聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか 作:フェイト・
22話 【メレン】
『ベヒーモス』亜種を討伐してから2日が過ぎ、お祭り騒ぎだった『オラリオ』も落ち着いた頃、エレンは
元々は『ロログ湖』と呼ばれている場所で猛毒を放つモンスターが現れ、多数の怪我人が出たとのことで
最も治療はすぐに終わり猛毒を放つモンスターはエレンの新たに判明した【スキル】の一部で
主神のヘスティアからは『最近働きすぎ!!』とお叱りを受け、数日の休暇も兼ねたちょっとした旅行で来ている。とは言っても特にすることがなかったので、『護衛』として【ニョルズ・ファミリア】の漁に参加していた。
大抵のモンスターは繁殖したことで弱体化をしているのでLv.1ぐらいの強さだったのでエレン1人で十分に対応可能だった。
エレンが殆どのモンスターを
「おい、エレン。あんたまだ釣りなんてやってんのかよ?」
「……大物が、あと少しで大物が釣れそうなんだ!?」
「……そもそも何を釣ろうとしてるんだ?」
「マグロ!!!」
「まぐ……ろ?」
エレンに声をかけてきたのはロッドと呼ばれている【ニョルズ・ファミリア】の団長をしている男である。元々は【ニョルズ・ファミリア】の主神のニョルズ様の紹介で乗せてもらい護衛をしていたが、大方時間ができたので準備していた釣り道具でこっちの世界に存在しているのか分からない『マグロ』を狙っている。
因みに釣り道具とか言っているが、実際は前回の作戦で使われた
さらには『餌』を準備するのを忘れたエレンは、途中で仕留めた
「……おい、あれで本当に魚が釣れるのか?」
「そもそも、『まぐろ』ってなんだ?」
「新種のモンスターか?」
周りではなんかひそひそ話が聞こえてくるが気にしてはいけない。だって久々の『海』にテンションが上がっていた状態で始めた釣りだったが、時間が経つにつれ『これで本当に釣れるのか?』とエレン本人の不安になっているのだ。
すると……。
「……!! き、きたーーーー!」
『えっ?マジ!?』
海に沈めていた鎖がもの凄い勢いで引っ張られた。エレンは必死に鎖を引っ張るがビクともしなかった。ロッドを含めた大勢の漁師が手を貸してくれたお陰で何とか、少しづつ鎖を引っ張り上げることができた。
なお、釣れたのは……。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』
「お前かぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
食人花だった……。
***
「ロキ、船が!?」
「あかん、アイズ達
食人花の実力は個体差が激しいが最低でもLv.3の力を持っている。『オラリオ』以外の冒険者じゃひとたまりもない強さだった。
それでも……。
「なにっ、なになに!? 食人花を倒した!?」
「えっ!?嘘ですよね?」
2つの船に巻きついていた2匹の食人花はほぼ同時に
「女神、カーリー……!」
一隻には【ロキ・ファミリア】の姉妹がとある女神の名を口にし、もう1隻の船には……。
「エレン……?」
「いや~、危なかった~!」
「……マジか、あの一瞬で射貫くのかよ……どんな芸当だよ?」
先日、エレンの【
その内容は『弓の装備時、発展アビリティ『射手』の一時発現。補正効果はLv.に依存』である。
この内容を見たヘスティアに『君は『発展アビリティ』の最高数保持者でも狙っているのかい?』と言われてしまった。
確かに条件を全部満たせば合計5つの『発展アビリティ』を発動できるので、そう言われても当然である。さらには内容的にあと1つ
港に到着することはできたが、何やら騒然としていた。具体的にはエレンが乗っていた船とは別のもう1隻の船から降りてくるアマゾネスの集団の先頭にいる砂色の髪をした姉妹らしきアマゾネスの姉妹と【ロキ・ファミリア】のアマゾネスの姉妹が一触即発の雰囲気を漂わせていた。
「……なんで【ロキ・ファミリア】がここにいるの?」
「さぁ?何でも調べものがあるってここに来たみたいだぞ」
「調べもの?」
もしかしてあの食人花のことだろうか?とエレンは思った。エレンが食人花を仕留めることができたのは、アルテミスからの
