先生の活躍を見たいから頑張ったけど、なんかおもてたんと違う 作:goldMg
『それでぶっ壊して帰って来たってわけか……』
『俺は悪くねえ』
『お前は……まあいいや』
自分の事務所であるにも関わらず、珍しくも男は装備を身に付けていた。フルフェイスでアームチェアーに腰掛け、実質上半身だけの部下と傷だらけのバイクを見つめる姿には哀愁すら感じる。
しかし、男にはそもそもの疑問点があった。
『奥空さんは良いけど、なんで先生までここにいるんだ』
「だってほら、説明できる人が必要じゃない? ……ですか?」
『別に』
アヤネは気まずそうだ。
ヘリを操縦してバイクとサンダースを送り届けた彼女にはお土産が持たされて、待っている間に飲んでくれということで温かいココアまで渡されている。
一方の先生は水道水だった。
おかわり自由だ。
「冷たくない?! 何でいつも私にだけ冷たいの!」
『胸に手を当てて欲しい』
「えー……じゃあ、はいはーい! お客様で〜す! ほら、お茶とか出してよ〜!」
『うるさ…………出してやってくれ』
黙々と作業をしていた覆面の事務員に向けて指示を出す。事務員はそれに従い、やはり覆面を被ったままお茶を入れた。
先生はその光景を引き攣った顔で指差す。
「あの……なんであの人は覆面被ってるの?」
『先生恐怖症でな。先生って名前のついた何かと直接関わると蕁麻疹が止まらない体質なんだよ。空気も危ない』
「なにそれ!? 嘘つくにしてももっとちゃんとした嘘にしてよ! そこまで適当だと私も傷つくよ!」
『…………真面目な話、バイクの損害賠償以外に先生と話す事ないんだけど』
「そ、それは……ごめんなさ──」
『あと、最初のお金』
「うっ」
『いつ払えんの? 請求書届いてない?』
「あ、あー……どうだったかな〜。ちょっとまだ届いてないかも……なんて……」
『内容証明郵便で送ってるから』
「そ、そそそうですか……確認します……」
聞いているだけのアヤネの顔色が悪くなっていく。
『もう帰ったら? 仕事溜まってんだろ? それに奥空さんも困ってるし……』
「……ちがーう! だからそうじゃないって! お金の話はごめんなさい! バイクもごめんなさい! ちゃんと処理します! でも、今回のこと! 何でサンダースがいたの!? あんな危ないところに……しかも社長本人はいないし!」
『知らない』
「なにそれ!? 社員でしょ!?」
『アソコには手を出さないって決めてたから』
「ええ!?」
『なにか』
「……なんで?」
『危ないなって』
「いや、そりゃそうだけどさ……ええ……?」
『その話するならあっちでも良い? ほら──』
事務員の手がまったく動いていない。
人に聞かせるような話でもないかと承諾し、社長の後ろについていくと応接室だ。
ふんふんと見回し、感心したように腕組みをする。
「ちゃんとあるんだね」
『あんまり使わないけどな』
「うーん…………確かにそっか」
振り返る。
三名。
ロボット二名、人間一名の混成企業だが、この規模であれば人が尋ねてくる回数は少ないだろう。
『座ってくれ』
「失礼しまぁす」
『それで、本題は──』
「あ、私から言います」
改めて襟を正し、真っ直ぐに座って目を見ながら話し始める。
事の顛末──と言っても細かい経緯の話ではない。ざっくりとしたあらすじのようなモノだ。
話す前からお互いにわかっている事も含めて。
どうしてホシノが捕まったのか。
捕まえたのは誰か。
そして──
「サンダースさん、本当にありがとうございました。あなたがいなかったらホシノはどうなっていたことか…………あと、バイクごめんなさい」
『…………その通りだな?』
サンダースに対して最上の謝意を示しつつ、目の前にいる男へ向き直った。
「一つ聞かせてください」
『なんでしょうか』
「どうしてホシノを助けようとしなかったんですか?」
『……どうして、ね』
「あなたは、砂漠で喉の渇きに苦しんでいる人がいたら水を分けてあげられる人だと思ってました。それなのに、どうして?」
大袈裟な言い分だが、彼女にとっては大切なことなのだろう。真剣な表情で、ジャージのズボンをシワができるほどに掴んでいる。
