聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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32話 戦争遊戯───開幕です!

「あー、あー! え~みなさん、おはようございますこんにちわこんばんわ。今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』実況を務めさせて頂きます【ガネーシャ・ファミリア】所属、喋る火炎魔法ことイブリ・アチャーでございます。そして───」

 

「俺が、ガネーシャだ!!」

 

「はいっありがとうございましたー! ───そして」

 

 

 

「じゃじゃーん!同じく【ガネーシャ・ファミリア】所属で副団長! そして、シャクティお姉ちゃんの妹のアーディ・ヴァルマだよ!」

 

『『『アーディちゃ~~~~ん!!!』』』

 

 

 

 【ギルド】本部前に設置された舞台(ステージ)で実況を名乗る憲兵の1人と1柱とアイドル枠の1人。

 

 1人は褐色の肌を持った青年のイブリ・アチャーと、【ガネーシャ・ファミリア】の主神のガネーシャ。そして、癒し枠のアーディ・ヴァルマの姿だった。

 

 実況者のイブリの紹介を受けた神ガネーシャが吠え、観衆は一斉に喝采を送り、アーディの挨拶に『アイ♡アーディ』と書かれた服と、光る棒状の魔石製品を振っていた。

 

 アーディ・ヴァルマは『モテる』女性である。

 

 大人の女性としての魅力を持ちながら、少女のような可愛らしさのある女の子。

 

 その相反するような2つの属性を持つ彼女は、神々の間では割とマジで【天使(テー・シオ)】と呼ばれている。

 

 そんな彼女は、調教師(テイマー)としても人気があり、『怪物祭(モンスター・フィリア)』の時には、彼女が大詰め(フィナーレ)を務めるのが定番になっており、そのアーディの活躍を見るために、会場である『闘技場』に来る者も多い。

 

 さらには、神々主体の様々な『ファンクラブ』なるものも存在し、最近では『アーディちゃんに調教(テイム)されたい会』なる団体が、シャクティ主体の憲兵団に検挙されている。*1

 

 しかし、そんなモテる女性。アーディに大きな変化があった。

 

 それが、ベル・クラネルの存在である。

 

 彼の容姿が『アルミラージ』の擬人化のような見た目をしているせいか、調教師(テイマー)のアーディによく抱き着か(捕獲さ)れている姿が目撃され、その光景を見たファン達は口から血を吐いては倒れ、【ディアンケヒト・ファミリア(治療院)】に搬送されるのが、ここ【オラリオ】の日常になりつつある。

 

 アーディから見れば、ベルは可愛い弟か、愛玩動物のような存在だが、ほかの男達からして見れば『アイドルに纏わりつく害獣』にしか見えなかった……。

 

 さらに、ベルとアーディには『英雄譚が大好き』と共通する部分もあり、ベルがLv.2に【ランクアップ】した時には、アーディから最新の英雄譚が書かれた本をプレゼントされている。

 

 しかも、この時には『英雄譚巡り』と称された買い物デートまで行っており、さらに、パトロール中のリューがアーディに捕まり、女性2人に白兎1匹の両手に花の状態になっていたという。

 

 これを目撃した【リヴィラ】を拠点にして活動している冒険者達が血の涙を流したのは言うまでもなく、18階層でモルドがベルに『洗礼』を与えている時にいた周りの取り巻きたちは、ベルに猛烈な嫉妬を抱えたアーディファンだった。

 

 話を戻すが、今の時刻は夜中の8時30分。

 

 当初は『戦争遊戯(ウォーゲーム)』の開始時間は正午の予定だったが、【ヘスティア・ファミリア】側から突然『開催時間を夜まで伸ばしてほしい』との要望があったからだ。

 

 無論、アポロンは最初はこれを拒んだが、今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』は余りにも【アポロン・ファミリア】側が有利すぎるから別によくね?と多くの神々の指摘があり、アポロンもこの要求を飲まざるを得なかった……。

 

 よって、開催時間が正午から夜の9時開催となった今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』。

 

 外では、まだかまだかと、多くの人や神々が『戦争遊戯(ウォーゲーム)』の開催を待ち詫びており、酒場などでは、多くの冒険者や都市外からやってきた人達で溢れかえっていた。

 

 

「え~~~、開催まで少し時間がありますが、ここでなんと! 一足早く『鏡』を置いてもらうことができたので、今回の【アポロン・ファミリア】の防衛拠点の解説をしたいとおもいま~す!」

 

『『『おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』』』

 

 

 アーディが魔石製品の拡声器を使って発表したのは、今回防衛側の【アポロン・ファミリア】の防衛拠点の紹介だった。

 

 既に、舞台(ステージ)の上では、数ある『神の力』の中で、唯一、その力を使うことを許されている『神の鏡』が設置されていた。

 

 この『神の鏡』は千里眼の能力を有しており、離れた場所の映像を見通すことができる特例の力である。

 

 この『神の鏡』の力を使って、早速【アポロン・ファミリア】の防衛拠点の(映像)を映し出したアーディ達だったが、その()()の姿を目にして絶句した……。

 

 

