聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

29 / 37
29話 逮捕ーーーーーーーー!!!

「神様ッ!? みんなは大丈夫でしょうか……?」

 

「今はみんなを信じるんだ、ベル君!! ヴェルフ君はLv.2になったんだろう?サポーター君もいるし、深追いはしないさ!───それに」

 

「それに?」

 

「ボクの精霊(子供)はとっても強いんだ。アポロンの眷属(子ども)にも負けないさ!」

 

「?」

 

「と・に・か・く!! ボク達は【ギルド】に向かうぞ、ベル君!!」

 

「は、はい!! 神様」

 

 

 ベルはヘスティアを抱きかかえた状態で、【ギルド】を目指して走っていた。

 

 しかし、ベル達の後を追ってくる冒険者達を迎え撃つため、ヴェルフとリリが殿を務めることになり、ベルとヘスティアの2人のみになっていた。

 

 ベル達の目的は【ギルド】で神ヘスティアを保護してもらうことである。

 

 このような『抗争』に発展した場合に最優先でやらないといけないことがある。それは()()()()()()()である。

 

 自身の眷属に『恩恵』を与えた神が『天界』に送還された場合は、その眷属達の『恩恵』は一時的に『封印状態』となり、()()()()()()()に戻ってしまう。

 

 このような最悪の事態を防ぐために、真っ先に主神の身の安全を優先させるものだと、万が一に備えてエイナがベルとエレンに教えていた知識である。

 

 エレンが『廃教会』に残って【アポロン・ファミリア】の足止めを買って出たのもその為である。

 

 自身が【アポロン・ファミリア】に狙われている身であってもエレンにヘスティアの『恩恵』が刻まれている以上、アポロンはエレンを自身の眷属にすることはできない。

 

 ゆえに、エレンはヘスティアの安全のために、自身よりレベルが高いベルが傍にいれるように殿を買って出たのだ。

 

 

 

 そして、そのエレンはというと……。

 

 

 

「貴方は一体何なのよ!? 斬っても、射抜いても、焼いてもすぐに()()()!? 不死身なの? 痛みは感じないの!?」

 

「それはこっちのセリフだ!! いい加減に全滅しろよッ!? あと何回ぶっ倒せば気が済むんだよ!!」

 

「貴方1人に私達の班全員が負けるわけにはいかないでしょう!!」

 

 

 エレンは回復魔法を纏った状態で、ダフネと交戦を続けていた。

 

 しかし、ヒュアキントスやリソッスなどの冒険者達は【白雪】を駆使しても足止めまではできず、ベル達の後を追って行ってしまっていた。

 

 ゆえに『これ以上の先には行かせない!』と思う意志で、何度も【白雪】を使った結果。辺りが()()()()のように変わっているが、エレンは全く気付いていなかった。

 

 しかし、エレンはLv.1の冒険者でダフネはLv.2の冒険者。その力の差は歴然だが、エレンは【ウェスタ・ダイモーン(スキル)】の全能力(ステイタス)の超向上の補正と、回復魔法によるゾンビ戦法でダフネに食らいついていた。

 

 それでも、ほかの【アポロン・ファミリア】からの攻撃に晒されたりしてダメージを負い、痛みを感じているが、暴力の化身(アルフィア)のせいで多少に痛みには()()()()()()()()()

 

 斬られようが、矢で射抜かれようが、魔法で焼かれようが『【福音(ゴスペル)】より痛くないな~』と感じてしまうぐらいだ。

 

 魔法に関しては【福音(ゴスペル)】を食らって動けるぐらい頑丈であり、防いだり、避けたりするのがめんどくさくなったエレンは、()()()()()()()()()()()()魔導士を倒しに行くぐらいである。

 

 そんな感じで少しずつ【アポロン・ファミリア】の団員達を倒していったエレンだが、全滅には至っていなかった。

 

 

 

 その理由が……。

 

 

 

「【ソールライト】!」

 

「あぁぁぁぁぁ!! ()()回復されたッ!? そうやって何度も回復するなんて卑怯じゃないかぁぁ!!」

 

『お前が言うなぁぁぁぁぁぁッ!!!』

 

 

