聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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今回、少し戦闘シーンを書いてみたんですけど、中々難しいですね
あと、投稿主は一応、原作を読んでいますが、原作設定などが異なる部分が多々あると思いますが、多めに見てください


3話 エレン【ダンジョン】へ

夢を見た。

 

静かで穏やかな黄昏の夢を。

 

 

「『最後の英雄』は……生まれないかもしれない」

 

 

その声は慙愧の声だった……。その表情は儚い表情だった……。彼女に悲しみに囚われてほしくなかった……。

 

 

 

だから……。

 

 

 

「それなら、僕が『英雄に』になる」

 

 

彼女の足が、止まった。

 

 

「僕が、さいごの『英雄』になる」

 

 

小さな子供も足を止め、彼女に訴えた。

 

 

「だから……お母さんっ」

 

 

少年はいつか、この日の選択を呪うかもしれない。背負ったモノの大きさに気付いて、けれどもう引き返せない場所にいて、絶望する日がやって来るかもしれない。

 

それでも、今は……。いや、たとえ、そうなったとしても……。

 

 

「生意気な子供め」

 

 

……この時、彼女の顔に宿った微笑みを瞳に焼きつけ、誇ろう。

 

『英雄』のように、大切な人に笑顔をもたらしたことを。

 

『希望』を指差し、『未来』を示したことを。

 

『理想』を目指して歩みだすと決めた、今日という始まりを。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、少年はたった今から『英雄』となった。

 

 

***

 

 

 

「……夢?」

 

 

ベルは夢を見ていた。もし、あの日。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のもしもの話……。

 

ーーーー『英雄』になる。

 

夢の中の少年は決めていた。沢山のものを背負って『英雄』になると決意していた。

 

ーーーー『英雄』になりたい。

 

自分のそれはまだ『願望』のまま。この英雄願望は、想いは、いつか決意に変わるだろうか。あるいは、違う何かにへと変ずるだろうか。分からない。けれど、進もう。夢で見た少年に負けないように……。

 

 

「ん……」

 

 

朝日が昇りあたりが明るくなり、目が覚めるエレン。昨日は、ベルの【ランクアップ】のお祝いとして、【豊穣の女主人】で夜遅くまで食事を楽しんだベル達一行。ベルは初めてのエールチャレンジだったようで、酔いつぶれたところでお開きになった。

 

シルさんが二階の部屋で泊まっていかないかと提案してきたが、さすがにそこまでお世話になるのも申し訳ないので断ったが、なぜかシルさんは最後まで『泊まっていってほしい!』と終始お願いされたが、同僚の猫人(キャットピープル)に『サボってないでこっちを手伝うニャー』と言われ回収されていった……。

 

そのあとは、ベルを背負って本拠(ホーム)に戻ってきたが、そこにはヘスティア様を背負った神様がいた。名前は神タケミカヅチで、酔いつぶれたヘスティア様をここまで運んできてくれたようだった。タケミカヅチ様にお礼を言い、本拠(ホーム)に一つしかないので、ベットに二人を運んだ。

 

二人ともすでに二日酔いの症状が出始めているようで、苦しそうにしながら『やめて…おじいちゃんが死んじゃうから…やめて……』や『ふざけるな…ボクは…処女神だぞ……』と、うなされていたので気休め程度で【セイクリッドフレア】を行使……だいぶ症状が和らいだのを確認して、近くのソファーで眠りについた。

 

 

「おはようございます。エレンさん。すみません、昨日はここまで運んでもらって……」

 

「ん。おはようベル。二日酔いは大丈夫そう?」

 

「はい!エールを飲むのは初めてだったので、正直覚悟はしていたんですけど……頭痛とか全くなくて……」

 

「んー、回復魔法がしっかりと効いたみたいだね」

 

「え?」

 

 

二日酔いの症状が全くないことに疑問を持っているベルに昨夜のことを説明したエレン。すると、ヘスティア様が起きてきたが、なんだか表情が暗い様子だった……。

 

てっきり、昨日の二日酔いが残っているんだと思い再び回復魔法を使おうとすると、ヘスティア様に止められた。

 

 

「大丈夫だよエレン君……心配してくれてありがとう」

 

「え……でも……」

 

「……ちょっといいかい」

 

「?」

 

 

ヘスティア様に手招きされ、近づくと椅子に上ったヘスティア様に頭を撫でられるエレン。突然の出来事に驚くエレンだが、特に悪い気はしないのでおとなしく頭を撫でられ続けると……。

