聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

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5話 18階層

「すまん、ヘスティア。お前の子が帰ってきていないのは、俺達に原因があるかもしれん」

 

「……」

 

 

ヘスティア達は【ミアハ・ファミリア】のホーム、『青の薬舗』にいる。ベル達が『ダンジョン』から帰ってこないので、【タケミカヅチ・ファミリア】に協力要請をお願いしようとしたとき、タケミカヅチから謝罪があった。自身の眷属が『中層』から脱出する際、モンスターをほかのパーティに押し付けたこと、そのパーティに白い髪と青髪のヒューマンがいたこと。

 

これらの情報から、そのパーティはヘスティアの眷属がいたことが分かったタケミカヅチはすぐにヘスティアの本拠に向かい頭を下げ、その後ろではタケミカヅチの眷属達が懺悔するようにうつむいていた。

 

 

「ベル君達が戻ってこなかったら、君達のことを死ぬほど恨む、けれど憎みはしない。約束する」

 

 

ヘスティアは子ども達を許したその上で、懇願をする。

 

 

「今は、どうかボクに力を貸してくれないかい?」

 

「「「「「「仰せのままに」」」」」」

 

 

一糸乱れない動きで【タケミカヅチ・ファミリア】の6名は膝を床に突き、頭を垂れた。

 

 

「では、話を先に進めよう。時間が惜しい」

 

「うん」

 

「捜索隊、だったな。まだヘスティアの子が生きていることは間違いないんだな?」

 

「ああ、確かさ。ヘファイストス、ヴェルフ君の方は?」

 

「ええ、まだ生きているわ。私が与えた『恩恵』の数は減っていないようだし」

 

「ヘファイストスの子は協力できないか?」

 

「実はロキのところの『遠征』に団員を預けていてね……『深層』まで行くから、腕利きの子はみんなあっちにいるの。今すぐ動かせる子じゃあ、『中層』にとどまらせるには頼りないわね」

 

「アストレアは留守にしてたから会えなかったし……」

 

 

ヘスティアは真っ先にアストレアに救援依頼をお願いしようとしたが、アストレアは留守だった。本拠にいたアストレアの眷属(セルティ君)に事情を伝えているが、いつアストレアに会えるかは分からない。

 

 

「やっぱり、タケのところに頼っちゃうことになるな」

 

「それはいいんだがな……桜花と命は決まりとして……千草、お前もサポーターで行けるか?」

 

「は、はいっ」

 

「かと言って、この子達だけに任せるのも……」

 

 

捜索隊に求められるのは『速さ』が求められる。力が半端な人員を増やしても木乃伊取りが木乃伊になってしまう。やはり人手不足が否めないと考えていた。

 

 

 

その時……。

 

 

 

「オレも協力するよ、ヘスティア!」

 

「ヘルメス⁉何しに来た!」

 

「何しに来たって、神友のピンチに駆け付けたにきまってるにじゃないか」

 

 

そこに現れたのは男神ヘルメスとその後ろには団長のアスフィ・アンドロメダがいた。ヘルメスの手には一枚の羊用紙を持っており、ヘスティアの出した捜索依頼だった。

 

 

「何でヘスティアの子を助けようとするんだ、ヘルメス。言え」

 

「おいおいタケミカヅチ、オレはただベル君を助けたい。それだけさ」

 

「何⁉」

 

「何ってベル君とはマブダチでね。彼が小さいころからよく会っているんだ。そんな彼が危険な状態ならいくらでも手を貸すさ!」

 

「それを信じろと!」

 

「少しよろしいでしょうか。神タケミカヅチ」

 

「お前は、たしか【万能者(ペルセウス)】……」

 

「彼とはヘルメス様と一緒に何度か会っています。ウチの主神が胡散臭い神ですので、信用に欠けると思いますが、ベル・クラネルを助けたいのは確かです」

 

 

ヘルメスの話がどうしても信用できないタケミカヅチを説得するアスフィ。下界の住民は神々の前では嘘は通用しない……少なくとのアスフィの言葉には嘘はなく、ひとまずはヘルメスの眷属()に免じて信じることにした。

 

 

「わかった……。お願いするよ、ヘルメス」

 

「ああ、任されたよ!」

 

「いいのか、ヘスティア?」

 

「ベル君からもヘルメスと会ったことがあるのは聞いているから、さっきのヘルメスは嘘は言っていない。それに今はベル君達の救助が最優先!人手が欲しいのは事実だし」

 