『…………まず、俺にも言えない事情ってものがある事を理解して欲しい。全部が全部、何でも協力できるわけじゃない。シャーレと違ってうちは本当にただの零細企業だから、カイザーに目を付けられたら一瞬で潰される。そうなったら俺も相応の対価ってもんを支払わせるけど……トラブルは引き寄せないに限るからな』
「それは……うん、分かるよ。あの事務員さんは戦いが得意じゃなさそうだし」
『そーゆーのも関係はしてるな』
「でも……じゃあなんで、ゲヘナと敵対しかねないってタイミングでは出て来て守ってくれたの?」
『あー』
「私が危なかったからってだけ?」
『それは言えないな』
「……味方なんだよね?」
『まあな。でも、今言った通り……味方だからって何でもかんでも教えるわけじゃない』
そこは譲れないと、真剣な『先生』に対して男は素知らぬ雰囲気をしている。
そして最後まで平行線だった。
しかし負けてばかりじゃないと、扉を出る直前に振り返るとビシッと指差す。
「絶対にうんって言わせるからね! 協力させるからね! モモトーク無視しちゃダメだからね! これ約束だから!」
『俺は友達か何かかよ……』
「こんな可愛い女の子と一緒に仕事できる事を光栄に思って欲しい!」
『仕事は一緒にしてないよね』
「あ! あと、あの2人は真面目にやってるから!」
『──そっか、ありがとう』
「ふふん!」
『では、また』
「また……うん、またね」
見送りを終えると、男は部屋に戻る。
アーマーを脱ぎ捨てると、やや汗ばんでいた。
ハンカチを持って来た事務員の表情を見て、気まずそうに視線を逸らしもする。
そんな情けない態度の男の汗を拭きながら、事務員はポツリと呟いた。
「まだ、なんですよね?」
「そうだな」
「…………はい」
扉一枚挟もうが、筒抜けに決まっている。
『先生』の声は大きいのだ。
それに、アヤネを見ていた。
最後までずっと。
「あの子が……」
社長が社員にできることは一つだけだった。
頭を下げて、お願いする。
「もう少しだけ耐えてくれ。俺に言えることは…………それしかないんだ」
突然の行動だが、突飛な行動ではなかった。
「じゃあせめて……どれだけ待てばいいかが知りたいです……」
「………………今年中、とだけ」
「──!」
彼女の瞳に光が生まれる。余計な事を言ったか……という顔をした男は、しかし希望に満ちた視線を前に表情を作り直した。
「なーに、仕事してればすぐだ!」
「はい!」
『──ちょいちょーい』
「わひゃあ!」
2人だけの空間に思われたが、実際そんなことはない。
半壊したロボットが置物のようにそこにいた。
「サンダースさん!」
『サンダースさん! じゃないが。ずっといたが』
「そうなんですね!」
『おい、どうなってんだよ。こいつ俺のこと見てなくね? 何なのコレ』
事務員は遠い目をしているようだ。
サンダースのはるか向こう、壁すら通り抜けた先を見ている。
しかし、抗議の言葉を受けた社長は静かに見つめ返した。
「…………」
『な、なんだよ……バイクはマジで俺悪くねーぞ!』
「今回の件、よくやってくれた」
『……なんだ、もしかして解体されんのか?』
「本心だ」
『なら、修理頼むぜ』
「ああ」
『! …………本当に褒められてたらしいな』
「信じてなかったのかよ」
『よっしゃー! 働き損じゃなかったー! オプション盛り盛りにしろよな! バイクもなんか新機能欲しい!』
「調子乗んな。お前はデカケツ赤髪ポニテスポーティーメスボディになってうちの家政婦やるんだよ」
『やああああ!』
ロボットの甲高い悲鳴が響いた。
「ユウジさん?」
「あ、いや……冗談だから」
「そうですよね。でも冗談にも限度がありますからね」
「はい……」
ニコニコと笑みを浮かべる事務員の前で、しょんぼりとした表情を浮かべる社長がいた。二重の意味で。
「修理代……」
「そ、それは…………何とか頑張りましょう!」
「頑張るっていうか……うん、仕事増えるよ」
「ピェー」
「バイク代だけでも回収したいな……あんまりしたくなかったんだけど、早瀬さんに連絡しておくか」
『俺は悪くねえ!』
──────
ともあれ、アビドスを中心にして起こった騒動は一旦のところ収まった。
対策委員会は正式にアビドス高等学校の委員会と認められ、セリカも再び屋台のラーメン屋で働き始めた。
アビドスの借金は以前と変わらず9億のままだが、カイザーローンはブラックマーケットでの不法な取引が公となり、連邦生徒会の捜査が入るとのことだ。
