聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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今回で、【フレイヤ・ファミリア】の部分を終わらせようとしましたが、予想以上の文字数になったので2つに分けることにしました。

もう半分は、早い段階で投稿できると思いますので、もうしばらくお待ちください。


36話 【出張治療師(ヒーラー)エレン君】②

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「死ねオラッ!!」

 

「貴様が死ねぇ!!」

 

「……」

 

 

 場所は【フレイヤ・ファミリア】本拠(ホーム)、『戦いの野(フォールクヴァング)』にいた。

 

 その理由は【出張治療師(ヒーラー)エレン君】を利用した冒険者依頼(クエスト)のため、依頼人(クライアント)のフレイヤの本拠(ホーム)で行われている『殺し合い(鍛錬)』の対処のため、治療師(ヒーラー)としてやってきていた。

 

 そして、依頼内容は『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の治療。

 

 文字通りに、ここで『殺し合い(鍛錬)』をしている『強靭な勇士(エインヘリヤル)』を治療して、死なないように絶えず『復活』させている『満たす煤者達(アンドフリームニル)』の手伝いをするのが冒険者依頼(クエスト)の内容だった。

 

 

「(噂は聞いていたけど……本当に『殺し合い』をしてるよ、【ファミリア】の仲間同士で……!?)」

 

 

 エレンは【炉の女神の大盾(ヘスティア・アイギス)】を構えた状態で、詠唱を行いながら『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の『殺し合い(鍛錬)』の風景を目にしながら『こいつらやべぇ~』と心の中でドン引きしていた。

 

 【フレイヤ・ファミリア】本拠(ホーム)、『戦いの野(フォールクヴァング)』は冒険者や一般人の間で様々な呼び名があったりするが、共通する認識がある。

 

 それは、ここ【オラリオ】で()()()()()()()であることである。

 

 女神(フレイヤ)の寵愛を欲するがため、日々【ファミリア】の仲間同士で『殺し合い(鍛錬)』を行い、戦士としての腕を磨き続ける者達。

 

 ここで『殺し合い(鍛錬)』をしている者はLv.1からLv.4の冒険者だが、その実力は双璧をなす【ロキ・ファミリア】を上回るとされている。

 

 その理由は圧倒的は『個』の力。

 

 【ロキ・ファミリア】は『ダンジョン』探索を主な活動目的としており、その為どんな異常事態(イレギュラー)にも対処できるように、仲間同士の『連携』に力を入れている派閥。

 

 しかし、【フレイヤ・ファミリア】はその()()

 

 女神(フレイヤ)の寵愛を欲するがままに『殺し合い』を続け、|最強の眷属へと至ろうとする者達。

 

 互いに『最強の派閥』と呼ばれているにも関わらず、『ここまで差が出るのもなんだなぁ~』とエレンは思いながら、『装填』された魔法の詠唱が終わり、その魔法の名を告げた……。

 

 

「【ゼオ・グルヴェイグ】」

 

 

 エレンが『装填』されている『魔法』を発動させると、エレンの足元から展開された魔法円(マジックサークル)が死屍累々となっている『強靭な勇士(エインヘリヤル)』を復活させていく。

 

 この『魔法』は『満たす煤者達(アンドフリームニル)』筆頭、ヘイズ・ベルベットの超広範囲回復魔法。

 

 【炉の女神の大盾(ヘスティア・アイギス)】に『装填』されている『魔法』はエレンの実力でその効力が決定されるので、Lv.2のエレンでは、Lv.4のヘイズほどの超広範囲で魔法円(マジックサークル)を展開することはできない。

 

 しかし、【婚姻の女神の指輪(ギメルリング)】の効果で底上げされた『魔導』の効力で、エレンの魔法円(マジックサークル)は『広範囲』と言えるほど大きなものになっていた。

 

 

「いや~、本当に助かりますよ~。皆さん、『満たす煤者達(私達)』」のことなんかお構いなしですからね~」

 

 