「「ナニアレ?」」

 

 

***

 

 

 

「……なぁ、アポロン。自分、あの要塞にどんだけ金をつぎ込んだん?」

 

「そうだな~、ざっと()()()()()()って所かな、ロキ」

 

『『『馬鹿じゃねぇの?』』』

 

 

 場所は、『バベル』30階層。

 

 『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を誰よりも楽しみにしていた神々の多くが『バベル』に赴いていた。

 

 この場所には、ロキや、珍しく女神フレイヤの姿もあり、美の女神(フレイヤ)の登場に多くの男神達は、『よっしゃー!』と歓喜の声を上げていた。

 

 話を戻すが、『(映像)』に映し出された要塞を見た神々の感想は『マジかよアポロン』だった。

 

 元々、『シュリーム古城跡地』は太古の時代に作られた数ある防衛拠点の1つである。

 

 その殆どが廃墟化してしまっていたが、この『シュリーム古城跡地』は、王国(ラキア)が1世紀以上前まで使用していた影響で比較的『生きていた』城塞だった。

 

 盗賊が占拠していた根城でもあったが、今回の『戦争遊戯』の舞台に決まったことで、【ガネーシャ・ファミリア】の精鋭達が盗賊達を捕縛。

 

 だが、神々からの『なるべく『城』には傷をつけないように』との無茶な要望に応えるために、【アストレア・ファミリア】に協力を要請し、過剰戦力を以て制圧していた。

 

 『シュリーム古城跡地』を傷一つ付けずに奪還することはできたが、その城塞は結構なダメージを受けており、アーディ達は『ボロボロのお城』の印象が今でも強く残っていた。

 

 しかし、『(映像)』に映し出された『要塞』には、()()()()()()()()()()ができており、城壁の上には、『バリスタ』や『大砲』などが設置されてあった。

 

  さらに、『(映像)』に映し出されている【アポロン・ファミリア】の団員達には、『魔剣』と思わしき武器を1人1本装備しており、部隊長は2本装備の大盤振る舞い。

 

 

 

 最後には……。

 

 

 

「おいっ、あれは……!?」

 

『『『ネオアームストロングサイクロンジェットネオアームストロング砲じゃねーか! 完成度高いな、おいっ!』』』

 

『『『おいっ、男神(クズ)共!! 小学生みたいな反応してんじゃねぇ!!』』』

 

 

 一体どっから持ってきたのか、巨大な砲台が要塞の隣に建設されていた。

 

 巨大で、分厚く、長く、そしてとても禍々しい形をしていた。

 

 この巨大大砲を見た男神達は、『ナニ』とは言わないが、変な妄想をし、女神達がそんな男神(クズ)共に冷たい視線を送っていた。

 

 とは言え、あんな巨大砲台を一体どっから調達してきたのか、神々が疑問に思っていると、その巨大大砲に心当たりがあったヘルメスがアポロンに尋ねた。

 

「なぁ、アポロン。あの巨大砲台は、もしかして『巨竜砲』じゃないかい?」

 

「ん? あぁ、その通りだぞ、ヘルメス。【魔法大国(アルテナ)】の魔術師(メイジ)達から貰ったものだ」

 

「……因みに、本物なのか?」

 

「らしいぞ? まぁ、使うつもりは毛頭ないがな! だが、【魔法大国(アルテナ)】の魔術師(メイジ)達がどうしてもっ!、て言うから、ハッタリ目的で建ててもらったんだ!」

 

 

 『はっはっはっ!』とアポロンは高笑いをしていたが、ヘルメスは頭を痛めた。

 

 【オラリオ】は『世界の中心』と呼ばれる場所でもあり、同時に()()()()()()()()()()()()()でもある。

 

 何しろ、【オラリオ】は『ダンジョン』から取れる魔石の利権を独占することで、膨大な富を築き上げている。

 

 それ以外にも、『ダンジョン』では地上より遥かに強いモンスターが多く存在し、そのモンスターと戦いを繰り返すことで、『恩恵』を授かった冒険者達は【ランクアップ】などの成長を遂げることができる。

 

 ゆえに、【オラリオ】は日々、様々な方法で各国から侵略攻撃に晒されており、【魔法大国(アルテナ)】も【オラリオ】を狙っている国の1つである。

 

 

「なぁ、ヘルメス。さっきの、え~となんだっけ?」

 

「『巨竜砲』のことかい?」

 

「そう、それ! その『巨竜砲』って何だい?」

 

「……俺も、風の噂程度しか知らないが、対黒竜専用に開発()()の代物らしいぞ? 何でも上級魔道士数十人分の魔力を1発の『砲弾』として発射させる代物らしい」

 

「……威力は?」

 

「え~と……。アポロン、【魔法大国(アルテナ)】の魔術師(メイジ)達は何て言っていたんだい?」

 

「そうだなぁ~。確か【竜の谷】からやってきたLv.5クラスのはぐれ竜を()()()()()()()らしいぞ?」

 

『『『馬鹿じゃねぇの?』』』

 

 

 Lv.5クラスといえば、『ダンジョン』で例えると下層の階層主。『アンフィス・バエナ』が該当するぐらいの大物である。

 

