三好inアニポケ(仮)   作:フォークロア

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第七話 ニビジムの勝利とムロ島の激闘

「イワーク、戦闘不能! ピカチュウの勝ち! よって勝者、マサラタウンのマサカズ!」

 

審判の声がジム内に響いた瞬間、静寂が訪れた。

誰もが呆然と立ち尽くす中、マサカズはピカチュウの元へ歩み寄り、そっと頭を撫でた。

 

「やったな、ピカチュウ」

「ピッカチュウ! ピカピカッ!」

 

ジムリーダーであるタケシは、岩のように固まったまま、言葉を失っていた。

ニビジム。岩タイプの使い手であるタケシに挑むため、マサカズはヒトカゲとピカチュウを選んでいた。

最初に出されたイシツブテに対し、マサカズはヒトカゲを選出する。

ころがる攻撃をしてきたイシツブテに対し、ヒトカゲは、“りゅうのいぶき”で動きを止め、“メタルクロー”で一撃。戦闘不能にもっていく。

続いて出されたイワークに対し、マサカズはピカチュウをぶつけた。

 

冗談だろう?──それがタケシをはじめ、観戦していたリーフを除く、すべての者達の思いであった。

 

ほぼ誰もが予想しなかったピカチュウ対イワークの戦いは、ピカチュウの“なみのり”攻撃でイワークを翻弄、水に濡れたイワークに“十まんボルト”を当てて、運良くマヒ。動きが止まったところを“アイアンテール”を当てて、イワークを戦闘不能へと持っていったのである。

 

「まさかピカチュウで岩タイプに挑んで負かされるとは……」

 

タケシがようやく口を開いた。

 

「岩タイプのジムだと分かっていたので、対策を施して挑んだだけです」

 

マサカズは淡々と答える。

だがその裏には、レベル70超えのポケモンとの修練とトキワの森で積んできた経験等も大きかったのである。

 

「今日は君から多くのことを学ばせてもらったよ。その真剣さ、闘争心……君はこのグレーバッジを持つのにふさわしいトレーナーだ」

 

タケシが差し出したバッジを受け取りながら、マサカズは静かに頭を下げた。

 

「ありがとうございます」

 

──翌日。

リーフもまた、タケシに挑んでいた。

フシギダネの“つるのムチ”と“ねむりごな”でイシツブテを封じ、バタフリーの“しびれごな”と“サイケこうせん”でイワークを翻弄。

見事な連携でリーフも勝利を収めたのである。

 

余談だが、マサカズがピカチュウを使い勝ってしまったことで、後に訪れたサトシとピカチュウはタケシに警戒され、原作同様に負けることになる。そして、『10まんボルト』を覚えリベンジ。弟たちに引き留められる形でバッジを貰う模様。

 

 

「次はハナダジムか……」

 

ジムを後にしたマサカズが呟くと、隣を歩くリーフが首を傾げた。

 

「どうかしたの?」

「いや、水タイプのジムだからな。水中に潜られたら厄介だ。水ポケモンがいないとキツいと思ってな」

「確かに……それに水陸両用じゃないと旅にも不便よね」

 

マサカズはふと、記憶の片隅にある映像を思い出す。

アニメの中で、タケシが使っていたヌマクロー――その進化前はミズゴロウだった筈だ。

 

「……ホウエン地方のムロ島に行けば、ミズゴロウが手に入るかもしれん」

「ムロ島? そんな遠くまでどうやって……」

 

マサカズは静かに手を上げた。

 

「ミュウ。ムロ島まで、頼めるか?」

『了解です。少し揺れますよ』

 

ふわりと空間が揺れ、ピンクの光が舞う。

ミュウが姿を現し、二人を優しく包み込む。

 

──光が弾け、風が止んだ。

 

次の瞬間、二人はホウエン地方・ムロ島の森に立っていた。

潮の香りと、湿った土の匂い。

見知らぬ土地の空気が、肌を撫でる。

 

「……ここがムロ島? ホウエンはやっぱり空気が違うね」

「そうだな。よし、ミズゴロウを探そう。水辺の近くにいるはずだ」

 

二人は森を進み、静かな水辺へと足を運ぶ。

だが、そこに広がっていたのは――

 

「……ねえ、あれって!」

 

檻に閉じ込められ、網にかけられたミズゴロウ達。

多数の男たちが次々と網を投げ、ポケモンを捕らえていく光景を二人は目撃する。

 

「ミズゴロウ達が……乱獲されてる……!」

「ッ……リーフ、行くぞ。ミズゴロウ達を助ける!」

「うん。私たちで、止めよう」

 

此方の存在が悟られないように二人は森の影から近くへと近づく。

檻の中で震えるミズゴロウたちを見て、リーフは息を呑んだ。

 

「DPに出てきたアイツか……!」

 

黒いロングコート、銀髪ショート、サングラスをかけたその集団のリーダーと思われる女――ポケモンハンターJが部下達に指示を飛ばして、ミズゴロウ達を捕獲しているのを認めた。

マサカズは声を低く、怒りを押し殺した。

隣でリーフも拳を握りしめる。

 

「ミズゴロウたちを……助けなきゃ」

「待て。相手は多勢に無勢だ。トキワの森でスピアー達と戦った時を思い出せ。無闇矢鱈に突っ込んだら押し負けるぞ。それにミズゴロウ達の救出も平行して行なわないと」

「じゃあ、どうするの?」

「俺に考えがある。先ずは奇襲で数を減らすんだ」

 

そして──戦いが始まった。

 

「フシギダネ、“ねむりごな”。バタフリー、“しびれごな”を巻いて奴等の動きを止めて!」

 

