三好inアニポケ(仮)   作:フォークロア

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第四話 虹色の羽とトキワシティでの準備

マサラタウンの丘を、マサカズとリーフは並んで歩いていた。

背中には新しいバッグ、腰にはモンスターボール。

旅立ちの空気は、どこか緊張と期待が入り混じっていた。

 

「……リーフ、無理してないか?」

 

マサカズが歩きながら問いかける。

彼の視線は、リーフの横顔に優しく注がれていた。

 

「ううん。マサカズがいてくれるから、怖くないよ」

 

リーフは笑ってみせたが、その瞳にはほんの少しだけ、過去の影が揺れていた。

それでも、前を向こうとするその姿に、マサカズは彼女が乗り越えていけると確信した。

 

──その時、ミュウがふわりと現れた。

 

『マサカズさん、もうすぐ雨が降りそうです』

 

空を見上げると、雲が厚くなり始めていた。

マサカズとリーフは急ぎ、林の中にテントを張る。

それから数十分後、雨がポツポツと次第に降り始めた。

 

──テントの中。

 

マサカズはヒトカゲをモンスターボールから出すと、火の灯りを囲むようにリーフと座った。

ピカチュウ、フシギダネ、ミュウ、そしてリーフのフシギダネも加わり、暖かい空気が広がる。

 

「今更だけど……マサカズって、ミュウをゲットしてたんだね」

 

リーフがぽつりと呟く。

 

「まあ、ゲットっていうよりは……小さい頃から共に過ごしてきた相棒みたいなもんだな」

 

マサカズの言葉に、ミュウがくるりと回って笑う。

リーフはその様子を見て、どこか羨ましそうに微笑んだ。

それから雨が止んで外に出ると、空が一気に晴れ渡っていた。

 

そして、雲の切れ間から――虹のような光を放ちながら羽ばたく巨大な鳥ポケモンが姿を見せる。

 

「あれは……?」

「ホウオウ。伝説のポケモンだ」

 

リーフが息を呑む。

ミュウも目を輝かせながら言った。

 

『マサカズさん、ホウオウですよ! ゲットしないんですか?』

 

ミュウがいるなら、ワンチャン、バトルしてゲットすることも不可能ではなかったろう。

しかし、マサカズは静かに首を振った。

 

「ゲットして、どうやって面倒見るんだ?」

 

その言葉に、リーフとミュウは目を見開く。

 

「ポケモンをゲットするってことは、トレーナーとしての責任を持つってことだ。ホウオウみたいな大型の鳥ポケモンを旅に連れて行くとしてだ、毎日100km以上は羽ばたかせてやらないと運動不足になるだろう。狭いモンスターボールに閉じ込めてお供させるもしかり、オーギド研究所という狭い庭園で暮らさせ、窮屈な思いをさせるのは……俺にはできない」

 

マサカズは例え、ルギアやグラードン、カイオーガやレックーザ、ディアルガ等の大型の、、、伝説ポケモンをゲットできる状況であったとしても、ゲットするつもりはなかった。

理由は簡単。旅のお供に同行させるのが困難だからだ。第一それだけ体が大きければ、それだけ食べさせてやらなければならないが、その食事代だって負担するのはトレーナーの役目である。

これはすべてのトレーナーに当て嵌まる“ゲームとは違う現実的問題”である。──身の程を弁えるぐらいがちょうど良いということであろう。

 

「一緒に居て楽しいと感じる。それがゲットするトレーナーとゲットされるポケモンにとって必要な第一条件じゃないか」

 

マサカズはそう締め括る。

ミュウはしばらく黙っていたが、やがて頷いた。

 

『……わかりました。じゃあ、挨拶だけ、、、、してきますね』

 

そう言って、ミュウは空へと舞い上がり、ホウオウのもとへと向かっていった。

──そのやり取りを見ていたリーフは、静かに呟いた。

 

「……マサカズって、手持ちポケモンのことを本当に仲間だと思ってるんだね」

「まあ、な。所有物じゃない。共に旅するパートナーだと俺は認識してるよ」

 

その言葉は、リーフの胸に深く響いた。

モンスターボールに入れた瞬間から、ポケモンは“自分のもの”になる――そんな考えが、少しずつ変わっていくのを感じていた。

しばらくして、ミュウが戻ってきた。

 

『マサカズさん、ホウオウから“にじいろのはね”を貰ってきましたよ』

 

ミュウの手には、虹色に輝く羽が握られていた。

マサカズがそれを受け取ると、羽は光を放ち続けていた。

 

「うわぁ……綺麗~……」

「むぅ……良いなぁ……これは旅のはじめに良いものを手に入れた」

 

(……黒ずまない。ってことは……)

 

ミュウはその光景を見つめながら、内心で呟いた。

 

──虹の羽が風に揺れる。

 

それはホウオウが認めたという証だった。

 

そして二人は、マサラタウンを旅立ってから、最初の町――トキワシティへと辿り着く。

街は小さく、どこかのどかで、市場にはパン屋の香りと、ポケモンセンター前の花壇に咲くマダツボミの花が揺れていた。

 

「……ここからニビシティまでは、トキワの森を抜けるしかない。しかし、そこでポケモン達の特訓も行ないたいから、森の中で道に迷う等の不測の事態も鑑みて、1週間は滞在することを見込んでおこう。それにリーフも新しいポケモンをゲットしたいだろう」

 