 そんな竜を一撃で屠れるモノを『戦争遊戯』に持ち込んでくるアポロンに神々は『こいつ馬鹿だろう?』と同じ考えに至った。

 

 

 

***

 

 

 

【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)。『黄昏の館』

 

「アイズ、始まるよ!」

 

「うん」

 

「…………」

 

「おい、リヴェリア。いつまで惚けおけておる? シャキッとせんか!」

 

「う、うるさい! 野蛮なドワーフめ! わ、私は、惚けてなどいない!!」

 

「はっはっはっ! 今のリヴェリアは初めて会ったお転婆姫のようで、懐かしいね」

 

 

 【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)でも、『鏡』を通して『戦争遊戯』の開催を待ちわびていた。

 

 今まで、石化(気絶)していたリヴェリアも今朝にようやく意識を取り戻して、自身が気を失っている間に起きた出来事をフィンから全て聞かされた時は、再び石化(気絶)しかけた……。

 

 ・【オラリオ】中のエルフ達が、エレンの命を狙って『絶対悪(エレン)狩り』を開催していた。

 

 ・ラーファル王(父上)が『森』から出てきて、今【オラリオ】にいる。

 

 ・【ヘスティア・ファミリア】が【アポロン・ファミリア】と『戦争遊戯(ウォーゲーム)』をすることになり、【ヘスティア・ファミリア】が勝った場合はエレンは『無罪』。負けた場合は、エレンが即日『死刑』にされる。

 

 ・そして、『戦争遊戯(ウォーゲーム)』が開催されるのが、今日の夜。

 

 

 苦笑いを浮かべながらフィンが詳細を伝え終わると、リヴェリアが最初に起こした行動は自派閥のエルフ達の暴走を止めることだった。

 

 フィンから『アリシア達なら中庭にいるよ。何か変な儀式?をしているみたいだけど……』との情報を元に、中庭に向かったリヴェリアだったが、そこには目を疑う光景が広がっていた。

 

 アリシアを筆頭にしたエルフ達が、大鍋に次々と『アルミラージ』を始めとした兎型モンスターの『ドロップアイテム』を投げ込んでいき、怪しげな儀式を行っていた。

 

 リヴェリアが中庭に来たことに気づいたアリシア達が『リヴェリア様がお目覚めになられた!』と凄い速さでリヴェリアの周りに集まり、大いにその目覚めを喜んでいた。

 

 そして、リヴェリアが『何をしてたんだ、お前達は?』と尋ねると、アリシア達は自信満々に儀式の内容を説明した。

 

 アリシア達が行っていたのは、『絶対悪(エレン)』を呪い殺す儀式。

 

 リヴェリアの弟子(レフィーヤ)からの情報提供で、『呪術』と呼ばれる『呪い』を扱う魔術儀式に、兎が生贄として使われていたとの情報を元に独自で構築した儀式をやっていたとのこと。

 

 ラーファル王から『戦争遊戯』が終了するまで、エレン・エウロギアに危害を加えるのは禁ずる。と命令が出ているが、彼女達は、『呪詛(カース)ならセーフでしょう♪』との考えに至り、【怨敵呪うべし。慈悲ない作戦】を実行。

 

 『ダンジョン』に潜っては兎型モンスターを狩りまくり、ひたすら大鍋に素材をぶち込んで儀式を続けていたらしい……。

 

 さらに、遅れてやってきたレフィーヤが大量のエレンの手配書と、藁でできた人型の人形を抱えてリヴェリアの元にやってきた。

 

 

「あっ、リヴェリア様! お目覚めになられたのですね! 良かった~!」

 

「……レフィーヤ。お前が持っている大量のそれはなんだ?」

 

「あっ! これですか? これはですね───」

 

 

 リヴェリアの問いにレフィーヤは自信満々にペラペラと喋り始めた。

 

 レフィーヤがやろうとしていたのは【極東】に伝わる呪いの儀式の1つ。

 

 藁人形に、呪う対象の髪の毛や爪などの体の一部を入れて、釘を打つことで、対象に呪いを付与させる儀式とのこと。

 

 生憎、エレンの体の一部を入手できなかったレフィーヤは、今【オラリオ】中にばら撒かれているエレンの手配書を代用品にして、儀式を行おうと考えたらしい。

 

 無論、リヴェリアがそのような行いを許すハズがなく、エルフ全員にリヴェリアの拳骨が叩き込まれた。

 

 さらに、エルフ全員に『私達はLv.1の治療師(ヒーラー)相手に大人げない行為をした悪い妖精(エルフ)です』と書かれた看板をつけて一週間過ごすように命じた。

 

 因みに、アリシア達が行った呪いの儀式は、3分の1は()()()()()()

 

 その日に小さな災いが起きるレベルの呪いから、名前を書かれたら死亡する死神のノートレベルの呪いが実際にエレンに降りかかっていたが、【アルテミス・ファヴォール】の力で、エレンが呪い殺されずに済んでいる。

 

