聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか 作:フェイト・
「ちっ⁉ 数が多すぎる!!」
ザルドはアルフィアに押し付けられた『モンスター』の大軍をひたすらに駆除していた。大剣で薙ぎ払い。時には喰らい、【スキル】で自己強化をしていた。それでも『詠唱』している『穢れた精霊』には近づけず、『長文詠唱』が完了しようとしていた。
「【
「また『魔法』かぁ!?」
「ん?」
そんなことを考えているザルドは何やら空気を切り裂くような轟音が聞こえた。
「【メテオ・s、ぐふっ⁉」
「あっ」
ザルドは見てしまった。自身を癒してくれた
「ふむ、うまくいったか……」
「……」
気づいたら、アルフィアがザルドの近くにいた。アルフィアはなんか一仕事終えたような雰囲気を出しており、ザルドは言葉を失っていた。いくらあの【ヘラ・ファミリア】の
「お、お前っ⁉
「おい、馬鹿とは何だ? 私がまるで暴力女みたいな物言いだなぁ」
「実際、そんな感じだろうがぁ!!」
「【
「ぐはぁっ⁉」
【ヘラ・ファミリア】はかつて『オラリオ』で『最凶』と言われた存在。
時には、浮気の罰で地下室に監禁して己の血で『
アルフィアはその【ヘラ・ファミリア】の団員で唯一の、もはや絶滅危惧種並みの比較的『常識人?』枠なのだ。口より手が出てしまったり、手より『魔法』が出てしまったり、少しでも気に入らなかったらぶっ飛ばされたりするなどあるが、
そして、ザルドは『最強』と言われた存在【ゼウス・ファミリア】の団員。ゼウスの名は90%セクハラや覗きで有名だが、『最強』の名に恥じない超実力【ファミリア】。ザルドは、たまに『モンスター』を生で喰ったりする以外は常識人である。主神のゼウスやベルの父のやらかしを毎度、尻拭いをする羽目になっている苦労人でもあった。
「私はあの女神を救う手助けの手間を省いてやったにすぎん」
「……どういう意味だ?」
「あの女神を救うにはエレンの力がいるらしい」
「何っ⁉」
「そして、エレンの回復魔法は手に触れられるほど近づかないといけない。私は
「……」
果たしてアルフィアがエレンにやった行為は本当に手伝いになるのだろうか?少なくともザルドの中ではそれを否定したが、そんなことをすれは再び『魔法』が飛んでくるのでグッと堪えた。
***
「……い、痛い」
エレンはやや無事だった。『大盾』を装備していたお陰で【
むにゃ
「ん?」
何やら右手にやわらかい物がある。そして、視線を下にやると
「アッ、エレン♪」
「ぎゃぁああああああああああああああああっっ⁉」
なんとエレンが触っていたのは『穢れた精霊』の胸だった。しかも姿が女神アルテミスの姿だ。大の恋愛アンチと言われている彼女の胸を間接的に触れられる。まさかの偉業をたたき出していた。
「ニガサナイ!!」
「ッッッ!?」
とっさにその場を離れようとするエレンを『穢れた精霊』は逃がさなかった。エレンの両手を自身の両手で捕まえ、エレンを
なお、帰ってきた言葉は……。
「「アルテミスが
遠くの方からヘルメスとベルの祖父のごみのような返答が返ってきた。確かに第3者目線だとそんな風に見えるのかもしれない。恋愛撲滅委員長の
「アハッ、捕マエタ♪」
「(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイッッ⁉)」
ぶっちゃけエレン大ピンチ。両手の拘束はびくともしない。足も気づいたら
「(あと、できることは
必死にこの危機を脱する為、色々と方法がないか考えていると、
「セ、セイクリッドフレアァァァァァァァァァッ!!」
回復魔法を『穢れた精霊』に対して行使した。『モンスター』に対しての回復魔法の行使。本来なら相手を回復させてしまう自殺行為だが……。
「イ、嫌ッ、嫌ッッァァァァッァァァァァァァァァァァ⁉」
「へっ?」
なんと『穢れた精霊』がエレンの回復魔法を受け、
「【
「ちょっ⁉」
この隙を見逃さず、アルフィアは上半身の人型に向けて音の魔法を叩き込んだ。『穢れた精霊』は木っ端微塵に吹き飛び、ついでにエレンも吹き飛ばされた。そんなエレンをザルドが空中でキャッチ。態勢の立て直しの為、『穢れた精霊』から距離を離した。
