くぞ!」

「バタフリー、キミに決めた!」

「バタフリー、お願い!」

 

三人のポケモンがフィールドに現れる。

ピカチュウの頬が火花を散らし、二体のバタフリーが優雅に舞い上がる。

 

「リーフもバタフリー持ってたのか!?」

 

サトシが驚くと、リーフは微笑んで答えた。

 

「トキワの森でね♪」

「懐かしいな……」

 

タケシが呟く。

それを聞いたカスミが振り返る。

 

「タケシ、リーフがバタフリーを持ってたの知ってたの?」

「ああ。ジム戦で出されたことがある。あのバタフリーはただものじゃないぞ」

 

一方、ロケット団も応戦の構えを見せる。

 

「アーボ、出番よ!」

「ドガース、行け!」

「ニャーもやるでニャース!」

 

ムサシのアーボ、コジロウのドガース、そしてニャースが前に出る。

三対三のトリプルバトルが始まった。

 

「アーボ、“どくばり”よ」

「バタフリー、躱して“たいあたり”」

 

サトシのバタフリーはアーボと対峙。

バタフリーはアーボの“どくばり”をひらりと躱すと、“たいあたり”で弾き飛ばす。

 

「ドガース、“どくガス”攻撃だ!」

「バタフリー、“かぜおこし”で吹き飛ばして!」

 

リーフの色違いバタフリーはドガースと対峙。

ドガースの“どくガス”を“かぜおこし”で吹き飛ばすと、リーフは続けて“サイケこうせん”を命じて、ドガースを混乱状態に陥れる。

 

「すごい……あのバタフリー、色違いだし、動きが綺麗……」

 

カスミが呟くと、タケシが頷いた。

 

「見た目だけじゃない。あれは、戦術も洗練されてる」

「くっ…!」

 

押されるロケット団。しかし、ムサシは起死回生の一手を放つ。

 

「アーボ、“へびにらみ”よ」

 

リーフのバタフリーに向けて、アーボが“へびにらみ”を放つ。

しかし、その技を、サトシのバタフリーが身を挺して受ける。

 

「フリー!?」

「バタフリー!!」

 

“まひ”状態となり、動きが鈍るサトシのバタフリー。

 

「バタフリー、“メロメロ”!」

 

リーフのバタフリーは驚きながらも、すぐに反応する。

ピンクの光がアーボを包み、“メロメロ”状態になると、アーボは動きを止め、ドガースも混乱で指示を聞けなくなる。

 

「今よ、“たいあたり”!」

「バタフリー、“たいあたり”だ!」

 

サトシとリーフのバタフリーが同時に突撃。

 

同時進行で、ピカチュウとニャースの戦いも激化していた。

 

「“みだれひっかき”ニャ!」

 

ニャースが爪を振り回すが、ピカチュウは軽やかに躱す。

 

「ピカチュウ、“なみのり”!」

 

水の波がニャースを包み込む。

 

「ぐぎゃー!? 肉球が濡れるニャー!!」

 

取り乱すニャースに、マサカズが続けて指示する。

 

「“十まんボルト”、水越しに感電させてやるんだ!」

 

電撃が水を伝い、ニャースに直撃すると、“まひ”状態となって、転倒するニャース。

──だが、ニャースは立ち上がる。

 

「この程度……ジャリボーイとの戦いで慣れてるニャ! 必殺“からげんき”ニャー!」

 

“まひ”状態のニャースが、威力2倍の“からげんき”で突撃してくる。

 

しかし、マサカズが冷静に指示する。

 

「“アイアンテール”で迎え撃て!」

 

ピカチュウの尾が銀色に輝き、ニャースの突撃と激突。

 

「ニャーッ!」

 

衝撃の中、ニャースは押し負けて吹き飛ばされる。

 

──その瞬間

 

アーボ、ドガース、ニャースの三体が同時に宙を舞い、ムサシとコジロウにそのまま直撃する。

 

「「「イヤな感じ(ニャー)~!」」」

 

三人は船外へと弾き飛ばされ、星のように消えていった。

 

ロケット団の登場に騒然となっていたサントアンヌ号の乗客たちも、マサカズたちの奮闘に勇気づけられ、トレーナーたちが次々と応戦。

ムサシ、コジロウ、ニャースの幹部クラスを失った下っ端団員達も次第に押されていき、敗退することで事態は終息する。

 

