聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか 作:フェイト・
「……何をやっているんだ」
時は少し遡っての出来事。迷子になったベルが『ダンジョン』に繋がる第二の入り口の捜索を行っていた【ロキ・ファミリア】と偶然遭遇したのだが、ベルの体に染みついている麝香の臭いに団員達が大いに反応し、ちょっとした騒ぎに発展していた。
これには指揮を執っていたリヴェリアは片手で頭を押さえていると、自分達の部隊に近づいてくる気配を感じ取ったリヴェリアはその気配がする方向へと視線を向けると、大勢の猫達に囲まれながら向かってくる青年の姿を、リヴェリアは目視で確認した。
「……エレン?」
気が付いた時には、リヴェリアの口から姿を現した青年の名を口にしていた。そして、エレンはなぜか大勢の猫達に護衛されているかのような状態でこちらに向かってきており、その姿を見たほかの団員達は呆気にとられていた……。
エレンの髪は『
そんな見た目をした彼が猫達に囲まれながらこちらにやってきていたのだが……なぜだろう?猫達に囲まれているエレンを見るとイラっとする自分自身にリヴェリアは困惑していた。理由はよくわからない。ただ、猫達にあんなに懐かれているエレンを見ていると、どうしてもイラっとしてしまう自分が存在した。
「(……落ち着け、リヴェリア・リヨス・アールヴ。いつもレフィーヤ達に言い聞かせているだろう。『大木の心』を持てと)』
リヴェリアは日頃から自身の弟子であるレフィーヤに言い聞かせている『大木の心』を持ってして、自身の体の中から溢れ出そうな『何か』を抑え込んでいた。
だが、必死に溢れ出そうな『何か』を『大木の心』を持ってして抑え込んでいたリヴェリアだったが、そんな彼女に
「ニャ~♪(ほっぺたスリスリ)」
「──────はっ?」
何と、エレンの肩に乗っていた一匹の子猫がエレンの頬に頬擦りをしている光景を目にしてしまったリヴェリアの表情は一気に険しいものへと変貌した。その光景はただ、子猫がエレンに甘えているだけの微笑ましい光景なのだが、リヴェリアはその光景を見ているだけで頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっていた……。
それでも、リヴェリアは耐えていた。深呼吸を繰り返しながら、今にも溢れ出そうなドス黒くてドロドロとした『何か』を『大木の心』を以てして必死に塞き止めていたが、リヴェリアの精神状態はとても危うい状態であり、いつ崩壊してもおかしくない状態だった……。
だが、必死に自身を律していたリヴェリアだったが、この世はとても残酷なもの。リヴェリアの中から漏れ出てしまった『もの』に反応してしまったエレンが冷や汗を流しているのに気が付いた子猫がリヴェリアの逆鱗に触れる『禁忌』を犯してしまったのだ。
「「ニャ~♪(冷や汗をペロリ)」
「──────あ”?」
何と、エレンの肩に乗っていたもう一匹の子猫がエレンの冷や汗をペロリと舐め取る光景を見てしまったリヴェリア。自分の体の中にある『大木の心』に巨大な落雷が直撃し、真っ黒な灰となってしまい、塞き止めていた『何か』がリヴェリアの体の中から溢れだしていた。
「リ、リヴェリア様ッ!!?」
「お、落ち着いてください!!」
「『何か』がッ!!?リヴェリア様から禍々しい『何か』が溢れていますぅ!!」
リヴェリアの周りにいたアリシアを含めた
「……アリシア。それはなんだ?」
「これは最近、18階層で取れると話題の『奇跡の水』です。是非ともリヴェリア様に飲んで頂きたいと思いまして……」
「『奇跡の水』?」
初めて聞く名にリヴェリアが首を傾げていると、周りに居たエルフの団員達がアリシアの持っている『奇跡の水』に反応した。
何でも、ここ最近の出来事で、18階層に存在する泉の一つから採取できるものらしく、飲みだけで腰痛や冷え性に頭痛、薄毛に肥満が改善したとかで話題となり、今では美容目的で多くの女性冒険者の間で話題になっているものらしい。
【ギルド】でも、この『奇跡の水』の採取依頼が大量に入り込んでいるようだが、どっかの
