聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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最後にアンケートを作っています。良ければ、エレンの運命を決めてもらえば助かります。(悪役のゲス顔)


49話 『奇跡の水』

「……何をやっているんだ」

 

 

 時は少し遡っての出来事。迷子になったベルが『ダンジョン』に繋がる第二の入り口の捜索を行っていた【ロキ・ファミリア】と偶然遭遇したのだが、ベルの体に染みついている麝香の臭いに団員達が大いに反応し、ちょっとした騒ぎに発展していた。

 

 これには指揮を執っていたリヴェリアは片手で頭を押さえていると、自分達の部隊に近づいてくる気配を感じ取ったリヴェリアはその気配がする方向へと視線を向けると、大勢の猫達に囲まれながら向かってくる青年の姿を、リヴェリアは目視で確認した。

 

 

「……エレン?」

 

 

 気が付いた時には、リヴェリアの口から姿を現した青年の名を口にしていた。そして、エレンはなぜか大勢の猫達に護衛されているかのような状態でこちらに向かってきており、その姿を見たほかの団員達は呆気にとられていた……。

 

 エレンの髪は『戦争遊戯(ウォーゲーム)』の時に見た時に比べると驚くほど伸びており、首の下の方まで伸びており、見た目が女性のような容姿をしており、エレンと関りがなければ気が付くのは難しい程であった。

 

 そんな見た目をした彼が猫達に囲まれながらこちらにやってきていたのだが……なぜだろう?猫達に囲まれているエレンを見るとイラっとする自分自身にリヴェリアは困惑していた。理由はよくわからない。ただ、猫達にあんなに懐かれているエレンを見ていると、どうしてもイラっとしてしまう自分が存在した。

 

 

「(……落ち着け、リヴェリア・リヨス・アールヴ。いつもレフィーヤ達に言い聞かせているだろう。『大木の心』を持てと)』

 

 

 リヴェリアは日頃から自身の弟子であるレフィーヤに言い聞かせている『大木の心』を持ってして、自身の体の中から溢れ出そうな『何か』を抑え込んでいた。

 

 だが、必死に溢れ出そうな『何か』を『大木の心』を持ってして抑え込んでいたリヴェリアだったが、そんな彼女に()()()()()()が襲い掛かった……。

 

 

「ニャ~♪(ほっぺたスリスリ)」

 

「──────はっ?」

 

 

 何と、エレンの肩に乗っていた一匹の子猫がエレンの頬に頬擦りをしている光景を目にしてしまったリヴェリアの表情は一気に険しいものへと変貌した。その光景はただ、子猫がエレンに甘えているだけの微笑ましい光景なのだが、リヴェリアはその光景を見ているだけで頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっていた……。

 

 それでも、リヴェリアは耐えていた。深呼吸を繰り返しながら、今にも溢れ出そうなドス黒くてドロドロとした『何か』を『大木の心』を以てして必死に塞き止めていたが、リヴェリアの精神状態はとても危うい状態であり、いつ崩壊してもおかしくない状態だった……。

 

 だが、必死に自身を律していたリヴェリアだったが、この世はとても残酷なもの。リヴェリアの中から漏れ出てしまった『もの』に反応してしまったエレンが冷や汗を流しているのに気が付いた子猫がリヴェリアの逆鱗に触れる『禁忌』を犯してしまったのだ。

 

 

「ニャ~♪(冷や汗をペロリ)」

 

「──────あ”?」

 

 

 何と、エレンの肩に乗っていたもう一匹の子猫がエレンの冷や汗をペロリと舐め取る光景を見てしまったリヴェリア。自分の体の中にある『大木の心』に巨大な落雷が直撃し、真っ黒な灰となってしまい、塞き止めていた『何か』がリヴェリアの体の中から溢れだしていた。

 

 

「リ、リヴェリア様ッ!!?」

 

「お、落ち着いてください!!」

 

「『何か』がッ!!?リヴェリア様から禍々しい『何か』が溢れていますぅ!!」

 

 