 そう言って満面の笑みでエレンに近づいてきたのは、『満たす煤者達(アンドフリームニル)』筆頭、ヘイズ・ベルベット。

 

 エレンが装備している【炉の女神の大盾(ヘスティア・アイギス)】に『装填』されている『魔法』の持ち主である。

 

 今の『戦いの野(フォールクヴァング)』は、エレンとヘイズの【ゼオ・グルヴェイグ】が大部分を担当している状態であり、残りの範囲を他の『満たす煤者達(アンドフリームニル)』が担当している状態。

 

 広範囲の回復魔法で治療ができるエレンの加入により、いつもならこの時間帯には()()()()()()()()ヘイズの表情だが、『まだ生きている』状態を保てていた。

 

 

「……あの~、ヘイズさん……?」

 

「はい、何でしょうか?【()()()()()()()】?」

 

「色々と聞きたいことがあるんですけど……何ですか?【ドレッドノート】って?」

 

「知らないんですか?貴方が【ヘラ】の遺産を身に着けて戦う姿を見た男神や男達が、『あいつは怖いもの知らずなのか!?』とか『勇敢なのか?それともただの馬鹿なのか?』とか言って、貴方のことを【怖いもの知らず(ドレッドノート)】って言っているんですよ?」

 

「初耳ですよ……?」

 

 

 ここ『戦いの野(フォールクヴァング)』に入ってからというもの、『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の口から【ドレットノート】と呼ばれていることが気になったエレンだったが、そんな風に呼ばれているのは初耳だった。

 

 どうやらベルの【リトル・ルーキー】のような二つ名とは違い、神々や冒険者達の間での呼び名らしい。

 

 まぁ、噂程度の情報しか知らないが、【ヘラ・ファミリア】がもたらした恐怖が想像を絶するものだったのだろう。でももうちょっとマシな呼び名はなかったのだろうか?

 

 エレンはそんなことを考えながら、左薬指にはめている【婚姻の女神の指輪(ギメルリング)】を見て、ヘルメスとの会話を思い出していた。

 

 

 

***

 

 

 

「頼む、エレン君!! どうかもう()()の『指輪』を探すのを手伝ってくれぇ!!」

 

「もう片方って、どういうことなんだい?ヘルメス」

 

「あぁ、俺も全く知らなかったんだが、【婚姻の女神の指輪(ギメルリング)】は()()存在するらしいんだ」

 

「2つ!?」

 

 

 これは『戦争遊戯(ウォーゲーム)』が終わり、エレン達が【オラリオ】に戻った直後の話。

 

 既に夜は明け、すっかり朝になった【オラリオ】に戻ってきたエレン達はさっさと寝たいと各々が同じようなことを考えていた時だった。

 

 顔を真っ青にしたヘルメスがエレンの所にやってきて、先程の言葉を言ったのだ。

 

 近くにいるアスフィに抱きかかえられた状態で後を追ってきたヘスティアも、全く状況が理解できていなかった……。

 

 

「ついさっき調べ物が終わったんだが、【婚姻の女神の指輪(ギメルリング)】は()()()()()()()()()()()()()特殊な『指輪』だったことが分かったんだ!!」

 

「つまり、今つけているこの『指輪』は……?」

 

「その『指輪』は()()()なんだぁ!! そして、もう片方の『指輪』は行方不明なんだぁ!! だから頼むっ!! 探すのを一緒に手伝ってくれぇ!? 俺がアルフィアに殺されるぅ!!!」

 

「探すも何も……。本当にもう片方があるんですか? ザルドさんはそのようなことは何も言っていませんでしたよ?」

 

「俺もザルドも全く知らなかったんだよ!! 【婚姻の女神の指輪(ギメルリング)】はずっとヘラが身に着けていたのものだし、その後は、【ヘラ・ファミリア】の団長の証として継承されていったものなんだ!! アルフィアから『もう片方は?』と聞かれるまで全く知らなかったんだぁ!!」

 

「あぁ、だから『あの時』、海に沈められていたんですね……」

 

 