 ダフネの足止めを食らって、復活していく冒険者達の姿を見たエレンが怒りの声を上げるが、ダフネや復活した冒険者達全員がエレンに指を差して怒鳴り返した。

 

 向こう側の治療師(ヒーラー)、カサンドラの存在だった。

 

 エレンも回復魔法を使える治療師(ヒーラー)だが、カサンドラの回復魔法は『範囲回復魔法』と呼ばれており、精神力に比例して効果領域を拡大できる魔法である。

 

 エレンの回復魔法は手に触れられる程近づかないといけないデメリットを抱えているため、治療対象者の傍まで近づかないといけないが、カサンドラは自身の回復魔法の特性を最大限にいかして、負傷者全てを癒している。

 

 無論、治療師(ヒーラー)の厄介性を同じ治療師(ヒーラー)であるエレンは当然把握しており、真っ先に倒そうとしたが、ダフネの指揮による小隊によって何度も失敗に終わっている。

 

 その小隊を何とか倒そうとしても、後方で控えているカサンドラの回復支援で瞬く間に回復され、振り出しに戻されてしまう『イタチごっこ』の状態。

 

 エレンの精神力(マインド)も底を突きかけた状況に、ついに仕舞っていた『魔剣』に手を添えた。

 

 

「【白雪】!!」

 

「『魔剣』来るよっ!! 回避してッ!!」

 

 

 エレンが『魔剣』に手を添えたのを確認したダフネが直ぐにほかの仲間に全力で回避するよう大声で指示を飛ばした。

 

 エレンの放った魔剣【白雪】の猛烈な冷気が【アポロン・ファミリア】の冒険者を襲うが、寸での所で回避。なお、先程までいた場所には氷の道ができていた。

 

 エレンは自身の【スピリット・ミラクルム(スキル)】の影響で『魔剣』の破壊を防いだり、回復魔法の出力を上げることで、その威力を底上げさせることができる。

 

 しかし、唯でさえ通常の『魔剣』以上の威力を出せる『クロッゾの魔剣』の威力を底上げさせた魔法の直撃は、『恩恵』を得た冒険者でも下手をすれば命を落とす危険もあるため、エレンは最小限の威力で放つしかなく、決定打にかけていた。

 

 そのせいで、何度も攻撃を躱される羽目になり、ここまで戦闘が長引いた結果になったが、エレンは『魔剣』を撃つ()()を間違えてしまった。

 

 

「あっ」

 

 

 エレンが放った【白雪】はダフネ達の小隊が避けた結果、そのまま直進して()()()()()に直撃することになってしまった。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?? おのれぇっ!!【アポロン・ファミリア】!!!」

 

『いや、お前のせいだろうッ!? こっちのせいにするなぁッ!!!』

 

 

 エレンの放った【白雪】は【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)の『廃教会』に直撃し、分厚い氷に覆われてしまった。

 

 『廃教会』に【アポロン・ファミリア】の魔法が直撃して破壊されないように離れた場所で戦っていたことが仇となってしまった。

 

 最初こそは気を付けていたが、対人戦闘の経験の無さがエレンの余裕をジワジワと削ってゆき、最終的には頭から抜け落ちてしまっていた。

 

 エレンは全力で【アポロン・ファミリア】のせいにしようとしたが、【アポロン・ファミリア】(向こう)側はそれを全力で否定した。

 

 すると、ダフネの小隊とは別の班の冒険者が、ダフネの方にやってきた。

 

 

「ダフネ。ここまでだ、引き上げるぞ!」

 

「えっ? もしかして神ヘスティアを捕らえることができたの?」

 

「いや、その神ヘスティアが我ら本拠(ホーム)に乗り込んできて、戦争遊戯(ウォーゲーム)の合意を宣言した」

 

「……逃げ切れないと考えて、僅かな望みにかけたのかな。まぁ、無駄なことだけど……」

 

 

 団員からの報告を聞いたダフネは剣を収めて小隊のメンバーに撤退の合図を出し、エレンの方を振り向いた。

 

 

「ねぇ、そこのあんた。エレン・エウロギアに伝えなさい。貴方の主神が戦争遊戯(ウォーゲーム)の参加を容認したってね」

 

「えっ、マジ!?」

 

「そう。私達の目的は達成したみたいなもんだから、もう行くわね」

 