 最も、アリシア達は呪術初心者のため、呪いが上手く発動したのかどうか知るすべもなく、エレンも【アルテミス・ファヴォール】が全自動(フルオート)で無効化したので気がついていなかった……。

 

 そんな彼女達も、映し出された『鏡』の映像で【アポロン・ファミリア】の『要塞』などの状況を把握。

 

 リヴェリアが、『あれもお前らが関わっているのか?』と握り拳を準備した状態で近くにいたレフィーヤに詰め寄り、オロオロするレフィーヤの反応で『黒』であることを確信。

 

 エルフ全員に追加の拳骨制裁が決定した……。

 

 

 

***

 

 

 

「え~~~。それでは、『(映像)』が置かれましたので、最後の説明をさせて頂きます!今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』は【ヘスティア・ファミリア】対【アポロン・ファミリア】!!」

 

「試合形式は『攻城戦』!! 【ヘスティア・ファミリア】の勝利条件は【アポロン・ファミリア】の団長。ヒュアキントスを討ち取ること!」

 

「そしてー! 【アポロン・ファミリア】の勝利条件は【ヘスティア・ファミリア】の代表。ベル・クラネルを討ち取るか、制限時間の3日間。ヒュアキントスを守り抜けば勝利だぞー! そして、俺がガネーシャだ!!」

 

 

 イブリ、アーディ、ガネーシャがそれぞれ、交代で今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』のルールの説明する。

 

 まもなく、開始時刻9時になる5分前。

 

 至る所の酒場では、今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』に対する賭博が行われており、胴元の締め切りの声などが上がっていた。

 

 なお、『(映像)』で【アポロン・ファミリア】の『要塞』を目にした冒険者達の殆どは、【アポロン・ファミリア】に賭け、予想配当(オッズ)は50倍以上になっていた。

 

 それでもなお、【ヘスティア・ファミリア】に賭けたモルドやナァーザは掛け金を回収することなく、何なら上乗せ(レイズ)をする始末。

 

 なお、2人の懐は、これでもかと潤ったとか……。

 

 

 

***

 

 

 

「「それでは、間もなく9時になりま~す!」」

 

 

 実況者席にいるイブリとアーディの声がはね上がる。

 

 冒険者が、神々が、【オラリオ】を訪れに来た様々な者達の視線がこの『鏡』に集まった。

 

 

 

 そして……。

 

 

 

「「『戦争遊戯───開幕です!」」

 

 

 イブリとアーディの号令と共に、大鐘の音と歓声と共に、戦いの幕が開き……。

 

 

 

『『『──────はっ?』』』

 

 

 

 開始と同時に、『要塞』の隣に設置された『巨竜砲』が()()()()()のようなもので射抜かれ、大爆発を引き起こした……。

 

 

『『『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!??』』』

 

 

 『(映像)』でその一部始終を見ていた冒険者達は、驚きのあまり大声で叫び……。

 

 

『『『アポロンのネオアームストロングサイクロンジェットネオアームストロング砲がぁぁぁぁぁっっ!!??』』』

 

『『『お前ら、本当に五月蠅い!』』』

 

 

 バベル30階層にいる神々にも驚きの声が上がっていた……。

 

 だが、それも無理ない。

 

 開始の合図と同時に、冒険者達や、神々の目を釘付けにしていた巨大砲台が突然破壊されたのだ。

 

 『(映像)』に映っている【アポロン・ファミリア】の団員達も、いきなりの攻撃に慌ただしく、事態の把握の為に、動き回っていた。

 

 

「おいっ! 見張りは何をしているっ!? 敵の攻撃を見過ごすとは何のつもりだぁ!!」

 

「ち、ちげぇよ!? 北の方角からいきなり飛んできたんだぁ!! もちろんちゃんと見張っていたが、魔力が発散している気配は全くなかったっ!!」

 

 

 部隊長の獣人の男が見張りをしていた弓使い(アーチャー)の2人に詰め寄っていた。

 

 魔法とは、詠唱文の長さに比例して威力が増すが、その分発散する魔力も大きくなり、気配が察知されやす特徴がある。

 

 この現象は、どの魔導士でも起こる現象であり『都市最強魔導士』と呼ばれているリヴェリアも例外ではなかった。

 

 そして、『巨竜砲』を破壊した先ほどの攻撃は、明らかに長文詠唱クラスの攻撃だったが、見張りの弓使い(アーチャー)達は、攻撃の直前まで気づくことができなかった。

 

 考えられる可能性は、見張りをしていた者が自身の役目を疎かにしていたか、撃ってきた魔法が気配が感じずらい超短文詠唱か、短文詠唱クラスの魔法。

 

 部隊長の獣人の男と、見張りの者たちが、何が起こったのか理解できずにいると、北の方角から再び青い炎の矢が複数……。城壁に向かって飛んできた。

 

 

「ガァァァァァァァァァァッッ!!??」

 

「ま、まただぁ!? さっき『巨竜砲』を破壊したのと同じものだっ!?」

 

「て、敵はっ!? 敵はどこに!!───って、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 見張りに出ている冒険者達が必死に敵の姿を確認しようとするが、城壁が青い炎の矢で破壊された余波で、吹き飛ばされていく。