打撃に強く、魔石を狙う習性や魔力に反応する特徴を持っており、
「大丈夫だったか、エレン?アイズ達から食人花から襲われたと聞いたが……」
「あ、リヴェリアさん。
「……」
エレンに声をかけてきたのはリヴェリアだった。エレンはリヴェリアの問いかけに対して弓を前に差し出し『
弓とは『ダンジョン』でも使われる武器ではあるが『矢』を多く消耗してしまう武器であり、殆どは先制攻撃などに使われる武器である。
さらには狙った的に当てるのにも相当の鍛錬を必要であり、手に軽く収まるぐらいの魔石を矢で射貫くのは至難の業である。
そんな扱いが難しい弓であの食人花を討伐したエレンの報告を聞いたリヴェリアは驚きを隠せなかった。それも当然、エレンが弓を扱ったのは今日が
今エレンが装備している弓は【ミアハ・ファミリア】のナァーザから借りた物であり、そこで
それでも、エレンがこれだけの弓の腕を持っているのは
アルテミスである。かの女神は貞潔を司っているが『狩猟』も司っている。弓を使った狩猟や短剣を使った近接戦闘を得意としており『武神』の顔も持っている。
何でもその気になれば第一級冒険者相手でも大方勝てるくらいの実力を持っている。
そして、エレンはそのアルテミスの『分身』……精霊が混ざった存在であり、アルテミスから見ればエレンは自身の
それによりエレンは
それでも、アルテミスの影響を受けたのは
それでも【
「よ~!ドチビの所の青年やないかぁ~。無事やったか~」
「あ、ロキ様」
リヴェリアとそんな会話をしていると、船から降りてきたアマゾネスの集団と話が終わったのか、ロキがこちら側にやってきた。如何やら
「あっ、この人はニョルズ様が
「ニョルズの奴が?」
「正確には神デメテルを通して
「ん?エレン本人に直接か?普通は冒険者が【ギルド】などで依頼を受注するハズだが……」
「……これを」
「「ん?」」
それでも稀に仲の良い【ファミリア】同士で
それでも前者は【ファミリア】同士の主神の仲が良くないと成立しないし、後者は難癖を付けて
なのでエレン本人に直接依頼を出したことに疑問に思ったリヴェリアがエレンに理由を尋ねると、エレンは
「「【出張
「……最近、ウチの【ファミリア】で始めたビジネスです……」
***
「ガハハッ!!おいヘスティア、そなたの
「帰れ!!!」
「「「……」」」
『ベヒーモス』亜種の討伐祝いの宴が終わった翌日、廃教会に客人が来た。【ディアンケヒト・ファミリア】の主神のディアンケヒト、【ディアンケヒト・ファミリア】の団長のアミッド、ベルとエレンの担当アドバイザーをしているエイナの3名である。
扉を叩く音が聞こえたのでヘスティアが対応しようと扉を開けた途端、ディアンケヒトの先程のセリフが飛んできたのである。
当然、ヘスティアがその要求に応えるはずがなく扉を思いっきり閉め鍵を閉めた。扉の向こうでは『ヘスティア!!ここを開けんかぁ!!ワシ等は【ギルド】からの要請に応えておるのだぞ!!』とディアンケヒトの大声と扉を叩く音が廃教会の中に響いていた。
しかし、ディアンケヒトの『【ギルド】からの要請』がどうしても気になったエレンは『とりあえず、話だけでも聞きませんか?』と扉が開かないように死守しているヘスティアを説得して何とか話し合いの場を設けることができた。
「……で?ボ・ク・の!エレン君を向かえに来たとは、どういう意味かな?」
「ガハハッ!!その事についてはこの娘が説明したほうがよかろう。ほれ」
「……神ヘスティア、こちらを」
ディアンケヒトから催促され、エイナがとても申し訳ない様子で一枚の羊用紙をヘスティアに渡した。羊用紙の中身を読んでいく内にヘスティアの表情はみるみる青ざめていき……。
「ボ、ボボボ……ボクのエレン君を取り上げるだってぇぇぇぇぇぇっ!?」
ヘスティアが悲鳴のような大声を上げ、読んでいた羊用紙を空中に放り投げ隣に座っているエレンに『ボクのエレン君は誰にも渡さないぞー!』と泣き付いた。
エレンとベルは突然の出来事に困惑するがエレンはヘスティアの頭を片手で撫で何とか宥めながら、空中に放り投げられた羊用紙をキャッチしてベルと一緒に中身を確認した。
中身は……。
「「【エレン・エウロギアの
まさかの内容だった。ベルはその内容見てエレンにもたれかかるように気絶……。エレンはまさかの通知に若干パニックになりながら羊用紙の中身を読んでいった。
