聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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いつも作品を読んでいただきありがとうございます。

そして、申し訳ありません……。前回お伝えした通り、小説を書く時間が中々取れず、5000文字程度の作品となっております。しばらくこのような状態が続きそうな感じです。作品を楽しみにしてくださっている皆様には申し訳ありませんが、ご理解をお願いします。


再会

「よし、追うぞ」

 

「尾行は盗賊業(ひさびさ)ですね!」

 

「クククッ! 名探偵ヘスティアの血が騒ぐぜぇ!」

 

「い、いいのかなぁ……」

 

「まぁ、状況が状況だし……命さんの様子がおかしかったし……」

 

 

 すっかりと日が落ち、夜となった【迷宮都市(オラリオ)】は屋台の光で明るく照らされていたが、街へ向かう1人の少女の後を追う1つの怪しげな集団が存在した。

 

 

「街の様子が気になっているようでしたが……案の定、でしたね」

 

「あれだけチラチラ窓の外を眺められたら、気付くだろう、普通」

 

「どっかの誰かさんみたいに嘘が下手みたいだね」

 

「それがベル君の良さみたいなものだし……」

 

 

 実は今朝、命が所属していた【タキミカヅチ・ファミリア】の一員の千草が【ヘスティア・ファミリア】を訪れてからというもの街の方に何度も視線を向けるような姿を見せるようになっていた。

 

 そして今、命は『今日は早く寝ます』と言いながら何も言わずに本拠(ホーム)を抜け出し、南のメインストリートに向かっていった。

 

 

「でも、良かったんですか?本拠(ホーム)から出てきて?」

 

「そこは()()()()()に留守番を頼んだから大丈夫だよ」

 

「びっくりしましたよ。ヘスティア様が『泊っていかないかい?』と言ったときは……」

 

 

 

***

 

 

 

「やぁ、ヘスティア。会いに来たぞ」

 

「アルテミス……アルテミスじゃないかぁ!!」

 

 

 これは千草が【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)を訪れた後の話。

 

 引っ越し作業をやっているヘスティア達の本拠(ホーム)に尋ねに来た女神の集団。その先頭にはエレンと同じ青い髪を持った女神がヘスティアに声をかけた。

 

 

「どうしたんだい?てっきりアポロンを連れて【迷宮都市(オラリオ)】を出ていったと聞いていたけど……」

 

「なに、ちょっと【メレン】に行っていただけだ」

 

「……アポロンはどうなったんだい?」

 

「さぁ?途中でアルフィアに渡したから詳しくは分からん。だが、二度とベル(オリオン)の前に現れないように『ヘラ』の所に送られたと聞いたぞ。着払いで」

 

「おぅ~」

 

 

 ヘスティアもヘラの居場所についてはヘルメスから聞いており、ヘスティアは北の方角に合掌を捧げた。

 

 元々は【迷宮都市(オラリオ)】で拠点を構えていた【ヘラ・ファミリア】だったが、三大冒険者依頼(クエスト)の最後の一角。『黒竜』の討伐に失敗し、多くの団員を失ってしまったことで力を失い、【迷宮都市(オラリオ)】を追放されてしまった最凶の派閥。

 

 その後は、生き残った眷属を引き連れたヘラは、『門番』として世界三大神秘の1つ。【竜の谷】に新しい拠点を構え、『終末の針』を遅らせるために行動を開始した。

 

 それでも時頼、本拠(ホーム)から出かけては夫であるゼウスを探す旅に出ては身寄りのない子どもを拾っては眷属にし、着実に派閥の力を取り戻しつつ、【竜の谷】から這い出てくる竜を撃退していった。

 

 それでも【ヘラ・ファミリア】の力は全盛期には至っておらず、最高戦力がLv.5。その数()()()という【迷宮都市(オラリオ)】基準でとっくに派閥ランク『S』の域に達しているが、全盛期は派閥ランク『SS』。

 