 リヴェリアの周りにいたアリシアを含めた妖精(エルフ)達が、リヴェリアの体から溢れ出す謎のオーラに怯えながら、必死にリヴェリアを宥め始めていた。だが、様々な言葉をリヴェリアに投げかけても今のリヴェリアには全く効果は無く、それに気が付いたアリシアは自身の懐から『透明な液体が入った瓶』を取り出し、それをリヴェリアの前に差し出した。

 

 

「……アリシア。それはなんだ?」

 

「これは最近、18階層で取れると話題の『奇跡の水』です。是非ともリヴェリア様に飲んで頂きたいと思いまして……」

 

「『奇跡の水』?」

 

 

 初めて聞く名にリヴェリアが首を傾げていると、周りに居たエルフの団員達がアリシアの持っている『奇跡の水』に反応した。

 

 何でも、ここ最近の出来事で、18階層に存在する泉の一つから採取できるものらしく、飲むだけで腰痛や冷え性に頭痛、薄毛に肥満が改善したとかで話題となり、今では美容目的で多くの女性冒険者の間で話題になっているものらしい。

 

 【ギルド】でも、この『奇跡の水』の採取依頼が大量に入り込んでいるようだが、どっかの派閥(ファミリア)がその泉を大量に持ち去ってしまった影響で、その泉にあった『奇跡の水』は()()()()()してしまっており、現在では入手が難しい代物とのこと。

 

 リヴェリアはアリシアから半ば強引に『奇跡の水』を渡されると、手に持った『奇跡の水』が入った瓶をジーと見つめるリヴェリア。見た目はただの水。本当にアリシア達に言っている通りにの効果があるのか疑問に思っていたリヴェリアだったが、如何やらアリシア達は飲んだことがあるようで、ちゃんと効果はあったらしい。

 

 

「(…………まぁ、飲んでみるか)」

 

 

 アリシア達とのやり取りで、ある程度の落ち着きを取り戻したリヴェリアは、アリシアから貰った瓶の蓋を開き、中に入っている『奇跡の水』に口をつけたリヴェリア。

 

 

「(……しょっぱい、だが、かすかに甘酸っぱさがあるな……)」

 

 

 最初に一口をに飲み込んだリヴェリアは口の中で感じた『奇跡の水』の味だった。塩分を含んでいるのか、この『奇跡の水』にはしょっぱさが存在していたが、その後に果実系の甘酸っぱさがあり、何との不思議な味であり、リヴェリアはそのまま瓶の中に残っている『奇跡の水』を飲み干した。

 

 

「どうでした、リヴェリア様?」

 

「変わった味だな。美味というわけではないが、何というか、癖になりそうな味だな」

 

「はい。ですが、この『奇跡の水』を飲んだ次の日は髪やお肌が艶々になっていて、不思議と体が軽くなっていたんです!」

 

「私は飲んだその日はぐっすり眠れました!」

 

「私は次の日のダンジョン探索の時は体の調子がとても良かったです!」

 

 

 アリシアに続いて『奇跡の水』を飲んだことがある団員達が感想を述べていった。実際に『奇跡の水』を飲んだリヴェリアにも変化が起きていた。日の出ていない夜中で動いている影響で少々冷え切っていた体がポカポカと温かくなっており、回復薬(ポーション)程ではないが体力が回復している感覚をリヴェリアは確認していた。

 

 この『奇跡の水』の効能は確かなものだとリヴェリアは思ったと同時になぜ、今の今まで発見されなかったのか疑問に思った。アリシアに聞いた話だとこの『奇跡の水』が採れた場所は未開拓領域という訳ではなく、これまで何度か利用したことがある泉とのこと。

 

 そうなれば、何かしらの要因で『泉』が変化したと考えるのが妥当。リヴェリアは自身の知識と経験を照らし合わせて、この『奇跡の水』の正体が何なのかを考察している時に、ガシャンと自身の頭に瓶らしきものが落ち、その瓶に入っていたであろう液体らしきものが自身の頭を濡らした……。

 

 