 

 

「うん。もう大丈夫……」

 

「「?」」

 

 

満足したのかエレンから離れるヘスティア様。それを離れた場所で見ていたベルと頭を撫でられていたエレンはそれぞれの頭に『?』を浮かべる。そのあとは、ヘスティア様のバイト先からもらった、じゃが丸くんを食べるヘスティア一行。

 

朝食をとり、今日の日程をヘスティア様に報告。ベルは新しい防具を揃えるため、バベルに買い物、エレンはリリと一緒に『ダンジョン』に潜るため予定だ。ヘスティア様はバイトは今日は午後かららしいので、午前中は本拠(ホーム)でゆっくり休む予定だ。

 

 

「じゃあ、気を付けるんだよ二人とも。特にエレン君は初めての『ダンジョン』探索だ。無茶だけはしないように」

 

「はい!分かりました。ヘスティア様」

 

「それじゃあ、行ってきます!神様」

 

 

二人の眷属(こども)を見送ったヘスティアは本拠(ホーム)に戻り、ベットにダイブしていた。

 

 

「な~にが、『()()()()()()()()()()()』だ!エレボスのバカヤローーーーーッ!!!」

 

 

それは、昨夜の神様たちの慰めあい(飲み会)にて……

 

 

 

***

 

 

 

「すまない、すまない命…俺が不甲斐ないばかりに……」

 

「あ、あはは、元気を出してくれ…タケ」

 

「そっとしといて上げなさいヘスティア」

 

「そうね……そっとしてあげましょうヘスティア」

 

 

そこにいたのは、極東出身の男神タケミカヅチに女神ヘスティア、女神ヘファイストス,女神アストレアの四柱……今回はタケミカヅチの慰める会と()()()()()()()()の名目で飲み会をしている。

 

タケミカヅチは今回の『命名式』で自身の眷属(こども)に【絶✟影(ぜつえい)】と名付けられ、ヘスティアは『眷属(こども)について相談がある』とヘファイストスとアストレアに相談していた……。

 

 

「にしても、あんたの所に新しい眷属(こども)ね~」

 

「ふふ、一番喜んでいるのはあの子(ベル)でしょうね~」

 

 

ヘファイストスとアストレアは素直に喜んでいた。【零細ファミリア】はその存在だけで中々新しい団員が増えないものだ。そして、ヘスティアとは神友(しんゆう)の仲……少なからず、【ファミリア】を作ったばかりのヘスティアのことを心配していた。

 

 

ただ……。

 

 

「「(()()()()()()()()()()()()かぁ~~)」」

 

 

ヘスティアから話を聞いたときは耳を疑った……精霊だけでも珍しいのに、まさかのハーフ?しかも、ヘスティアの眷属『炉の火』の精霊……あまりの情報の多さにヘファイストスは片手で頭を押さえ、アストレアは何やら考えこんでいた。

 

 

「……一応聞くけど、()()()()?」

 

「う~ん、どうだろう。ボクはすぐに気づけたけど、ほかの神々が気づくかどうか……」

 

 

ヘファイストスが心配しているのは、エレンの正体がほかの神々にばれることである。精霊とは良くも悪くも目立つ存在。しかも彼はハーフ。暇を持て余す神々からしてみればいい玩具になってしまう……。

 

それに、今の【ヘスティア・ファミリア】はベルが『世界最速兎(レコードホルダー)』として注目を集めている存在だった。

 

「……」

 

「どうしたんだい?アストレア、そんなに考えこんで……」

 

「ん?ごめんなさい、何かしら?」

 

「いや、ずいぶん考え込んでたなぁと思って」

 

「……そうね、ちょっと気になったことがあって……」

 

「気になること?」

 

「名前のことでちょっと……」

 

「あ~、それ、私も気になっていたの。『エウロギア』って、神々(私たち)の言葉で『祝福』の意味なんだから」

 

 

『エウロギア』……神々の言葉で『祝福』を意味する言葉。下界の住人が神々の言葉を使うことはほとんどないので、少なくとも彼の名づけ親が『神』であることは容易に想像できる。

 

 

「それについて、心あたりがあるの……」

 

「心当たり?」

 

「えぇ、といってもおそらく当たっていると思うの」

 

「……ちなみに誰なの?」

 

「……エレボス」

 

「はぁ⁉」

 

 