 これは、Lv.9の【女帝】や『才禍の怪物』と呼ばれるアルフィアを初めとした異次元の領域にいた者達が多く在籍していたことが原因で、そのあまりにも常識はずれ過ぎる戦力を加味し、【ギルド】創設初の派閥ランク『SS』が誕生するきっかけになった。

 

 以下のような常識外れの過去を持つ新生【ヘラ・ファミリア】に出荷されてしまったアホロン(アポロン)》は置いといて、本来【迷宮都市(オラリオ)】郊外で活動をしている【アルテミス・ファミリア】がオラリオ(ここ)にいる理由を尋ねると『ダンジョン』に用があるというのだ。

 

 

「『ダンジョン』に……?」

 

「あぁ。私の眷属(子ども)達が全員【ランクアップ】したからな。ズレた器と感覚の調整のために、しばらくオラリオ(ここ)に滞在しようと思っているんだ」

 

「ズレた器と感覚の調整?」

 

「むぅ?知らないのか?『恩恵』を授かった子が器を昇華させると、昇華させた肉体に感覚が追い付かないことがあるんだ。だから、【ランクアップ】した冒険者には『調整』が必要なんだ」

 

「へぇ~。そうなんだ。初めて知ったよ……」

 

 

 【下界】に降り、ファミリアを創設して間もないヘスティアはまだまだ知らないことが多く、神友から色々と教えてもらっている最中である。

 

 アルテミスから新しい情報を聞いたヘスティアは『へぇ~』と漏らしながら神友との再会を喜んでいると『あっ!』と何かを思いついたとアルテミスの手を力強く掴んだ。

 

 

「ア、アルテミスッ!【オラリオ(ここ)】で泊まる宿とかは決めているのかい?」

 

「いや?来たばかりだから決めてはいないが……」

 

「なら、ボク達の本拠(ホーム)にしばらく泊まっていかないかい?」

 

「……ヘスティア達の本拠(ホーム)にか?……だが」

 

「大丈夫!ボク達の本拠(ホーム)は広いんだ。それにボク達だけだと新しい本拠(ホーム)を持て余していたところなんだ」

 

「……気持ちは嬉しいが……」

 

 

 ヘスティアに提案に困った表情を浮かべるアルテミスだったが、アルテミスの後ろに控えていた1人の団員が『いいんじゃないですか?』とアルテミスに声をかけた。

 

 

「レトゥーサ……」

 

「折角にご厚意を無下にするのも悪いですし、我々全員が泊まれる宿を見つけるのも一苦労ですし……」

 

「……お前達はいいのか?私が言えることではないが、ヘスティアの所には男がいるのだぞ……?」

 

 

 【アルテミス・ファミリア】は眷属全員が女性のみの20名で男性禁制の乙女の花園。

 

 主神のアルテミスの方針で男性と関わりを持つことを避けてきた彼女達が、男がいる本拠(ホーム)で寝泊まりができるのか不安に思ったアルテミスだったが───。

 

 

『『『はい。特に問題ありませんが?』』』

 

「え?」

 

「別に男性の方を嫌っていた訳ではありませんし……」

 

「【ヘスティア・ファミリア】は私達の恩人ですし、男性が居るからっといって特に問題ありませんし……」

 

「それに、ここには『オリオン』や『アルテミス様の精霊(子供)』がいるんですよね?だったら問題はないかと……」

 

「へへへっ。男性……。アルテミス様のオリオン(恋人)……アルテミス様の精霊(子供)……ぐへへ」

 

 

 アルテミスの予想に反してレトゥーサ達のこれといった抵抗などはなく『大丈夫ですよ』と答えたが、約一名変なことを口走る眷属に頭を痛めながらヘスティアの好意に甘えることにした。

 

 その後は【アルテミス・ファミリア】の団員達が引っ越し作業を手伝ってくれたお陰で1日で作業を終えることができたベル達だったが、ふとっ、とある気になることがあったエレンは夕食の時に【アルテミス・ファミリア】の団員達に尋ねてみることにした。

 

 

