黒見セリカ(憑依)は原作エアプ   作:ミカン

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第36話 黒見セリカ(憑依)とカイザー理事

そこからの説教は長かった。怒鳴ったりとかはなかったが、穏やかな口調でひたすらタバコのリスクを説かれた。ホシノ先輩を心配させるのは嫌だし…するかぁ、禁酒と禁煙。

 

「…だから、こういうのはもうやっちゃダメだよ?わかった?」

 

「はい…すいませんでした…」

 

「うんうん、わかればよろしい…それじゃあセリカちゃんも疲れてるだろうし、とりあえず一旦アビドスに戻ろっか」

 

「そうですね。補給も欲しいですし…」

 

そうしてアビドスに向かうため廃墟から出ようとした次の瞬間、窓ガラスが割れる音がし、反射的にそちらを見る。そこにはグレネードが転がっていた。俺は先輩に声をかける。

 

「先輩!」

 

「わかってるよ!」

 

ホシノ先輩が盾を構えたのを確認し、その後ろに転がり込んだ瞬間グレネードが爆発。数秒後、煙が晴れてきて追撃がないのを確認した俺達は反撃の為に窓から飛び出し、地面に着地するとほぼ同時に姿勢を直し銃を構える。だがそこにいたのは賞金目当てのスケバンでもブラックマーケットが雇った傭兵でもなく…

 

「やあ、どうやら随分と苦労しているようだな?黒見セリカ」

 

カイザー理事だった。その姿を見た瞬間、俺は怒りと反射に任せ発砲した。だが狙いを付けていない弾丸は軽く理事を掠めるだけに留まる。チッ…。

 

「少しは話を聞け!野蛮な…!」

 

「何の用だ。ここはもうお前の土地じゃない。俺がお前らに土地利用の許可を下ろしていない以上、お前らは不法侵入者で、俺にはそれを排除する権利がある。わかったらさっさと失せろ。次は当てる」

 

脅しをかけながら銃口を向け直すが理事は怯まない。寧ろ余裕綽々と言った態度を隠そうともしていない。

 

「…そんな態度を取っても良いのか?」

 

「何がだ?」

 

薄々気付いてはいるが素直に返すのも不愉快なのであえてすっとぼけた。

 

「わかってるんだろう?今回の件、情報提供者は私だ。貴様の態度次第では情報の追加提供を検討しないといけなくなる。たとえば…黒猫の本名などをな」

 

「お前…セリカちゃんに何をするつもりだ?」

 

「おっと!少し黙っててもらおうか小鳥遊ホシノ。私は黒見セリカと話をしているんだ。妨害するようなら…わかるだろう?下がっていろ」

 

「…ッ!」

 

そう言われたホシノ先輩は押し黙り、2、3歩下がる。こいつ何様のつもりでホシノ先輩にそんな態度取ってんだよマジでぶっ殺…いや落ち着け。ホシノ先輩が抑えたのを無駄にするわけにはいかない。俺は怒りで勝手に引き金を引こうとする指を抑えながら理事に声をかけた。

 

「…何の用だ」

 

「話が早いのは良いことだな。要求は簡単だ。私の元に来ないか?もし来るのなら黒猫の情報については誤報だったと伝えてやろう。社員の保護は企業の義務だからな。だがもし来ないなら…流石に前アビドス所有者としてこんな野蛮な指名手配犯が新たな持ち主となるのは許容できない。先程言った通り私も情報提供を惜しまないだろうな。どうだ?」

 

ホシノ先輩が若干不安そうな顔でこちらを見るが、俺の答えは最初から決まっていた。

 

「断る。たとえ俺がどんだけ不利になろうとキヴォトス中を追われることになろうとそれだけは絶対に断る」

 

キッパリと断ってやる。ここまで迷わないとは思ってなかったのかちょっと面食らってるのは少し面白い。

 

「…そうか、残念だグオッ!?」

 

「セリカちゃん!?」

 

だがすぐに気を取り直した理事が携帯を取り出し何処かに電話を…しようしたのを撃ち抜き、呻き声を上げるのを無視して近づく。そしてサッカーパンチをホルスターから引き抜き、理事に突きつけた。

 

「残念?残念なのはこっちだよ。俺はお前に対して値引きもせずに50億払ってやったり土地を買い取った後立ち退き猶予やったりして慈悲深く接してやったのにさぁ。お前はなんでこうやって恩を仇で返すわけ?」

 

なんとなく撃鉄を起こす。理事が逃げようとしたので足払いで転ばせる。

 

「まあいいや。別にお前らを会社ごと潰せばいい話だしな。それで恩返しってことにしてやるよ」

 

理事が、恐怖したのを感じた。

 

「まずは、お前から」

 

そう言い放ち引き金を引こうとした瞬間、側頭部に衝撃が走り、思わずのけぞる。この感じは…SR、護衛か?目に神秘を注ぎ、背中のマーシレスブローをシンシアリティと入れ換えで手に取る。少し離れた位置のビルの屋上を狙い、撃ち抜く。相手が倒れたのを確認し、理事に向き直ると…もうそこに理事は居らず、少し離れた位置で車が動き始めてるのが見えた。

 

「逃がすか!」

 

マーシレスブローを構え直し、車に向かって撃つ。たが咄嗟に撃ったため十分な神秘が込められなかった弾丸は車体の装甲に弾かれてしまった。

 

「クソッ!」

 

さすがに動いてる車にSRは当てられないので追跡に切り替える。ポケットから鍵を引っ張りだし近くに停めてあったバイクにまたがり、エンジンをかけ、アクセルを捻りながらホシノ先輩に声をかけた。

 

「乗ってください!追いますよ!」

 

「えっなにそのバイク!?」

 

「説明は後で!なんとかしてあいつを止めます!」

 

「わ、わかった!」

 

ホシノ先輩が腕を回してきたのを確認し、即座にクラッチを繋げる。爆ぜるような急加速。跳ね上がるフロントを押さえつけ、俺は理事の車の追跡を開始した。




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