聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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明けましておめでとうございます!

1月1日に投稿できるように頑張りましたが、新年早々。新たな騎士王を迎えようとして、天井まで逝ったダメージがデカ過ぎて間に合いませんでした……。




17話 エレインちゃん!

エレンとヘスティアは神ヘファイストスとの話し合いを終えると下で待たせているベルと合流するべく下に降りている最中だった。最初こそは部屋の前で待ってもらっていたが、ヴェルフが来たことでベルと一緒にリリを迎えに行く為に、下に降りてもらっている。

 

エレンの使っていた大盾は【ゼウス・ファミリア】の遺産の修理が終わるまでの『繋ぎ』の役割として椿に応急処置として補強してもらうことになり、椿に預けることになった。

 

外では『グランド・デイ』の開催を祝う『語り』が行われており、なんとベルとエレンの担当アドバイザーのエイナが今回の『語り』をしていた。下の方は『グランド・デイ』の開催で大いに盛り上がっており、ここに来るまでの時とは全く違う光景だった。

 

 

「うわぁ~すごい光景ですねぇ」

 

「うん……『グランド・デイ』は人気のお祭りって聞いてはいたけど、ここまでとはね~」

 

 

エレンとヘスティアは『グランド・デイ』の盛り上がりにすっかり飲み込まれており、下で待っていたベル達と合流。リリも既にベルとヴェルフと合流していた。合流したエレン達はせっかくだから、エイナに挨拶に行くことになり、再び【ギルド】へと向かった。

 

 

 

***

 

 

 

「や~、アドバイザー君!大役お疲れ様だったね!」

 

「神ヘスティア!それにエレンさんに他の皆さんまで!」

 

「お疲れ様です、エイナさん。その服とても似合っていますよ!」

 

「うん!まるで本物の吟遊詩人みたいだよ!」

 

「はい、ありがとうございますエレンさん。それに神様にお褒めの言葉を頂くなんて、恐縮です……」

 

 

今のエイナの格好は青をベースにした衣装を纏っていた。『グランド・デイ』の語りをする上で吟遊詩人は正しくうってつけの役だ。器量よしのエイナの影響か、語りは大成功。外では『さっきの語りは誰なんだ⁉』とちょっとした騒ぎになっていた。

 

 

「所でエレンさん、ちょっといいですか?」

 

「? どうしましたか?エイナさん?」

 

「え、えっと~、エレンさん。ギルド長に()()()()()()()?」

 

「……はい?」

 

「じ、実は、今【ギルド】でちょっとエレンさんの事が話題になっていて……」

 

「え?」

 

「あ~、()()の事だよね!エイナ?」

 

()()?」

 

「はい!エルフのギルド職員の間で話題になっているんですけど、何でもエレンさんが『ギルド長を倒した!!』とか、『あの醜い豚野郎を懲らしめてくれた!!』とか、『あの人こそが我々ギルド職員の救世主だ!!』とか、こんな感じで話題になってるんですよねー!」

 

「……」

 

「それで、エイナってエレンさんの担当アドバイザーって事で、沢山のエルフの先輩達からお礼を言われて……すごい状況でした!」

 

「……」

 

「お願いです!エレンさん!否定してください!さっきだってギルド長にすっごく睨まれたんです⁉何かの間違いだって!」

 

「……エイナさん」

 

「……なんでしょう」

 

「強く、生きてください……」

 

「エレンさん⁉」

 

 

エイナはエレンの肩を掴んで必死に説明を求めているが、エレンは何も悪いことはしていない。あれはギルド長のロイマンがウラノスからもらった大盾を見て、勝手に泡を吹いて倒れただけで、エレンは全く悪くない。

 

そして、エイナに至っては直前まで原稿に不備がないかの確認などで個室に籠っていた影響で、ついさっき親友のミーシャから話を聞いたのだ。その後多くの職員、その殆どはエルフやハーフエルフだが、感謝の言葉のオンパレード。エイナの頭の中はパンク寸前の状態だった。

 

とは言え、既に後の祭り状態になっている状況なのでいくら説明しても恐らくはもう手遅れ状態。エレンはエイナに少なからずの声援を送ってその場を立ち去ろうとするが、エイナが『説明を⁉どうか説明をお願いします!!』とエレンの腕を掴み逃がさないようにしてエレンを拘束。ちょっとした騒ぎになっていた。

