□2043年11月
ログアウト完了。…やっぱりデンドロで感じた五感と変わらない。それにあちらでかなり時間を使ったはずだが3時間しか経っていない。エンブリオも含めて謳い文句に偽り無い出来だった。
正直自分の常識を疑いたくなる位に…
「…お?ツクリン戻って来たぁー!」
「ん、ただいま。〈Infinite Dendrogram〉、楽しかったよ。」
「やった!これでツクリンも私達側の仲間入り〜。ねぇねぇどんな事が起きたか聞かせて?」
結衣がキラキラした目でこちらを見てくる。
その目に負けた私は言われたままにあちらであった出来事を話し始めた。ジュリエットの話に亜竜鍬形の話、帰り道商人が話してくれた事なんかも。…そして何よりエンブリオの話を。
私の幼馴染である
楽しそうに相槌を打ってはこちらの言葉を引き出して来た。
「それにしてもアルターかぁ。隣国と言ってもすぐには合流出来なそうだねぇ…」
「ん…そこはごめん。でもあっちは時間が三倍で進むから…こっちで新年位には遠征出来るかも?」
「ならもうちょっと遅らせて…バレンタイン頃はどう?アルターとドライフ間のほうが初遠征には向いてると思うし…」
「そうなの?」
結衣がそう思った理由は主に三つあるらしい
先ず、王国と皇国の仲。何でも一年くらい前に王国の第一王女が皇国へ留学しているとの事。
国の中枢に関わるであろう王女を信頼出来無い国に留学させる事は無いだろうし、納得である。
次に、移動の難度。ドライフ側は〈境界山脈〉という山で隔てられているが山脈の両端は比較的越えやすく、街道も整備されているらしい。対してレジェンダリア側は〈境界山脈〉程厄介なモンスターは出ないらしいが、街道程整備された道が少なく、豊かな自然が障害になるらしい。おまけに立ち入り禁止区域が多く、道に迷ったマスターが知らずに侵入して監獄行きになる事も少なく無いのも厄介だそうだ。
"監獄なんてあるんだ"とか思っていたら私達両方の友人がそれで監獄に送られて出所したらしい。
………嘘でしょ…?
最後に、マスターの多さ。やはり機械に浪漫を求める人は多いらしく、付随してドライフにリアルの友人がいるマスターも多い。
結果として国境越えのパーティーを組んだり、両国のマスターでパーティーを組むなら自然と国境付近になるので厄介なモンスターは粗方狩られているのもある。
おまけに私の従姉妹も皇国所属らしく、仲の良い義兄や結衣に色々あっちでの事を話していたらしい。
私がデンドロをプレイして居なかったとは言え、ハブられたのは少し悲しい…
「…確かに、レジェンダリアより行きやすい。」
「でしょ?それにそっちなら冬休み中に行って帰るが出来そうだしね?」
「そうだね。当分の目標は皇国遠征か…
再ログインしたら金策だね。自分用のゴーレムを増やさないといけない。後ジョブビルドも。
義兄がこっちに戻るまで待ってビルドの意見聞くか
◇◇◇
…お、階段を降りてくる音がする。義兄が戻って来たらしい。
私がログインする時どころか結衣とデンドロのハードを買いに行った時にはログインしていたから…結衣と合流が10時で今午後5時…こっちで7時間ログインしっぱなしの廃人様だ。さぞ良い情報を持っているだろう。
「…ぉ?結衣ちゃんこんちはー。…んで?結衣ちゃんがいるって事は計画実行した感じ?」
「イエース!グループメンバーデンドロ廃人化計画進行中だよー!」
「なにそれ聞いてない。」
「ほら、創理も入ってるグループチャットあるだろ?全部で8人の奴」
「
わざわざ"何処ぞのハンティングゲームとか配管工のレースゲームとかで頭数欲しいから"ってチャットアプリでグループ作って…
放り込まれたこっちの身にもなって欲しい。初対面だっていたのに…"変な人はグループに突っ込まないだろう"と思えるだけの信頼があるから良いけどさ?従姉妹とか結衣とか知り合いもいたし
…まぁ件の監獄送りされた事がある知り合いもいるけど
「んで?創理は何処に来たんだ?やっぱ結衣ちゃんの居るレジェンダリア?それとも翼の居るドライフか?グランバロアでも良いんだぞ?」
「アルター王国。【戦像職人】を取りたくて」
「相変わらずのゴーレム好きか…誰に似たんだか」
「港旗兄さんの擬人化好きとかじゃ無い?大なり小なりグループの人たちの影響もあるけど。」
「いいじゃんいいじゃん!みんな自分の好きな国に行ってる訳だしさ!それに廃人計画も後はツクリン含めて三人で完遂だしね」
「半分超えてるの…?リアルは疎かにしないでよ?」
◇◇◇
「んで?わざわざ待ってたって事はなんか用あんだろ?」
「ツクリンの遠征に向けてビルドを考えたいの〜」
「港旗兄さんはどんなジョブが良いと思う?」
「エンブリオ次第だな…概要だけでも教えて欲しい」
それもそうだ。でも概要と言われてもどれだけ必要だろう?