リヴェリアはアリシアから半ば強引に『奇跡の水』を渡されると、手に持った『奇跡の水』が入った瓶をジーと見つめるリヴェリア。見た目はただの水。本当にアリシア達に言っている通りにの効果があるのか疑問に思っていたリヴェリアだったが、如何やらアリシア達は飲んだことがあるようで、ちゃんと効果はあったらしい。
「(…………まぁ、飲んでみるか)」
アリシア達とのやり取りで、ある程度の落ち着きを取り戻したリヴェリアは、アリシアから貰った瓶の蓋を開き、中に入っている『奇跡の水』に口をつけたリヴェリア。
「(……しょっぱい、だが、かすかに甘酸っぱさがあるな……)」
最初に一口をに飲み込んだリヴェリアは口の中で感じた『奇跡の水』の味だった。塩分を含んでいるのか、この『奇跡の水』にはしょっぱさが存在していたが、その後に果実系の甘酸っぱさがあり、何との不思議な味であり、リヴェリアはそのまま瓶の中に残っている『奇跡の水』を飲み干した。
「どうでした、リヴェリア様?」
「変わった味だな。美味というわけではないが、何というか、癖になりそうな味だな」
「はい。ですが、この『奇跡の水』を飲んだ次の日は髪やお肌が艶々になっていて、不思議と体が軽くなっていたんです!」
「私は飲んだその日はぐっすり眠れました!」
「私は次の日のダンジョン探索の時は体の調子がとても良かったです!」
アリシアに続いて『奇跡の水』を飲んだことがある団員達が感想を述べていった。実際に『奇跡の水』を飲んだリヴェリアにも変化が起きていた。日の出ていない夜中で動いている影響で少々冷え切っていた体がポカポカと温かくなっており、
この『奇跡の水』の効能は確かなものだとリヴェリアは思ったと同時になぜ、今の今まで発見されなかったのか疑問に思った。アリシアに聞いた話だとこの『奇跡の水』が採れた場所は未開拓領域という訳ではなく、これまで何度か利用したことがある泉とのこと。
そうなれば、何かしらの要因で『泉』が変化したと考えるのが妥当。リヴェリアは自身の知識と経験を照らし合わせて、この『奇跡の水』の正体が何なのかを考察している時に、ガシャンと自身の頭に瓶らしきものが落ち、その瓶に入っていたであろう液体らしきものが自身の頭を濡らした……。
『『『──────あっ』』』
リヴェリアの周りにいたアリシア達はその一部始終を目撃しており、リヴェリアに頭に掛かった液体が何なのかの正体も知っていたが、リヴェリアは考察に集中しているあまりベル達の会話が聞こえていなかった。
リヴェリアの頭に掛かってしまった液体は、頭から顔へと滴り落ち流れ落ちた一部がリヴェリアの口へと入り込んでしまい、自身に掛かっている液体の正体を全く知らなかったリヴェリアは口に入り込んでしまった液体を──。
「───ゴクリ」
『『『─────────あっ』』』
リヴェリアは無意識に口に入り込んでしまった『精力剤』を飲み込んでしまった。最初から自身に掛かった液体が『精力剤』であると分かっていたのなら、飲み込むなんてことはなかっただろうが、もう何もかも手遅れの正体だった。
リヴェリアが飲み込んでしまった『精力剤』は
この『奇跡の水』は
そして、この事実が判明した男神はどのぐらいの効果があるのか調べるために、特性ドリンクと噓をついて近くにいた『
何とか『未遂』で事態を収束させることはできたのだが、混合液を飲まされた
ゆえに、【歓楽街】で美容目的で販売されていた『奇跡の水』や看板商品の『精力剤』を販売していた際には『絶対に混ぜないでください』と注意書きがされていたのだが、この場にいる彼女達がそのような事を知るはずもなく、飲み込んでしまった『精力剤』はリヴェリアの体内で『奇跡の水』と混ざり合ってしまい、リヴェリアは偶然出来上がってしまった『混合液』がリヴェリアの理性を真っ黒に塗り潰した。
「……ふ、ふふふ」
「リ、リヴェリア様……?」
リヴェリアの体からは間違っても
***
「───あぁ、あああッッ!!?」
すっかり
「──────ヒィッッ!!?」
突然、猛烈な視線を感じたベルは地面に腰を着けた状態で上を見上げると、そこにはこれ以上は無いと言うほど目を大きく見開いた状態でベルを凝視している女性エルフ団員達の姿であり、憧れの存在でもあった妖精の変わり果てた姿を目にしたベルは思わず口から悲鳴が飛び出した。
しかし、そんなベルにお構いなしと言わんばかりにアリシア達は各々の
「くたばれぇぇぇぇぇ!!!