アビドスにとって良い風となるだろう。
カイザーローンで以前から問題視されていた不法に高い金利についても是正勧告がされて、アビドスに限らず苦しめられていた多くの取引相手にとって朗報になったはずだ。
「ほえー、だからカイザーの理事が指名手配になったんですねー」
「そうそう」
なぜ俺がエピローグ語りみたいな事をしていたかと言えば、例のヴァルキューレの局員ちゃんとの買い出しに来ているからだ。
ブラックじゃない普通のマーケットで物品を見定めている間の他愛無い話ってわけ。
「じゃあ、アビドスの人たちは本当に大丈夫なんですね」
「うん、暫くは」
「暫く?」
「ああいや……ほら、何事も絶対に最後までってことはないからさ」
「それもそうですね…………あっ、これとかどうです!?」
メガネをくいっとしながら見せられたのは、爆弾の一種。
容易に携行できるサイズで、ピンを抜けば時間差で──所謂グレネードだ。
だけどグレネードか……
「コレくらいだと牽制くらいにしかならないかなあ。軽装備だと動きが速いから、投げても当たらないって事を考えないといけないし……爆風に巻き込んで吹き飛ばせるくらいのは欲しいよね」
「じゃあプラスチック爆薬ですか?」
「うん、そんくらいの威力があれば意識刈れるだろうな」
コスト軽くて範囲狭いよりは、少し重くても範囲広めの方が好きです。使用者によってブレが少ないし。
「……そ、相談します」
あくまで俺はアドバイスをするだけ。
買う買わないは向こうの予算の都合もあるだろうし、実際に運用するにしたって訓練は必要だ。
彼女達ヴァルキューレ警察学校は文字通りに警察業がメイン。戦闘ではなく、治安維持を主眼に置いた組織だから、制圧力が高いものをそのまま採用できるわけではない。
戦闘時の街への被害も極小に抑えなければ、活動すらままならなくなる。勿論、彼女達は許可を受けて行動を起こしているが、苦情は入るし上からの圧力だってあるだろう。
大変だ。
『寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 弾も本体も何でもござれ! そして目玉はこれ! 本来なら1丁5万円のところ、100丁まとめれば100万円!』
いきなり大安売りが始まった。
「えっ! あの、あの、あのお店見たいです!」
「待ちんしゃい!」
「うわっ」
首根っこを掴んで、猫みたいにプラーンとしたまま教える。
「あんなの買っちゃダメだから!」
「え……で、でも安いですよ!」
「あれ買うなら、ちゃんと正規品を正規店から買いなさい! あんなボロ布の上に座ってるようなやつから買っちゃダメだから!」
「でも安いですよ!」
「安かろう悪かろうで売ってんだよあーいうのは! それに普通のライフルは今回の必要品の中にないでしょうが!」
「で、でも、見つけておけば次探すとき楽になるかも……」
「一応言っとくけど、尾刃も全く同じことやりかけたことあるからな」
「えっ……そうなんですか!?」
食い付きがいい。
よかった、尾刃と知り合っておいて。
目の色が元に戻ったところで地面に下ろし、もう一度説得──というか昔話?
「尾刃も真面目なくせに変なところで暴走列車みたいになるから、マーケットでいつも変なの買わされそうになってたんだよ」
「そうなんだ……全然想像できない」
「止めようとすると耳がキュッてなってさ、もう論破してやる! みたいなのがすごいのよ」
「えー! 見たーい!」
「はい、コレ」
写真撮るよねそりゃ。
「うわぁぁ! この時の局長かわいー! いいなーいいなー! すごい睨んでる!」
「説得出来るは出来るんだけど、めっちゃ機嫌悪くなって大変だった……いや、本当に」
ネームドキャラって心がつえーんだ……
なかなか我を曲げないというかね?
悪いことじゃないんだけど、道中で色々おやつを買ってやっと機嫌を──
「女の子を食べ物で釣るのは良くないと思います」
「そ、それだけじゃないわい!」
大抵は機嫌直さないから、レイトショーに付き合ったり読書感想会開いたりしたもん……別に飯だけで何とかしようとしたわけじゃないもん……
「局長って……」
「え?」
「あ、いや何でもないです。ただ、怒らせ過ぎなんじゃないかなって」
「結構言うね!?」
本当に大変だったんだぞ!