 

一方、ベルは【ギルド】に展示してある三大冒険者依頼(クエスト)の一つ。『ベヒーモス』との戦闘記録や当時の装備品が飾っている展示場で夢のひと時を過ごしていた。それはもう自分の世界に入っていると言って過言じゃないレベルであり、エレンの必死に助けを求める声が聞こえていないぐらい……。

 

何なら、エレンの近くにいるヴェルフを展示場に引っ張って連れていくぐらいのものだった。

 

 

 

エレンは思った。『あの兎野郎っ!!覚えてやがれぇ!!!』と……。

 

 

 

***

 

 

 

「いや~、すごかったですね!当時の装備が飾られてるなんて」

 

「だがベル、言ってないなんだが、アレは偽物だぞ?」

 

「えぇぇっ⁉そうなのヴェルフ⁉」

 

「あぁ、よく出来てはいるが、アレは本物じゃあない。まぁ記録に照らし合わせて作ってはいるだろうが」

 

「そうなんだぁ……所でエレンさん、だいぶ疲れているみたいですけど……大丈夫ですか?」

 

「お・か・げ・さ・ま・で!」

 

「?」

 

「「あははは……」」

 

 

あの後、エイナは他のギルド職員によって回収された事でエレンは解放される事になった。何なら、『ギルド職員(私達)の救世主の邪魔しちゃダメでしょ?』とエイナは注意を受けていたが、エイナは最後の最後まで『説明を!?どうか説明を!?』とエレンに説明を求めていた。

 

その後は、何か食べようかと屋台を巡っていた。どうやら、様々な【ファミリア】が店を出しており、多種多様。稼ぎ時だからとバイトの掛け持ちをして、眷属までも『じゃが丸君』を揚げている所もあれば、『グランド・デイ特別回復薬(ポーション)』と書かれたラベルを貼るだけで、定価の倍以上の値段で売っている所や、商売敵を潰す為にデマ情報を流そうと企んでいる者がいるなど、本当に多種多様だった

 

 

 

挙句の果てには……。

 

 

 

「捕まえたニャ!コラっ!逃げるでないニャ!」

 

「青年、大人しくするニャ!大丈夫!()()()ないニャ!」

 

「ごめん!本当にごめん!私達の犠牲になって?」

 

「おやおや?へっぽこ妖精様の次は貴方様ですか?ご愁傷さまです(クスクス)」

 

「は、離せ!、や、やめろっ!やめてくれぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「はい♪あーーーーん♪」

 

「くぇrちゅいおp@あsdfghjkl」

 

「「「う、うわーーーーーー」」」

 

 

ベル達が『豊穣の女主人』の前を通り過ぎようとした瞬間、店の中から女性店員達が現れ、『グランド・デイ特別商品如何ですか?』と押し売りが来た。だが、彼女達が持っている物は本当に食べ物なのか疑問が尽きない物体だった。

 

全てが真っ黒の物体の数々、もはや暗黒物質(ダークマター)を物質化した何かだった。ベルは折角だからと『ベヒーモスクッキー』を買おうとしたがまさかの1800ヴァリス。明らかにぼったくりの類のだったので、買わされる前に逃げようとするベル達だったが、唯一逃げ遅れたエレンが捕まってしまった。

 

アーニャとクロエの手によって拘束され、地面に押し倒されるエレン。シルがエレンの頭を自身の膝の上に置き、膝枕の状態に、ルノアがエレンの頭が動かないように固定している状況にシルが『はい♪あーん♪』と言いながら、『ベヒーモスティ』をエレンの口の中に流し込もうとしていた。

 

エレンは必至の抵抗したが、彼女達はエレンは知らないがシル以外の3名はLv.4の実力者。なお、大盾を装備していないエレンは【ウェスタ・ダイモーン(スキル)】が発動しない為、ただのLv.1のちょっと耐久力高めの治療師(ヒーラー)。Lv.4の拘束から逃れられる筈もなく、シルの手によって『ベヒーモスティ』がエレンの口に流し込まれた。

 