「あの~。レトゥーサさん。ちょっといいですか……?」

 

「はい。何でしょうか?」

 

「レトゥーサさん達って、その……自分の正体については……」

 

「あぁ~。その事についてはアルテミス様から話は聞いています。他の団員達も知っていますし、口外するつもりはありませんのでご安心を」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「……その、私の1つ、お聞きしてもいいですか?」

 

「はい?何でしょうか……?」

 

「……その、アルテミス様のことについてなのですか……」

 

「?」

 

 

 【アルテミス・ファミリア】の団長であるレトゥーサはアルテミスに聞こえないように隣に座っているエレンに耳打ちで内容を伝えた。

 

 何でも、今のアルテミスはレトゥーサ達が知っているアルテミスとは大きく変わっているとのことで、具体的には『丸くなったというか、雰囲気が和らいだ。よく笑顔を見せるようになった』というのだ。

 

 

「笑顔を見せるようになった?」

 

「はい。以前のアルテミス様は笑うことなんて滅多にありませんでしたが、『エルソスの遺跡』の一件以来、よく笑顔を見せてくれるようになったんです」

 

「ふむふむ」

 

「別に今のアルテミス様が嫌という訳ではありませんが、眷属として主神が変わってしまった理由が知りたく……『エルソスの遺跡』でアルテミス様と関りがあった貴方なら、何か知っていのではないかと」

 

「……そう言われても、『エルソスの遺跡』で関りがあったアルテミス様は、()()()()()()()()()()()()()()だったので───むぅ?」

 

 

 何か知っていることがないかレトゥーサはエレンに尋ねると、エレンは両目を閉じ、『エルソスの遺跡』での出来事を振り返った。何とか救出することができたアルテミス本神は、『(オリオン)』に込められた『月女神の残滓(アルテミス)』と融合したことで目を覚ました。

 

 その時にベル達と一緒に行動した時の記憶などが引き継がれたことでアルテミス本神(ほんにん)に変化が起きたんじゃないか───エレンが頭の中でそのような可能性が浮かんでいると、コソコソと話しているのに気が付いたアルテミスが『何を話しているんだ?』と声をかけてきた。

 

 

「え~と、アルテミス様がいい意味で変わったなぁ……みたいな話をしていました……」

 

「───あっ」

 

「……アルテミス。もしかして、眷属(子ども)達には何も伝えていなかったのかい?」

 

「………………」

 

 

 エレンの言葉に何かを思い出したのか『あっ』と口から漏れ出てしまった言葉を聞いたヘスティアがアルテミスを確認を取るが、アルテミスはとても気まずそうな顔をしながら目を泳がしていた。

 

 

「……すまない。忘れていた……」

 

「駄目だぜ?大方、君の眷属(子ども)達が君の変わりように困っていたんだろう……まぁ、ボクも混乱したけど……」

 

『『『?』』』

 

「……本当にすまない。お前達に話しておかないといけないことがあったんだ……」

 

 

 そして、アルテミスの口から語られたのは、概ねエレンが予想していた通りの内容だった。

 

 今のアルテミスは、元もアルテミスに『矢』に宿っていた月女神の残滓(アルテミス)の記憶が継承された女神であり、継承された記憶の影響で元々のアルテミスに大きな変化が起きているというのだ。

 

 

「───という訳なんだ」

 

「つまり、自分みたいに融合されているってことですか?」

 

「そうだな。二重人格が一つに纏まったと言い換えてもいい。今の私はレトゥーサ達の主神(アルテミス)でもあり、ベル(オリオン)達と一緒にいた(アルテミス)でもある」

 

「じゃあ……あの『矢』はもう……」

 

「あぁ、『抜け殻』のようなものになってしまったが、それでも立派な『神造武器』だ。本当なら【天界】に送り返さないといけないが、生憎その方法が無くてな。私が責任もって管理している」

 

 

 アルテミスが【天界】から召喚した神造武器『オリオン』は帰還のタイミングを失い、今もこの【下界】に存在しており、現在はアルテミスが管理をしている。

 