『『『──────あっ』』』

 

 

 リヴェリアの周りにいたアリシア達はその一部始終を目撃しており、リヴェリアに頭に掛かった液体が何なのかの正体も知っていたが、リヴェリアは考察に集中しているあまりベル達の会話が聞こえていなかった。

 

 リヴェリアの頭に掛かってしまった液体は、頭から顔へと滴り落ち流れ落ちた一部がリヴェリアの口へと入り込んでしまい、自身に掛かっている液体の正体を全く知らなかったリヴェリアは口に入り込んでしまった液体を──。

 

 

「───ゴクリ」

 

『『『─────────あっ』』』

 

 

 リヴェリアは無意識に口に入り込んでしまった『精力剤』を飲み込んでしまった。最初から自身に掛かった液体が『精力剤』であると分かっていたのなら、飲み込むなんてことはなかっただろうが、もう何もかも手遅れの正体だった。

 

 リヴェリアが飲み込んでしまった『精力剤』は()()()。即効性があり、体内摂取や皮膚接触でも絶大な効果を発揮するが、その前に『奇跡の水』を飲んでいることも()()()()()()()()

 

 この『奇跡の水』は()()()()()派閥(ファミリア)の団長が不在の間に、その人物の魔道具(マジックアイテム)を無断で使ったことで判明したことなのだが、『奇跡の水』には混ざった他の薬品類の効果を飛躍的に向上させる効果が判明し、この薬品類には当然『精力剤』も含まれている。

 

 そして、この事実が判明した男神はどのぐらいの効果があるのか調べるために、特性ドリンクと噓をついて近くにいた『耐異常(アビリティ)』持ちの虎人(ワータイガー)の男に、『奇跡の水』と『精力剤』の『混合液』を飲ませてみたところ、理性を失った『性欲獣』と変身してしまい、仲間である女性団員達に襲い掛かっていったのだ。

 

 何とか『未遂』で事態を収束させることはできたのだが、混合液を飲まされた虎人(ワータイガー)()()()()()を負ってしまい、毒抜きを含めて現在【ディアンケヒト・ファミリア】の治療院で入院中である。

 

 ゆえに、【歓楽街】で美容目的で販売されていた『奇跡の水』や看板商品の『精力剤』を販売していた際には『絶対に混ぜないでください』と注意書きがされていたのだが、この場にいる彼女達がそのような事を知るはずもなく、飲み込んでしまった『精力剤』はリヴェリアの体内で『奇跡の水』と混ざり合ってしまい、リヴェリアは偶然出来上がってしまった『混合液』がリヴェリアの理性を真っ黒に塗り潰した。

 

 

「……ふ、ふふふ」

 

「リ、リヴェリア様……?」

 

 

 リヴェリアの体からは間違っても王族妖精(ハイエルフ)が放ってはいけない異臭が放たれており、アリシアが声をかけるがリヴェリアは無反応。只々、不気味な笑顔と笑い声を上げるだけであり、そんな変わり果ててしまったリヴェリアの姿にアリシア達は涙を流し、各々の武器を携え、一匹の白兎の元へと向かった。

 

 

 

***

 

 

 

「───あぁ、あああッッ!!?」

 

 

 すっかり混乱(パニック)状態に陥ってしまっったベルは腰を抜かしてしまい、その場に倒れこんでしまっていた。事故とはいえ、王族妖精(ハイエルフ)に『精力剤』をぶっかけるといった、下半神(ゼウス)でも成しえなかった大罪(偉業)。そして、その罪人(英雄)の末路がどのような悲惨な目に遭わされるのか嫌でも想像してしまったベルの顔は今まで見たことがない程に真っ青になっていたが、既に()()()()()()になっていた。

 

 

「──────ヒィッッ!!?」

 

 

 突然、猛烈な視線を感じたベルは地面に腰を着けた状態で上を見上げると、そこにはこれ以上は無いと言うほど目を大きく見開いた状態でベルを凝視している女性エルフ団員達の姿であり、憧れの存在でもあった妖精の変わり果てた姿を目にしたベルは思わず口から悲鳴が飛び出した。