“ねむりごな”と“しびれごな”を知らず知らずの内に吸い込んだポケモンハンター達はおよそ半数が次々に倒れ込む。

この光景を見て無事だったハンター達は慌てて口を塞ぐと、ドガース、ニューラ、ゴルバットなどの手持ちポケモンを繰り出した。

 

「バタフリー、“ねんりき”で動きを止めて!」

「ヒトカゲ、“りゅうのいぶき”! ピカチュウ、“十まんボルト”!」

「フシギダネ、“はっぱカッター”で網を切って!」

 

連携は見事だった。奇襲により後手後手の対応に回ったハンター達は、マサカズとリーフの攻撃に対処しきれず、手持ちポケモン達の能力を存分に扱えないまま、次々に倒れ込んでいった。

拘束が解けたミズゴロウ達の中にはハンターへと攻撃に回る者も現われた為、ハンター達の統率は崩壊した

 

──その時。

 

「ボーマンダ、出なさい」

 

ちょうど奥へと姿を消していたJが現る。

Jが冷たい声で命じると、空から咆哮が響いた。

巨大なドラゴンが翼を広げ、炎を吐きながら降り立つ。

 

「貴様等、生きて帰れると思うなよ」

「……来たか。分が悪いのは承知の上だ」

 

マサカズは冷静に言い、ヒトカゲを前に出す。

 

「ヒトカゲ、“りゅうのいぶき”!」

「ボーマンダ、“りゅうのいぶき”!」

 

炎と衝撃がぶつかり合い、地面が揺れる。

 

「フシギダネ、“どくのこな”よ!」

 

リーフは隙を見て、状態異常攻撃を仕掛ける。

 

「煩わしい。ボーマンダ、“かえんほうしゃ”だ!」

 

かえんほうしゃが炸裂すると“どくのこな”ごと、ヒトカゲ達が吹き飛ばされる。

 

「ヒトカゲ……!」

「フシギダネ……!」

 

しかし、その瞬間、ヒトカゲの体が光に包まれた。

 

「……進化か!」

 

ヒトカゲはリザードへと姿を変え、咆哮を上げる。

同時に、フシギダネも光に包まれ、フシギソウへと進化した。

 

「リザード、“かえんほうしゃ”だ!」

「フシギソウ、“マジカルリーフ”よ!」

 

進化した二体の攻撃がボーマンダを押し返す。

だが、Jは冷静だった。

 

「……面倒ね。行きなさい、ドラピオン!」

 

Jは続けて、ドラピオンを繰り出す。

これにより、もともとレベル差が大きかった上に、数でも力の差が不利になったマサカズ達は徐々に押され始めていく。

 

しかし──

 

『お待たせしました!』

 

ミュウが姿を現し、ピンクの光をまとって舞い降りる。

その背後には、無事救出されたミズゴロウたちの姿があった。

これにより──状況は一気に変わった。

 

「ミュウ……ありがとう!」

「ミュウだと……!?」

 

Jは驚きながらも、ボーマンダとドラピオンに命じる。

 

「捕獲対象を変更。ミュウを捕らえなさい!」

「ミュウ、“サイコキネシス”だ! ボーマンダをドラピオンにぶつけてやれ」

 

だが、マサカズはミュウへ“サイコキネシス”を命じると、拘束されたボーマンダは下に居るドラピオンごと地面に叩きつけられる。

続けて、波動弾を叩きつけると二対とも戦闘不能に陥った。

マサカズが視線を戻すと、Jの姿が見当たらなかった。

控えていた飛行艇が動き始めると、空へと飛翔しはじめる。

 

「逃がすかよ! ミュウ!」

 

マサカズはミュウに命じ、飛行艇を破壊。

脱出したJの動きを“サイコキネシス”で拘束すると目の前へと連れてくる。

 

「クソッ! 離せ!!」

 

マサカズは彼女の頭を掴むと、そのまま地面に叩きつける。

もう一度叩きつけ、三度目に叩きつけるとJは鼻血を流して昏倒した。

リーフは心配そうにマサカズを見据える。

 

「……はぁ」

「…容赦ないね、マサカズ」

「怖いか?」

「ううん。私を助けてくれた時と同じだと思って。尊敬するよ」

「そうか……ミュウ、此奴ら簀巻きにして警察署へテレポートさせといてくれ」

『分かりました。序でに猿轡も噛ましといてやります』

 

こうして一件落着した数時間後──ミズゴロウたちを管理していた老人・ヌマタが、二人に頭を下げて感謝を伝えた。

 

「本当にありがとう。あの子たちを守ってくれて……何かお礼をさせてくれんかの」

 

マサカズとリーフは顔を見合わせ、そっと言った。

 

「……ミズゴロウを、一体ずつ譲っていただけませんか?」

 

ヌマタは難しい顔をした。

 

「この子たちは新人トレーナー用に育てておる個体での。勝手には渡せんのじゃが……」

「そうですか……」

「仕方ないよね」

「……うん?」

 

その時、二体のミズゴロウがそっと寄り添ってきた。

 

「君は……あの時、ハンターへ反撃してた奴か」

「どうしたの?」

 

『『……』』

 

マサカズとリーフの足元に座り、静かに見上げる。

 

「ふーむ……どうやら君らの仲間になりたいようじゃな」

 

ヌマタは笑い、二体のミズゴロウを差し出した。

 

「仕方ないのう。この子たちが選んだなら、わしが止める理由はない」

 

マサカズとリーフはミズゴロウを優しく持ち上げる。

 

「よろしくな、ミズゴロウ」

「これからは仲間だね」

 

こうして──マサカズとリーフは新たな仲間・ミズゴロウを手に入れた。

 

森の風が静かに吹き抜ける。

絆は、確かに芽吹いていた。




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