 その力は『不滅』の存在である神を殺す『武器』であり、選ばれし者(オリオン)でないと扱うことができないが、その力は『神の力(アルカナム)』級の代物。現在はエレンの部屋にある『隠し部屋』に厳重に保管されている。

 

 今日、【迷宮都市(オラリオ)】に来たばかりのアルテミス達の夜の留守番をお願いしてしまった罪悪感を胸に感じながら、仲間(みこと)の後をつけるヘスティア達だったが、現在本拠(ホーム)では男風呂に浸かっていた1人の団員(ランテ)にアルテミスが拳骨を落としている所だった。

 

 

 

***

 

 

 

「それにしても、命さん達は何処に向かうんだろう……?」

 

「千草様と合流してからずっと『南』を目指していらっしゃいますね」

 

「でも、歓楽街が目的地じゃないとなると───ねぇ、リリ。この先には何があるの?」

 

「え~とですね。この先には──────まさかっ!?」

 

 

 歓楽街に入ると、同じ【極東】の出身である千草と合流し、2人は手をつないだ状態で歓楽街の奥へと進んでいった。

 

 既に時刻は9時を過ぎており空は真っ暗な闇が覆っていたが、巨大かつ派手な建物が放つ光の影響で、周辺は眩しいくらいに明るい世界が広がっていた。

 

 しかし、命と千草の2人は周りの建物には見向きもせず、明かりの少ない路地へと入っていき、この先に何があるのかエレンがリリに尋ねると、リリの顔が唐突にハッと顔を上げた。

 

 そして、リリの反応にいち早く気が付いたヴェルフも顔を上げ、ベルとヘスティアに『今すぐ帰れ!』と命令口調で2人に今すぐ帰るように指示を出した。

 

 

「えっ、えっ?なんで、なんでっ?」

 

「ど、どうしたんだい、ヴェルフ君っ!?」

 

「いいからベル様とヘスティア様は帰ってください!!」

 

「ねぇ、自分は?」

 

「ヘスティア様が来てはいけない場所です!いいから帰ってくださいっ!!」

 

「ベル様の来ていい場所ではありません!」

 

「ねぇ、自分は?ねぇ……」

 

 

 ヴェルフとリリの2人が何が何でもベルとヘスティアの2人を本拠(ホーム)に帰らそうとする一方で、会話に全く参加させてもらえないエレンが軽くショックを受けていると、命と千草の2人を見失いそうになっていることに気が付いた。

 

 

「ちょっと!? 2人を見失いそうになっているよ!?」

 

「くそ。リリスケ諦めろ、本当に見失うぞ!」

 

「う~~~~~~~っ!? 命様、よりにもよってどうしてあんな場所にぃ……!」

 

 

 ベルとヘスティアの説得を断念したヴェルフとリリは命と千草の跡を追いかけ、その後ろを何が何だか全く理解できていないベル、ヘスティア、エレンの3人が後を追いかけていった。

 

 道端には酒で酔っ払った人達の横を通り過ぎながら2人の後を追いかけていったエレン達だったが、ようやく2人に追いついたと思った途端───2人はアマゾネスが立っている門の中へと入っていった。

 

 エレン達も2人を見失う訳にはいかなかったので急いで門の中へと入っていったエレン達だったが、門の『中』は『外』とは全く違う───まるで、別世界へと迷い込んでしまったかのような光景が広がっていた。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回の作品ではベル達と一緒にヘスティアも同行していますが、原作とは違って夜の街『歓楽街』が具体的にどこに存在しているのかは知らない設定にしています。

エレンから採れる『出汁』については、まだエレン達は気づいていませんが、このランテで行動で発覚する流れになります。そして、『歓楽街』で18階層から採ってきた『出汁』が高額で売れています。


エレン
 彼はまだ知らない。『歓楽街』でエレインちゃんが有名になっているということを。そして、自分の『出汁』のことを……彼はまだ知らない……。
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