『ベヒーモスティ』がエレンの口の中に入り、喉を通った瞬間……。()()()()()()()()()。今まで味わった事がない味。今ならザルドに貰った『蠍型モンスターの鋏』を美味しく食べられそうに感じるぐらいのクソマズイものだった。

 

これを飲むぐらいなら吐瀉物を処理した雑巾を丸のみした方がマシ!いや、絶対そっちの方が美味しく感じるぐらいだった。エレンは思ったこれ以上の悪夢は存在しないだろうと

 

 

 

だが、()()()()()はこれからだった……。

 

 

 

「はーい♪エレンさん♪『ベヒーモス丼』でーす♪」

 

「くぇrちゅいおp@あsdfghjkl」

 

「はーい♪エレンさん♪次は『ベヒーモスクッキー』ですよー♪』

 

「くぇrちゅいおp@あsdfghjkl」

 

 

彼女達はこれを機にエレンを使って殆ど売れていない『グランド・デイ特別商品』の売れ残りを処理しようとエレンの口にどんどん詰め込んでいった。道のど真ん中でまさかの公開処刑に多くの通行人は拷問を受けるエレンの姿に大粒の涙を流し、エレンの魂が救われるように神々に祈りを捧げていた。

 

なお、遠くの方で『娘』の護衛をしている『戦車』ですら、一時的に護衛対象から目を逸らし、現実逃避。最悪の場合、『あの暗黒物質(ダークマター)を自身が喰わされるんじゃ……』と思ってしまい、全身の毛が逆立ち、数少ない感謝の念をエレンに送っていた。

 

流石の状況にベル達はエレンを助けようとするが、そこにパトロール中の輝夜が()()()を止めに入った。

 

 

「えぇぇっ、か、輝夜さん!?ど、退いてください!!エレンさんを助けないと!?」

 

「ダメだ!あいつを助けたら、次の標的はお前だ、死にたくなかったらじっとしていろ!」

 

「そんな事を言っている場合ですか!?早くしないとエレン様が!?」

 

「あぁ、仲間として見過ごす訳にはいかねぇ!!俺は行くぞぉ!!」

 

「そうか?私は止めたぞ?あの潔癖エルフと()()()()を辿りたければ、勝手にするがいい」

 

「「「えっ」」」

 

 

輝夜がそう言うと道の脇の方を指をさした。その先には1人の金髪エルフが倒れており、何よりベル達が知っている人物だった。その人物はかつてベル達が『中層』で行方不明になった際に捜索隊として来てくれた心優しい正義の妖精。リュー・リオンだった。

 

ベルは咄嗟にリューの肩を揺らし、声をかけるが、返事が返ってくることがなかった。本来なら触ろうとする者をもはや本能で迎撃するリューですら全く反応しない程の無防備状態。輝夜の説明だと『ベヒーモスクッキー』を一齧りしただけでこうなったと言う。

 

輝夜の説明を受けたベル達は『尚更、エレンを助けるべきでは?』と3人が同じ事を思い浮かべていると……。

 

 

「「完食ニャー!!」」

 

「凄いよ!青年君!アレを全部食べるなんて!!」

 

「凄いです!エレンさん!エレンさんって沢山食べる方なんですね!エレンさん……?」

 

 

向こうの方で『完食宣言』が言い渡された事でベル達の目線は一斉にエレンの方に向けられた。最後の最後まで抵抗を続けていたエレンの体はピクリとも動いておらず、シルが『もしもーし?』とエレンの()()()()をしていた。

 

ベル達も急いでエレンの傍に駆け寄り、リリが生存確認をすると……。

 

 

「だめです!!死んでいますぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」」

 

 

 

エレン・エウロギア。暗黒物質(ダークマター)の大量摂取により死亡。

 

 

 

『聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか』   完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーはっ!」

 

「「「生き返ったぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」

 

「勝手に殺すなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

まぁ、あのアルフィアの魔法を手加減されたとはいえ、喰らっておいてピンピンしているエレンが死ぬはずもなく、ぶっちゃけ本当に死にかけたが、ベル達がアミッドの報酬で受け取った万能薬(エリクサー)5本全てをエレンに投与。超高額の『気付け薬』としてエレンに飲ませた結果、エレンの意識が回復。そこから全力の回復魔法を行使して、体内の暗黒物質(ダークマター)を全力で浄化することで、一命を取り留めることができた。