 エレンが言った『あの時』とは、エレンが『戦争遊戯』が行われる場所に向かう直前のこと。

 

 何やらヘルメスがアルフィアに胸ぐらを掴まれ、そのまま海に叩き落される光景を目にしたエレン。

 

 近くにいたザルドも何があったのか全く理解できず、ヘルメスを海に叩き落したアルフィアはそのまま手に持っていた『1つの指輪』をエレンに投げ渡した。

 

 エレンは『おっと!?』とその指輪を落とさないようにキャッチすると、『真っ黒い指輪』を持ち上げながら『ナニコレ?』と観察していると、隣にいたザルドが『はぁぁぁっ!?』と驚愕の声をあげた。

 

 

「お、お前っ!? これ【ヘラ】の指輪じゃねぇか!!?」

 

「【ヘラ】の指輪?」

 

「【ヘラ・ファミリア】の遺産だ!!その指輪はっ!!」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!??」

 

「【五月蠅い(ゴスペル)】」

 

「「グハッ!?」」

 

 

 ザルドの発言にエレンは大声で叫び、その声が『雑音』認定されてしまったことでアルフィアは2人に向かって『魔法』を撃ち込んだ。

 

 2人は()()()()()()()()()()()福音(ゴスペル)】をもらい、遥か先の砂浜まで吹っ飛ばされ、吹っ飛ばした張本人のアルフィアはそのまま何処かに行ってしまった……。

 

 

「……『指輪(これ)』……どうしましょう」

 

「……アルフィアがお前に渡したんだ。お前が持っていればいい」

 

「……どうやって使うんですか? この『指輪』」

 

「左の薬指にはめるだけでいい。そうしたら『発展アビリティ』の階位(ランク)を上昇させることができる───ハズだ」

 

「ハズって……」

 

「俺もよく知らん……。これもゼウスのジジイから聞いた話だ。アルフィアならもっと詳しいことを知っていると思うが……あの様子じゃなぁ」

 

「聞きに行った途端、ヘルメス様みたいに海に沈められますね」

 

 

 ザルドとエレンは体についた砂を払いながら立ち上がり、アルフィアが去った方角に視線を向けながら大きなため息を吐いていた。

 

 エレンもギリギリまで修行をしていたので、もう出発しないといけない時間になっていた。

 

 エレンは『指輪』を懐に仕舞い込むと急いで馬車に乗り込み、『戦争遊戯』の舞台となっている所に向かっていった……。

 

 

 

***

 

 

 

「でも、探すってどうやって……?」

 

「その『指輪』は片割れ───もう片方の『指輪』の気配を辿れるハズだ!! それにあの『指輪』は他の子が持つのは()()()()()っ!!」

 

「危険?」

 

 

 この『指輪』の何が危険なのかエレンには全く分からなかったが、エレンは空いた時間を見つけてはもう片方の『指輪』を探すことになったのだ。

 

 左薬指に嵌めている『指輪』から感じる気配のようなものを頼りに、色々と回ってはいるが収穫が全くないような状態が続き、今回【フレイヤ・ファミリア】の本拠(ホーム)に訪れたのは、もう片方の『指輪』を探すためでもあった……。

 

 

「(『指輪』の反応は……やっぱりないか)」

 

 

 エレンは『指輪』に意識を集中させるが、もう片方の『指輪』の反応を掴むことができなかった。

 

 

「ところで、ヘイズさん」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「あそこでそちらの()()()()が暴れているんですけど、いいんですか?」

 

「はて?何のことでしょうか?私には何も見えませんが?」

 

「おいヘイズっ!? さっさと回復しろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

「「……」」

 

 

 そう。なぜかフレイヤの従者をしていた都市最強の名を持つオッタルが『強靭な勇士(エインヘリヤル)』を蹂躙している光景が、死屍累々の『戦いの野(フォールクヴァング)』でも異彩を放っていた。

 

 オッタルの周りの『強靭な勇士(エインヘリヤル)』はLv.4が殆どだったが、オッタルが大剣を振るうだけで彼らの手足が宙を舞い、大地を真っ赤に染めていた。

 