長々と様々な内容が書かれていたが要約すると現在【ヘスティア・ファミリア】では優秀な回復魔法を扱うエレンを腐らせている状態であり、これは『オラリオ』の大きな損失である。速攻、【ロキ・ファミリア】や【ディアンケヒト・ファミリア】のような大きな派閥に
「エイナさん、これはどういう意味ですか?」
「えっと、『グランド・デイ』の時の負傷者の治療や『ベヒーモス』亜種討伐作戦の活躍を知った【ギルド】の上層部の人達の『エレン・エウロギアを大手の派閥で活躍させるべきだ!』といった声が多くてね。今大手の【ファミリア】にエウロギア氏の
「本人の意思は?」
「一応、本人の意思は尊重されるみたいだけど……その」
「……まぁ、あまり期待できないですよね」
本人の承諾無しでここまで勝手なことをしているのだ。あまり期待できないだろう。こっちは久しぶりの睡眠をとることができ、いい一日になりそうだったのに既に雲行きが怪しくなってしまった。
一応、
「アミッドさん達が今日来た理由って……」
「……ご想像通り、エウロギア様の
「……お疲れ様です」
どこか疲れた様子のアミッド。大方、ようやく落ち着いたと思った途端、ディアンケヒトの速攻スカウトに駆り出されたんだろうとエレンは推察した。
しかし、エレンは
無視してもいいが、後で変な言いがかりでもされたら溜まったもんじゃない。今度あの
エレンは『どうしたもんかぁ』と考え込んだいると、
「『ギルド』の事でお困りかな、エレン君?何なら『交渉』を司るオレが手を貸そうか?」
「……ヘルメス様」
乱入してきたのは神ヘルメス。ここ『オラリオ』で最も胡散臭い神代表と言っても過言ではない神である。後ろでは無断侵入に頭を痛めたアスフィが『……お邪魔してます』と申し訳なさそうに頭を下げていた。
「……エイナさん、【ヘルメス・ファミリア】にも受け入れ要請を出したんですか?」
「う~ん。そんな話は全く聞いてないんですけど……」
「いや~、
「「(絶対嘘だ!!)」」
ヘルメスが胡散臭い笑いを見せながら『
エレンは全く気が乗らなかったが、ヘルメスの考えを聞くことにした。その内容が……。
「……その内容が
「はい、必要に応じて【ギルド】を介して
「……ほう」
神ヘルメスの提案はエレンのを他派閥に『応援』といった形で
ヘルメスはそんなエレンを1つの派閥のみに絞るのは
さらにエレンの主神ヘスティアはヘファイストスやアストレアなど多くの神々と友好な関係を持っている女神だ。下手にヘスティアの眷属を取り上げるような事をすれば、他の神々の反感を買うと
最終的には神ヘスティアは『貸し出し』には
「何なにー?何話してるのー?」
「えっと、【出張
「
「いつの間に……」
気づいた時にはエレンの周りには【ロキ・ファミリア】の
「あの~、男性陣の姿が見えないんですけど……」
「フィン達は
「留守番?」
「【ギルド】から外出許可もらう取引きとして
「……
「いやー残念やわー!
「……」
ロキが『ホントーニザンネンヤー!』と口では言っているが顔がまんざらでもない表情を浮かべていた。神ロキは女神なのに可愛い女の子が大好きな性癖を持っていることで有名である。そのせいで【ファミリア】の半分以上が女性であり、男性陣は肩身が狭いとか……。
さらに女性陣は全員美女だ。
「つまり、こっちが『エレンたんを貸してくれー!』って言ったら、来てくれるんか?」
「それはヘスティア様次第ですね。
「なんや!あのドちびの許可がいるんかー!!」
「当然だろう、ロキ。エレンは他派閥の
「キィィィィィ!!!」
まさかあの
一方、
「フィン、そっちはどうだった?」
「ン~、こっちは空振りだったね。と言うかロイマンも知らなかったみたいだ」
「であろうな……」
「他の手の空いている団員達にも情報収集を頼んでいるけど、空振りに終わりそうだね……」
フィンとガレスはある人物を調べていた。ザルドである。死んだと噂されていた【ゼウス・ファミリア】の幹部。
しかも、Lv.8に【ランクアップ】を果たし、『オラリオ』最強の冒険者【
「しかし、ザルドがあの【ベヒーモス】の猛毒を克服したというのは本当か?」
「どうだろうね……会話を聞いていたアイズはそう言っていたと証言しているけど、僕も未だに信じられないよ」