推理モノの感想ってなると伏線がどうとかトリックがどうとか、そういう話をしないといけない。というか尾刃はそういう話をしたがるんだけど、俺は頭悪いからおもしれーとしか思わないんだよね。
それで面白かったって言うじゃん?
そうすると絶対に『どこがですか?』って聞かれるの。
怖いよ!
何で映画とか小説楽しんだ後にガン詰めされるんだよ!
間違えるとまた見直し・読み直しになるし……最近は尾刃が忙しいからアレですけども、ええ。
「うわあ……」
「うん?」
「ちょっとドン引きです」
「なんで!?」
ちょっととドンは共存しない!
話し込んでいたせいか、時間が過ぎるのが早かった。
集合時間が10時半だったから、すぐお昼だったってのもあるな。
「そろそろお昼の時間だし、ここらへんに──」
「はい! 先んじてリサーチしてあります!」
「……おお!」
「ご期待に沿えるかはちょっと……あはは」
俺もリサーチして来たんだけどね。
予約もしたけど……せっかく調べて来てくれたんだからそっちに従おう。
女の子が自分で調べて来てくれたってだけで感無量というか、何でも許せる。パンちゃんでも食うぞ俺は。
「ここ、です!」
「うおっ」
女の子がいっぱいだ!
いや、まあ……キヴォトスなんで女の子がほとんどですけどね? でもここって、ほら……あれじゃないの?
「最近人気のカフェなんです!」
「説明ありがとう。でも、俺がここに……?」
なんだよ、この圧力……お、おれが気圧されている!?
でもしょうがないじゃないか! 女の子達の視線を感じるんだもん!
良いのかコレ!
通報されるんでないかコレ!
キラキラしてるよコレ!
「入りますよ〜」
「ぬおお……」
グイグイと背中を押されて入った。
紅茶と女子高生の香りが入り混じっててクラクラする。
ハグリッドになりそう。
(チリン)
「二名様ですね! こちらへどうぞ!」
案内された席に着く。
普通のテーブル席だ。
周りではパフェ的な何かの写真を撮っている学生達が多いけど、そこに1人のオッさ──お兄さんが紛れ込んだせいで緊張感が!?
「へへ、優越感」
「こういう場合、何を頼めばいいんだろう……サンドイッチとかあるかな」
「…………折角来られたので、私はこれを!」
「────特製ラブラブサンキューパフェ マーケットスペシャル……?!」
石破ラブラブ天驚拳かと思って三度見した。
ラブラブ…………ラブラブ……!?
「じ、実はですね…………これ、カップルじゃないと選べないんです! 美味しいって評判だったので、つい……へへ……」
「ほへえ〜」
もう、俺には理解できない世界の出来事だった。
その場にいるのに置いてけぼりな予感。
やって来たパフェの生クリームの量は、見ているだけで胸焼けがしそうだ。
ブドウとイチゴをもうちょっと多くしてくれたほうがいいと思います。あ、下の方に入ってるのね。
しかし、届いたそれに手を付けずに俺の方へ差し出してくる。1人で食べろと? 俺が?
「じゃあはい! ポーズ! ポーズしてください!」
「なに!? なにが!?」
「撮りますよ〜」
「なんで!?」
「だって、呼び付けといてタダ働きさせたなんて局長に怒られちゃいますよ!」
「そうなの!?」
あの子、そういうの気にするっけ!?
するわ!
絶対する!
でもポーズいる!?
いらないよね!?
「いります! そういうルールなんです!」
ほなしょうがないか……しかし、何故オレだけやらされているのか。
周囲からの視線が矢になって刺さってるってくらい痛い。
「…………もう少し撮りますね」
「ええっ」
何枚撮られたかわからんくらい撮られた。
カメラロールを確認しようとしたら拒まれて、見せてくれない。
オレの写真なんだが!
さっきは尾刃の写真も見せてあげたんだが!
「コレはちゃんと局内で自ま──じゃなくて、報告に使うので安心してください!」
なんか変なこと言わなかった? それに安心とは。
「さあ、食べましょう!」
「お、おう……すいませーん、取り皿くださーい」
パフェは1人分しかない。
取り分けて食べようと思うのは当たり前だよね?
