最強アルちゃん概念   作:Nikich

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日間(ルーキー)ランキング11位になることができました!
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その四「ミレミア厶冒険編2」

「随分派手にやってくれたじゃねえか…便利屋さんよ」

 

——ヤバい

 

アルは思わず冷や汗を流していた。本能が警鐘を鳴らしている。

背丈はさっき戦ったアリスよりも小さいのに、威圧感は先程までの比ではない。

眼の前の彼女は、ホシノと同じ類の人間(怪物)だ。

 

「おっと、逃げようなんて考えんじゃねえぞ?ここはすでにC&Cに包囲されているからな」

 

撤退準備を始めたカヨコに、ネルが冷たく言い放った。

慌てて辺りを見渡すと、いくつもの気配が漂っていた。そのどれもが相当の手練だ。

 

「…流石だね」

 

カヨコが思わず歯噛みする。

決して警戒を怠ってはいなかったにも関わらず、乱入するまでネルにすら気づかなかった。

 

「わ、私は勝手に連れてこられただけで…!」

「こうなった以上、それで止まるわけにはいかねえな」

 

弁明しようとしたアルだったが状況は最悪だった。

床に走るクレーター、そこかしこに残る爆発跡、怯えたように座り込むアリス。

おまけに自分たちはゲヘナのお尋ね者である。

 

どう見てもアリスと無理やり戦ったようにしか見えない。

話を聞いてくれるはずもない――そう思った矢先、ネルは意外なことを口にした。

 

「本当ならお前らを風紀委員会に引き渡すところだが…一つ()()を飲んでくれるならお前らを見逃してやる」

「条件…?」

 

流石のアルでも訝しんだ。この状況で出される条件など、実質的には脅迫に等しい。

だが聞かないわけにもいかなかった。

 

周囲への被害を無視したら条件なんか無視して逃げることもできるだろう。

だがそれはC&C全員、ひいてはミレニアムを敵に回すことになる。

便利屋の仲間を危険に晒すだけでなく、ゲヘナからミレニアムへの宣戦布告と受け取られる可能性も高い。

 

それでも条件次第では強行突破を選ばざるを得ない。

そう警戒するアル達に、ネルが言い放った”条件”は、予想の斜め上をいくものだった。

 

「私と勝負して勝つのが条件だ!」

「…え!?勝負!?」

 

あまりに単純すぎる要求に、アルたちは思わず拍子抜けする。

ポカーンとする一同を前に、ネルは好戦的な笑みを浮かべ、愛銃”ツイン・ドラゴン”を掲げた。

 

「噂によればあの空崎ヒナとも並ぶゲヘナ最強なんだろ…?”硝煙の爆弾魔(ボマー)”の二つ名、見せてもらおうじゃねえか!」

 

普段なら正直ダサいと思っている二つ名に文句を言うところだが、今はそんな余裕はない。

 

”美甘ネル”――エージェントとしての依頼成功率100%を誇る、ミレニアムの最強戦力。

アルもその噂を耳にしたことがあった。正直、真っ向勝負で勝てるかどうかは断言できない。

 

だが大人しく風紀委員会へと連行されるわけにもいかない。

勝負を受けるか否か。選択肢は実質一つだった

 

「その条件…受けるわ。便利屋68社長、陸八魔アルの名のもとに!」

 

 

先程までアリスとアルが立っていた試合場。今そこではアルとネルが対峙していた。

 

「勝利条件は簡単、最後まで立っていた方が勝ちだ。」

「分かったわ。他のルールはある?」

「そうだな…今は観客がいるから、観客席にまで攻撃飛ばしたら反則負けだ」

「それは当たり前でしょう…」

 

観客がいなければ席ごと吹き飛ばしかねない言い草にアルは思わずツッコミを入れる。

ちなみにネルは実際に観客席をぶっ壊した前科があるのだが、アルは知る由もない。

 

一瞬流れた緩い空気も勝負の刻が近づくとともに引き締まっていく。

そしてついに、そのときは来た。

 

「よーい、はじめ!」

 

二人の最強が、今交差した。

 

 

勝負が始まった瞬間、ネルが一瞬で距離を詰めた。かろうじて爆発弾で牽制しながら距離を取るが、そんなものではネルの動きは止まらない

 

「おらぁ!」

 

アルが2発目を放とうとした瞬間、鎖で繋がれたサブマシンガンが飛んできた。

咄嗟に避けると、さっきまでいた地面がえぐり取られるのが見える。

 

狙いを切り替え至近距離の一撃を狙うアル。しかしネルがそれを許すはずもない。

連射力の暴力で銃口を逸らされ弾は明後日の方向へ飛んでいった。

体勢を崩した隙にサブマシンガンを叩き込まれる。

 

ネルには狙撃は当てられない──瞬時にそう判断し銃床で脳天を叩き割ろうとするが、あっさり避けられる。

お返しとばかりに、再び銃弾の雨が叩き込まれた。

 

距離を取ろうとするアル。

迫り続けるネル。

徐々に、徐々に、アルは押し込まれていった。

 

同じくキヴォトス最高峰に位置する二人だが、お互いに得意とする分野は正反対だ。

キヴォトスの遠距離最強がアルならば、近距離最強の座はネルに譲られるだろう。

 

これが町中や戦場なら話は違ったかもしれないが、訓練場の狭い空間はアルにとって相性が悪すぎた。

 

「おらおらおらぁ!さっきまでの威勢はどうしたんだよ!」

「グッ…なんなのよ…!?」

 

幾度となく浴びせられる弾丸によって、すでにアルはボロボロになっていた。

しかし相対するネルは、すでに何度か銃床で殴っているというのに全く倒れる気配を見せない。

恐ろしいほどのタフネスだった。

 

