聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか 作:フェイト・
「神様ッ!? みんなは大丈夫でしょうか……?」
「今はみんなを信じるんだ、ベル君!! ヴェルフ君はLv.2になったんだろう?サポーター君もいるし、深追いはしないさ!───それに」
「それに?」
「ボクの
「?」
「と・に・か・く!! ボク達は【ギルド】に向かうぞ、ベル君!!」
「は、はい!! 神様」
ベルはヘスティアを抱きかかえた状態で、【ギルド】を目指して走っていた。
しかし、ベル達の後を追ってくる冒険者達を迎え撃つため、ヴェルフとリリが殿を務めることになり、ベルとヘスティアの2人のみになっていた。
ベル達の目的は【ギルド】で神ヘスティアを保護してもらうことである。
このような『抗争』に発展した場合に最優先でやらないといけないことがある。それは
自身の眷属に『恩恵』を与えた神が『天界』に送還された場合は、その眷属達の『恩恵』は一時的に『封印状態』となり、
このような最悪の事態を防ぐために、真っ先に主神の身の安全を優先させるものだと、万が一に備えてエイナがベルとエレンに教えていた知識である。
エレンが『廃教会』に残って【アポロン・ファミリア】の足止めを買って出たのもその為である。
自身が【アポロン・ファミリア】に狙われている身であってもエレンにヘスティアの『恩恵』が刻まれている以上、アポロンはエレンを自身の眷属にすることはできない。
ゆえに、エレンはヘスティアの安全のために、自身よりレベルが高いベルが傍にいれるように殿を買って出たのだ。
そして、そのエレンはというと……。
「貴方は一体何なのよ!? 斬っても、射抜いても、焼いてもすぐに
「それはこっちのセリフだ!! いい加減に全滅しろよッ!? あと何回ぶっ倒せば気が済むんだよ!!」
「貴方1人に私達の班全員が負けるわけにはいかないでしょう!!」
エレンは回復魔法を纏った状態で、ダフネと交戦を続けていた。
しかし、ヒュアキントスやリソッスなどの冒険者達は【白雪】を駆使しても足止めまではできず、ベル達の後を追って行ってしまっていた。
ゆえに『これ以上の先には行かせない!』と思う意志で、何度も【白雪】を使った結果。辺りが
しかし、エレンはLv.1の冒険者でダフネはLv.2の冒険者。その力の差は歴然だが、エレンは【
それでも、ほかの【アポロン・ファミリア】からの攻撃に晒されたりしてダメージを負い、痛みを感じているが、
斬られようが、矢で射抜かれようが、魔法で焼かれようが『【
魔法に関しては【
そんな感じで少しずつ【アポロン・ファミリア】の団員達を倒していったエレンだが、全滅には至っていなかった。
その理由が……。
「【ソールライト】!」
「あぁぁぁぁぁ!!
『お前が言うなぁぁぁぁぁぁッ!!!』
ダフネの足止めを食らって、復活していく冒険者達の姿を見たエレンが怒りの声を上げるが、ダフネや復活した冒険者達全員がエレンに指を差して怒鳴り返した。
向こう側の
エレンも回復魔法を使える
エレンの回復魔法は手に触れられる程近づかないといけないデメリットを抱えているため、治療対象者の傍まで近づかないといけないが、カサンドラは自身の回復魔法の特性を最大限にいかして、負傷者全てを癒している。
無論、
その小隊を何とか倒そうとしても、後方で控えているカサンドラの回復支援で瞬く間に回復され、振り出しに戻されてしまう『イタチごっこ』の状態。
エレンの
「【白雪】!!」
「『魔剣』来るよっ!! 回避してッ!!」
エレンが『魔剣』に手を添えたのを確認したダフネが直ぐにほかの仲間に全力で回避するよう大声で指示を飛ばした。
エレンの放った魔剣【白雪】の猛烈な冷気が【アポロン・ファミリア】の冒険者を襲うが、寸での所で回避。なお、先程までいた場所には氷の道ができていた。
エレンは自身の【
しかし、唯でさえ通常の『魔剣』以上の威力を出せる『クロッゾの魔剣』の威力を底上げさせた魔法の直撃は、『恩恵』を得た冒険者でも下手をすれば命を落とす危険もあるため、エレンは最小限の威力で放つしかなく、決定打にかけていた。
そのせいで、何度も攻撃を躱される羽目になり、ここまで戦闘が長引いた結果になったが、エレンは『魔剣』を撃つ
「あっ」
エレンが放った【白雪】はダフネ達の小隊が避けた結果、そのまま直進して
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?? おのれぇっ!!【アポロン・ファミリア】!!!」