アストレアが心当たりがあると言うので、誰なのか尋ねるとまさかの神物(じんぶつ)に思わあず、大声をあげてしまうヘファイストス。エレボスは、七年前『大抗争』……別名『死の七日間』を引き起こした神である。

 

当時は、ヘスティアは天界にいたがヘファイストスは自身の眷属(こども)とともに武器や防具の制作、整備に追われていた……。

 

 

「元々、『エレン』って名前は、エレボスが下界で偽名で使っていた名前なの」

 

「え?そうなのかい⁉」

 

「えぇ、輝夜達から聞いたから間違いないわ。ただ、今日貴方のところに案内した貴方の精霊(こども)とあの邪神とは名前が同じでも全く、似ていないから無関係だろうって」

 

 

輝夜が当時、『エレン』の名前に反応したのはこれが原因だ。ただ、あの邪神とは似ても似つかず、むしろ正反対のような雰囲気に、()()()()()だと考えたが念のため主神のアストレアに報告を入れている。

 

アストレアも最初は同じ考えだったが、彼のフルネーム、精霊の情報に聞きエレボスのことが頭に浮かんでいた。『エレボスからの祝福』……アストレアが、『エレン・エウロギア』の名前を聞いたとき浮かんだ言葉である。

 

 

「これ、本人に色々確認する必要があるんじゃない……」

 

「そうね、ヘスティア?その子から何か聞いていないの?」

 

「う~ん、特には……あっ」

 

「「ん?」」

 

 

さすがの情報の多さに一度本人に確認する必要があると訴えるヘファイストスとそれに同意するアストレア。ヘスティアは、ほかにエレンから聞いたことがないか尋ねられると、何か思い出したのか一枚の封がされた手紙を取り出した。

 

 

「ヘスティア、それは?」

 

「エレン君から渡されたんだ……『邪神様から預かった』って」

 

「「それを早く言いなさい!!!」」

 

「忘れてたんだ、許してくれよー!!!」

 

 

これまでのやり取りは何だったのか……差出人には『心優しい邪神より』と書かれていた。実際エレンは、邪神様(エレボス)に一度、強制帰宅されている。理由は、『渡すものがあった』である。エレンからしてみれば、スタートダッシュを踏み外されたようなものだった。

 

そのあとは、邪神様から手紙を預かり、今度こそ目的地に転送され、無事手紙を届けることができた。ただ、『教会にいるロリ巨乳に渡してほしい』と言われたときは何を言っているんだと思ったが、本当に言われた通りの容姿に困惑したのは秘密である。

 

 

「はぁ~、それより手紙にはなんて書かれているの」

 

「え~と、ちょっと待っててくれよ」

 

 

ヘスティアは封がされたいる手紙を丁寧にあけ、書かれている内容に目を通していった。

 

 

「……」

 

「ヘスティア。なんて書かれているの?」

 

「……」

 

「ヘスティア?」

 

「……ふ」

 

「「?」」

 

「ふざけるなぁーーーーーーーー!!!」

 

「「⁉」」

 

 

手紙を読んで黙り込んでいたヘスティアを心配していた二神(ふたり)だが、突然怒り出すヘスティア……。全く状況が理解できないが、二神(ふたり)は、今まで空気のような存在ななっていたタケミカヅチにヘスティアを押し付け、手紙を読んで……。

 

 

「「うわぁ…」」

 

 

と、ドン引きしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

やぁー、ヘスティア。元気にしてるかい?エレボスだ。

気づいていると思うが、『彼』は君の炉の火の精霊(子供)だ。『()()』はね……。

結論から言うと『彼』はこの世界とは違う下界の住人……言ってしまえば『転生者』だ。

 

『彼』は神々の怠慢で、死なせてしまってね。そのお詫びとしてこっちの世界で二度目の人生を歩んでもらっている……ただ一つ問題があってね。『彼』の体を用意しようと思ったんでけど、中々彼の魂に『器』が見つからなかったんだ。

 

 

『彼』の元々の『体』は既に無くてね。エルフ、ドワーフ、小人、獣人、アマゾネスのどれも『彼』には合わず、ヒューマンでもイマイチ安定しなくてね……困り果てていたんだ

 

そこで、ヘスティアが不在の間、俺が君の【神殿】の管理を任されてね!君の【火】をちょっと拝借……『疑似精霊』として『彼』と融合させてみたら相性ばっちり!前世がヒューマンだったことも関係するのか『精霊』と『ヒューマン』の『ハーフ』のような存在になったんだ。この際、『半精霊(ハーフ・スピリッツ)』と呼ぶことにしよう。

