聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか   作:フェイト・

53 / 55
どうも投稿者です。一か月振りの投稿で申し訳ありません。知っている人も多いと思いますが、R18バーションを仕上げたり、現実(リアル)が忙しかったりで投稿が遅れてしまいました。


53話 ヘル雌(メス)

「第一回。『取り合えずヘルメス殺さないか?』裁判を開始する」

 

「「イェーイ♪」」

 

「ぎゃぁああああっ!!? 誰かぁああああああ、助けてれぇぇぇぇぇぇぇっっ!!?」

 

 

 真っ暗な空間を蠟燭の明かりで照らされている不気味な雰囲気を漂わせる室内で、アルテミスの開始の合図を大きな声を上げるヘスティアとエレン───そして、天井から吊るされているヘルメスの姿があった。

 

 

「頼むぅ、許してくれぇ!!何でもするからっ!!!」

 

「と言っているが。生かして帰す?殺す?」

 

「「殺す♪」」

 

「よしわかった。お前達、準備をしろ」

 

『『『は~~~い』』』

 

 

 ヘルメスの必死の命乞いを蹴り飛ばすエレンとヘスティア。そして、そんな二人の返事を聞き入らたアルテミスは自身の眷属に号令をかけると、アルテミスの眷属達は謎の液体で満たされた大釜を吊るされているヘルメスの真下に設置した。

 

 なお、ヘルメスがこのような状態になっている理由は、エレンが【歓楽街】での出来事をヘスティアとアルテミスに話したからである。エレンから話を聞いたヘスティアとアルテミスは『ちょっと出かけてくる』と言い残して本拠(ホーム)を飛ぼ出していき───一時間には瀕(・)死(・)状(・)態(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)ヘルメスを引きずって戻ってきた。

 

 

「──────ナニコレ?」

 

「ヘルメス様の為に作った特製の薬品です♪恨みたっぷりで作りましたので、存分に堪能してください♪」

 

「助けてくださいお願いしますぅ!!!俺はまだ可愛い女の子とイチャイチャ───『ドボンッ』」

 

 

 喋っている途中だったが、どうせ碌な内容ではないと早々に判断したエレンはヘルメスを謎の液体で満たされた大釜の中へと叩き落した。

 

 

「エレン君。さっきから気になっていたんだけど……この大釜の中身は一体何なんだい?」

 

「ん?この液体ですか?……偶々、廃教会でレシピを見つけたんです。何でも『ダメ男を去勢できる魔法のレシピ!(婚姻の女神公認)』って内容で作れそうなものをピックアップしました」

 

 

 エレンがヘスティアの質問に答えると、懐から一冊の本を取り出した。何やら禍々しいオーラを放つ魔導書に似たような気配を放つ漆黒の本。しかも、なんか知り合いの女神の名が刻まれていたが見えたが、二柱の女神は見なかったことにした。

 

 

「ふむ。大体わかったが、『去勢』とはどういう意味なんだ?」

 

「それが、だいぶ年季のある本のようで所々読めないところがあるので何とも……」

 

「うわぁ、結構ボロボロだねぇ~。しかも、虫に食べられているところもあるし、全部は読めないなぁ」

 

 

 エレンは持っていた本をヘスティアに渡して見せてみたが、中身は結構ボロボロの状態であり、読める所も多少は残ってはいるが、半分以上は酷い有様だった……。

 

 

「つまり、ヘルメスがこの液体を浴びてどんな結果になるのか分からない、と?」

 

「結果的にはそうなりますね。まぁ、『お仕置き』も兼ねた検証実験の面もありますけど……」

 

「じゃあそろそろ引き上げて様子を見てみようか、エレン君。悪いけどロープを引っ張ってくれ」

 

 

 ヘスティアの指示を受けたエレンはヘルメスを縛っているロープを引き上げ始めた。ロープは徐々に短くなっていき、やがて大釜の中からロープで縛られた者が姿を現した。

 

 

「「「…………」」」

 