『いや、お前のせいだろうッ!? こっちのせいにするなぁッ!!!』
エレンの放った【白雪】は【ヘスティア・ファミリア】の
『廃教会』に【アポロン・ファミリア】の魔法が直撃して破壊されないように離れた場所で戦っていたことが仇となってしまった。
最初こそは気を付けていたが、対人戦闘の経験の無さがエレンの余裕をジワジワと削ってゆき、最終的には頭から抜け落ちてしまっていた。
エレンは全力で【アポロン・ファミリア】のせいにしようとしたが、
すると、ダフネの小隊とは別の班の冒険者が、ダフネの方にやってきた。
「ダフネ。ここまでだ、引き上げるぞ!」
「えっ? もしかして神ヘスティアを捕らえることができたの?」
「いや、その神ヘスティアが我ら
「……逃げ切れないと考えて、僅かな望みにかけたのかな。まぁ、無駄なことだけど……」
団員からの報告を聞いたダフネは剣を収めて小隊のメンバーに撤退の合図を出し、エレンの方を振り向いた。
「ねぇ、そこのあんた。エレン・エウロギアに伝えなさい。貴方の主神が
「えっ、マジ!?」
「そう。私達の目的は達成したみたいなもんだから、もう行くわね」
「待てゴラァ!! 人の
「それはあなたのせいでしょうがぁッ!!!」
ダフネ達は、撤退の準備を完了させ、この場を立ち去って行った。
エレンはというと、既に満身創痍の状態だった。回復魔法の連続行使と魔剣強化のための魔力供給で
手持ちの
「(戦闘が続いていたら……負けていたなぁ~)」
最後の1本の
エレンにとって対人戦闘は18階層の時と合わせて2回目。
ベルはアイズから戦闘技術を多少は伝授されているが、エレンは全くのド素人。『技と駆け引き』といったものを何一つ持っていなかった。
今回の戦闘は大盾で相手の攻撃を防ぎつつ、大盾で相手を殴り飛ばしたり、
本格的に戦闘技術を身につけないといけないなぁと実感しながら、このどう動こうか考えていると、とある【ファミリア】の集団がやってきた。
「……通報を受けて急いでやってきたが、遅かったか」
「……【ガネーシャ・ファミリア】」
やってきたのは【アストレア・ファミリア】と同じく【オラリオ】の秩序を守っていることを活動目的にしている派閥。
その団員数は都市最強派閥の【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】を超える
そして、やってきた部隊の指揮を執っているのは、【ガネーシャ。ファミリア】の団長。シャクティ・ヴァルマ。アーディ・ヴァルマの姉にあたる人物である。
恐らくはさっきまでの戦闘で通報を受けてやってきたんだろうとエレンは予想したが、ここで1つの問題が起こった。
・通報場所には1人の謎の人物が立っている。
・周りは分厚い氷で沢山の建物が氷漬けになっている。
・手にはこの現象を引き起こしたものと思われる
もし、この現状を神々が見れば『スリーアウトッ!! そしてゲームエンドッ!!』と言いそうな状況になっていた。
さらに、シャクティ達が受けた通報内容は『【アポロン・ファミリア】が暴れている』と『建物がどんどん氷漬けになっている』の2つである。
前者はアーディの部隊の任せているので、シャクティは後者の対処に向かっていた所だった。
シャクティはゆっくりとエレンに近づき、腰に付けていた
「【オラリオ】内での戦闘は禁止事項だ。さらに建造物に対する破壊行為の罪で逮捕する!」
「違うんですぅぅぅ!? これは全部【アポロン・ファミリア】が悪いんですぅぅぅ!!」
「話は
『はっ』
「待ってくださぁぁぁぁぁぁいッ!? 話をッ、話を聞いてくださぁぁぁぁぁぁい!?」
Lv.5の【ステイタス】と慣れて手つきでエレンに手錠を付けたシャクティは、そのまま部下達に連行するように命じた。
一方のエレンは気づいた時には手錠を嵌められており、先程まで戦っていた【アポロン・ファミリア】の冒険者以上の実力を持つ【ガネーシャ・ファミリア】の憲兵達によって連行されていった。
まさか、逮捕されると思いもよらなかったエレンは必死に抵抗したが、日々『都市』を守るために鍛え続けてきた憲兵達に敵う道理はなかったが『あれ? この女以外に力あるくね?』と思った憲兵達によってロープでぐるぐる巻きにされ、神輿感覚で連れていかれてしまった。
「団長。少しよろしいでしょうか?」
「どうした、アーディの方で何か問題でも起きたのか?」
「いえ、【アポロン・ファミリア】が追いかけていた【ヘスティア・ファミリア】の主神の神ヘスティアが向こう側の
「はぁ~。神々の連中はどうしてそんなに盛り上がれる?