 

しかし、こうしてみると、アレだ……『君の火』と『俺の神威』でできた『子供』みたいだなw

 

話を戻そう、『彼』には『体』のことは伝えていない。本人は自身を『ヒューマン』だと認識していることだろう……君が『彼』を『精霊』として扱うか、『ヒューマン』として扱うかは君次第だ

君たちの物語が『祝福』に満ちることを願っているよ。

 

 

原初の冥府を司る地下世界の神  エレボス

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「……どうする?」

 

「どうするって言われても……」

 

 

ヘファイストスとアストレアは困惑していた……。今回ヘスティアの所に、新しく入った眷属がエレボスが関わっているのでは?と予想していたがガッツリ関わっていた。しかも、処女神であるヘスティアに『エレボス()』と『ヘスティア(お前)』の『子供』だ☆ なんて言われれば、取り乱して当然だ。

 

現にヘスティアはヤケ酒に走り、タケミカヅチが慰める状況。すっかり立場が逆転している……。

 

 

「少なくとも、ヘスティアの子(エレン)が『精霊』であることは、秘密にしといたほうがいいわね」

 

「そうね。エレボスのことですもの、ほかの神々に気づかれないように何かしらの細工をしていると思うの」

 

 

実際、エレンの体にはアストレアが考えているように『認識阻害』が施されている。仮に、ヘファイストスとアストレアがエレンが『精霊』であることを事前に知っていても、認識するのは難しい。

 

ただし、例外も存在する。ヘスティアは炉の火の神()であるがゆえに気づくことができ、『認識阻害』は『()()()()』には通用しないのだ。

 

「あとは……ミアハとガネーシャには伝えてもいいと思うわ」

 

「ロキとフレイヤは……駄目ね。ロキはヘスティアと仲が悪いし、フレイアは興味を持ったら……最悪、力ずくで奪うかもしれないし……」

 

 

次に考えたのは、この情報を共有できる神々の協力である。【ヘスティア・ファミリア】は2人しか団員がいないファミリア……エレンの正体に気づいたほかの神々が興味示さない訳がない。なので、いざという時の為、今の内に信用できる神々には事情を話し協力を要請しておく必要がある。

 

こうして、ヘファイストスとアストレアはエレンの今後について話し合い、ヘスティアはタケミカヅチに慰めてもらいながらヤケ酒を続けていた。

 

 

 

***

 

 

 

「神様、大丈夫でしょうか……」

 

「多分疲れてただけ、かな?」

 

 

ベルとエレンは、目的地がバベルの塔の為、一緒に行動していた。ベルは今朝のヘスティア様の行動に心配していたが、『きっと疲れているのだろう』とエレン(原因)が言う。

 

バベルの前に広がる中央広場に着くと、自身の体の倍以上の大きさのバックを背負っているアーデさんが先に到着していた。そこでベルと別れて『いざ、ダンジョンへ』とはならず【ギルド】の方へ……。

 

 

「アーデさん、これから『ダンジョン』に行くんじゃないの?」

 

「いえ、その前にエレン様には【ギルド】で講習を受けてもらいます」

 

「講習?」

 

「当然です!昨日の会話からして、エレン様は『ダンジョン』のことを全く知らない様子でしたし、そんな状態で『ダンジョン探索』なんて危険すぎます!!」

 

 

『確かに……』とエレンも思った。エレンは『ダンジョン』やら『モンスター』のことなんて全く知らない……前世で、アニメや漫画などなんとなり予想がつくが、ここがどのようになっているのかは分からない。しかも、戦闘経験なんて当然ない。ならば最低限の知識を付けておかなくては話にならないだろう。

 

だが、エレンはこの時は知らなかった……ベルの担当アドバイザーでエレンの担当にもなったエイナさんが冒険者の間から『妖精の試練(フェイリー・ブレイク)』と、恐れられていることを……。

 

 

 

***

 

 

 

「大丈夫ですか?エレン様」

 

「ハハ、ダイジョウブ」

 

 

何とか?『妖精の試練(フェイリー・ブレイク)』を乗り越えてエレンは午後からアーデさんと一緒に『ダンジョン』に潜っている……因みに、エレンは勉強はそこまで苦手ではなかったが、エイナさんの勉強会はかなりのスパルタだった。

 

