始めはただの土塊でも   作:月宮秋

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前に2、3話書いた作品は消したので実質

初投稿です





初ログインとチュートリアル

 

□2043年11月 形石創理(かたいしつくり)

 

「…これが、〈Infinite Dendrogram〉…」

「そうそう!すごいよーっすっごいんだよー?三倍時間とか、世界統一サーバーとか〜」

 

プラモデルやフィギュアに溢れまだ幼さの残る部屋で、これまた幼さの残る少女が二人とあるゲームのヘッドギアと箱を抱えながら話していた。

その名を〈I()n()f()i()n()i()t()e() ()D()e()n()d()r()o()g()r()a()m()〉。

今まで失敗続きだったフルダイブゲームの常識を覆し、プレイヤーの期待というハードルを立ち幅跳びで全て飛び越える様な他の作品と比較しようの無いクオリティを持って世界中のプレイヤーを虜にした。

目の前で力説し始めた私の幼馴染、結衣もまた魅了された一人だ

 

「あと五感とかも!そして何より」

「…()()()()()。それぞれにあった能力を持って生まれる無限の可能性」

「そう!各々のパーソナルを読み取って生まれる()()()()()のオンリーワン!パーソナルを読み取ってるから、基本的にはその人にベストな能力を持って生まれるの!」

 

そう()()()()()。結衣や義兄がこのゲームに虜になった理由で、私の夢に欠かせない存在。

これがあれば私にも

 

「私にも…()()()()が創れるの?」

「モッチロン!私にぬいぐるみとか人形を動かすエンブリオが生まれたんだよ?ツクリンなら余裕だよ!それにお兄さんも船関係のエンブリオなんでしょ?いけるいける!」

 

そう…ゴーレム。私が創りたいと思っていたモノ

土や石、金属を原料に生まれる人工生命。…場合によってはモンスターだったり生命じゃ無かったりするけど、そこは置いておく

人工ならではの機能美や素材が持つ特徴を受け継ぎ自律思考する姿は、まさに機械とファンタジーの良いとこ取り。

そんなゴーレムを私の手で創れるかも知れない。それは私にプレイしたいと思わせるには十分だった。

 

「じゃあ早速プレイしてみよー!コッチで3時間位したら戻って来て感想効かせて!レジェンダリアに来るなら待ってるから!」

「ん。いい感想を伝えられる事を私も期待してる。…あ、ダイブするならベッド使っていいよ。私も使うけど」

「その事考えて無かった!ありがとー!」

 

……うん、相変わらず騒がしい。そんな所も結衣の良いところだから否定や侮辱の意図はないけど。

 

「セット完了。…リ〇クスタート」

「…? ツクリン何やってるのー?起動はボタンだよー?」

 

………あのバカ兄!

 

□□□

 

「チュートリアルへようこそ、私は管理AI3号クイーンだ。片手間での対応になってしまって済まない。今良いところでね、少し待って欲しい。」

 

仄かに古い紙の香りがする書斎と思わしき部屋。その中央に座りながら何かメモをとっている、肉食獣の様な耳と尾を持つ存在はそう名乗った

とても流暢な発言だ。管理A()I()とは思えない程には。

それに()()()()がする。期待以上かつ噂以上に五感も確かで、これなら"私の夢も叶うかも知れない"なんて期待を更に膨らませるには十分だった

 

…"ゴーレムを創りたい"…ね

 

□□□

 

「………よし、これならいいだろう。待たせてしまったか?」

「いえ、周りを見ていたらあっという間でした」

「そうか。だがこれ以上待たせる訳にもいかないな、早速チュートリアルを始めよう。先ずは描画だ」

 

クイーンさんの発言と同時に視界が切り替わる。いや、見えているものは変わらないが見え方が違う。

先ほど現実と同等のもの、20年程前から進化したVRの様な3DCGに、TVでお馴染みの2Dアニメーション

 

「さて、一周ローテーションしたがどうする」

「こんなことまで……っあ、今のがいいです。せっかくですから3Dでも2Dでも無いものがいいです」

「あぁ分かった。なら次にアバターの名前を、現実と同じにはしない方が望ましい。」

「…では、彫刻家からとってロダンで。」

「それなら問題無いだろう。次は容姿だ、君をベースにスライダーで弄るといい。一応性別を変えたり動物型にも出来るが、アバターを動かせなくなるかも知れんからな」

 

アバターを動かせないのは困るな、大人しく女性にしよう。ロダンみたいに男性にしようと思ってたのに……そうだ

 

「では、忠告の通りに。…あの、私が成長したらどんな見た目になると思いますか?」

「ふむ……こうだろうか?」

「おぉ~」

 

其処には身長を20cm大きくして髪が背中の半分位まで伸び、顔も何処となく大人びた私が立っていた。これなら顔見知りから私だとは気づかれないだろう。後は髪色を明るい緑系…若葉色にして眼は金色にでもしよう。印象が明るくなるはず…よしこれで

 