「ごほぉ、ごほぉ。死ぬかと思った……」

 

「「「…………」」」

 

「───ん?どうしたんだい、君達?」

 

「「「…………」」」

 

 

 大釜から引き上げられた神物(じんぶつ)を見たエレン達の表情はまるで石のように固くなった。顔はヘルメス───しかし、その胴体にはヘ(・)ス(・)テ(・)ィ(・)ア(・)に(・)負(・)け(・)な(・)い(・)ぐ(・)ら(・)い(・)の(・)大(・)き(・)な(・)果(・)実(・)が実っており、三人は何かの見間違いだと思い、引き上げたヘルメスを再び大釜に中へと落とした。

 

 

 

***

 

 

 

「何ふざけた恰好でやってきてるんやおんどらぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「ごほぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

「なんで男のお前がドチビ並みのおっぱいを持っとるんやぁ?嫌味かぁ?ウチに喧嘩売っとるんかぁ?」

 

「イダダダダダダダッ!!?捥げるぅ!!捥げちゃうからやめてくれ、ロキィィィィィッ!!」

 

「捥げろぉ。捥げちまえぇ!!そして、このおっぱいをウチによこせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「───アストレア。これはどういう状態なんだい?私はロキから招集を受けてやってきたつもりなのだが……」

 

「それで間違いないわよ、ディオニュソス。それと、私もさっき来たばかりだから何も知らないわ。来た時からこの状態だったもの」

 

 

 ここは歓楽街にある高級酒場の一室。ロキから『ダイダロス通りの地下で怪しい扉を見つけた』との報告を受け、この場所にやってきたディオニュソスとアストレアだったが、ロキが用意した部屋では馬乗(・)り(・)の(・)状(・)態(・)に(・)な(・)っ(・)た(・)ロ(・)キ(・)が(・)ヘ(・)ル(・)メ(・)ス(・)の(・)巨(・)乳(・)を(・)思(・)い(・)っ(・)き(・)り(・)引(・)っ(・)張(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)絵づらが広がっていた。

 

 

 

***

 

 

 

「いやぁ~、まさか、あの薬が性(・)別(・)反(・)転(・)薬(・)……しかも、神にも効果を発揮させる代物とは……恐ろしや、【ヘラ・ファミリア】」

 

 

 ヘルメス───いや、この際、『ヘル雌(メス)』と呼ぶことにしよう。ヘル雌(メス)が浴びたのは【ヘラ・ファミリア】が開発した『性別反転薬』である。これは浮気をする男達の『お仕置き』の為に開発されたものらしいのだが、その内容的にあまり【ヘラ・ファミリア】好みではなかったようで、使用されたのは【ゼウス・ファミリア】のごく一部の者ぐらいである。

 

 

そんなことは全く知らなかったエレン。ヘルメスに対する『お仕置き』が完了したエレンはベル達と合流するべく屋敷の中をウロウロしていると外で清掃を行っているベル達を発見したエレンは本拠(ホーム)の外へと向かった。

 

 

「おーい」

 

「……エレンさん」

 

「……?何かあったのか?」

 

 

 ベル達と合流を果たしたエレンだったが、ベル達の雰囲気がおかしいことに首を傾げた。話を聞くと、命の故郷で出会った友人が『娼婦』として、あの【歓楽街】にいたという。どうやら家を勘当されあの場所に流れ着いたらしい……。

 

 

「そこでその子を助けたいという話が出て……」

 

「はい。先ほどリリが提言しましたが、その人を助け出すのは反対だと思います」

 

「理由は?」

 

「その人がいる派閥は【イシュタル・ファミリア】です。【アポロン・ファミリア】とは比べ物にならないほどの相手───しかも、戦争遊戯(ウォーゲーム)でリリ達の手札は全て知られています。団員の引き抜きは眷属を持つ主神が最も嫌う行為です。ましてや、団員の誘拐して対立なんてもっとの他です」

 

「ふ~む」

 

 