 

そして、エレン達は思った。しばらく『豊穣の女主人』には近づかないようにしようと……。

 

 

「……えーと、ボクがいない間に何かあったのかい?」

 

「……ヘスティア様」

 

「な、なんだい?エレン君」

 

「祭りって、危険なんですね……」

 

「だから、なにがあったんだーーー!!!」

 

 

ヘスティアは神友の【タケミカヅ・ファミリア】が出しているじゃが丸君屋の味の確認の為、エレン達とは別行動をとっていた。合流したエレン達はまるで死地から帰ってきたような様子であり、エレンに至ってはさっきまで死んでいたのでは?思ってしまうぐらい顔色が悪かった。

 

何なら、ただのじゃが丸君を食べただけで泣いてしまうぐらいの状態に大いに焦るヘスティアだったが、ベル達が『そっとして上げてください……』と肩を掴まれて止められてしまった。

 

 

 

***

 

 

 

エレンがひどい目に遭ったり、エレンが死にかけたり、エレンが邪神様に再会しかけたりするなどのハプニングがあったりしたが、気を取り戻して祭り見物に戻ろうとするエレン達だったが、何やら多くの人混みが起きている場所が目に入った。

 

何でも『神会(デナトゥス)主催・グランド・デイ特別イベント!! オラリオで一番美しいのは誰だ!? 最強美女コンテスト!』が開催されているようだった。司会進行役は【ガネーシャ・ファミリア】の主神ガネーシャと【デメテル・ファミリア】の主神デメテルが行っていた。

 

さらには、美女コンテストの大会委員長兼制作総指揮兼『美女コンテスト制作委員会』会長の肩書きを持つ会長。神ヘルメスの姿まであった。その姿を見たエレン達は『何やってるんだ、あの神は?』と同じことを思っていた。

 

会場は大いに盛り上がっており、次々と様々な衣装を纏った女性たちが会場に上がっていき、その中には今朝あったばかりの神ヘファイストスの姿まであった。

 

 

「えっ?ヘファイストス様!?」

 

「もしかして……。椿さん、最初からこれが狙いだったんじゃ……」

 

「多分ねぇ。ヘファイストスはこんな事には興味ないと思うし、大方、椿君あたりに言いように丸め込まれたんじゃないかな」

 

 

会場はまさかの女神の登場に大盛り上がり。隣にいるヴェルフは大声で『ヘファイストス様ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』と大きな声で声援を送っていた。もはや勝敗は決まったと思った瞬間……。

 

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』

 

 

出場していた【ロキ・ファミリア】のアマゾネス姉妹に引っ張られる形で会場に現れたのはなんと、リヴェリアだった。彼女は白をベースにした衣装を纏っており、その姿を見たエルフの声援は、それはもう凄まじいものだった。その規模はヘファイストスの時の声援を遥かに上回る規模の声援。何なら、リヴェリアの主神たるロキがステージの上で『これで優勝はウチらのもんやー!』と早々に優勝宣言をする始末。

 

さらには……。

 

 

「わっははは!やっぱりウチのはカワイイわ!どっかの()()()()とは大違いだわぁ!」

 

「は?」

 

「エレンたん?だっけ?フィンやリヴェリアが褒めるぐらいの治療師(ヒーラー)がおるみたいやけど、あんな貧乏女神に捕まって。()()()()()()()()()()

 

「はぁ?」

 

「ふひひ、この優勝を機に、ウチの【ファミリア】に来てくれんかなぁ?()()()()()()()()()やしなぁ!」

 

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

 

なんとロキはステージの上でヘスティアの対する挑発行為を行っていた。ロキはこの場所にヘスティアがいることには気づいてはいないが、先日から自身の眷属(子ども)達からユニコーンの話や18階層の時の『ポイズン・ウィルミス』の猛毒から眷属(子ども)達を助けてもらった事を聞いている。

 

本来冒険者と言えば、我欲に埋もれている連中が多く、弱味を見せれば骨の髄までしゃぶり尽くされる場合が多い。そして、エレンは貴重な治療師(ヒーラー)。『仲間が危ないんだろう?なら分るよなぁ!』と言って相手の足元をみて、相手が大手の【ファミリア】であっても、不利な要求を突き付けてもおかしくはなかった。