「待てゴラァ!! 人の本拠(ホーム)を氷漬けにして逃げる気かぁ!? この卑怯者ッ!!」

 

「それはあなたのせいでしょうがぁッ!!!」

 

 

 ダフネ達は、撤退の準備を完了させ、この場を立ち去って行った。

 

 エレンはというと、既に満身創痍の状態だった。回復魔法の連続行使と魔剣強化のための魔力供給で精神力(マインド)が底を突きかけていた。

 

 手持ちの精神力回復薬(マジックポーション)もさっきのさっきの戦闘で3分の2が使い物ならなくなってしまい、碌に回復できない状態だった。

 

 

「(戦闘が続いていたら……負けていたなぁ~)」

 

 

 最後の1本の精神力回復薬(マジックポーション)で回復をしながら先程の戦闘を振り返っていた。

 

 エレンにとって対人戦闘は18階層の時と合わせて2回目。

 

 ベルはアイズから戦闘技術を多少は伝授されているが、エレンは全くのド素人。『技と駆け引き』といったものを何一つ持っていなかった。

 

 今回の戦闘は大盾で相手の攻撃を防ぎつつ、大盾で相手を殴り飛ばしたり、弓使い(アーチャー)から弓と矢を奪って、遠距離攻撃をしたぐらいである。

 

 本格的に戦闘技術を身につけないといけないなぁと実感しながら、このどう動こうか考えていると、とある【ファミリア】の集団がやってきた。

 

 

「……通報を受けて急いでやってきたが、遅かったか」

 

「……【ガネーシャ・ファミリア】」

 

 

 やってきたのは【アストレア・ファミリア】と同じく【オラリオ】の秩序を守っていることを活動目的にしている派閥。

 

 その団員数は都市最強派閥の【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】を超える()()()()である。

 

 そして、やってきた部隊の指揮を執っているのは、【ガネーシャ。ファミリア】の団長。シャクティ・ヴァルマ。アーディ・ヴァルマの姉にあたる人物である。

 

 恐らくはさっきまでの戦闘で通報を受けてやってきたんだろうとエレンは予想したが、ここで1つの問題が起こった。

 

 ・通報場所には1人の謎の人物が立っている。

 

 ・周りは分厚い氷で沢山の建物が氷漬けになっている。

 

 ・手にはこの現象を引き起こしたものと思われる魔剣(凶器)を握りしめていた。

 

 もし、この現状を神々が見れば『スリーアウトッ!! そしてゲームエンドッ!!』と言いそうな状況になっていた。

 

 さらに、シャクティ達が受けた通報内容は『【アポロン・ファミリア】が暴れている』と『建物がどんどん氷漬けになっている』の2つである。

 

 前者はアーディの部隊の任せているので、シャクティは後者の対処に向かっていた所だった。

 

 シャクティはゆっくりとエレンに近づき、腰に付けていた()()に手をかけていた。

 

 

「【オラリオ】内での戦闘は禁止事項だ。さらに建造物に対する破壊行為の罪で逮捕する!」

 

「違うんですぅぅぅ!? これは全部【アポロン・ファミリア】が悪いんですぅぅぅ!!」

 

「話は本拠(ホーム)で聞いてやる。連行しろ!」

 

『はっ』

 

「待ってくださぁぁぁぁぁぁいッ!? 話をッ、話を聞いてくださぁぁぁぁぁぁい!?」

 

 

 Lv.5の【ステイタス】と慣れて手つきでエレンに手錠を付けたシャクティは、そのまま部下達に連行するように命じた。

 

 一方のエレンは気づいた時には手錠を嵌められており、先程まで戦っていた【アポロン・ファミリア】の冒険者以上の実力を持つ【ガネーシャ・ファミリア】の憲兵達によって連行されていった。

 

 まさか、逮捕されると思いもよらなかったエレンは必死に抵抗したが、日々『都市』を守るために鍛え続けてきた憲兵達に敵う道理はなかったが『あれ? この女以外に力あるくね?』と思った憲兵達によってロープでぐるぐる巻きにされ、神輿感覚で連れていかれてしまった。

 

 

「団長。少しよろしいでしょうか?」

 