「……わかった、お前がそう言うなら。だが、ヘルメスの団員が加わわるわけだが……これならば、いけるか?」

 

「なら、私の眷属()もいかせようかしら?」

 

「!アストレア。来てくれたのか!」

 

「ごめんなさいヘスティア。ちょっとフレイヤに呼ばれていたの」

 

 

ホームの扉が開き、入ってきたのは女神アストレア。ヘスティアがアストレアの本拠を訪れて、少し経った後に戻り、セルティから事情を聞き、すぐに駆け付けたのである。

 

 

「アストレア、君がここに来てくれたってことは……」

 

「ええ、ヘスティア。私も協力させてもらうわ」

 

 

ヘスティアからしてみれば、それはうれしい言葉だった。【アストレア・ファミリア】の団員は少数精鋭の【ファミリア】。その実力はLv.5が3名、Lv.4が8名の計11名。ギルドの格付け、等級(ランク)は『S』である。

 

 

 

「私の眷属(子ども)達も行かせるわ」

 

 

 

一方、救出対象の彼らは……。

 

 

 

「いや~、危ない所だったなぁ~w」

 

「何そんなにのんきに笑っているんですか!エレン様!!!」

 

「だって、大盾が溶けた瞬間『あ、オワッタ』と思ったけど、気づいたら全然大したことなかったなんて、笑うしかないじゃんw」

 

「黒焦げになっていれば良かったのに!」

 

「リリ、酷くない?」

 

「「……」」

 

彼らは今、1()5()()()にいる。『ヘルハウンド』の火炎攻撃による大爆炎で吹っ飛ばされ、そのまま『ダンジョン・ギミック』……『縦穴』と呼ばれる落とし穴に落とされていた。ただ、落下速度や周囲の環境などから13、14顔層より15階層の特徴に近いことが判明。

 

この危機を打破すべく、リリは自分たちをここまで落とした『縦穴』を逆に利用し、18階層……()()()()()()()()()()()安全階層(セーフティポイント)を目指すことを提案。3人はその案に同意し、『縦穴』を見つけるべく、15階層を進んでいた。

 

 

「しかし、()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「え?もしかして死ねと?」

 

「あの大爆炎に真っ先に巻き込まれたのですよ!そして、全くの無傷!いくら『サラマンダー・ウール』を装備していたからと言って、それだけでは納得できません!!!」

 

 

リリの言葉にベルとヴェルフは頷き、困惑するエレン。エレン本人もどうして無事なのか全くわからないが、『無事ならいっか!』と深くは考えていなかった。実際は、彼が炉の火の精霊。『サラマンダー(火の精霊)』の性質を持っている。火炎攻撃を仕掛けてくる『ヘルハウンド』が炎への耐性を持っているように、彼も『炎』の耐性を持っている。

 

そこに、同族(精霊)が作った『サラマンダー・ウール』……『精霊の護符』の相乗効果も合わさり、無傷に近い状態だった。それに彼の()()()()()()も大きかった。彼の魔力には、『精霊の護符』などの()()()()()()をより高める効果があるが、それを知るのは先の話……。

 

なお、彼の正体を知ったとある道化の【ファミリア】が地獄の織物作業をさせるのはまた別の話……。

 

エレンが無事なおかげで、落石で左足に大けがを負っていたヴェルフの治療をすることができた。それでも、失われた血液までは戻ってこないので今のヴェルフは少々、貧血状態である。それ以外元通りの状態に、砕かれた骨はすっかり治り、戦闘にも支障が出ない状態だった。

 

 

「……あった」

 

「これが『縦穴』。これに飛び降りるのは勇気がいるな~」

 

 

ベルとエレンがそれぞれ言葉にするのは、彼らをここまで落とした『縦穴』である。その深さは恐らく、16階層まで続いていそうだった。17階層の『階層主』の次産間隔(インターバル)に間に合わせるべく4人は『縦穴』へと飛び込んだ。

 

 

 

***

 

 

 

一方捜索隊の方では……。

 

 

「つ、強い……」

 

「あの数のモンスターを3人で、か」

 

「あ、あぅぅ……」

 

 

【タケミカヅチ・ファミリア】の3人は目の前の光景に唖然としていた。自分たちが他パーティにモンスターを擦り付けてまで、逃げおおせたモンスターたちを『正義』の乙女達は、一瞬で掃討したのだ。

 

 

【アストレア・ファミリア】

 

ーーゴジョウノ・輝夜 Lv.5

 

ーーリュー・リオン Lv.5

 