 

 しかし、そんなベルにお構いなしと言わんばかりにアリシア達は各々の獲物(武器)を大きく振りかざしており、モンスター顔負けの大声を上げながら獲物(武器)をベルに向けて振り下ろした。

 

 

「くたばれぇぇぇぇぇ!!!王族に無礼を働く害獣兎(ベル・クラネル)!!!」」

 

「ごめんなさぁあああああああああああああああああいッ!?」

 

 

 何とか間一髪で避けることができたベルだったが、憤激の咆哮を上げるアリシア達にビビり散らかし、脱兎の如くその場から逃げ出し、それに続くようにアリシア達が凄まじい速度で追走した。だが、王族に無礼を働く害獣兎(ベル・クラネル)を追う集団の中にはレフィーヤの姿がなく、その事実にいち早く気が付いたフィルヴィスが立ち止まって後ろを振り返ると、()()()()()()()()()()()()()()()()親友(レフィーヤ)の姿があった。

 

 

「早まるな、レフィーヤ!!」

 

「お願いがあります、フィルヴィスさん。私を焼いた灰はアルヴ山脈に撒いてください!」

 

「やめろ、レフィーヤ!! 私はお前のそんな願いは聞きたくないぞ!!」

 

 

 レフィーヤのすぐ近くにアイズがいたお陰で何とか『未遂』でレフィーヤを取り押さえることができたが、アイズに羽交い絞めにされているレフィーヤは未だに暴れ続けていた。本当に王族妖精(ハイエルフ)が関わると妖精(エルフ)達は本当にめんどくさくなる……レフィーヤからナイフを回収したアキ達一同が同じようなことを考えるとティオナが『あれ?』と辺りをキョロキョロを見渡し、()()を探し始めた。

 

 

「ねぇ、リヴェリアは何処に行ったの?」

 

『『『…………えっ?』』』

 

 

 ティオネのその言葉にアイズ達は周りを見渡したが、リヴェリアがいた場所にはその姿はなく、この場に残ったメンバーで辺りを捜索していると、アイズが『あっ』と呟き、指をさす方向にはリヴェリアの姿があったが、()()()()()()()()()()()()

 

 リヴェリアは壁際の方に移動しており、リヴェリアの目の前にはベルの近くにいた筈の青髪の青年の姿があり、何を言っているのか聞き取ることはできなかったが、此方に助けを求めるかのように手を此方に伸ばしていた。

 

 だが、その青年の行動に気が付いたリヴェリアは青年の手を掴むとそのまま青年の背中側へと回し、身動きが取れないように拘束した。その一部始終を見ていたアイズ達は『えっ?』とまるで信じられないものを見てしまったかのような表情で固まってしまった。

 

 

「……あ、あの……リヴェリアさん……?」

 

「…………」

 

 

 リヴェリアに拘束されている青年は彼女の名を呼ぶが返事はなく、青年は彼女の顔をよく観察してみると───何ということでしょうか。

 

 頬は赤く染まり、息は大きく乱れ、彼女の眼は『捕食者』と呼ぶにふさわしい目をしていた。

 

 逃げようには背後には壁。正面はリヴェリアが自身の体を過剰と言っていいほど密着させているせいで身動きが取れず、絶対絶命のピンチに陥っていた……。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

『奇跡の水』は飲んでも浴びても効果はありますが、薬品の品質を向上させる『薬』としても活躍できます。ですが、その効果のせいで現在のリヴェリアは『奇跡の水』によって強化された『精力剤』の効果をもろに受けています。


エレン
 彼の運命は如何に?無事に脱出できるか? それとも食われるのか? あるいは食い荒らされるのか? その答えはアンケートに答えてくれた読者の皆様の結果によって変化するぞ! さぁ、皆様! エレンの生殺与奪の剣を握る時です!

50話のエレンの運命について

  • 何とか無事に逃げることができる
  • 食われる
  • 食い荒らされる
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