 エレンとヘイズがいくら回復魔法を使っても再び重傷者の山が築かれ、近くにいたヘイズが『追加のお給料払いますので、あそこにいる猪人(ボアズ)に魔剣をぶち込んでもらえませんか?』とさらっととんでもない発言をしていたが、エレンは聞こえないフリをしてやり過ごしていた。

 

 その後は、エレンは『満たす煤者達(アンドフリームニル)』が用意してくれた昼食のサンドイッチを食べながら、精神力(マインド)の回復のため上位精神力回復薬(ハイ・マジックポーション)で喉を潤おしていた。

 

 

「ところで、頭の上にずっと輪のようなものが浮かんでいるんですけど、何をやっているんですか?」

 

 

 エレンが【炉の女神の大盾(ヘスティア・アイギス)】に『装填』されている『魔法』の残段数が0になったことで、ヘイズの『魔法』を新たに『装填』している最中だった。

 

 オッタルが戦い始めた頃だっただろうか?気が付いた時には、エレンの頭の真上には青い法陣が浮かび上がっている姿をヘイズを含めた『満たす煤者達(アンドフリームニル)』達は確認していた。

 

 彼女達も先日の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を見ているため、エレンの頭の真上には現れた青い法陣のことを把握していた。

 

 しかし、その青い法陣は一向に回転する様子がなく、気が付いた時には4時間が経過していた。

 

 様子見をしていたヘイズはとうとう我慢が出来なくなり、当の本人に直接訪ねてみることにした。

 

 

 

 その結果……。

 

 

 

「え~と、ダメもとで『あの【猛者(おうじゃ)】の動きを模倣(コピー)できないかな~』と思って……」

 

「さらっとトンデモナイことを言いましたよ、この人」

 

 

 エレンは都市最強の男(オッタル)が戦い始めたのを確認し、ダメもとで『解析』を始めていた。

 

 エレンの『解析』は、『模倣(コピー)』したい対象(相手)を直視するだけでも『解析』は出来るが、効率は良くない。

 

 『解析』を効率良く行いたい場合は、『模倣(コピー)』したい対象(相手)と直接戦うことが一番なのだが、格上の相手の『解析』は途方もない解析時間が必要。

 

 現に、修行の時にはザルドの『模倣(コピー)』は出来ていない。

 

 エレンは少しでも強くなれるようにオッタルの『解析』は始めていたが、法陣が回転する気配がない。

 

 さらに4時間が経過するが、法陣が回転する様子が全くなかった。

 

 やっぱり、ただ直視するだけの『解析』は無茶かと思っていたエレンだったが……。

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

 背後から感じた殺気に思わず姿勢を低くしたエレンの頭上を、振り回された大剣が通過した。

 

 エレンはそのまま前方に転がり背後にいる人物から距離を取るが、その人物はお構いなしに大剣をエレンに振り下ろす。咄嗟にエレンは『模倣(コピー)』したベートの回し蹴りを繰り出し、相手をノックダウンさせた。

 

 

「えっ!? 『強靭な勇士(エインヘリヤル)』? 何でっ!?」

 

 

 何と、エレンを攻撃したのは『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の1人であり、エレンが困惑していると、その周りをボロボロの『強靭な勇士(エインヘリヤル)』が取り囲んでいった。

 

 

「あぁ~、こうなっちゃいましたか~」

 

「どういう意味ですか!? ヘイズさん!!」

 

「いいですか~? 貴方はあの【リトル・ルーキー】の記録を塗り替えた世界最速記録保持者(レコードホルダー)で~す。言い換えれば『上物』───貴方を倒せば美味しい『経験値(エクセリア)』が手に入るご馳走で~す♪」

 

「……」

 

 

 【ランクアップ】には『偉業』と呼ばれる、神々が認めるほどの『試練』を乗り越える必要がある。

 

 この『偉業』は『経験値』として蓄積され、一定値に達することで【ランクアップ】が可能になる。

 