 

 この城壁はアポロンがエルフ達から支援金を使い、【ゴブニュ・ファミリア】に作らせた防壁だった。

 

 3日という余りにも少なすぎる時間でも、不眠不休で作り上げた【ゴブニュ・ファミリア】の作品はとても立派なものだったが、次々と穴だらけになっていく光景を『(映像)』越しで見ていた【ゴブニュ・ファミリア】の職人達は発狂していたとのこと。

 

 『(映像)』を見ていた観衆も、一体何が起きているのか理解できず、これは【ロキ・ファミリア】や【アストレア・ファミリア】の面々も同様であり、何となく魔法の類であることはわかっていた。

 

 

「……ねぇ、輝夜? あの青い炎の矢って───」

 

「多分、エレンの魔法が関係してそうだが、あの青い炎は回復魔法じゃなかったか?」

 

『『『うんうん』』』

 

「いや、お前ら。忘れていることがあるだろう」

 

『『『?』』』

 

「『魔剣』だよ! ま・け・ん! 【クロッゾの魔剣】限定だが、あいつがその魔剣の威力を底上げできるって言っていただろう! そして、エレンの【ファミリア】にはクロッゾの系譜の鍛冶師がいる」

 

『『『───あっ』』』

 

「忘れてたのかよ……」

 

 

 エレンが【アストレア・ファミリア】のメンバーに訓練をつけてもらっている時に、神ヘスティアから聞いた情報。

 

 エレンは【スキル】の力と、精霊の血を引く一族のヴェルフの作った『クロッゾの魔剣』のコンボで、威力を底上げすることが証明されていた。

 

 しかし、その時には氷の魔剣【白雪】だったが、この1週間でその鍛冶師が新しく用意したものだろうと、戦乙女達が予想していると、『(映像)』が『要塞』を攻撃していた者の姿を捉えた。

 

 北の荒野にある大岩の上から()()()()()()を引く()()()()()()()()()()()で包まれた青髪の人物の姿。

 

 青髪の人物が弓を引こうとすると、魔力のようなもので形成された青い炎の矢が出現し、そのまま【アポロン・ファミリア】の『要塞』に向けて射出。

 

 射出された青い炎の矢は、物凄いスピードで『要塞』に着弾し、大きな砂煙と悲鳴が真っ暗な夜の闇に響いていた……。

 

 

「あ、あれは何だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?? 魔法!? あれは魔法なのか!? ガネーシャ様、あれは一体何なのでしょうか!?」

 

「あれは───ガネーシャか!?」

 

「そんな訳があるハズないでしょう!! ガネーシャ様!!」

 

「やっちゃえ、()()()!!」

 

『『『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!???』』』

 

 

 アーディの大きな声援に、『(映像)』を見ていた観客達は、驚きの声を上げた。

 

 『要塞』を攻撃しているのは【ヘスティア・ファミリア】の治療師(ヒーラー)。エレン・エウロギアだった。

 

 彼が次々に放っている青い炎の矢は、上級魔導士の長文詠唱を超える威力を誇っていたが、『(映像)』に映っているエレンは詠唱を全くしておらず、多くの魔導士達は何が起こっているのか全く理解できていなかった……。

 

 

 

***

 

 

 

「な、なんですかっ!? あれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「う~ん。ねぇ、ティオネ。あれも『魔法』なのかな?」

 

「さぁ? レフィーヤの反応からして『魔法』とは違うんじゃない? あっ!でも、今あの雄が纏っているのは回復魔法の炎だったわね」

 

「うん。エレンの炎は、とっても温かい」

 

 

 本拠(ホーム)に設置された『(映像)』を見ていたレフィーヤは放たれる青い炎の矢の威力がLv.5上位の魔力に匹敵する威力であることに驚きを隠せずにいた。

 

 『魔法』に疎い女戦士(アマゾネス)の姉妹は青い炎の矢の正体が分からず頭の上に?マークが浮かび、アイズはエレンの回復魔法が『温かくて気持ちよかった』と感想を口にしていた。

 

 

「フム。儂にはあの青い炎の矢の絡繰りがちっとも分からん。おいっ、リヴェリア。 あれは『魔法』なのか?」

 

「『魔法』で『魔法』とは言い難いな……。あの青い炎の矢の正体は『()()』だ。ガレス』

 

「何っ!? 『魔剣』じゃと!?」

 

「ほら、彼の持っている大弓をよく見てくれガレス。『魔剣』らしきものが装着されているのが分かると思うよ」

 

「ほんとじゃ! あの青い炎の矢に、気を取られて気づかんかった」

 

 

 ガレスがリヴェリアにあの青い炎の矢の正体を尋ねると、その正体は『魔剣』であると、リヴェリアが告げる。

 

 さらに、フィンが『あの大弓を見てみなよ』と言うとガレスやアイズ達の視線が大弓に集中すると、『あっ!』とその正体気づいた。

 

 エレンの装備されている大弓には『魔剣』と思わしき短剣が装備されており、エレンが大弓を引くと同時に『魔剣』がほんのり光っているのが彼女達の目に映っていた。

 

