貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら   作:主義

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八富楓と月森景都

八富《やとみ》楓《かえで》と月森《つきもり》景都《けいと》が知り合ったのは必然なのか、偶然なのか。

 

 

後に同じ人間に対してアプローチを仕掛ける仲間としてライバルとして…。

 

 

 

 

―――――――

 

彼女たちが出会ったのは1週間前。

 

 

八富の所属するアイドルグループがある街のステージでライブをすることになった。八富は前日入りをしていたため、食事をしたり、散歩をしたりとぶらぶらと街を満喫していた。そしてその街は月森景都の地元だったこと、月森が八富のファンであったことなどがあり、偶然にもこの街で八富楓と月森景都は出会うことになる。

 

出会いは単純で八富が公園のベンチに座っているところに、月森が「八富楓さんですか?」と声を掛けに行ったことがファーストコンタクトだ。

 

 

そこで話が盛り上がり、連絡先の交換までしてその日は別れた。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

今日、彼女たちは二人で会う約束をしていた。あるカフェにて、私服に身を包んだ月森景都はスマホを触りながら、約束の相手が来るのを待つ。

 

 

「…楓さんとカフェで約束するなんて」

 

顔を見れば緊張しているのが一瞬で分かるほど。ファンがアイドルに会えるとなったらこういう反応になるのは仕方ないのかもしれない。

 

 

 

 

数分して八富楓が変装用のサングラスをしながら店の中へと入って来た。月森景都が自分がここにいることをアピールすると、それに気付いた八富が彼女の前の席に座る。

 

 

 

「待たせちゃってごめんね」

 

 

「いえ、大丈夫です」

 

それから注文を済ませるとまずは八富の方から話し出す。

 

 

「景都ちゃんって…本当にカッコいいよね」

 

 

「そ、そうですか?」

 

 

「うん。座っているだけでもオーラがあるもん」

 

 

「いえいえ、それなら楓さんの方がオーラありますよ!ぼくなんか全然です」

 

 

「そんなことないと思うけどなぁ~」

 

2人の仲は深まっているものの、やはりまだアイドルとファンという関係性は残っている。というかいつまで経ったとしてもその関係性が無くなることはないのかもしれない。八富楓がアイドルを辞めたとしても月森が八富のファンだったという現実は残るのだから。

 

 

「そう言えば、景都ちゃんの大学すごいことになってたね」

 

 

「ああ、そうですね。あの日は大学の門の周りに人だかりができていて、すごかったです。それにその女の人たちがみんな、血眼になっていたので」

 

 

「やっぱりそんな感じだったんだ。アタシはニュースとSNSの情報しか知らないから、男の子が女性区域の大学に通っていて、それを一目見たくて野次馬ができたぐらいしか知らないんだよね」

 

 

「でも、そんな感じです」

 

そこから八富が事の詳細を月森から聞こうと踏み込む。

 

 

「景都ちゃんはその男の子と会ったの?」

 

 

「…会いました。最初、サークルの見学なのか分からないですけど、見に来ていて、それから何度か話しました」

 

 

「へぇ~すごいね。男の子と話せるようなタイミングなんてほとんどないし、貴重だよ」

 

 

「そうですね。ボクも初めて男の人と話しました」

 

 

「…どうだった?」

 

 

「なんか思っていたよりも…優しい人でした」

 

 

「優しい?」

 

 

「はい、漫画とかでしか情報を入れていなかったので、もっと男の人は横暴な態度の人だというイメージがありました」

 

漫画や小説の内容にも寄ると思うが、あくまで男と接したことのない女が多いという世界ではあくまでイメージにて書かれる。その中にはかなり横暴な態度をする男も多かったりするのだ。

 

 

「会って、話してみて、全然違ったんだね」

 

 

「はい。みんなが男の人って騒いでいて、最初は興味なかったんです。でも、会ってみるとみんなが興味を持つ理由も分かる気がしました」

 

 

 

 

「八富さんは男の人に興味とかないんですか?」

 

 

「興味はもちろんあるよ」

 

 

「…でも……」

 

 

「それにしてはあんまり話題に食いついてこなかった?」

 

 

「…はい。男の人で女性区域の大学に通うなんて今まであり得ませんでした。ボクも一度も聞いたかったことなかったですし。女性であれば誰でもこの話題には食いつてきて、色々なことを聞かれるのかと」

 

 

「確かに少し前のアタシだったらしたかも」

 

 

「少し前?」

 

 

「うん。今はもう…運命の人に出会っちゃったからさ」

 

話している時の八富は頬をリンゴのように赤らめ、視線も泳いでいて、月森にとっては初めて見る姿だった。いつもステージ上やテレビでファンを魅了している姿とは全く違うものの、月森からすればその姿も可愛かった。

 

 

「本当に楓さんは天性のアイドルですね。どこを切り取っても可愛いです」

 

 

「ありがとう…」

 

八富からすればファンからの言葉も力になるだろう。アイドルはファンによって支えられている部分も多少なり存在するのだから。

 

 

 

そこから少し沈黙が続いたが、月森が沈黙を破り、会話を進める。

 

「…運命の人ですか?」

 

 

「そうなの。いくら景都ちゃんでもどうやって出会えたのかは教えないけどね」

 

 

「…それってもちろん男の人ですよね?」

 

 

「そうだよ。まさか本当に男の人と出会えるとは思っていなかったけどね」

 

月森も男と出会えるのが難しいことは知っている。この世界に生きている女の全てが分かっている。

 

 

そんな世界で男と出会うのは本当に難しく、会わずに一生を終える可能性すら全然ある。

 

それにも関わらず、八富楓は運命の男と出会ったという。月森はその方法がどんな方法なのか気にならないわけでもないが、ここで何を言っても無駄だと思ったのと月森自身も葉山に関することを開示できないので止めることにした。

 

 

「よかったですね」

 

 

「うん!出会えて良かった!!そのお陰でもっとアイドルとしても頑張らなくちゃと思えたし、アイドルであることに自信も持てたしね」

 

 

「…楓さんはすごいアイドルなんです!これだけは楓さんが何を言っても変わりません」

 

 

「…ありがとね。そんなにアタシのことを推してくれて」

 

 

「いえ、ボクが推したくて推しているだけなので」

 

 

あるカフェで八富楓と月森景都は会話を繰り広げていたのだった。

 

 

 

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