 リリの説明を聞いたエレンは両腕を組んで深く思考を始めた。リリの言う通りこっちの戦術や能力などは前の戦争遊戯(ウォーゲーム)の際に全て出し尽くしている。何より相手は【イシュタル・ファミリア】───【ギルド】が定めた等級は『A』。力ずくでの救出は無謀だろう……。

 

 

「う~ん。娼婦の女性……娼婦……しょうふ?」

 

「ん?何か閃いたのか、エレン?」

 

「……なぁ、ベル。その女性って娼婦なんだよなぁ?」

 

「?……そうですが……何か……?」

 

「───出来るかどうか分からないけど……その娼婦って……」

 

 

 

***

 

 

 

「女の子をお金で買いたいだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「オリオン。どこでそんなことを覚えてしまったんだ?ヘルメスか?ヘルメスだなぁ?ヘルメスなんだなぁ?」

 

「ヘスティア様、アルテミス様ぁ!?落ち着いてくださいぃ!!あとヘルメス様は何も関係していません」

 

 

 エレンから『とある方法』を聞いたベル達は『その方法ならいけるのでは?』という反応を示し、エレンの提案をそのままヘスティア達の所まで持っていったが、その話を聞いたヘスティアとアルテミスは、ベルが『良くない知識を植え付けられているのでは!?』と少し前までここにいたヘル雌(メス)を猛烈に避難した。

 

 それでも命の必死の想いがどうやらヘスティアとアルテミスにどうやら届いたようで、渋々許可してくれた。

 

 

「しかし、イシュタルかぁ……。いつもなら殴り込んで速攻で片を付ける所なのだが……」

 

「さらっととんでもない内容が聞こえた気がするけど……やっぱりイシュタルの派閥はそんなに強いのかい?」

 

「あぁ~。【イシュタル・ファミリア】の強さは、悔しいが【アルテミス・ファミリア】(私達)より上だ。眷属(こども)達の実力は負けてはいないが、どうしても数の差が大きすぎる」

 

 

 現在の【アルテミス・ファミリア】の戦力は、団長のレトゥーサがLv.4。ランテや他の団員達がLv.3であり、【迷宮都市(オラリオ)】の基準にした階級では『B』に相当する派閥になる。

 

 【迷宮都市(オラリオ)】の外で活動をしている派閥の中でも最上位の実力を持つ【アルテミス・ファミリア】でさえ、真正面から【イシュタル・ファミリア】と戦闘を行うのは敗北を意味している。

 

 

「それでは、その娼婦のお方を『身請け』するのは確定という訳なのですが……」

 

「なんだ、リリ助?何か問題でもあるのか?」

 

「ヴェルフ様。娼婦の身請け金って幾らなのかご存じなのですか?」

 

「……言われてみれば、『身請け金』って幾らするんだ?」

 

「その娼婦のお方が背負っている借金の額……とかですかね?あとはその娼婦の位とかですかね。話を聞く限り戦闘員ではないようですが、狐人(ルナール)は特定の地域にしかいない珍しい種族の影響で、多少の値は付くと思います」

 

「……500万ヴァリアスでいけると思う?」

 

「すまん。詳しくは何も……」

 

「リリもそこまでは……どっかに【歓楽街】に詳(・)し(・)い(・)方(・)がいればいいのですが……」

 

「……いるわ、【歓楽街】に詳しいのが」

 

「「?」」

 

 

 そう呟いたエレンは何も言わずに本拠(ホーム)を飛び出していった。エレンのいきなりの行動のヴェルフとリリはきょとんとした表情を浮かべていたが、数十分後には縄で縛られた一柱の男神?を連れて帰ってきた。

 

 

「ただいま~♪」

 

「いや、『ただいま~♪』じゃなくて説明をしてくれ、エレン君!!こっちはようやくロキから解放された所だったんだよ!?」

 

「やぁ~、ヘル雌(メス)。何だい?そのふざけた格好は?」

 

「また会ったな、ヘル雌(メス)。何だ?そのふざけた胸部は?」

 