 

 

***

 

 

 

「【月女神の大弓(タウロポロス)】。それがあの子が使っている武器の名前なの?」

 

「えぇ。『天界』に居た時に、アルテミスが使っていた数ある弓の1つから名前をいただいたわ。まぁ、【月女神の大弓(タウロポロス)】も()()()()の時の名前なんだけどね……」

 

 

 アストレアが近くに座っていたエレンの使っている大弓の製作者(ヘファイストス)に話を聞いていた。

 

 エレンが装備している大弓はヘファイストスが()()()()()を改造して作られたものだった。

 

 この大弓は、『魔剣』が放つ『魔法』を『魔法の矢』に変換する武器。

 

 『魔剣』本来の広範囲の攻撃能力は失われるが、その分一発の破壊力を増大できる。

 

 無論、『魔剣』は使えば使うほど、最後には砕け散ってしまう運命を背負った武器なのだが、エレンには【スピリット・ミラクルム(スキル)】の力がある。

 

 この【スキル】は精霊の血を引いているクロッゾの一族が作った『クロッゾの魔剣』のコンボでその破壊を防ぎ、さらに火力を底上げすることができる。

 

 その結果。エレンは()()()()で、上級魔導士以上の『魔法(火力)』を手に入れることができ、さらに、装填されている『魔剣』を入れ替えることで、様々な属性攻撃を行うことができる。

 

 『(映像)』に映っているエレンは、『要塞』に向かって走り出しており、弓使い(アーチャー)や『バリスタ』を使った冒険者達による矢の雨がエレンに降りかかる。

 

 しかし、エレンはもう1本の紫の魔剣【紫雷姫(しらひめ)】を使い、矢の雨を雷で迎撃。その雷は勢いを落とさずに城塞へと向かい、『要塞』に甚大なダメージを与えていた。

 

 

「(うわぁ……)」

 

 

 エレンは自身の放った魔剣【紫雷姫(しらひめ)】の威力にドン引きしていた。

 

 これはベル達と合流した時にヴェルフから預かった魔剣の1振りである。

 

 今回のエレンの役割は、『要塞』に備え付けられているあらゆる兵器の無力化と、【アポロン・ファミリア】の冒険者達を少しでも引き付けることである。

 

 ベルが大将首であるヒュアキントスと全力で戦えるように、ほかの団員との戦闘で体力や精神力(マインド)を消費させるのはなんとしても避けたい。

 

 ゆえに、現在の【ヘスティア・ファミリア】内で唯一『クロッゾの魔剣』の性能を最大限引き出すことができるエレンが、最も負担の大きな『囮役』を買って出ていた。

 

 あとは、先に潜入しているリリが上手い具合に『要塞』の中にいる【アポロン・ファミリア】を外に誘導する手筈になっているのだが……。

 

 

「ん?」

 

 

 エレン視界の端に、真っ黒い煙の中で動く物体が目に映った。

 

 その動いている物体は『要塞』の隣に建てられた砲台であり、その砲身はゆっくりとエレンに狙いを定めていた。

 

 

「げぇっ!?」

 

 

 

***

 

 

 

「おいっ!? 何やってんだ! あの『巨竜砲』はもうすぐ壊れるんだぞ!?」

 

「だからこそだぁ!! 何もできず朽ち果てるのなら、あの『絶対悪(エレン・エウロギア)』を滅ぼす砲台として使ってやるぅ!!」

 

「これだからエルフはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」

 

 

 手に持っている魔道具(マジックアイテム)を使って『巨竜砲』を操っているリッソスをルアンが必死に止めようとしていた。

 

 このルアンはリリが『変身魔法』で『ルアン・エウペス』に化けている姿であり、敵陣に侵入して、情報集や()()()()をしてもらっていた。

 

 この破壊工作には『巨竜砲』も含まれており、ほかの冒険者に気づかれないように『火炎石』などを仕掛けており、エレンの攻撃に引火させ、破壊力を底上げさせていた。

 

 しかし、この『巨竜砲』。想像以上に頑丈だったようで、砲台がかろうじて()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ボロボロの状態のせいで、最大威力で放つことはできないが、それでも十分すぎる威力。

 

 『ルアン(リリ)』がリッソスの腕にしがみ付いて、必死に魔道具(発射装置)を奪おうとするが、リッソスはそんなリリを強引に振り払い、()()()()()()()

 

 

「死ねぇぇぇぇぇぇっ!! エレン・エウロギアッッ!!!」

 

 

 引き金が引かれた『巨竜砲』は、その巨大な砲身からとてつもない魔力の砲弾をエレンに向けて発射させる。

 

 最初のエレンの攻撃によって『巨竜砲』ボロボロの状態のせいで、威力はだいぶ削がれている。

 

 それでも、『アンフィス・バエナ(Lv.5クラス)』を一撃で葬ることはできなくても、『ゴライアス(Lv.4クラス)』を葬るには十分な威力。

 

 大地を大きく削りながらエレンを飲み込もうとする魔力の塊。

 