「明るく、しかし活発すぎない優しい色合いだな。よく似合うだろう」

「えへへ…ありがとうございます。次はなんですか?」

「あぁ、次はこれを渡そう、アイテムボックスだ。中には銀貨が5枚、5000リル入っている。1リルはおよそ10円だ、大事に使うこと」

「アイテムボックス…!中には何種類入りますか?」

「アイテムボックス自体は特に制限を持たない。そのアイテムボックスは教室一つ分の広さと重さにして1t程が容量限界だが、モノによっては更に入るし盗難防止があったりする。後破壊にも気をつけるといい。壊損したら中身が溢れ出る」

「…つまり、このアイテムボックスに盗難を防ぐことは出来無いんですね。破壊と合わせて気をつけます」

「早めに買い替える事もオススメする。次は初期装備だ幾つか種類があるから選んでくれ」

 

そういって出てきた装備の数はかなり多い。30を下ることはないだろう。そしてその中で正面に来たものにかなり惹かれた

白いブラウスに背筋を正すコルセット。下は動きやすい様にかキュロットスカートに膝を覆わない程のブーツ。肩周りは水色のケープがふんわり包んで柔らかい印象を与える。

刺繍やフリル等はなく、何処か素朴でありながらお嬢様然とした服装

正直に言おう……一目惚れした。

 

「フフ…そんなに気に入ったならそれにしよう。武器はどうする?服装的に杖か?」

「そう…ですね。服装は関係無く杖がいいです」

「なら決まりだな。では」

 

    パチン

 

クイーンさんが柏手を打つと同時に私の視点が変わる。

さっきまでクイーンを見上げていたが、今は目線が同じ高さだ。鏡をみると予想通りアバターに変わっていた。当然五感も変わらない。

 

「ではメインディッシュ、エンブリオを移植しよう。説明は要るか?」

「千差万別でパーソナルを元にしていること以外は知りません」

「なら説明しよう。まずエンブリオには第0から第七までの形態がある。この時第0は誰でも共通だ、この第0形態の時にパーソナルを観察しエンブリオが生まれる。そして一〜三を下級、四〜六を上級、そして第七形態を()()或いは()()()()()と呼称する。」

超級(スペリオル)…」

 

更にクイーンさんの解説は続き、エンブリオの孵化した左手に紋章が出来てエンブリオを格納出来ること、エンブリオにはカテゴリーというものがあると知った。

 

TYPE∶アームズ 武器や道具のエンブリオ。剣なんかの武器以外にも筆なんかがあるらしい。銃もあるらしい。ファンタジーは?

 

TYPE∶ガードナー モンスター型のエンブリオ。動物は勿論、悪魔や死霊なんかも含まれるんだとか。エンブリオがゴーレムならこのカテゴリーかな

 

TYPE∶チャリオッツ 乗騎のエンブリオ。馬や機械まで網羅している上に乗り物に装備するものも含むそう。アームズじゃないんだ…

 

TYPE∶キャッスル 建物のエンブリオ。イメージし辛かったけど工房とかって言われて納得した。戦闘用とは限らないもんね

 

TYPE∶テリトリー 結界のエンブリオ。出入りさせない以外にも範囲内に〇〇する系もあるって。まさにナワバリ(テリトリー)

 

他にもレアカテゴリーや上位カテゴリーがあるらしいけど大体最初は上の基本五カテゴリーで、ちょこちょこ二つ三つと当てはまるかも?だとか。

"私のエンブリオはどんな子だろう"

解説してもらっているうちに移植した私のエンブリオを撫でながらそんな事を考えた。

 

「これで最後だ。所属する国を教えて欲しい」

「あ、それは決まってます。アルター王国で」

「ほぅ?ちなみに理由は?」

「欲しいジョブがあるからです!」

「フフッそうか…では」

 

―――これから始まるのは無限の可能性。

君の手にある〈エンブリオ(半身)〉と共に

あなたの行動と選択次第で全てが変わる

君だけの()()()()()()な物語

 

ようこそ〈Infinite Dendrogram〉へ。“私たち”は君の来訪を心から歓迎する。

 

クイーンさんのそのセリフと共に私はアルター()()へ降り立った。

 

 

 

 

()()

 

 

 

―――いやゃあぁぁぁぁぁ

 

 

□□□

 

ロダンの去った書斎。其処にはロダンのチュートリアルを担当したしたクイーン以外に一人…いや、一匹が姿を見せていた。

 

「随分と気に入ったんだねー」

「…後輩になるかも知れんからな。多少覚えも良くなるさ」

「なにー?クイーンの後輩ってことはモンスター作成系?」

「まだ分からんがな。だが、()()()()()()()()()()()この世界に来た者なんぞ私は知らん。」

「まぁ大半のチュートリアルはボクがやってるけど、この時点で()()()()は珍しーかもー」

 

クイーンは"そうだろう?"と言わんがばかりに笑みを浮かべた

 

「気晴らしがしたい時にでも覗くとするさ。お前達の様にな」

 

 

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