「【ランクアップ】を果たし、何かしらの【スキル】を発現させ、猛毒を克服したか……」
「その猛毒を
アイズが聞いた話を元に各々の考えを出すが、全て憶測である。フィン達もザルドが生きていた
フィン達がここまで調べている理由は……。
「『
「流石に『
ザルドが発言した『精霊』のワードが気になったフィンとガレス。以前の『遠征』で59階層で戦った『
「『
「ン?あぁ、あの『宝玉の胎児』の事かい。彼にそれとなく聞いてみたけど、
「ふむ……。そうすると、ただ寄生に失敗しただけか?」
「或いは、
さらに『
先日、酒の席でフィンがエレンに声をかけたのは何か知っていないか探りをかけるためだった。だが、エレンは
エレンが知っているのは女神アルテミスを取り込んだ『アンタレス』が『
それ以上の事は何も知らされていないので『宝玉の胎児』の事を何も知らなかった。
「まぁ、そのエレン・エウロギアも色々と大変そうみたいだね」
「例の【ギルド】の要請か……。すぐに『誤報』の通知が来たが何があったんだか……」
「何でも、神ヘルメスの介入があったみたいだよ?神ヘスティアの眷属を無理やり奪うような事をすると、他の神々の反感を買うってね」
「しかし、そのエレンを
「あ~、『これ』のことだね」
フィンが【ギルド】で情報収集をした帰りに入手した
本来、
「しかし、フィンよ。そんなに慌てた様子でどうした?いつもと様子が違うように見えるが……?」
「ン~。『親指』がちょっと……ね」
「なんじゃ?ザルド以外にも
「『勘』だけどね……」
「止してくれ……。お主の『勘』は当たるんじゃ。しかし、ザルド以外で生き残りとなると……」
「……【ヘラ・ファミリア】」
「ガハハハッ!それこそ、あり得んじゃろ?生き残っておるとすれば……」
「【
「「……」」
フィンは朝から『親指』の疼きが止まらなかった。その名はザルドと同じく三大
ザルドと同じく『
もし、ザルドと同じく『不治の病』が完治していたら?そんな当たってほしくない考えがフィンの頭の中を駆け巡っていた。
何しろ、10代でLv.7になり、才能に愛された『才禍の怪物』。そんな人物が『不治の病』を克服し、ザルドと同じく【ランクアップ】を果たしていたら?と考えるだけでフィンの背筋はゾッとした。
***
「『あのアマゾネスの集団には気をつけろ』……か」
エレンはリヴェリア達に事情を話し、あと2日ほどは【メレン】にいる事を伝えると、リヴェリアから先ほどの忠告を受けた。
そして、エレンは【メレン】にある
他の宿泊客は『煩い』とのクレームでその女性の手によって物理的に追い出されたとのこと。おかしいな……心当たりがあるぞ?
だが、他の宿は先ほどのアマゾネスの集団が占領しており、空いている場所がなかった。エレンは覚悟を決め、別荘の扉を開け、建物の中に入った。
「……」
別荘に中は不気味なほど
すると、少し離れた扉が開き、1人の女性が姿を見せた。
風呂上りだろうか?全身から湯気が立ち上っており、白いバスタオルで体を覆っている姿だった。
何より、腰にかかるぐらいの
「あ、入る建物を間違えました!失礼します!!」(ガシッ)
エレンはすぐにこの建物から脱出を図ろうとしたが、顔を鷲掴みにされ捕まってしまった。
「何か言い残すことはあるか?」
「この
エレンは今日の夕食としてもらった
鷲掴みされたエレンの顔からギシギシと鳴ってはいけないような音がしていた。
エレンの全力で女性の手から解放されるべく力を込めるがビクともしなかった。
「イダダダダダッ!!
「【
「ぶふっ!?」
エレン、
ここまで読んでいただきありがとうございました。
早いアルフィアとの再会でした。この時のアルフィアは
エレン
【
アルテミス
的に刺さった矢を綺麗に射貫くことができる。(ちなみにエレンはできません。アルテミスの眷属達でも無理です……)
アルフィア
ヘラ
アルフィアと再会を果たし『不治の病』が完治し【ランクアップ】を果たしたことに驚いていた。理由を尋ねるがベルが関わっている部分もあり、ヘラには説明していないが代わりにゼウスの居場所をチクっている。
ゼウス
ヘラに捕まり監禁中。ヘラと手足が手錠で繋がれた状態。眷属のザルドには売られた……。
ザルド
ゼウスの巻き沿いを避ける為に