 この『経験値』には色々な種類があるが、格上の相手との戦闘や()()()()()との戦闘が破格の『経験値』として入るケースが存在する。

 

 そして、エレンの場合は()()

 

 世界最速記録保持者(レコードホルダー)としての肩書と、『大精霊』としての希少性の2つを持っている───言ってみれば経験値がめっちゃもらえる相手(メタルキ〇グ)みたいなものになっている。

 

 そんなご馳走を『強靭な勇士(エインヘリヤル)』が見逃すはずがなく、エレンを仕留めるために各々の武器を握りしめていた。

 

 

「はぁ~。冒険者依頼(クエスト)で来た他派閥の治療師(ヒーラー)を襲うって……フレイヤ様の眷属としての自覚は───何ですか、ヘルン?」

 

 

 ヘイズは主神フレイヤの威光を穢さないように、エレンを取り囲んでいる『強靭な勇士(エインヘリヤル)』を黙らせる為、動き出そうした瞬間、フレイヤの付き人をしている侍女頭のヘルンがやってきた。

 

 ヘルンがヘイズに何やら耳打ちをし、その内容を聞いたヘイズは『えっ、マジですか?』と驚きつつも、『まぁ~、フレイヤ様の神意ならしょうがないですね~』と言い、エレンの方に声を掛ける。

 

 

「エレンさ~ん! 襲ってくる『強靭な勇士(エインヘリヤル)』は返り討ちにしていいので、頑張ってくださ~い♪」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!??」

 

 

 まさかの戦闘許可に驚愕の声を上げるエレンの声が合図となり、周りを取り囲んでいた『強靭な勇士(エインヘリヤル)』達が攻撃を開始。

 

 絶対絶命のピンチにエレンは冷や汗を流しながら、自身に回復魔法を施し戦闘態勢を整えようと思った瞬間……。

 

 

 

 ガコンッ!

 

 

 

 エレンの頭の上にある法陣が回転する。

 

 これは襲い掛かった『強靭な勇士(エインヘリヤル)』達や、少し離れた場所にいた『満たす煤者達(アンドフリームニル)』の耳にも聞こえており、当の本人(エレン)は『やっと終わったー!』と声を上げながら、最初に倒した『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の装備品である大剣を掴み取ると、エレンは『強靭な勇士(エインヘリヤル)』達の攻撃を受け流していった……。

 

 

『『『何っ!?』』』

 

 

 エレンは目の前にいる槍を持った『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の攻撃を大剣で受け流しながら、その大剣を真横に滑らせ、周囲を取り囲んでいる『強靭な勇士(エインヘリヤル)』達に向けて攻撃。

 

 その攻撃で槍を装備していた者を含めた数名の『強靭な勇士(エインヘリヤル)』を弾き飛ばすことができたが、まだ3人の『強靭な勇士(エインヘリヤル)』が残っていた。

 

 細剣を装備した『強靭な勇士(エインヘリヤル)』が渾身の踏み込みでエレンの攻撃を仕掛けるが、エレンは相手の細剣の刃を大剣の刃で滑らせ軌道を変えることで回避しながら、無防備になった胴体に蹴りを入れてダウンさせた。

 

 2人目の『強靭な勇士(エインヘリヤル)』は双剣を装備しており、その圧倒的な手数でエレンに猛攻撃を仕掛けるが、エレンは持っている大剣のみで全ての攻撃を弾き飛ばし、()()()()()()()()()エレンは最後の攻撃を弾いた勢いを利用し体を捻ることで、速度を得た大剣の腹の部分で双剣使いを吹き飛ばした。

 

 3人目はハンマーを装備した大男であり、エレンの真上から渾身の一撃を叩き込む。エレンは大剣で何とか防御することができたが、余りにも重い一撃によって大剣を持っていた両腕の骨に罅が入ってしまった。

 

 

 

 だが……。

 

 

 

「ぬッ、ぬぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

 

 ハンマーを持った大男は渾身の力でエレンを押し潰そうとするが、青い炎を纏ったエレンに少しずつ押し返されていった……。

 