団員からの報告にシャクティは大きくため息を吐きながら、片手で頭を押さえていた。
何しろ『下界』に降りてきた神々の大半は
無論、ルール無用の『殺し合い』ではなく、神々が話し合いで『競技』や『ルール』が決められている以上……多少マシな部分もあるが、開催されるまでの準備は膨大なものだった。
さらに、今の【オラリオ】では、
先の見えない状況に又しても大きなため息を吐きながら、シャクティは一枚の手配書をのぞき込んだ。
「一体どこにいるんだ。エレン・エウロギア」
何しろ、報告では【
「総員!! 急いでエレン・エウロギアを見つけだせッ!! しかし、エルフ達には気取られるなッ!!」
『はっ!!!』
***
「えっと、本当にいいんですか? 力を貸してもらえるって」
「私は、直接力を貸すわけじゃないから……君が頑張って、それから……」
「ウンウン、あくまで戦うのはアルゴノゥト君、だって!」
「それに、フィンからも、『助けてやってくれ』って……」
「えっ!? フィンさんがですか!?」
「う~ん……。正確には
「あ、あ~~~」
アイズの説明にティオナが補足をつける形で説明してくれた。
現在、エレンは昨夜の出来事がきっかけで、【オラリオ】中のエルフ達から命を狙われている状況であり、これには【ロキ・ファミリア】のエルフ達もリヴェリアを除いた殆どのエルフ団員達が参加しているのだ。
団長の立場のフィンも自派閥の者が他派閥の者を始末するなど、問題でしかないので、他の団員達にエレンの捜索を命じている所だった。
アイズとティオナは2人組のペアでエレンの捜索をしている所に、【ロキ・ファミリア】の
そこで、ベル達が【アポロン・ファミリア】と
ベルにとっては願ってもないことだったので、その場ですぐに承諾した。
すると……。
「あっ! いたいた!! ベル君、大変ッ!? 大変なことになったよ~~~!!!」
「えっ!? あれはアーディさん?」
「ホントだぁ! お~~~いッ!!」
遠くの方から此方に全速力で走ってくる人影があった。ベルにとっては【オラリオ】に来たばかりの時によくお世話になった相手であり、ティオナにとっては『英雄譚オタク』でよく色々な英雄譚の話で盛り上がる話し相手である。
「ごほぁッ!!??」
「「あっ」」
ベル達の所に全速力で走ってきたのはシャクティ・ヴァルマの妹のアーディ・ヴァルマ。
よっぽど慌てていたのか、勢いを落とさずにベルに目掛けて猛烈な突進をかましたアーディ。
彼女も最近Lv.5に【ランクアップ】した冒険者であり、ただの突進でも物凄い威力になっており、ぶつかったベルをはるか後方に吹っ飛ばしていた。
「うわ~~んッ 大丈夫だった? 【アポロン・ファミリア】が総出でベル君達を追い回していたって聞いたよ!! 怪我とか無い? どこか痛い所とか無い? 」
「ア、アーディさん……ギ、ギブ……」
【アポロン・ファミリア】に追われている時以上のダメージを食らったベルをお構いなしに肩を揺らして、無事かどうかの確認をするアーディ。
その行為でグロッキー状態になっているベル。その姿を見たアーディが、さらに肩を揺らして瀕死状態に追いやるが、駆け付けたアイズとティオナがベルからアーディを引き剝がしたことで、何とか一命を取り戻した。
「ねぇねぇ、アーディは何か伝えることがあったんじゃないの?」
「あっ! そうだった!? ねぇベル君、エレンがどこにいるか知らないッ?」
「エ、エレンさんですか……?」
「そうそう!! 今お姉ちゃん達が一生懸命探しているだけど、大変なことになっちゃたの!!」」
「大変な……こと?」
「うん!! 早く見つけて保護してあげないと……!!」
「えっ? レフィーヤ達が何かやったの?」
「違うの!? ラーファル・リヨス・アールヴが【
「らーふぁる?」
「りよす?」
「あーるぶ?」
「
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!???』
アーディの口から出てきた衝撃の情報。ハイエルフの王であり、リヴェリアの父親でもあるラーファル・リヨス・アールヴがここ