取り敢えず名前とTYPEとどんなスキルかは確定で伝えて…
義手なのも伝えるべきか、後ステータス補正
そもそもジョブビルドに付いて情報貰うのに今あるジョブ伝えて無いな?
「銘は【創作現像 アヴィケブロン】TYPE∶アームズ・ガードナー。ゴーレム作成系のスキルがある義手のエンブリオでステータス補正がMPとSPとDEXの三種しか無い。後、今のジョブは【魔術師】Lv20と【戦像職人】Lv0」
「義手…?まぁ後で聞くとして、【
「取り敢えず一つずつ説明してくれない?」
【指揮官】はなんとなくわかるけど…【鍛冶師】?
「了解。んじゃ先ず【鍛冶師】な?
【鍛冶師】に就くメリットは三つ。
一つ目はステータス。特にSTRが伸びるのがいいな。金属の持ち運びもそうだが、採掘するのにSTRは必要だろ?買うより安いしな。
二つ目は情報。鍛冶師ギルドならどんな金属にはどんな特徴があるのか、この金属はこう加工したほうがいいとか色々教えて貰えるはずだ。
三つ目は武装。武器をパーツとして持っているゴーレムもいいが、最初のうちは武器を外部に頼って汎用性を高める方が多くのパターンに対応しやすいからな。その時使う武器を造れるのは便利だろう?
後やっぱり安上がり。…ただでさえゴーレムの素体代で金がかかるだろうからな…」
…確かに、納得出来るところが多い。
私の
もし腕を大きく頑丈に創りハンマーの様にしたゴーレムがいたとして、打撃無効のスライムみたいなモンスターが出た時に対応出来るのか。
答えは否だろう。
ハンマーの様な腕にするなら関節や細かいパーツは極力少なくして耐久性を上げるだろう。現に
そうなるとゴーレムの攻撃方法は物理打撃しか無く、千日手になるのが目に見える。
その解決策になるなら確かに欲しい。まして武器の構造や重心等のどうした方が良いかが知れるのはゴーレムの構造にも流用出来るだろう。
「次は【指揮官】な?【
「そこはなんとなくわかる。自分よりゴーレムの方がステータスは高いだろうし、私がゴーレムの強化役に徹するならメインにすると思う」
「だろ?……
「そう。でも暫くは私も戦闘しないといけないから…
ある程度ゴーレムがMPを貯めておけるとしても起動しているだけで減っていくし、MPが切れそうになったら切れる前に私のMPから足してあげないといけない。
そこに今の戦闘職【魔術師】の魔法でもMPが減る事も考えるとどう考えても足りないのだ。
「あー…
「ゴーレム達が揃ってから…になると思う。」
「なら後回しだな…。取り敢えず【錬金術師】に移るか
【錬金術師】のメリットは先ずMP。ゴーレムの起動に使う分も必要だろうからな。
それと金属の質。高い金属素材を容易しやすくなるのはやっぱりデカイだろ。持っといて損はないはずだ」
「確かに。取り敢えず【鍛冶師】【錬金術師】は就いとく」
「後はそうだな…繋ぎに戦闘職は抑えておけ。今は壁役しかいないのに、2機目はまだ先なんだろ?最大MPで火力を伸ばす魔法職でも、MPを節約出来る近接職でもな。オススメは近接だ」
「あれ?ツクリンって【魔術師】持ってるんでしょ?何で近接職なの?」
「…【鍛冶師】か!」
【鍛冶師】は
「おまけに
「…就いとく。オススメは?」
「まぁ無難なのは【
…そういやエンブリオは義手か。なら【
違うな。【
「…でも、大盾機が抑えて私がダメージを出すなら…チャージがいるけど大火力な【壊屋】はハマり役。」
それに私の
「…【
まぁ、気に入ったジョブとか必要なジョブだけ残せばいいから…