 エレンは先ほどからずっと回復魔法を浴びている状態を維持しており、連戦続きの状態でも体力は常に満タンの状態であり、罅が入った両腕も一瞬で完治していた。

 

 エレンは満タン状態の体力をフルに活用し、押しつぶそうとしているハンマーを思いっきり押し返し、その影響で真上に上がった大剣の腹の部分で大男の頭を思いきり叩きつけた。

 

 叩きつけられた大男は頭から血を流しその場に倒れこみ、エレンの周りにいた『強靭な勇士(エインヘリヤル)』達は、エレンによって()()()()()()()()()

 

 

「おぉ~! さっきの『強靭な勇士(エインヘリヤル)』は全員Lv.2でしたが、まさか全滅させられるとは……」

 

「それよりヘイズ様……さっきの動きは」

 

「そうですねぇ~。我らの団長の『()()()()』ですね~。まぁ、本物には遠く及ぼませんが」

 

 

 先程の戦闘を、離れた場所で見ていたヘイズや『満たす煤者達(アンドフリームニル)』達がエレンの動きについて話していた。

 

 さっきの戦闘でエレンが行ったのは、オッタルの『絶対防御』の動きだった。

 

 長い時間を掛けた『解析』がようやく完了し、エレンは早速『模倣(コピー)』したオッタルの『完全防御』を使い、襲ってきた『満たす煤者達(アンドフリームニル)』を返り討ちにしたのだ。

 

 エレンは『何とかなって良かったぁー』と思っていたのも束の間、エレンの体を1つの影が包み込みこんだ。

 

 

「───あっ」

 

 

 エレンは何事かと思って後ろを振り返ると、エレンが『模倣(コピー)』した張本人がエレンの背後に立っていた。

 

 

「【ドレッドノート】。少し俺の訓練に付き合ってもらうぞ」

 

 

 エレンは有無を言わせてもらえず、【猛者(おうじゃ)】に連行されていった……。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

婚姻の女神の指輪(ギメルリング)】は元々、1つの『指輪』として使われていたので、ヘルメスやザルドは、それが2つに分離できるものとは知りませんでした。

エレンの呼び名の【怖いもの知らず(ドレッドノート)】は、フィルビスの【死妖精(バンシー)】と似たような感じです。

オッタルの『完全防御』の『解析』には、目視で計7時間かけてようやく法陣が回転し『模倣(コピー)』できましたが、2度目の回転にはさらなる時間がかかります。

一応、完全に『模倣(コピー)』するには、計10回の法陣の回転が必要の設定にしていますが、アルフィアの『平行詠唱』の『模倣(コピー)』が5回転の状況で、本人の下位互換。1回転のオッタルの『完全防御』は、()()()()()()()が現状です。

エレンに襲い掛かった『強靭な勇士(エインヘリヤル)』は、フレイヤがけしかけた者達です。ヘルンがヘイズに伝えた内容は『何もしないで上げて』であり、理由については、次の話で書いています。


エレン
 【怖いもの知らず(ドレッドノート)】とか呼ばれていることを聞いて複雑な気分になっている治療師(ヒーラー)。なお、オッタルとの訓練で新たな力を解放させます。(感想で聞かれたことですが、エレンには【ランクアップ】したことで、新たに『神秘』が加わっています。)

ヘイズ
 エレンが【炉の女神の大盾(ヘスティア・アイギス)】を用いて超広域回復魔法(ゼオ・グルヴェイグ)を扱えた影響で、()()()目に光が宿っていた【フレイヤ・ファミリア】の苦労人。

フレイヤ
 エレンに襲い掛かった『強靭な勇士(エインヘリヤル)』をけしかけたのは、少し前に無茶をして死にかけたのが原因。ヘイズ達、『満たす煤者達(アンドフリームニル)』を労わってあげる目的でエレンに冒険者依頼(クエスト)を出しているが、この『強靭な勇士(エインヘリヤル)』のためでもあったりする。

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