どこかで渾身の一撃を決めることができたならアルにも勝機が見えるだろう。

しかし得意の近距離戦でネルがそんな隙を見せるはずもなかった。

 

なんとかこの状況を打破できるものはないか。必至に頭を回していると、床に散らばった弾丸が目に入った。ただの弾丸ではない、アル特製の爆発弾の()()()

 

その瞬間——アルの頭に電流が走った

 

今思いついた作戦は、正直言って失敗する可能性のほうが高い。だが今の状況が続けば負ける。

一か八かだろうとなんだろうと試す価値はあった。

 

 

ネルは勝ちを確信していた。

スナイパーライフルを振り回すしか無いあちらに対して近距離はネルの十八番だ。

 

これで落とすという覚悟を持ってアルに再度詰める。

その瞬間——アルは()()()弾をぶっ放した。当然当たるわけもなくポテリと床に落ちる。

 

一瞬ついにヤケになったかと思ったが、すぐに違和感が走る。

 

罠を疑って距離を取った瞬間、至近距離から弾丸が叩き込まれた。

さすがのネルも近距離でアルの弾丸を食らえば無事では済まない。ふっとばされたのち床に叩きつけられた。

 

立ち上がろうとした瞬間に追い打ちのように連射が降り注ぐ。

ライフルとは思えない速度。猛烈な反動を押さえ込みながら撃ち続けられるのは、アルだけができる荒業だった。

 

「てめぇ…これが狙いか!」

 

銃弾の隙間を縫い、ネルは立ち上がる。

だが次の瞬間

 

「ガッ…!」

 

さっき逸れた弾が()()()()頭に撃ち込まれた。思わず足元がふらついたが、それを振り払い弾の出どころを突き止める。

いくらアルといえど弾丸の軌道を曲げられるわけではない。となると考えられるのは——

 

(跳弾…!)

 

にわかに信じられる話ではない。跳弾というのは単純に跳ね返らせればいい話ではなく、風、壁の材質、相手の位置などを正確に見極めなければできない。

それをこの一瞬で、しかも動く相手にやってのけたというのか。

 

「噂に違わぬバケモンだな…!」

 

だが言葉とは裏腹に、ネルの顔には笑みが溢れていた。

久しぶりの自分と同等の相手に気分が高揚し、心臓が高鳴るのが分かる。

 

だが、このまま遠距離戦に持ち込まれるのはまずい。

一気に距離を詰めようとした——その時だった。

 

ドオン!

 

「…は?」

 

足元が轟音とともに()()()()

 

爆風とともにふっとばされ、地面に叩きつけられる。

脳裏に走る疑問と仮説。

 

(手榴弾を投げたようには見えなかった…地雷か?いやそんなもん仕掛ける暇があるわけ…)

今までのアルの行動を思い返す。そして達する一つの結論。

 

(あの野郎…!()()()()()()()()()()()()()()()!)

 

アルは、賭けに勝った。

 

 

アルの爆発弾は本来陽動や集団戦に用いるためのものである。その火力はかなり大きく、カイザーの警備ロボ程度なら一撃で沈められるほどだ。

 

そんなものがポンポン暴発したら困るため、アルは安全装置を弾に仕込んでいた。

”床に落とした程度の衝撃では爆発しない”ようにするために。

 

アルが天井へと撃ったのは、意識を逸らすため。

その一瞬に床へ弾をばらまき、理由を誤魔化すために攻勢をかけた。

跳弾は偶然の面が大きかったが、ネルの注意を逸らすには十分。

そして——爆発弾を踏ませる賭けが、見事に的中した。

 

今やこのフィールド全体が地雷ゾーンとなった今、ネルはこちらに迂闊に近づくことはできない。そして始まるのは——アルの独壇場だった。

 

「ちっくしょう汚えぞてめえ!」

「戦いに綺麗も汚いもあるわけないでしょ!」

 

一気にネルが詰めようとしたがまた爆発に巻き込まれる。いくらネルといえどそう何度も食らいたいものではない。しかも地面に注意しながらアルの弾丸まで避けなければならないのだ。

そう簡単にできることではなかった。

 

傾いていた勝利の天秤は、ゆっくりとアルへと傾いていく。

 

「おらぁッ!」

 

近距離には持ち込めないと判断したネルから、鎖に繋がれたサブマシンガンが中距離から飛んでくる。

だがアルは、避けなかった。

 

直撃を片腕で受け止めた瞬間、骨の軋む音が響く。

それでも、アルは笑った。

 

「片手でも…命中させられるわ」

 

その言葉とともに、ネルの額に弾丸が突き刺さった。

限界に達していたネルの意識を、確実に刈り取る一撃だった。

 

 

そしてネルが目を覚ました後

 

「これはどういうことですか!?”ゲヘナからヤバい奴らがきたから監視カメラを確認させろ”とか言ったと思ったら訓練場で戦闘してる!しかもその訓練場は半壊!修繕費にいくらかかると思ってるんです!?」

 

——ネルとアルは、ユウカに説教を食らっていた。

 

改めて見回すと訓練場はすでにボロボロ。床にはアリスが作ったクレーターと大量の爆発跡が残り、壁も銃痕だらけ。ミレニアムの財布を握るユウカにとっては卒倒ものだった。

 

「アルさんも!断りようがなかったのは分かりましたがやりすぎです!ネルさんの頼みでゲヘナに通達はしませんが、便利屋あてに弁償は請求しますからね!」

「そ、そんなぁ…」

 

金を稼ぐためにやってきたはずが金を払う羽目になっていた。

 

その結果、便利屋全員ついでに掃除をさせられ、黒服からの報酬は弁償に消えたのだった。




ネルさん書くの難しいですね…
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