「……無事か?」
「ひ、ひどい目に遭いました」
「……だろうなぁ」
本当にひどい目に遭った。捕まった時は死を覚悟してしまった。しかも、姿が女神アルテミスの姿なので、なんだかいけない気持ちになったり、ならなかったり……。なお、エレンがこんなひどい目に遭う羽目にあった
「……やはり、あの程度では死なないか」
全くの無関心である。ぶっちゃけ、『ふざけろっ!!』である。それに、エレンを拘束していた『穢れた精霊』をアルフィアは魔法で粉々にしたんだ。エレンはてっきり倒したのかと思ったら違ったらしい。下半身の蠍の部分からまるで生えてくるような感じで再生する『穢れた精霊』。
エレンが離れた影響で青い炎は消えている。それでも、焼かれた部分はまだ焦げている状態だった。
「ユ、許サナイ……」
「あ、あの……」
「許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ」
「ワァー、アルフィアサンネラワレテルーー、タイヘンダー」(棒読み)*1
「
「やっぱりこうなったーーーーーっ!!!」
嫌な予感を感じ、アルフィアに擦りつけをしようとするエレンだったが、失敗に終わってしまった。当然、擦りつけようとするエレンをアルフィアは見逃すはずがなく、エレンの顔を鷲掴み。ギシギシとなってはいけない音がなり、『精霊』の悲鳴が響いていた。
***
「「「「……」」」
「エレン君がピンチの時に、なーにが『アルテミスが男を押し倒した』だぁ?この変態の中の変態がぁぁぁぁぁ!!」
「この非常事態に何興奮しているんですか?馬鹿ですか?馬鹿なんですよね?救いようのない馬鹿なんですよね?もういっそくたばってください!!」
「恥を知れ⁉ この豚ども!?」
「「す、すみませんでしたー!!」」
「「「……」」」
ベル、リリ、ヴェルフの3人は『何を見せられてるんだ?』と思った。ヘスティア、アスフィ、アルテミスの3人がヘルメスとベルの祖父を袋叩きにしていた。アルテミスに至ってはヘスティアが持っていた『矢』で叩きのめしていた。
「み、皆さん⁉ 早くエレンさんを助けないと……」
「「「あっ」」」
「忘れてたんですかぁ⁉」
「何やってんだよ……」
どうやら
「ここにいたか、ベル」
「へっ、ア、アルフィアお義母さん⁉ どうしてここに?」
「休憩だ」
「へっ?」
「? なんだその顔は。私が何かおかしなことを言っているか? ん?」
「いえ! アルフィアお義母さんは何にも間違っていません!!」
「よろしい」
「「「「「えっ?」」」」」
戦闘中だったアルフィアがいつの間にかベル達所に戻ってきていた。ベルが尋ねるとまさかの
なお、遠くではエレンの悲鳴が聞こえるがアルフィアはその悲鳴を聞き流し、
「神アルテミス。『
「……おそらく、あの『穢れた精霊』は今も『私』を取り込んでいる。『アンタレス』の時より、効果は低いと思うが、通用するはずだ」
「ふむ」
「……もしかして、アルフィアお義母さんでも無理そう?」
「『無理』、と言うより『効いていない』の方が正しいな。『
「そんなの、一体どうすれば……」
「唯一エレンの『魔法』は効いているようだが、『
「やめて!エレンさんが死んじゃうからヤメテ!!」
再びエレンをぶん投げようと考えるアルフィアに必死に『やめて⁉』と懇願するベル。今の『穢れた精霊』……またの名を『ギルタブルル』は
「ベル」
「は、はい⁉」
「お前は『槍』を使って『
「は、はい」
「ほかの奴はベルを死ぬ気で守れ。いいな?」
「「はい⁉」」
回復を済ませたアルフィアは再び『ギルタブルル』に向けて行動を開始した。とはいえベルはLv.2の冒険者。ただ『槍』を投擲するだけでは注意を引けないと考えたベルは【スキル】の発動に踏み込んだ。
「(あの時と同じように……)」
18階層の『黒いゴライアス』と戦った時を思い出す。あの大鐘楼をもう一度。あの英雄の一撃をもう一度。意識を深く集中させるベル。すると、ベルの体を白い光が包み、再び大鐘楼の音色が響いた。
***
「エレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレン」