「ごめんなさぁあああああああああああああああああいッ!?」
何とか間一髪で避けることができたベルだったが、憤激の咆哮を上げるアリシア達にビビり散らかし、脱兎の如くその場から逃げ出し、それに続くようにアリシア達が凄まじい速度で追走した。だが、
「早まるな、レフィーヤ!!」
「お願いがあります、フィルヴィスさん。私を焼いた灰はアルヴ山脈に撒いてください!」
「やめろ、レフィーヤ!! 私はお前のそんな願いは聞きたくないぞ!!」
レフィーヤのすぐ近くにアイズがいたお陰で何とか『未遂』でレフィーヤを取り押さえることができたが、アイズに羽交い絞めにされているレフィーヤは未だに暴れ続けていた。本当に
「ねぇ、リヴェリアは何処に行ったの?」
『『『…………えっ?』』』
ティオネのその言葉にアイズ達は周りを見渡したが、リヴェリアがいた場所にはその姿はなく、この場に残ったメンバーで辺りを捜索していると、アイズが『あっ』と呟き、指をさす方向にはリヴェリアの姿があったが、
リヴェリアは壁際の方に移動しており、リヴェリアの目の前にはベルの近くにいた筈の青髪の青年の姿があり、何を言っているのか聞き取ることはできなかったが、此方に助けを求めるかのように手を此方に伸ばしていた。
だが、その青年の行動に気が付いたリヴェリアは青年の手を掴むとそのまま青年の背中側へと回し、無動きが取れないように拘束した。その一部始終を見ていたアイズ達は『えっ?』とまるで信じられないものを見てしまったかのような表情で固まってしまった。
「……あ、あの……リヴェリアさん……?」
「…………」
リヴェリアに拘束されている青年は彼女の名を呼ぶが返事はなく、青年は彼女の顔をよく観察してみると───何ということでしょうか。
頬は赤く染まり、息は大きく乱れ、彼女の眼は『捕食者』と呼ぶにふさわしい目をしていた。
逃げようには背後には壁。正面はリヴェリアが自身の体を過剰と言っていいほど密着させているせいで身動きが取れず、絶対絶命のピンチに陥っていた……。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
『奇跡の水』は飲んでも浴びても効果はありますが、薬品の品質を向上させる『薬』としても活躍できます。ですが、その効果のせいで現在のリヴェリアは『奇跡の水』によって強化された『精力剤』の効果をもろに受けています。
エレン
彼の運命は如何に?無事に脱出できるか? それとも食われるのか? あるいは食い荒らされるのか? その答えはアンケートに答えてくれた読者の皆様の結果によって変化するぞ! さぁ、皆様! エレンの生殺与奪の剣を握る時です!
50話のエレンの運命について
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何とか無事に逃げることができる
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食われる
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食い荒らされる