 

しかし、エレンは違った。エレンは猛毒に苦しむ眷属(子ども)達を無条件に救ってくれたり、さらにはこれと言った見返りを求めてこなかった。あったとすれば、拠点の滞在許可と少しの食料等の譲渡。リヴェリアなどを含めた回復魔法を使える者からのアドバイスなどを受けた程度のものだった。

 

『ポイズン・ウィルミス』の解毒を【ヘファイストス・ファミリア】の団員の数も合わせて40人。どんなに少なく見積もっても1000万ヴェリス相当の金額を請求できる要求をエレンはしてこなかった。ここまでくれば最早『偽善者』と言われてもおかしくないが、エレン本人は……。

 

 

「えっ?『何で助けてくれるのか?』ですか?う~ん?目覚めが悪いから……とか?」

 

 

と曖昧な返答をしていた。まぁ、半分はヘスティアの精霊が混ざっているせいであり、ヘスティア譲りの善性が原因。残り半分はエレン本人の性格だった。それでも、エレンは見返りとして、自分を含めた仲間の拠点の滞在許可や食料などを分けてほしい。と言った要望をしっかりと伝えたりとした『交渉』も行っていた。

 

フィンやリヴェリアから見れば、その交渉はエレンの成果に比べれば余りにも低い要望であり、やや偽善よりの交渉ではあったが、相手が大手の【ファミリア】であっても、しっかりと自分の意思を伝える『勇気』があり、そこはフィンとリヴェリアも買っており、ロキも気に入っている。

 

もし、これが見返りも求めない()()だったら、ロキが気に入ることはなかったが、仲間の事を考え行動を起こし、相手が自分より格上であろうと自分の意思をしっかりと伝える根性を持っているエレンをを大層気に入っていた。

何なら、エレンが【ロキ・ファミリア】に改宗(コンバージョン)しようものなら、主神権限を使って、()()()で迎えようとしていた。

 

話を戻すが、ヘスティアはロキの発言に怒り心頭。自分より母性が高いとかほざいているあの『嘆きの大壁(乳無し)』を始末するべく、今すぐステージに上がり『母性の塊()(物理)で殴り殺してやる!!!と言っているヘスティアをエレンが取り押さえていた。

 

 

「離せぇ!!エレン君!!これは『証明』なんだ!!ボクはあの嘆きの大壁(乳無し)に本当の母性とは何なのか『証明』しなければならないんだ!!」

 

「胸の大きさで母性を証明しようとしないでください⁉」

 

「とにかく離せーーー!あと、ボクの大切な精霊(子供)を奪おうとするロキを始末しないといけないんだ!!今!!ここで!!」

 

「だから駄目ですって!?何トンデモナイことをやろうとしてるんですか!?大丈夫ですって、貴方の精霊(子供)は何処にも行きませんから、ね?」

 

「え?ホント?えへへ。嬉しいなぁ……。でも、こればかりは譲れないんだぁ!!!」

 

「駄目だこりゃーーーーーっ!!!」

 

 

結局エレンはヘスティアの暴走を止める事が出来ず、ステージに殴り込みに行くことになってしまった。だが。そこは『神』と言うべきか……。ヘスティアは()()()()『美女コンテスト』に()()()()()ことでロキにギャフンと言わせようと企んでいた。

 

 

 

***

 

 

 

「てめぇこらぁ!なんでリヴェリア様の高貴な魅力がわからねぇんだぁ!?」

 

「てめえこそ()()()()()()ちゃんのきゃわいさを理解しやがれボケぇぇ!」

 

 

ヘスティアがエレンを連れてどこかに消えて少し経った頃。会場ではちょっとした……いや、徐々に激しさを増す、暴動が起きていた。リヴェリアの登場で彼女の優勝が決まっと思っていたが、そこに神ディオニュソスが登場。なんと、サプライズ登場として自身の眷属。【ディオニュソス・ファミリア】の団長。フィルヴィス・シャリアが登場。彼女は【白巫女(マイナデス)】の2つ名を持つ冒険者だが、冒険者の間では【死妖精(バンシー)】と呼ばれているなど、少々訳アリのエルフだった。