ーーネーゼ・ランケット Lv.4

 

 

今の【アストレア・ファミリア】は【ロキ・ファミリア】の『遠征』に団長を含めた半数が同行しており、地上に残っているメンバーで足の速いメンバーで構成されている。13階層に入るとすぐに、大量のモンスター達に襲われるが、正義の乙女達の手によって次々と倒され、静寂が広がっている。

 

 

「これで、あらかた片付いたか?」

 

「恐らくは……」

 

「にしても、『中層』とはいえ、多すぎないか?」

 

「前回の『掃除当番(スウィーパー)作業』からだいぶ時間も経っている。正規ルート以外の場所から来たモンスターがここに溜まっていたんだろう」

 

 

輝夜、リュー、ネーゼが各々感じたことを話し合っていた。いくら『中層』でも、この数は多すぎる。実際彼女たちの考えは正しく、正規ルート以外のエリアにはモンスターが溜まってた状態になっており、【タケミカヅチ・ファミリア】の千草が負傷した時の血の匂いに釣られ、ここに集まっていた状態になっていた。彼女達だけなら、なんも問題ではないが、今回は()()()も存在し、モンスターの掃討を行っていた。

 

 

「ぎゃああああああああああああああああああっ⁉」

 

「おいおいヘスティア、こいつはもう死んでるよ」

 

 

神ヘスティアと神ヘルメスの存在である。神はその全能の力を封じて今は一般人と大差ない力しかない状態だ。そんな状態では、モンスターの攻撃なんて受けたら致命傷になりうる。護衛は【タケミカヅチ・ファミリア】と【万能者(ペルセウス)】に任せているので特段心配はしていないが、念のためである。

 

そんな捜索隊は今1()8()()()()()()()()()()。ベル達のパーティが1日以上ダンジョンから戻ってこれない状況……。恐らく、何らかの事故で『縦穴』に落ち、戻ってこれない状況。広大な迷宮を彷徨う選択をしているなら、とっくに全滅しているだろう。まだ、生きているのなら、地上に戻る選択肢を捨て安全階層(セーフティポイント)の18階層を目指していると考え、行動を起こしている。

 

 

「それでヘルメス。いい加減説明してくれないか」

 

「何のことだい?」

 

「君がベル君を助けようとする、その理由さ」

 

「おいおい、言ったじゃないか!マブダチを助けるのは当然のことさ!」

 

「そーいうことはもういいっ、ここまできたら、もうしらばっくれる必要もないだろう?ちゃんと話してくれ、ヘルメス」

 

「マブダチなのは本当なのに……。わかったよ、ヘスティア」

 

 

ヘスティアは気になって仕方なかった。ヘスメスはいろんな意味で分からない神だった。気づいたらオラリオにいて、気づいたら旅に出ているなど、自由気ままな神だった。そんな神がいくらマブダチの為とはいえ、『ダンジョン』に入ってくるだろうか

 

 

「オレが今回の旅からさっさと帰ってきたのは、ある頼み事をされたからなんだ」

 

「頼み事……?」

 

()()()()()()()からさ」

 

「ベル君の……」

 

「ほら、この前の神会(デナトゥス)で2つ名と一緒に世界最速兎(レコードホルダー)なんて情報が世界に発信されちゃっただろ?その話を聞いた保護者達も、それはもう驚いたらしいよ」

 

「そりゃあ、そうだろうね」

 

「そこで、オラリオをよく出入りしている、この俺に白羽の矢が立ったという訳さ!」

 

「君を使い走りに利用できる()っていうのは、まさか……」

 

「お!ご明察!ちなみにそれだけじゃないぜ!」

 

 

そういうと、ヘルメスは1枚の手紙を取り出して見せた。それはただの手紙だったがそれには()()()()()()()()()()()がはいっていた。

 

 

「!ヘルメス。それは……」

 

「ベル君の育ての義母からさ!これを渡すように言われていてね!」

 

 

ヘスティアもベルから色々と聞いてはいる、義母とは血縁上は伯母の関係で、小父は血の繋がりはないが父親と同じ【ファミリア】にいたという。2人は『冒険者』だったみたいだが、あまり昔の話はしてくれらしい。いくら鈍感なヘスティアでも、ここまで情報がそろえば、ベルが『とある二大派閥』に大きく関わっていることは容易に想像がつく。

 

 

「オレはベル君も心配だが、()()()()()()()()()()()()()

 

「ギクッ⁉」

 