「どうした、アーディの方で何か問題でも起きたのか?」

 

「いえ、【アポロン・ファミリア】が追いかけていた【ヘスティア・ファミリア】の主神の神ヘスティアが向こう側の本拠(ホーム)に乗り込み、戦争遊戯(ウォーゲーム)の合意を宣言。現在、それを聞いた神々がその話を広げ始めており、今日中にも【オラリオ】中に広がるかと……」

 

「はぁ~。神々の連中はどうしてそんなに盛り上がれる? 戦争遊戯(ウォーゲーム)の準備にはどれほど時間と労力がかかると思っている……」

 

 

 団員からの報告にシャクティは大きくため息を吐きながら、片手で頭を押さえていた。

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)は神々は神の()()()となる自身の眷属同士が戦う神聖な遊戯(ゲーム)と称されているが、その神意の半分以上が『娯楽』で埋まっている。

 

 何しろ『下界』に降りてきた神々の大半は()()()()であり、戦争遊戯(ウォーゲーム)ほど神々が盛り上がる行事は存在しない。

 

 無論、ルール無用の『殺し合い』ではなく、神々が話し合いで『競技』や『ルール』が決められている以上……多少マシな部分もあるが、開催されるまでの準備は膨大なものだった。

 

 さらに、今の【オラリオ】では、()()()()()の影響で、ほとんどのエルフ達が殺気立っている状況であり、主神(ガネーシャ)からの()()も果たされていない状況。

 

 先の見えない状況に又しても大きなため息を吐きながら、シャクティは一枚の手配書をのぞき込んだ。

 

 

「一体どこにいるんだ。エレン・エウロギア」

 

 

 主神(ガネーシャ)の神意。それは『エレン・エウロギアの保護』だった。詳しい理由は聞いてはいないが、状況は一刻も争っていた。

 

 何しろ、報告では【オラリオ(ここ)】に()()()()()()()が向かっているとの情報を、ここに来る直前にシャクティが入手したからだった。

 

 

「総員!! 急いでエレン・エウロギアを見つけだせッ!! しかし、エルフ達には気取られるなッ!!」

 

『はっ!!!』

 

 

 

***

 

 

 

「えっと、本当にいいんですか? 力を貸してもらえるって」

 

「私は、直接力を貸すわけじゃないから……君が頑張って、それから……」

 

「ウンウン、あくまで戦うのはアルゴノゥト君、だって!」

 

「それに、フィンからも、『助けてやってくれ』って……」

 

「えっ!? フィンさんがですか!?」

 

「う~ん……。正確には()()()()()だけどね。ほら! レフィーヤ達が必死に探しているから」

 

「あ、あ~~~」

 

 

 アイズの説明にティオナが補足をつける形で説明してくれた。

 

 現在、エレンは昨夜の出来事がきっかけで、【オラリオ】中のエルフ達から命を狙われている状況であり、これには【ロキ・ファミリア】のエルフ達もリヴェリアを除いた殆どのエルフ団員達が参加しているのだ。

 

 団長の立場のフィンも自派閥の者が他派閥の者を始末するなど、問題でしかないので、他の団員達にエレンの捜索を命じている所だった。

 

 アイズとティオナは2人組のペアでエレンの捜索をしている所に、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)に向かっていたベルを見つけ、今の至るのであった。

 

 そこで、ベル達が【アポロン・ファミリア】と戦争遊戯(ウォーゲーム)をすることになったことを聞いたアイズ達はベルの修行相手になることを提案。

 

 ベルにとっては願ってもないことだったので、その場ですぐに承諾した。

 

 

 

 すると……。

 

 

「あっ! いたいた!! ベル君、大変ッ!? 大変なことになったよ~~~!!!」

 

「えっ!? あれはアーディさん?」

 

「ホントだぁ! お~~~いッ!!」

 

 

 遠くの方から此方に全速力で走ってくる人影があった。ベルにとっては【オラリオ】に来たばかりの時によくお世話になった相手であり、ティオナにとっては『英雄譚オタク』でよく色々な英雄譚の話で盛り上がる話し相手である。

 

 

「ごほぁッ!!??」

 

「「あっ」」

 

 

 ベル達の所に全速力で走ってきたのはシャクティ・ヴァルマの妹のアーディ・ヴァルマ。

 