 

そんな彼女が主神が選んだ衣装を纏い、さらには最近できた親友のレフィーヤの後押し(物理)で会場に登場。普段の冷たい印象の彼女と多くの人の前に引っ張り出されたことによる『恥じらい』のギャップで多くの男の心を鷲掴み。リヴェリアに並ぶぐらいの声援を勝ち取っていた。

 

そこまでは良かった。だが、問題は()()だった。殆どがリヴェリア派とフィルヴィス派に分かれる結果になり、勝敗が付けられない状況になった。さらには互いの『推し』のぶつけ合いに発展。場所によっては喧嘩に発展している処もあった。

 

この状況を収めるには2人の勝敗を決めるか、2人以上の人物を登場させるしかない状況に、聖火を司る女神。ヘスティアがステージに登場した。

 

 

「やぁ、ロキ。助けてあげようか?」

 

「な⁉ドチビっ、なんでここにいるんやぁ!!」

 

「なんで?とはひどいなぁ~、せっかくこの騒ぎを終わらせてあげようとしたのに……」

 

「……なんや自分。この騒ぎをどうにかできるんかぁ?」

 

「確かに、君の所のハイエルフ君や、ディオニュソスの所のエルフ君は綺麗だ。そこはボクも認めよう」

 

「当たり前やぁ!!ウチのリヴェリアが綺麗なのは当たり前やぁ!!」

 

「むぅ、聞き捨てなあらないなぁ、ロキ。それなら、私のフィルヴィスだって負けてはいないぞ?」

 

「「(当の本人を置き去りにして、何を言っているんだ……)」」

 

「だが、もうエルフが覇権を取る時代は終わった!!時代は……『男の娘』の時代だぁ!!」

 

「「な、何ぃぃぃぃぃっ!!!」」

 

「さぁ、出ておいで!!ボクの可愛い可愛い精霊(子供)()()()()ちゃん!!!」

 

 

ヘスティアの掛け声でステージ奥から会場の警備をしていた【アストレア・ファミリア】の団員。アリーゼ、イスカ、ノインに引っ張りだされる青髪の美女?が登場した。この3人はヘスティアの『この騒ぎを止める手がある』との提案を聞き、『面白そう!!』とまさかの娯楽染みた感情で承諾。

 

 

「……はぁ?」

 

「えっ?嘘!?」

 

「ねぇ、あれって……」

 

「えぇぇぇぇ、もしかして、エレン・エウロギア!?」

 

「……エレン。本当にお前、なのか?」

 

 

同じステージにいる者でその青髪の美女?の正体に気づいたのはヘファイストス、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ、リヴェリアだけだった。ほかの者は『あの美女は誰だぁぁぁぁぁぁ!!!』とここに来て更なるサプライズ登場に大いに盛り上がっていた。

 

3人によってエレンは会場の控室に連行。そこからお洒落好きのアマゾネス・イスカの手によって近くに置いてあった『メイド服』を着させて、化粧で軽く顔を整えて、()()()()()()()()()()()()に変装。これにはヘスティアは大満足!青髪のせいか、なんとなくアルテミスに似てなくもない感じになったが、立派な美女?に仕立て上げる事が出来た。

 

一方のエレンは顔が真っ赤の状態で体をプルプルと震えていた。しかも、ステージには顔見知りがおり、何なら彼女達には正体が既にバレている。ロキに至っては『リアル男の娘キター!』と大興奮。エレンは『コロ、シテ、クレ…』と涙がらに呟いていた……。

 

 

「さぁ、()()()()ちゃん!会場のみんなに一言お願いしまーす!」

 

 

仕舞にはヘルメスだ。この『メイド服』はヘルメスが用意していた物であり、参加者の殆どは衣装を持参しており、誰にも着られることなく、放置されていた物だった。会場が荒れに荒れまくった状況で『運営責任者』として責任を取らされそうになったヘルメスが責任から逃げようと控室を通って逃げようとしていた所にメイド服を着たエレインちゃんと遭遇。

 