 『(映像)』を見ていた冒険者や神々は『あいつら撃ちやがったぁ!!』と目を大きく見開き、『(映像)』に釘付けになっていた。

 

 誰が見てみエレンの生存は絶望的な状況。

 

 死体すら残すことを許さないような攻撃に砲撃に誰もが、エレンの生存を諦めようとした……。

 

 

 

 その時───エレンは『詠唱』を開始した。

 

 

 

「【その炎は、穢れを寄せ付けぬ聖なる火】」

 

「【これは炎、神殿を守る(ほのお)の障壁】」

 

「【その聖火(ほのお)は障壁となって我らを守れ───顕現せよ】!!」

 

 

 エレンは()()()()()()()()()()()の『魔法』を詠唱していた。

 

 この魔法は、【アポロン・ファミリア】の魔法攻撃から『廃教会』を守った魔法であり、とある魔法特性を秘めている魔法でもある。

 

 

 

 その名も───。

 

 

 

「【聖火神殿の守護者(クストス・アエデス・ウェスタ)】!!」

 

 

 詠唱と同時に、エレンの足元に出現した魔法円(マジックサークル)が大きく展開され、その魔法円(マジックサークル)の端から青い炎が出現し、エレンをドーム状の青い炎が覆った。

 

 この魔法は『結界魔法』に分類されるエレンの()()()()()()()()

 

 短文詠唱であり、物理、魔法攻撃の両方に対応。それぞれの耐久力はエレンの『堅守』、『魔防』の数値(ランク)に依存するといった変わった性能になっている。

 

 青い炎のドームが形成されると同時に、『巨竜砲』が放った『砲弾』が直撃。

 

 エレンの『結界魔法』が分岐点になるように『砲弾』が真っ二つに裂け、エレンの後ろには2つの大きな溝が形成され、行き場を失った『砲弾』は、はるか遠い場所で爆発し、大きなきのこ雲を2つ作り出していた。

 

 

 

***

 

 

 

「お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!! エレン・エウロギア選手ッ! 【アポロン・ファミリア】が放った巨大な砲弾を見事に防ぎ切ったぞぉぉぉぉぉ!! ガネーシャ様、あの『魔法』は何なのでしょうか!?」

 

「あれこそがガネーシャだぁ!!!」

 

「真面目に実況してくれませんか!?」

 

「エレン頑張れーーー!!」

 

 

 先ほどの一部始終を『鏡』で見ていた群衆は大きな驚きの声が広がっていた。

 

 誰がどう見てみ『終わった……』と口に出してしまうぐらいの攻撃を、エレンは見事に防ぎきり、再び『要塞』に向けて走り出している姿が映りだしていた。

 

 

 

***

 

 

 

「……硬すぎる」

 

「ん? どうしたのリャーナ?」

 

「いえ、エレンの『結界魔法』が()()()()と思って……。前に使った時は、あそこまで強度は無かったと思うんだけど……」

 

 

 『(映像)』を見ていたリャーナが呟いた言葉に、近くにいたアスタが尋ねる。

 

 エレンのこの『魔法』は、【アストレア・ファミリア】のメンバーも知っている内容であり、耐久テストも行っている。

 

 その時の結果は、Lv.4の魔導士。リャーナやセルティの魔法攻撃で()()()()()()()、短文詠唱の魔法。しかも、エレンがLv.1の【ステイタス】のため、あまり強度が見込めなかった魔法だった。

 

 一応、Lv.2の【アポロン・ファミリア】の魔導士の攻撃を防いだ実績はあるが、今回の戦いでは()()()()()()が加わってくるので、あまり参考にはならないと言われていた。

 

 しかし、今回【アポロン・ファミリア】が使った『巨竜砲』は、リャーナやセルティの()()()()()()()()の攻撃だった。

 

 その攻撃を防ぎ切ったエレンの成長振りにリャーナは『あの後、一体何があったのよ~』とエレンの劇的な変化に、思わず愚痴を零すかのような溜息を零していた。

 

 

「い、急げぇぇぇぇぇっ!! 急いで『結界』を発動させろぉぉぉ!?」

 

 

 『要塞(こちら)』に走ってやってくるエレンの姿を捉えていた見張りの弓使い(アーチャー)が大声で叫ぶ。

 

 エレンは、走りながら【月女神の大弓(タウロポロス)】や魔剣【紫雷姫(しらひめ)】を使い、設置されている『大砲』や『バリスタ』を破壊しながら、走っていた。

 

 

「……むぅ」

 

 

 すると、『要塞』を濃密な魔力で形成された膜で覆われていった。

 

 エレンも急いで、『要塞』の中に入ろうとしたが、想像以上に形成される膜は早く、あっという間に『要塞』を包み込んでしまった。

 

 エレンは『要塞』に侵入するために、【月女神の大弓(タウロポロス)】に装填されている魔剣【火影】でこの『膜』に穴を開けようと、弓を引いたのだが……。

 

 

「……嘘!?」

 

 

 放たれた魔剣【火影】の矢は、『要塞』を覆っている『膜』に傷一つ付ける事ができなかった。

 

