黒見セリカ(憑依)は原作エアプ   作:ミカン

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バタフライエフェクト
些細な過去の変化が現在、または未来へ大きな変化をもたらすこと。


第8話 バタフライエフェクト

★月×日

ユメ先輩が失踪した。昼過ぎ頃にホシノ先輩から連絡があり、どうやら今朝から連絡が取れないままで、学校にも来ていないらしい。今までこんなことはなかったらしく、ホシノ先輩もかなり焦っていた。取り敢えず落ち着かせたが、俺はそのまま用意していたガソリンとサバイバルセットを車に詰め込み捜索に行った。今も車の中でこの日記を書いている。

本当は日記なんて書かずにすぐにでも捜索の続きを行いたいが、夜は捜索には暗すぎる。車のヘッドライトのみでは見落としたり最悪轢いてしまう可能性すらある。そう考えるとここは休憩をするべきだし、日記を書いて思考を整理し、冷静になるべきなのだろう。

だけど、不安だ。もしこの瞬間にもユメ先輩が死んでしまったらどうしよう。ビナーに襲われたら?カイザーに誘拐されたら?もし砂嵐に巻き込まれたら?

まだ数ヵ月の付き合いだが、大事な先輩なんだ。絶対に失いたくない。

 

考えたって仕方がないので明日のために寝る。

 

★月#日

捜索二日目。今日で建物がある地域は捜索し終わった。明日から砂漠の捜索を開始する。

 

★月○日

捜索三日目。進展なし。

 

★月△日

捜索四日目。進展なし。今日から夜間も車の速度を落として捜索する。速度を落として行けば見落とさないはずだし、少なくとも気付かずに轢いてしまうこともないだろう。

 

★月@日

捜索五日目。進展なし。

 

★月?日

捜索六日目。そろそろ本当に不味い。いくらユメ先輩がキヴォトス人で耐久が優れていようと、本人がちょっと外に出るだけのつもりで出掛けていれば水もそろそろ限界のはずだ。眠いけど、今日から睡眠も最低限にする。

 

★月←日

捜索七日目。進展なし。

 

★月→日

捜索八日目。進展なし。

 

★月↑日

 

 

 


 

「ユメ先輩!」

 

見つけた。見つけた。見つけた!

見間違えるはずもない。あの特徴的な水色の長髪。間違いない。ユメ先輩だ!

 

「セリ…カ…ちゃ…」

 

「無理に喋らないでください!取り敢えず車まで運びます!」

 

よかった。まだ意識がある。明らかに脱水と熱中症ではあるが、これならすぐに不味いってこともなさそうだ。ユメ先輩を車に運び込み、経口補水液を飲ませる。車の中はエアコンも効いているし、水分も取れている。これでひとまず安心だろう。だが油断は出来ない。すぐに病院に連れていかないと。

俺は車を走らせながらホシノ先輩に電話をかけ───

 

「なんだ…?」

 

地面が揺れているのに気づいた。車の揺れよりもはるかに大きい揺れに、俺はすぐに原因に思い当たった。俺は窓ガラスを急いで開け、周囲を見渡す。

そして、俺の嫌な予感は当たった。

 

「ビナー!クソッ、タイミング悪いな!」

 

そこにいたのはアビドス砂漠に潜む化け物、ビナーだった。

 

「もしもし?セリカですか?」

 

ホシノ先輩にかけてた電話が繋がったが、ちょっと今それどころじゃない。

 

「ホシノ先輩、ユメ先輩が見つかりました。ですが、今でかい蛇の化け物に追いかけられてます。位置情報を送るので援護に来てもらえますか?」

 

「蛇の化け物!?何ですかそれ!」

 

「すいません説明は後でします!ちょっとヤバイので切りますね!」

 

最低限の情報だけ伝え、電話を切って運転に意識を向ける。奴はあの巨体なら市街地までは追ってこれないだろうし、そこまで逃げ切れるかが鍵になるだろう。そう考え、俺は一番近い市街地に向けて運転を開始した。

 


 

「あーもう!いい加減諦めろよ!」

 

チェイスをはじめてから既に一時間、一向に諦めないビナーに俺は苛立ちを募らせていた。もう何発もビームを撃ってきてるし、向こうもムキになってるんじゃないかとさえ思う。だがもう少しだ。もう市街地が見えて来ているし、ホシノ先輩も後少しのところまで近づいてきている。

 

「セリカちゃん、またあのビーム撃とうとしてる!」

 

かなり症状が良くなってきたのか、大分元気になったユメ先輩も先程からビナーの攻撃の予備動作を見てこちらに教えてくれている。俺はその言葉を聞き、車のハンドルをいつでも切れるように準備する。

 

「来るよ!」

 

俺はその言葉を聞くと同時に、車のハンドルを切って急カーブする。それによりなんとか今回もビームの回避に成功した。

 

「不味いよセリカちゃん!またくる!」

 

は!?アイツのビーム連発できるの!?まずい。まだ車は体勢が戻ってないからもう一回回避なんて出来ない。なら脱出───ダメだ。ユメ先輩も症状が良くなってるとは言えまだ素早い動きは無理だろう。いや、俺が投げ飛ばせば間に合うはずだ。

 

「ユメ先輩!ドア開けてください!」

 

俺は即座にユメ先輩のシートベルトを外しドアからユメ先輩を投げ飛ばす。そのまま俺も飛び出そうとした。だが、それより早くビナーのチャージが終わった。

 

「あっまず」

 

 




ご覧いただきありがとうございました。

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