マサカズが地図を広げながら言うと、リーフは頷いた。

 

「そうだね。じゃあ、その分準備しないと。キズぐすり、虫除けスプレー、食料……あと、念のためにテントの補修用の糸とかも」

「よし、分担して買い出ししよう。俺は薬と保存食を見てくる。リーフは道具と日用品を頼む……あ、あと“サバイバルナイフ”も買ってきてくれ」

「……え? サバイバルナイフ? 森でサバイバルでもやるつもり?」

「いや、護身用だ。あと、調理にも使えるしな」

「……マサカズって、サバイバル経験でもあるの?」

「まあ、ちょっとな……」

 

(元軍人ですもんね)

 

話を聞いてたミュウは、そう思った。

かくして、二人は商店街で別れると、それぞれ目的のものを探し求める。

 

──スーパーマーケット。

 

マサカズは、店に入ると保存食コーナーでポケモン用のフーズと栄養バーと人間用のパックごはん、レトルトカレー、水、野菜、調味料等を選んでいた。

 

「……ポケモン世界にも、ふつうに肉と魚があるんだな……」

 

コイキングの切り身らしきパッケージを見て、マサカズは一瞬眉をひそめたが、気にしないことにして、適当に買い物籠に詰めた。

 

(まあ、残さず食べるのが礼儀や)

 

──薬局。

 

次の店に入るとマサカズは“キズぐすり”や“げんきのかけら”、“どくけし”等の状態異常治し一式をまとめて購入しようとレジに並ぶ。

レジのおばちゃんが品物を見て、にこにこしながら声をかけてきた。

 

「アンタ、新人トレーナーさんかい?」

「ええ、まあ。今日から旅に出たところです」

「へぇ〜、若いのにしっかりしてるねぇ。お連れさんは?」

「同い年の女の子と一緒に旅してます」

「……あれまっ! ほんじゃサービスしとかんと!」

 

そう言って、おばちゃんはレジの下から何かを取り出し、袋にそっと詰める。

 

「お若いの、頑張りなさいよ♪」

「…?」

 

マサカズは袋の中をちらりと覗いて、目を見開いた。

そこには、ゴム風船(※意訳)の箱が入ってたからである。

 

「(俺、まだ1●才だぞ!? これで何しろっての、おばちゃん!?)」

 

──道具屋。

 

一方、リーフは道具屋で虫除けスプレーとナイフ、ライター、縄、電池、テントの補修糸等を手に取ると、レジに並んでいた。

すると店員から「スピアーの季節だから、スプレーは多めに持っておくといいよ」と教えられる。

 

「ありがとうございます。じゃあ、もう一本追加で」

 

お会計が終わると、リーフはポケモン図鑑を取り出し、レジの端末にかざす。

ピッという音と共に、画面に「決済完了」の文字が表示される。

 

「はじめて使ったけど……ほんと便利ね。」

「図鑑は旅人の財布でもあるからね。あと、ポイントも貯まるよ」

「えっ、ポイント?」

「うん。図鑑の使用履歴で、ポケモンセンターの軽食が割引になるんだって」

「……意外と経済的なんだね」

 

──色々と旅人トレーナーに優しい世界であった。

 

──夕方に、ポケモンセンターで合流した二人は、買ったものを確認しあった後、夕食を取っていた。

 

「これで、森の中でも困らないね」

「そうだな。あとは……気持ちの準備か」

 

マサカズはそう言うと、隣でポケモンフーズを食べるピカチュウとヒトカゲ達を見つめた。ミュウは姿を公に晒させる訳にいかないから、後で部屋で食べて貰うつもりだった。

ふと、リーフはピカチュウを視界におさめるとマサカズに尋ねる。

 

「……そういえば、マサカズってピカチュウとどうやって出会ったの?」

 

ミュウ、ヒトカゲを除くと、唯一ピカチュウだけは仲間になった経緯をリーフは知らなかった。

マサカズは少しだけ目を細めると答える。

 

「ポケモントレーナーになる前に仲間となるポケモンをキープしようと考えていてな。ミュウと共にトキワシティに来た時、ロケット団に捕獲されそうになってたのを見つけて助けたのが、こいつだった。それで仲間に誘って……今に至るって感じだな」

「……そっか。ピカチュウもマサカズに助けられたんだね」

「ピカッ」

 

ピカチュウはマサカズの肩に飛び乗る。

その仕草は、まるで“照れ隠し”のようだった。

 

「ふふ……仲良しだね」

「まあな。俺がゲットしたんじゃない。こいつが、俺を選んでくれたんだ」

 

リーフはその言葉に、少しだけ胸が熱くなるのを感じた。

 

「……羨ましいな。そんなふうに、ポケモンと心が通じ合えるって」

 

マサカズは少しだけ笑って、リーフの頭を軽く撫でた。

 

「お前も、きっとそういう仲間に出会えるさ。……いや、もう出会ってるかもな」

 

マサカズの視線が隣でフーズを食べるフシギダネの方へと注がれる。

リーフはそっと微笑んだ。

 

「明日から、いよいよ森だね」

「そうだな。試練の始まりだ」

 

マサカズは“にじいろのはね”を取り出し、そっと蛍光灯の光にかざした。

その輝きは、変わらず美しく、静かに二人の旅を照らしていた。

因みに“キズぐすり”と“どくけし”等の薬は人間にもポケモンにも共用で使える仕様になっている。




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