最初に見たときは『鈍器かな?』と見間違うぐらいの厚さの本を三冊も持ってきたときはそれはもう驚いた。午後からアーデさんと一緒に行動することを伝えると何とか一冊に減らしてもらったが、それでもだいぶきつかった……。

 

 

「それで、どうですか?エレン様。初めての『ダンジョン』は……」

 

「う~ん、何だろう?不気味いうか、怖いというか……」

 

「最初はそんなもんです。少しずつ『ダンジョン』に慣れていけば大丈夫です。っと、さっそく来ました!」

 

 

初めて『ダンジョン』に入り、その不気味さを肌で感じながら、周囲を見渡していると奥のほうから、()()()()()が聞こえてきた。

 

 

「『ゴブリン』……かな?」

 

「はい。それも()()です」

 

 

奥から出てきたのは小鬼のモンスター『ゴブリン』

漫画とかでは割と序盤に出てくる有名なモンスターだ。『ダンジョン』に入る前にエイナさんから教えてもらった内容にも入っていたモンスター。

 

 

「手伝いましょうか?」

 

「いや、今の自分がどれくらいできるか試したいから一人でやってみたい」

 

「分かりました。では、リリはすぐに援護に入れるように後方で準備しています」

 

「分かった。いざとなったらお願いします。アーデさん」

 

「……リリ」

 

「ん?」

 

「私もベル様と同じ呼び方でいいですよ。エレン様のほうが年上ですし」

 

「……分かったよ。リリ。あと、様呼びとかしなくていいからね?」

 

「それはリリの『サポーター』としての信念みたいなもので……!!!エレン様来てます!!!」

 

 

ここに来るまでにリリといくつか会話をしている。なぜか、ベルとどのような関係なのかを色々と聞かれ、疑問に思っていたがどうやら女性と思っていたらしい……。昨日、絡んできた冒険者もそうだが、やっぱり前世の時の感覚が抜けず、ついつい忘れてしまう。

 

確かに、中性……どちらかというと、『成長したヘスティア様』みたいな感じで、年も前世と同じ二十歳としている。この流れ……リューさんの勘違いしているんじゃあ、なんて考えていると、『ゴブリン』がこちらを補足したようで、一直線に突っ込んできた。

 

こっちの武器は【ギルド】から支給された片手剣一本のみ……。しかも、剣なんて振るったこともないど素人だ。いきなり複数のモンスターを相手にするのは厳しいだろう……。

 

 

「それなら、こうだ!」

 

 

エレンはポケットに入れていたい石を取り出し、ゴブリンに目掛けて投げた。『ダンジョン』に入ってすぐ、投げるには手頃な大きなの石が落ちていたので、拾っていたものだ。当然、ただ石をぶつけただけではモンスターは倒せないが、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『投石』には自信がなかったが、投げた石は一番奥の『ゴブリン』の右目に命中。『ギャア!!」と悲鳴のような鳴き声を上げて倒れこんだ。その鳴き声に反応し、少し先を走っていた二匹目のゴブリンが足を止め、後方を振り返っていた……。

 

 

 

そして……。

 

 

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!」

 

「これで、一対一だぁ!よっと!」

 

 

一番先頭を走っていた『ゴブリン』に向けて、短剣で斬る。ゴブリンの胴体の右肩から左脇腹にむけて、刃が通り向け『ゴブリン』は悲鳴を上げることもなく、『灰』に変わった。エレンは、その勢いで二匹目の『ゴブリン』に向けて走り距離を詰める。

 

二匹目の『ゴブリン』は走ってくる足音に足音に気付いたのか、視線を前に戻そうとしたが、時すでに遅し……その視線は、足音の正体を捉えることはなく、宙を舞っていた。エレンは、今度はゴブリンの細い首に狙いを定め、横に一閃。『ゴブリン』の『首』を跳ね飛ばしていた。

 

そして、三匹目の『ゴブリン』は右目を押さえて、のたうち回っているところに刃を振り下ろし、仕留めた。

 

 

「お見事です。エレン様」

 

「初めての戦闘にしては上々……かな?」

 

「少なくとも、リリが見たところ動き自体は良かったと思います。『戦いの心得』でもおありで?」

 

「いや、戦うのは初めてだったよ。ただ、『一対一を意識』して動いてみた感じかな」

 

「そうですか……しかし、ここは『ダンジョン』。さっきの戦闘が上手くいったからと言って油断しないでください」

 

「うん。分かったよ、リリ」

 

 