「何言ってるんですか! ここから食べるんですよ!」
「…………こうなったら最後までやってやる」
「その調子です!」
俺はいいけどキミはいいのかい? という気持ちが常に付き纏っていたけど、ニコニコしてるから多分大丈夫。
大丈夫じゃなかったら尾刃に泣きつこう。
カンナェモーン!
「美味しかったですね!」
「うん、美味しかったよ。連れて来てくれてありがとう」
「!」
パフェはおそらく相当なカロリーがあった。
半分でもオレの必要カロリーには届いていそうだったので、あれ以上は食べなくていい。
食べたくない、なにも。
甘いものは暫くいい。
しかし、オレは大人なのでそんなことはおくびにも出さない。
「午後はどうする?」
「えーと……一応はユ、ユウジさんに言われていた通り神秘? の物を選ぼうかと……あるか分からないですけど」
夜長さんって呼ばれるとすごく距離を感じるので、普通に名前呼びにしてもらった。
まだぎこちないけどしっくり来るね。
そして神秘だ。
本当は振動も集めたいけど……何ですか振動って、バンカーバスターですか?
よく分からないものは集めようがないです。
「神秘……神秘……うーん……神秘……神秘って何ですか?」
「狐火出したり、謎のドロドロが武器から出たりすればそれが神秘だよ」
「それって整備不良では……」
「整備不良も100年経てば歴史になるから」
「な、なるほど」
結局、見つけたのはただの拳銃だ。
一発撃つたびに狐火──青い火が出る。
実弾に絡んで着弾地点を僅かに焦がす程度の威力だけど、すごい! 普通のマーケットにもあるじゃん!
倉庫の奥まで探してもらってよかった!
「ほんとうにあった……」
「私物でもいいから。絶対に、買っとかないとダメ」
これを官品として納入するのは無理がある。
霊障とか起こしそうだからね。
でも、いつか使えるんだよなあ。
「みんなに自慢します!」
「まあ、ほどほどにな?」
あらかたの用事を片付けて、ヴァルキューレの学校前にやって来た。ここから仕事ってマジ?
「と言っても、このメモを置いてくるだけです! 内容を精査するのは週明けからやります!」
「そっか……今日は楽しかったよ、誘ってくれてありがとう」
「いえ! こちらこそ! すっごく参考になりました!」
「役立ててくれると嬉しい。D.U.の治安は君たちにかかっているからな!」
「はい!」
事務所に戻るとモモトークに連絡が入っていた。
──────
局員ちゃん:今日はありがとうございました!
局員ちゃん:楽しかったです!
グラードン:こちらこそ楽しかったです
グラードン:今度はこっちから誘うね
局員ちゃん:待ってます!
局員ちゃん:(キリンのスタンプ)
──────
『モテモテじゃねーか。いいねえ色男は』
「合コンがしたいって……コト!?」
『ざけんな、興味ねーよ』
まだ上半身しかないサンダースは事務所に置いてある。
基幹部分に問題がないから、軽い応急処置だけして今度直す予定だ。
『で?』
「?」
『次は?』
「おっ! サンダースさんも漸くオレの右腕としての自覚が生えて来ましたか! 右腕無いのに!」
『けっ……はやく言え』
「なんと! ミレニアムです!」
『…………おう』
「はい」
『いや、ミレニアムはそりゃ行くだろうけど。オレの修理があるんだから…………その次は?』
「だから、ミレニアムがそれだって」
『…………そんなわけない!』
「は?」
『こんな事があるはずない! 一つ解決したと思ったら次の目的地が俺の修理場所と被るなんて! 論理的じゃない! オレの100万カンデラのCPUも違うって言ってる!』
何だこいつ。
本当にロボットか? 意味不明なこと言いやがって。
俺がそうだって言ったら太陽だって西から昇るようになるに決まってんだろ。
『お前が全部仕組んだんだろ!』
「おい、滅多なこと言うんじゃないよ」
もう1人聞いてるんだから。
……ほら、こっち来たじゃん。
ほらあ!
「今の話……」
「違う違う! こいつの妄想だよ!」
バカな事を言うロボットのせいで、あらぬ誤解をされるところだったぜ!
関係に亀裂が入るところだったぜ!
洒落にならないぜ!