 よっぽど慌てていたのか、勢いを落とさずにベルに目掛けて猛烈な突進をかましたアーディ。

 

 彼女も最近Lv.5に【ランクアップ】した冒険者であり、ただの突進でも物凄い威力になっており、ぶつかったベルをはるか後方に吹っ飛ばしていた。

 

 

「うわ~~んッ 大丈夫だった? 【アポロン・ファミリア】が総出でベル君達を追い回していたって聞いたよ!! 怪我とか無い? どこか痛い所とか無い? 」

 

「ア、アーディさん……ギ、ギブ……」

 

 

 【アポロン・ファミリア】に追われている時以上のダメージを食らったベルをお構いなしに肩を揺らして、無事かどうかの確認をするアーディ。

 

 その行為でグロッキー状態になっているベル。その姿を見たアーディが、さらに肩を揺らして瀕死状態に追いやるが、駆け付けたアイズとティオナがベルからアーディを引き剝がしたことで、何とか一命を取り戻した。

 

 

「ねぇねぇ、アーディは何か伝えることがあったんじゃないの?」

 

「あっ! そうだった!? ねぇベル君、エレンがどこにいるか知らないッ?」

 

「エ、エレンさんですか……?」

 

「そうそう!! 今お姉ちゃん達が一生懸命探しているだけど、大変なことになっちゃたの!!」」

 

「大変な……こと?」

 

「うん!! 早く見つけて保護してあげないと……!!」

 

「えっ? レフィーヤ達が何かやったの?」

 

「違うの!? ラーファル・リヨス・アールヴが【オラリオ(ここ)】に向かってきているって報告があったの~~~~ッ!!」

 

「らーふぁる?」

 

「りよす?」

 

「あーるぶ?」

 

()()()()()()()()!? 【九魔姫(ナインヘル)】のお父さんだよ!!!」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!???』

 

 

 アーディの口から出てきた衝撃の情報。ハイエルフの王であり、リヴェリアの父親でもあるラーファル・リヨス・アールヴがここ英雄の都(オラリオ)にやってきているとの情報である。

 

 さらに、軍隊のオマケつき。ハイエルフに無礼を働いたら、世界中の妖精(エルフ)達から命を狙われるといった話は有名だが、ハイエルフの王が動くことになるとは神々でも予想外の出来事だった。

 

 【オラリオ】に軍隊を引き連れてくる行為は、明らかに侵略行為と見なされるが、相手は妖精の王族(ハイエルフ)。対処を少しでも間違えれば『国際問題』に発展する危険性を秘めている種族である。

 

 そのハイエルフの王までも『絶対悪(エレン)狩り』を宣言した場合……。エレンの生存は絶望の絶望的である。

 

 ゆえに、エルフ達に捕まる前に先に見つけ出し、保護しないといけない。

 

 アーディから事態の深刻さを聞いたベルは【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)でエレンが殿として残ったことを伝えた。

 

 さらに、エレン本人が『変装』しており、見た目が大きく変わっていること。変わった見た目を出来る限り正確に伝えたが……。

 

 

「ねぇ、ベル君。これ本当にエレンなの?」

 

「うん、女の人にしか……見えない」

 

「……私より胸が大きい」

 

「あ、あはは……」

 

 

 ベルが話した情報を元に、アーディが似顔絵を描いてみたが、誰がどう見てみ知っているエレンとは違って見える容姿をしていた。

 

 何なら、【オラリオ】中にばら撒かれている手配書と見比べても、ただでさえ、本人とは見ていない手配書が、別人レベルで全く似ていなかった。

 

 しかし、これで探している人物の姿を確認できたことで捜索が一段とラクになる。アーディは急いで、シャクティ()の下に戻ろうとした瞬間……。

 

 

「おーい! アーディ!」

 

「あっ! イブリだ! おーい!」

 

 

 遠くの方からアーディに声をかけたのは同じ【ファミリア】に所属している仲間のイブリ・アチャー。【火炎爆炎火炎(ファイヤー・インフェルノ・フレイム)】の二つ名を持っている団員である。

 

 

「イブリイブリ!! こんな人見なかった?」

 