戦いが終わり、リーフのバタフリーがサトシのバタフリーに近づく。──そっと羽が重なるように触れると“へびにらみ”から守ってくれたことに感謝を伝える。

 

『ありがとう……///』

『う、うん……///』

 

サトシのバタフリーも満更でもない様子で、ふわりと舞い上がる。

二体は仲良く飛び回り、空中で円を描いた。

 

「バタフリー、リーフのバタフリーと打ち解けたんだな」

 

サトシはバタフリー同士が仲良くなったことに喜ぶ。

 

「なんか良いわね。ああいうの…」

「ああ。どうやらお互いに異性として認識しあったらしい。バタフリー同士の相性は、意外と繊細なんだ。羽の模様、飛び方、フェロモン……全部で判断するらしいぞ」

「へえ~そんなことまで知ってたの?」

「ジム戦でリーフにバタフリーに出された時から、ちょっと調べてみたんだ」

 

腕を組みながら言うタケシの発言にカスミは改めて、ポケモンブリーダを目指す彼の力量に感心した。

 

「……バタフリーにも春が来たのね」

「……だな。あの二人、なかなか相性が良さそうだ」

 

リーフとマサカズも二人のやり取りを察して微笑む。

 

(これは……原作ブレイクの予感!)

 

その様子を側で控えて見守っていたミュウは、ふわりと浮かびながら『バイバイバタフリー』が無くなりそうだと思った。

 

だがその時、サントアンヌ号の船体が大きく揺れ動いた。

 

──ゴゴゴゴゴ……

 

「な、なんだ!? 地震か!?」

「違う……これは、嵐だ!」

 

窓の外には黒雲が渦巻き、波が船体を叩いていた。

船内に緊急アナウンスが流れる。

 

「この船は絶対に沈みません。皆様、落ち着いて行動を……」

 

だが、われ先に逃げ出そうとする船長達の姿をマサカズは見逃さなかった。

 

「……怪しいな。リーフ!」

 

リーフに目配せすると、バタフリーの“ねんりき”で男たちを拘束する。

 

「離せ! 私は船長だぞ!」

「……その割に、逃げ足が早いじゃないか」

 

服の下を調べてみると、男の制服の下にはロケット団のエンブレムが隠されていた。

さらに、一等航海士と操舵手もロケット団員だったことが判明する。

これを見たマサカズは冷や汗をかくと、急いでブリッジへ駆け込む。

 

「この船を操縦できる人間はいるのか!」

「はっ!? いえ、あの、えーと……我々も全力を尽くしていると言いますか……」

 

残されていたのは、航海士見習いたちだけであった。

彼らは顔を青ざめさせ、震えていた。

 

「……なら、俺がやろう」

 

マサカズは静かにそう宣言する。

その背中には、かつて軍艦を操った記憶が確かに息づいていた。

 

「マサカズ……」

 

リーフが心配そうに見守る。

 

 

──ブリッジにて

 

操舵輪を握ったマサカズは、冷静に指示を飛ばす。

 

「風向きは北西、波高は6メートル。エンジン出力を40%に。舵角、左15度。……急速転舵だ!」

「アッ、アイアイサー!」

 

見習いたちは戸惑いながらも、マサカズの声に従う。

船体が大きく傾きながらも、嵐の渦を抜けるように進路を変えていく。

 

「……よし、抜けるぞ」

 

──数時間後。

 

サントアンヌ号は無事にクチバシティの港へと帰港した。

乗員・乗客たちは歓声を上げ、マサカズの操艦に拍手を送る。

 

「マサカズ……本当に、ありがとう」

 

リーフがマサカズに抱き付きながら、涙を浮かべて言う。

サトシも、ピカチュウを抱えながら頷いた。

 

「ありがとう、マサカズ。お前がいなかったら、俺たち……」

 

マサカズは静かに笑った。

 

「俺は、ただ舵を握っただけだ。これから先“人生の航路”を進んでいくのは……お前達次第だぜ」

 

──こうして、サントアンヌ号の事件は幕を閉じた。

 

嵐の中で交わされた絆は、新たな航路を照らしていた。

そして、マサカズたちの旅は再び続いていく――。




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