「ベル君のこと色々話したんだ、エレン君のことたくさん知りたいなぁ~」

 

「さ、さぁ~ベル君達が心配だー。先を急ごー」

 

 

ヘルメスがエレンの情報を引き出そうとするが、何とか話をそらして情報流出を阻止するヘスティア。ヘスティアはその善神ゆえ、そして、引きこもり体質の影響で、あまり神々同士の化かしあいは得意ではないかった。

 

 

「(助けてくれーーーー!!!ヘファイストスーーーーー!!!、アストレアーーーーー!!!)」

 

 

今、ここにはいない神友に助けを求めていた……。

 

 

 

***

 

 

 

「ヘスティアは大丈夫かしら?」

 

「輝夜達が付いてるもの。大丈夫じゃないかしら」

 

「そっちは心配いらないでしょう。私が心配してるのは変に口を滑らせて、ヘルメスに余計なことを話していないかよ」

 

「……大丈夫でしょう」

 

「変な間があったが、大丈夫か?アストレア」

 

 

ヘファイストス、アストレア、ミアハ、タケミカズチの4柱がヘスティアの出発を見送ったあと、少し世間話をしていた。現状打てる手は打っており、後は眷属達の帰りを信じて待つのみ。

神々同士の情報交換をしていた。

 

 

「そういえば、アストレア。フレイヤに呼ばれていたと言っていたが、何かあったのか?」

 

「ちょっとね、ヘスティアの新しい眷属……エレンについてなにか知らないか聞かれたの」

 

「「「!」」」

 

 

タケミカヅチがアストレアがフレイヤに呼ばれていた理由を尋ねると、まさかのヘスティアの眷属、エレンについてだった。エレンの正体については、ヘスティアを除いた今この場にいる神々しか知らない情報だ。

 

「もしかして、もうバレたの?」

 

「いえ、その心配はいらないはわ、ヘファイストス。フレイヤはエレンの正体に気づいていないわ。ただ、()()()()()()みたいなの」

 

「『邪魔をされた』とはどういう訳だ?アストレア」

 

「フレイヤは()()()()()を見ようとしたらしいんだけど、なぜか()()()()()()()()()らしいの」

 

 

フレイヤは人間の魂を見ることができる能力を持っている。恐らく、どこかでエレンの魂をのぞき込もうとしたようだが、エレボスが施した『認識阻害』が働き、エレンの魂を見ることができなかったらしい。それが逆に興味を引いてしまったようだ。現にミアハとタケミカヅチの2柱がエレンと会った際、彼を『精霊』と認識することはできなかった。

 

 

 

一方話題に出ているエレン達は……。

 

 

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!」

 

「「「「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 

 

彼らは17階層に存在する階層主『ゴライアス』に追われていた。16階層でLv.2モンスター『ミノタウロス』の集団に遭遇した時はどうしようかと思ったが。【ランクアップ】を果たしているベルのおかげで何とか危機を脱することができた。

 

そこから、無事17階層に繋がる『縦穴』を見つけた彼らは、何とか17階層『嘆きの大壁』にたどり着くことができた。そこには()()、『階層主』は生まれていなかった。

 

 

 

()()……。

 

 

 

彼らが、18階層に繋がる洞窟に進もうとした時、バキリ、と巨大な亀裂が、大壁の上から下にかけて、雷のように走っていた。それに気づいた彼らはがむしゃらに走った。目の前の洞窟を目指して、ひたすらに走った。逃げる彼らの後を追いかけるかのように、大壁にひびが走り、そして『巨人』が生まれ落ちた……。

 

 

巨人の名は迷宮の孤王(モンスターレックス)『ゴライアス』。17階層の階層主で【ギルド】の推定はLv.4

 

 

「おいおいおい!!いくら階層主だからと言ってデカすぎんだろう!!!」

 

「口を動かす余裕なんてありません!とにかく走ってください!」

 

 

ヴェルフがあまりの巨大さに愚痴を吐き、リリがとにかく走るように指示を出す。『ゴライアス』はすぐに彼らを捕捉し、その巨大な足を動かし、彼らを追いかける。ベル達の必死の逃走をあざ笑うかのように『ゴライアス』は距離を詰め、その巨大な腕を大きく振り上げる。

 

その巨大な腕が振り下ろされる寸でのところで、洞窟に避難できた彼らだが、直後に衝撃波が襲う。それは、『ゴライアス』によって粉砕された地面が爆風と共に彼らを襲い、洞窟の奥のほうに弾き飛ばされた。天井、壁、地面を玉のように跳ね返りながら、奥へ奥へと飛ばされて……。ようやく止まった。