さらに、軍隊のオマケつき。ハイエルフに無礼を働いたら、世界中の
【オラリオ】に軍隊を引き連れてくる行為は、明らかに侵略行為と見なされるが、相手は
そのハイエルフの王までも『
ゆえに、エルフ達に捕まる前に先に見つけ出し、保護しないといけない。
アーディから事態の深刻さを聞いたベルは【ヘスティア・ファミリア】の
さらに、エレン本人が『変装』しており、見た目が大きく変わっていること。変わった見た目を出来る限り正確に伝えたが……。
「ねぇ、ベル君。これ本当にエレンなの?」
「うん、女の人にしか……見えない」
「……私より胸が大きい」
「あ、あはは……」
ベルが話した情報を元に、アーディが似顔絵を描いてみたが、誰がどう見てみ知っているエレンとは違って見える容姿をしていた。
何なら、【オラリオ】中にばら撒かれている手配書と見比べても、ただでさえ、本人とは見ていない手配書が、別人レベルで全く似ていなかった。
しかし、これで探している人物の姿を確認できたことで捜索が一段とラクになる。アーディは急いで、
「おーい! アーディ!」
「あっ! イブリだ! おーい!」
遠くの方からアーディに声をかけたのは同じ【ファミリア】に所属している仲間のイブリ・アチャー。【
「イブリイブリ!! こんな人見なかった?」
「ん? あ~~、見たぞ。この女性。なぁ、見たよな?」
アーディは手書きに似顔絵をイブリに見せると本人を含めた数名の団員達が『ウンウン』と頷いた。
「えっ! 本当にッ!? 何処? 何処で見たの? 教えてよ、イブリ!!」
「見たって言うか……団長が
「へっ?」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!??』
***
「だ・か・ら!! 本当に自分がエレン・エウロギアなんですぅ!! 信じてくださいーーー!!!」
「この手配書とは全く違うみたいだが?」
「そもそも
「はぁ~~~」
場所は【ガネーシャ・ファミリア】の
エレンは多くの建物を氷漬けにした『器物損害罪』や【オラリオ】内での『魔法』を使用した戦闘行為の罪でここに運び込まれて、取り締まりを受けている。
戦闘行為を行ったことについては、【アポロン・ファミリア】も同罪だが、彼らは既に【ギルド】に今回の騒動のペナルティとして、莫大な罰金を既に支払っており、処理積み扱いになっている。
しかし、目の前の人物は別だ。
目の前の人物は自身をエレン・エウロギアだと言っているが、アーディから聞いた容姿や手配書の容姿とは全く異なっている。
最終手段として、『
『
そんな時に……。
「シャクティ! 呼ばれてきたぞ!! そして、俺が、ガネーシャだ!!」
「来たか、ガネーシャ。早速で悪いんだが、この女の言っていることが本当かどうk『むぅ、エレンじゃあないか……』───は?」
取り調べ室に入ってきたのは【ガネーシャ・ファミリア】の主神の神ガネーシャ。
シャクティは神々には下界の住人の嘘を見破る力を利用して、目の前の人物が嘘を言っているのか、いないのかの見分けようと考えていた。
しかし、神々は
そのお陰で、無事にエレンの身元が証明され、何とかエルフ達に見つかる前に『保護』されることになったエレン。
しかし、状況は何も解決はしていなかった。
未だにエルフ達は『
さらには、ハイエルフの王が【
とりあえず、エレンを無事に『保護』できたことを報告するために、シャクティは【アストレア・ファミリア】の
ここまで読んでいただきありがとうございました。
『廃教会』は原作では完全に破壊されていますが、この作品では何とか無事です……氷漬けになっていますが。
ハイエルフの王様。初めて『森』を出た理由が
エレン
そろそろ『強化イベント』が発生するのが確定している。おや、エレンの様子が……。
シャクティ
アーディから話を聞いていたが、全く見た目が違っていて未だに困惑している。
アーディ
今作はベルの修行相手に加わる予定。そのお陰で、ヒュアキントス戦の時は原作よりも圧倒的優勢で戦えている。
ラーファル・リヨス・アールヴ
激おこエルエル