「ん? あ~~、見たぞ。この女性。なぁ、見たよな?」

 

 

 アーディは手書きに似顔絵をイブリに見せると本人を含めた数名の団員達が『ウンウン』と頷いた。

 

 

「えっ! 本当にッ!? 何処? 何処で見たの? 教えてよ、イブリ!!」

 

「見たって言うか……団長が()()していたぞ?」

 

「へっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!??』

 

 

 

***

 

 

 

「だ・か・ら!! 本当に自分がエレン・エウロギアなんですぅ!! 信じてくださいーーー!!!」

 

「この手配書とは全く違うみたいだが?」

 

「そもそも手配書(それ)事態が本人に全く似てすらいないんですーー!?

 

「はぁ~~~」

 

 

 場所は【ガネーシャ・ファミリア】の本拠(ホーム)。【アイアム・ガネーシャ】の取調室。

 

 エレンは多くの建物を氷漬けにした『器物損害罪』や【オラリオ】内での『魔法』を使用した戦闘行為の罪でここに運び込まれて、取り締まりを受けている。

 

 戦闘行為を行ったことについては、【アポロン・ファミリア】も同罪だが、彼らは既に【ギルド】に今回の騒動のペナルティとして、莫大な罰金を既に支払っており、処理積み扱いになっている。

 

 しかし、目の前の人物は別だ。

 

 目の前の人物は自身をエレン・エウロギアだと言っているが、アーディから聞いた容姿や手配書の容姿とは全く異なっている。

 

 最終手段として、『開錠薬(ステイタス・シーフ)』を使って恩恵(ステイタス)を確認しようとしたが、エレンの【アルテミス・ファヴォール】が『開錠薬(ステイタス・シーフ)』を異物()と判断し、()()

 

 『開錠薬(ステイタス・シーフ)』を使っても、(ロック)が外せない前代未聞の現象が起き、結果的にエレンの身分が証明出来ずの状態が続いていた。

 

 

 

そんな時に……。

 

 

 

「シャクティ! 呼ばれてきたぞ!! そして、俺が、ガネーシャだ!!」

 

「来たか、ガネーシャ。早速で悪いんだが、この女の言っていることが本当かどうk『むぅ、エレンじゃあないか……』───は?」

 

 

 取り調べ室に入ってきたのは【ガネーシャ・ファミリア】の主神の神ガネーシャ。

 

 シャクティは神々には下界の住人の嘘を見破る力を利用して、目の前の人物が嘘を言っているのか、いないのかの見分けようと考えていた。

 

 しかし、神々は超越存在(デウスデア)。目の前のエレンが性別が逆転するぐらいの変装をしていたとしても、エレンを知っている神々なら、一目で見抜くことができる。

 

 そのお陰で、無事にエレンの身元が証明され、何とかエルフ達に見つかる前に『保護』されることになったエレン。

 

 しかし、状況は何も解決はしていなかった。

 

 未だにエルフ達は『絶対悪(エレン)狩り』を続けており、【ヘスティア・ファミリア】は【アポロン・ファミリア】と戦争遊戯(ウォーゲーム)は【ギルド】の承認はまだだが、決まったもののような感じだ。

 

 さらには、ハイエルフの王が【オラリオ(ここ)】に向かってきており、事態はさらにややこしくなるのは明白。

 

 とりあえず、エレンを無事に『保護』できたことを報告するために、シャクティは【アストレア・ファミリア】の本拠(ホーム)に使者を送った。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

『廃教会』は原作では完全に破壊されていますが、この作品では何とか無事です……氷漬けになっていますが。

ハイエルフの王様。初めて『森』を出た理由がリヴェリア()に手を出した不届きものを自らの手で粛清するため。


エレン
 そろそろ『強化イベント』が発生するのが確定している。おや、エレンの様子が……。

シャクティ
 アーディから話を聞いていたが、全く見た目が違っていて未だに困惑している。

アーディ
 今作はベルの修行相手に加わる予定。そのお陰で、ヒュアキントス戦の時は原作よりも圧倒的優勢で戦えている。

ラーファル・リヨス・アールヴ
 激おこエルエル無限灼熱地獄(インフェルノ)状態。ロキの『娘さんください宣言』と同じぐらいブチ切れています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。