「ブチギレすぎでしょ⁉」
「絶対ニ許サナイ!絶対ニ穢ガス!絶対ニ汚ス!絶対ニ喰ベル!絶対ニ奪ウ!絶対ニ殺ス!」
「ハハハッ、良かったなぁ、エレン。これが『モテ期』ってやつじゃないか?」
「嫌ですよ!こんな『モテ期』は!!」
ザルドとエレンの2人は再び、『ギルタブルル』に追い回されていた。エレンの回復魔法の炎を浴びてからの『ギルタブルル』はそれはもうブチギレていた。気づいたらアルフィアはいなくなっており、後方支援が無くなり逃げる羽目になっていた。
「おいエレン!お前のあの炎であの女神の救出は出来そうか?」
「恐らくは……」
「……ちなみにどのぐらい足止めにをすればいい」
「……5分ぐらい?」
「厳しいなぁ……」
エレンの回復魔法【
そして、『ギルタブルル』を焼き払ったのは2つ目の『浄化の炎』。『穢れた精霊』の
そう。『穢れた精霊』にとってエレンは『天敵』
『
ゴーン、ゴーン、ゴーン
「「「!!!」」」
エレン、ザルド……そして、『
「……『オリオン』」
取り込んだ『女神』の情報で『槍』の正体に気付いた『
「ーーーーっっっ!!!」
『
「余所見とは、随分余裕だなぁ?」
「エッ?」
この隙を見逃さず、ザルドは『
「お前は少し大人しくしていろ」
「エッ?」
間を置かずに今度はアルフィアの『魔法』が叩き込まれる。超短文詠唱なのをいいことに大量の『魔法』が叩き込まれる。その光景は降り注ぐ豪雨のごとく。それでも、『
「【
アルフィアが『
「……やはり、エレンの『魔法』が最も効果的か」
砕かれた体を再生させる『
「隙は作ってやったぞ」
「ーーー!!!」
アルフィアが呟きと同時に『
「【セイクリッドフレア】!!」
「アァアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ⁉」
再び『
これにより、『
***
「絶対に【
「「「「「おうっ!!!」」」」」
「おらぁっっ!!」
「こんのぉっ!!」
ベルの
「(英雄に、憧れていた……)」
「(どんな怪物もやっつけて……たくさんの人達を笑顔にして)」
それは2人で湖での会話。ベルは英雄に憧れている話。どんなに強大な怪物もやっつけて、多くの人々を笑顔にできるそんな英雄に……。
「(悲劇のヒロインなんて、どこにもいない)」
何より、涙を流すヒロインを救える英雄に憧れていた。アルゴノゥトのように……。
「(みんなを救える……
しかし、現実は残酷だった。『
何より、『
ベルはこの事実を否定したかった。今のベルは
それでも、
主神のヘスティアからの情報。エレンならアルテミスを救える可能性があることを。
「(
「!!!」
ベルの
【
『高速詠唱』。その『詠唱』の速さは、エレン、ザルド、アルフィアの介入を許さない速度。『
「【
「うわあああああああっっ!」
『
「ア、アァァ、ァァァァ」
だが、拮抗していたのも最初だけ……。エレンの炎を2度も浴びた『
「いっけぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!」
ベルは『
『
「ーーーァァァ」
『
「ア、アァァ」
そして、そんな『
「イヤァ、イヤァ、イヤァ……」
ザァ、ザァ、ザァ
「オ願イ、来ナイデェ、イヤァ……」
コン、コン、コン
「オ願イ、許シテェ、オ願イィ……」
「う~ん?どうしようか……」
近づいている者はエレンだった。エレンは『
『
「んなわけないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
できてしまった。
エレンは命乞いをする『
「【セイクリッドフレア】!!!」
ここまで読んでいただきありがとうございました。
聖火ならやっぱり浄化でしょ!とおもった投稿主による『穢れた精霊』特攻を持つエレンでした。といっても回復魔法なのでダメージはありません。
全ステータスのダウン、再生能力の低下、聖火による浄化。主にこんな感じでしょうか。浴びれば浴びるほど、長ければ長いほど効果が増し、重ねがけが可能です。
悲劇やシリアス系をうまく書けなかったので、ギャグ系みたいな感じで書いてみました。