『これなら行けるぞぉ!!!』とエレインちゃんと一緒にステージに上がり、騒動の終息を図ろうとしていた。一応ヘルメスから即興の台本はもらってはいるが、『みんな~♪声援ありがとう~♪エレインちゃんに、投票をお願いしま~す♪』であり、もはや憤死レベルのやばい台本だった。

 

さらには会場にいる観客からは『エレインちゃん~!』と大きな声援が聞こえてくる状況。エレンの頭の中はもう余りの屈辱的な感情で完全に支配され、真っ白状態。ただ、『言わないといけない』ってことだけが頭の中を駆け巡り、もう一人の創造神(母親)()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恥を知れ! この豚ども!」(アルテミス似の声)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ぶふぅうううううううーーーッ⁉」」」

 

 

エレンは何故かもう一人の創造神(母親)。アルテミスが『天界』で自身の水浴びを覗いた男神(豚ども)に言い放った言葉と全く同じことを言い、あまりにも似た声にアルテミスを知るヘスティア。ヘファイストス、デメテルは盛大に噴き出してしまった。エレンは余りにも屈辱的な扱いに『もう知るかぁー!』とヤケクソ状態で顔を真っ赤にした半泣き状態で罵声を飛ばした。

 

 

 

一方、観客の反応は……。

 

 

 

『ありがとうございまーす!』

 

『うわぁ、キモッ⁉』

 

 

反応は大好評。正確にはヘルメス、ガネーシャ、ディオニュソス、ロキを始めとした男達(豚ども)(+中身おっさんの自称女神(ロキ))はエレインちゃんにお礼を言い、それを聞いた会場にいる女性達がごみを見る目で男達(豚ども)にドン引きしていた。エレンはもう我慢の限界になり、泣きながら会場から逃走。暴動を未然に防ぐことはできたが、エレンにとっては一生消えない『黒歴史』になったのであった。

 

さらにはこの影響は此処だけに留まらず、【歓楽街】で『メイド服』なる『特異点(文化)』が生まれ、【歓楽街】の売り上げに大いに貢献。『謎のメイド美女エレインちゃん!』は【歓楽街】で伝説的な存在として、語り継がれる存在になったのであった……。




ここまで読んでいただきありがとうございました。


メイド服を着たエレインちゃん!の登場でした。この先もたびたび登場するかも?

『エレインちゃん』誕生の経緯はこれといった理由はありません。理由があるとすれば、お冷めな子(サメのメイド)が踊っている曲を聴きながら小説を書いていたのが原因です。


ヘスティア
 エレインちゃんを見れて大満足!たまにエレインちゃんになってほしい!とお願いしているがエレンに全力で拒否されている。

エレン(エレインちゃん)
 なぜか、元々着ていた服が無くなっており『エレン』に戻れなくなり、控え室でパニック状態になっている。(犯人は正義の団長)

エイナ
 エルフのギルド職員達から感謝され、大パニック。さらには母(アイナ)からの手紙には『貴方がエルフ達の救世主の担当アドバイザーになるなんて、母はとても鼻が高いわぁ!』と書かれておりさらにパニック状態に。後日、エレンを徹底的に問い詰めていた。

『グランド・デイ限定シリーズ』
 特級相当の呪物に()()()()(製造者はシル)。エレンの回復魔法の浄化の対象範囲に含まれる。回復魔法をかけると綺麗に燃えて消滅する。もはや『食べ物』ではない。

ロキ
 『男の娘』を拝めて大興奮!その後自分の眷属(子ども)から割とガチ目に拒絶されて落ち込んでいる。あと、リヴェリアにメイド服を着てほしい!と頼んだら氷漬けにされた。

ヘルメス
 後に【歓楽街】で『メイド服』なる『特異点(文化)』を作るのに貢献して【ヘルメス・ファミリア】の財源が大いに潤ったとか何とか……。

ディオニュソス
 フィルヴィスにメイド服を着てほしい!と頼んだら拒否され『発作』が発動。フィルヴィスは涙ながらにメイド服を着て、主神の『発作』を抑えている。

フィルヴィス
 主神の『発作』を抑える為に定期的にメイド服を着る羽目になっている。あと、エレンから同類(主に苦労人)の気配を感じて、レフィーヤ並みに仲良くなれそうな気がしている。
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