今回の戦闘を通して、体が思う道理に動かせることに驚いている……。それが、ヘスティア様から『恩恵』を授かった影響なのか、『邪神様』からもらった『体』のせいなのかはっきりと分からないが手ごたえを感じていた。この調子なら『すんなり攻略できそう』とエレンは考えていた。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

 

 

「か、帰りました……」

 

「お帰り、エレン君。どうだったかい、初めての『ダンジョン探索』は?」

 

「ひ、ひどい目に遭いました……」

 

「ま、まぁ、無事に帰ってきてくれて何よりだよ」

 

 

あの後のエレンは結論から言って()()()()()()()()()……。二足歩行する狼……『コボルト』との戦闘では、先ほどのゴブリンとは違い素早い動きに翻弄されたり……。

 

ヤモリ型モンスター……『ダンジョン・リザード』の奇襲を受けたり……。

 

ようやく『コボルト』を仕留めたと思ったら、すぐ近くの『壁』から五匹の『コボルト』が生れ落ちたりするなど、散々な目にあった……最後のほうは、リリに後ろから援護してもらったおかげで何とかなったが、最悪死んでいた状況だった……。

 

エイナさんから教えてもらった内容を忘れていたわけじゃないが、エレンは初日にも()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そのあとは、エレンがシャワーを浴びている間にベルが買い物から帰ってきて、ヘスティア様達と夕食をとった後は、【ステータス】の更新をしてもらった。

 

 

 

エレン

レベル1

力  :I 0→5

耐久 :I 0→3

器用 :I 0→5

敏捷 :I 0→2

魔力 :I 0→15

 

◾️魔法

聖なる火よ(セイクリッドファイヤ)

 

・回復魔法

・速攻魔法

 

 

【】

 

【】

 

 

 

「……安心する」

 

「えっ?」

 

「な、なんでもないよ!ほら、これが君の【ステータス】だよ」

 

「……トータル30、魔力が一番伸びてますね」

 

「多分、『ダンジョン』で結構、回復魔法を使ったんじゃあないかい?」

 

「……そうですね、だいぶ使いました……」

 

 

実際、エレンは無傷の状態で帰ってきたが、『ダンジョン』では結構ケガをしていた。モンスターから攻撃を受けるたびに回復魔法を使い、受けた傷を癒し、そしてまた攻撃を受けるを繰り返していた。なので、『もう少しを『耐久』の数値が増えてもいいんじゃあ』なんて考えていた……。

 

 

「あっ!そうそう。ベル君がパーティに入ってくれる人を見つかったみたいだから、明日一緒に『ダンジョン』に潜ってくれないかい?」

 

「分かりました。ちなみに相手はどのような人ですか?」

 

「ベル君の話だと如何やら鍛冶師らしいよ」

 

「鍛冶師?」

 

 

ヘスティア様の言葉にエレンの頭の中には『?』マークが広がっていた……。『鍛冶師ってアレだよね、武器や防具とかを作ったりする人のことだよね』と思っており、どうして『ダンジョン』に?とただ、ひたすらに疑問が尽きなかったが……。

 

「まあ、今日は疲れたし……明日聞けばいいかぁ」

 

 

今日は初めての『ダンジョン探索』で回復魔法をたくさん使ったことによりエレンの精神力(マインド)はもうほとんど残っていなかった。エレンの回復魔法は傷や体力を癒せとも、精神力(マインド)は癒せないので、エレンのくたくたの状態……。

 

ヘスティア様からは、『ベッド(こっち)で寝るように!』と言われ、そのまま就寝……。ベルはヘスティア様と一緒にソファーで寝る羽目になった……。




ここまで、読んでくださりありがとうございました
エレンについては、オリジナルの【ハーフ・スピリッツ】の登場でした
『エウロギア』は名前でなんか良さそうなのないかなと探していた時にギリシャ語で見つけたので、採用してみました

今作のエレボスは『子供好き』といった設定を採用しています

アルフィアIFを採用していますが、エレボスはアルフィア達には、出会っていない話にしています。なので『英雄宣言』はしていません。
正確には、アルフィアとザルドを探していましたが、7歳ベルを抱きかかえるアルフィアを見て、誘うのをやめたと言う流れにしようと考えています(【イレギュラー・レコード】の絵をイメージしてもらえば……)

オラリオでは、自爆兵に子供の採用を阻止しており、結果的にアーディは死なずにすんでいます。


『えっ、それってだいぶ無理があるんじゃあ』と思うかも知らないかもしれませんが、大目に見てもらえると幸いです


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