 

 

「い、いたい……」

 

「お、お前ら……生きてるか?」

 

「リ、リリは何とか……」

 

「生きてるよ~……」

 

 

互いに生存確認をするベル達。さっきの衝撃波で傷だらけの状態だが、階層主から逃げられたことを考えれば儲けものだろう。エレンが【セイクリッドフレア(回復魔法)】を使い自身を回復させた後、周囲を見渡すと先ほどの岩壁だらけの迷宮とは雰囲気が一気に異なった景色が広がっていた。

 

そこは木々が広がり、森と言ってもいい場所……。一気に違う場所に迷い込んだ感じに襲われたが、仲間の痛々しいうめき声を聞き、ハッ!と我に返ったエレンはベル達の治療に取り掛かった。リリ、ヴェルフ、ベルの順番で治療を始め、最後にベルの治療をしているときに、後ろから声が聞こえてた。

 

 

「ベル……?」

 

「ん?」

 

「え!アイズさん!」

 

「ベルの知り合い?」

 

「おい、ベル。お前、あの【剣姫】と顔見知りなのか?」

 

「えーと……色々はあったかも」

 

「ベル様、後でその話、ちゃんと聞かせてくださいね?」

 

 

そこにいたのは、金髪の女性……。ベルの『アイズ』という名前、ヴェルフの【剣姫】の名前を聞いて、エレンの頭の中で【ロキ・ファミリア】のアイズ・ヴァレンシュタインの名前が思い浮かんだ。『中層』に入る前に同じ同業者(冒険者)のことを全く知らなかったエレンはエイナさんから色々と話を聞いていた。まだ、すべての冒険者を覚えたわけではないが、大手の【ファミリア】の情報は叩き込んでいた。

 

 

「ど、どうしてここに……⁉」

 

「今は、『遠征』の帰りで……この18階層に、とどまってて……」

 

 

どうやら【ロキ・ファミリア】は遠征帰りでここ18階層で休息をとっているようだった。そこにたまたま近くにいた【剣姫】が『ゴライアス』の咆哮を聞きつけ、ここに来たらしい……。

 

 

「ベル。すごいね。普通【ランクアップ】してもすぐにここまで、来ないのに……」

 

「い、いえ……、元々、ここ来る予定はなくて……」

 

「?どういう事……」

 

 

ベルはここまで来た経緯を話した。13階層に挑戦したが、ほかのパーティにモンスターを押し付けられ、『縦穴』に落ち、この危機を脱する為ここ18階層を目指したことを話した。『それでも凄いよ』と言っていたが、それでもベルは『いえ、僕なんて全く……』と謙虚というか、自己肯定が低いというか、そんなやり取りが続いた。

 

 

「でも、ベル達そんなに怪我、してないよ?」

 

「そ、どれはエレンさんのおかげで……」

 

「もしかして、後ろの青髪の人?」

 

「はい!エレンさんはすっごい治療師(ヒーラー)で、仲間の骨折した足をすぐに治したりして……」

 

「……」

 

「アイズさん?」

 

 

ベルからエレンが治療師(ヒーラー)であることを聞くと、アイズはエレンのことをジーと見つめたと思いと、彼の傍まで近づいてきた。なにやら、エレンの周りをウロチョロ回ったりといつかのヘスティア様と同じような状態になったが、とりあえずここは自己紹介だろうか?

 

 

「え~~と、初めまして、エレン・エウロギアといいます」

 

「……私、アイズ」

 

「えっと、アイズさん……なにか気になることでも?」

 

「……エレンって、毒とかも治療できたりとかは……」

 

「?毒ですか?出来なくはないですけど……」

 

「!、一緒に来て!」

 

「え?」

 

 

なにやら毒の治療ができるかどうかを尋ねられ【青の薬舗】でエレンの回復魔法が毒にも効果があることは分かっているので、素直に答えると突然、彼の腕をつかみ有無も聞かずに連れ去るアイズ。あまりの突然の出来事に固めるベル達だったが数秒後。ようなく今起こった出来事を理解した彼らの叫び声が18階層に響き渡った……。

 

 

「ええええええええええええええええええええええええ!!!」




ここまで読んでくださりありがとうございました。

アイズについてですが、種族が『ヒューマン』になっていたのでエレボスの『認識阻害』が適用されている設定にしています。それでも、なんか精霊っぽい?うーん、勘違い?みたいな感じになっています。
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