「いやいや!俺をこんな姿にしたのは君たちだよね?おかげでこっちはアスフィから『どちら様ですか?』って他人みたいに扱われたんだけどッ!?」

 

 

 ヘル雌(メス)の言い分を三人は顔を反らして聞こえていないフリをした。エレンがヘル雌(メス)をここに連れてきたのは【歓楽街】に関する話を聞くためである。

 

 ヘルメスの派閥(ファミリア)は『運び屋』や『情報屋』なども取り扱っているとエレンは聞いたことがあった。さらに、ヘル雌(メス)は【歓楽街】で店を経営していた実績もある。少なくとも、こちら側の知りたい情報は持っているのではないかと思い、エレンはヘル雌(メス)に事情を話した。

 

 

「───なるほど。事情は大体把握できたよ。少なくともその子を強引に娼館から連れ出す……イシュタル達に刃向かう真似は、間違ってもお勧めできない───アルテミスは特に、だ」

 

「なんだ、ヘルメス。お前には私が何も考えず突っ込むような奴に見えるのか?」

 

「現に君はそんな所があるだろう?半月前ぐらいにラシャプが新しく作った派閥に攻め込んだって話を聞いたんだが……」

 

「?それがどうした?た(・)か(・)が(・)1(・)万(・)程度の数だ。無限の敵(ダンジョン)に比べれば大した数じゃない。あと攻め込んだのではない。壊(・)滅(・)さ(・)せ(・)た(・)だけだぞ?」

 

「そういうところだぞ!!!」

 

 

 アルテミスはきょとんとした表情で答えるが、その内容を聞いたヘルメスは大きな声でツッコミを入れた。風の噂で【アルテミス・ファミリア】が新生【ラシャプ・ファミリア】に攻め込んだという話を耳にしていたヘルメスだったが、どうやら本当だったらしい。

 

 

「ま、まぁ~。その話は一旦置いておくとして……娼婦の『身請け金』の相場だけど2,300万が相場だと聞いているよ」

 

「……『中層』に行けるようになった自分達なら稼げなくもない金額ですね」

 

「それでも娼婦の位で値段も大きく変動するって話もあるから、相場の倍の金額の準備は必要だと思っておいたほうがいい」

 

「……そうなると、エレン様が最初におっしゃった500万ヴァリスが目標金額にはなりそうですねぇ」

 

「少し前にフレイヤ様の冒険者依頼(クエスト)報酬でもらった600万ヴァリスも半分以上は使ってしまったし……」

 

「そういえば……エレン君。例(・)に(・)も(・)の(・)はどんな状況なんだい?」

 

「あ~、ア(・)レ(・)ですか?完成はしていますが、一度テストはしたいです。『ダンジョン』にいるヘルハウンドで試そうかと」

 

『『『『『?』』』』』

 

 

 『例のもの』とか『アレ』とか意味深な単語を用いて会話をするヘスティアとエレンの姿に首を傾げる一行。その様子に気が付いたエレンは『ちょっと待っていてください』と言い部屋を退出───数分後にはエ(・)レ(・)ン(・)の(・)髪(・)色(・)と(・)同(・)じ(・)綺(・)麗(・)な(・)マ(・)ン(・)ト(・)を持って現れた。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

ヘル雌(メス)が浴びた物は、過去に『女に成れば女湯に入り放題じゃね?』と【ゼウス・ファミリア】の一人の男団員が考え実際に作った『女体化』する魔道具(マジック・アイテム)です。

 ですが、完成あと一歩の所で作戦が【ヘラ・ファミリア】にバレてしまい没収。改良されたものを実験として浴びせられました。その結果『体』のみが女体化してしまう代物になってしまい、その団員は一か月はその状態が続いたようです……。

 他にも服が“透けて見える魔道具”や、“服のみ溶かす溶液”などの開発などもしていたようですがそのレシピは全て没収されましたが、そのレシピが書かれている本はエレンが拾った本に書かれています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。