 今度は魔剣【紫雷姫(しらひめ)】に全力で魔力を注ぎ込み、本気の一撃を叩き込んだが、結果は同じ。

 

 エレン魔力を帯びている影響で、青い雷となった【紫雷姫(しらひめ)】は、『膜』を突き破ることが出来ず、やがて霧散してしまった。

 

 

「ふ、あはははは! どうだ! 【魔法大国(アルテナ)】の作り出した『対巨竜防御結界』の性能は!! あの『巨竜砲』すら防いだと言う魔術師(メイジ)達の話は本当だったか!」

 

 

 『巨竜砲』の引き金を引いたリッソスが大きな声で笑いながら、『膜』の外にいるエレンをあざ笑っていた。

 

 これは、『巨竜砲』と同じく【魔法大国(アルテナ)】が作り出した結界生成装置。

 

 結界を作り出す超希少(レア)モンスター。『カーバンクル』の『カーバンクルの秘晶(ドロップアイテム)』と大量の魔石を消費させることで作り出せる特殊な結界である。

 

 魔石(燃料)が底を尽きない限り、この『結界』は()()()()()()、仮にこの『結界』に傷や穴をつけることができても、()()()()()()()()()()()厄介な代物である。

 

 しかし、この『結界』は有限の代物で、魔石(燃料)が無くなった途端、『結界』は消滅してしまう。

 

 【アポロン・ファミリア】が用意できた魔石の量は、ヴァリス換算で1千万ヴァリス相当であり、これは『結界』の維持1日分の量だった。

 

 余りにも燃費が悪く、最後の手段に取っていた『切り札』。

 

 しかし、エレンの攻撃を凌ぐには、『結界(これ)』しか方法がなかったが、態勢を立て直すには十分。

 

 リッソスは急いで、態勢を立て直すように指示を飛ばしていると、『結界』の外から鈍い音が聞こえてきた。

 

 

「ん?───はっはっはっ! 馬鹿めっ! この『結界』には物理攻撃にも有効! いくら()()で殴りつけようとも……大盾?」

 

 

 『結界』の外では、エレンが()()()()()()で何度も『結界』を殴りつけて、物理での破壊を試みていた。

 

 この姿を見たリッソスは『無能なヒューマンめ!』と馬鹿にしていたが、エレンの装備を見て、表情が一変した。

 

 何しろ、今のエレンはこの『要塞』を攻撃していた大弓を装備()()()()()()()

 

 その代わりに真っ白な大盾を装備しており、見張りの弓使い(アーチャー)も何が起きたのか理解できずに混乱していた。

 

 

「はぁ~。やっぱり使()()()()()()()~」

 

 

 『結界』を何度も攻撃していたエレンが、攻撃を一旦やめて、深い溜息を吐いていた。

 

 エレン達も目的は、()()()()

 

 エレンの奇襲で、大きな混乱を引き起こしている【アポロン・ファミリア】はエレン達が攻めるには絶好の機会だった。

 

 しかし、この『結界』のせいでこれ以上の攻撃は『要塞』に届かず、【アポロン・ファミリア】に体制を立て直す時間を与えてしまうのは非常にまずい。

 

 元々、使うつもりもなかった『魔法』を使う羽目になるとは……。ザルドには『死人が大量に出るから極力使うなぁ!』と警告されていたが、致し方ない。

 

 エレンは装備している真っ白な大盾を前に突き出すと、格納されている()()()()()を発動させるために、『詠唱』を開始した……。

 

*1
因みに、その団体の中にガネーシャの姿もあった




ここまで読んでいただきありがとうございました。

今まで酷い目に合ってきたエレンの覚醒シーンに入ります! この戦いでのエレンの成長を乞うご期待ください!

『タウロポロス』の名前は、『FGO』のキャラクター。弓使い(アーチャー)『アタランテ』の弓の名前から頂きました。

エレンの纏っている『月に光に似た粒子』は【月女神の加護(アルテミス・ファヴォール)】の最後の1つの効果です。発動条件が『月の光を浴びている間のみ』と厳しい条件ですが、その性能はトンデモナイものです。


エレン
 『エレインちゃん♪』を卒業し、今までの『エレン』の状態になっている。髪はアルフィアに切ってもらった。(ベルもアルフィアに切ってもらっていました)

新しい【スキル】、新しい装備、新しい装飾品の影響でめっちゃ強化されています。その影響で、Lv.3になったベルより強いですが、すぐにベルに抜かれるので問題ないかと……。

アルフィア
 エレンに自身の魔法1つを持たせた魔女。これを見たザルドは『お前正気か
ぁ!?』とドン引きしている。さらに【ヘラ】の遺産をヘルメス経由で渡している。

ザルド
 エレンに『あの魔法は極力使うなよ』と念押しされているが、『結界』を破壊するためにエレンは使用した。まぁ、死人は出てないからヨシ!

【ヘスティア・ファミリア】の面々。
 この戦いの後に、エレンの正体について話している。無論、ベルにも。
まぁ、春姫の魔法のこともあるから大丈夫かなの精神です。
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