男の娘で何が悪い!   作:ナマエナガ

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今日も体育疲れた…足が筋肉痛でやばいでやんす。歩くだけで太ももが痛くて…マジであの先生許しませんぞぉ!?いや!学校教育なのはわかるけどね!?


影の立役者

あれから、俺達は家に戻って夕食を食べて余暇の時間を楽しんだ。

 

テレビを見たり、ゲームをしたり、他愛もない話をしたり…そうして時間は過ぎていき、気付けば時計の針は夜の11時を指していた。

 

「そろそろ寝るか」

 

俺がそう言うと汐音も頷いて、それぞれの部屋へ向かう…はずだった。

 

「時成、その…今日も一緒に寝ても、いい?」

 

自分の部屋の前で立ち止まった汐音が、俺を上目遣いで見つめながらそう聞いてきた。

 

ま、またか…昨日も結局こうなったんだよな。断る理由も特にないが…俺の精神がもつかわからない!だが、それ以上に可愛らしく強請ってくる汐音を否定することはできそうになかった。

 

「分かったよ。ほら、行くぞ」

 

俺がそう言うと、汐音は嬉しそうに微笑んで俺の後についてきた。

 

俺の部屋に入って、二人でベッドに腰掛ける。添い寝するだけなのに妙に緊張してしまうな…と言うか、今の俺達って初夜を迎える夫婦のように見えたりするのだろうか…なんだそれ恥っ!?

 

「そ、それじゃ、寝るか」

 

「うん」

 

ベッドに入る。俺が布団に入ると、汐音も遠慮がちに隣に滑り込んできた。

 

しばらくの沈黙。お互いに天井を見つめながら横になっている。

 

こういう時、何を話せばいいのか分からない。というか、こんな状況に慣れるわけがない。隣には汐音がいて、僅かに聞こえる寝息と体温が妙に意識されて…

 

「時成」

 

「ん?」

 

突然、汐音が小さく呟いた。顔を向けると、汐音も俺の方を向いていて目が合う。

 

「今日も…すごく楽しかった。ありがとう」

 

「別に、礼を言われることじゃないけどな」

 

そう照れながら返すと、汐音はふふっと小さく笑った。そして、そっと俺の手を握ってくる。

 

「でも、言いたいの。時成といると…すごく安心するから」

 

そう言って汐音は目を閉じた。穏やかな表情で、まるで子供のように安心しきった顔で。

 

やがて、汐音の寝息が規則正しく聞こえてくる。もう寝てしまったようだ。

 

俺も目を閉じる。握られた手は温かくて、不思議と心地よかった。

 

――――――――――

 

そして、俺達は月曜日の朝を迎え、共に学校へ向かっていた。

 

「駅前に新しいケーキ屋さんができたらしいんだけどさ、一緒に行ってみない?」

 

「ん、そうだな。俺も甘い物は好きだし、放課後にでも行ってみるか」

 

バン!!

 

そんな風に雑談を交わしていると、前方の曲がり角で衝突音がした。

 

その音に俺も汐音も肩をビクッと上げて驚いてしまう。

 

「と、時成…今の音、なにかあったのかな?」

 

と、汐音がちょこんと俺の手を握って見上げてきた。そ、そういう風に見ないでほしい…汐音の可愛さから目を逸らそうと、再び曲がり角の方を見る。

 

「事故かもしれないし、様子見に行こう」

 

俺がそう言うと汐音も頷いて、2人で曲がり角を曲がってみると…

 

「いったぁ…」

 

「う、うぅ…」

 

2人の女生徒が地面に倒れていた。片方はいちごジャムを塗ったトーストを咥えていて、まるでラブコメの始まりのようである。

 

「大丈夫ですか!?」

 

と、汐音が彼女らに歩み寄って安否を確かめる。俺もそれに続いて声をかける。

 

「大丈夫か?結構大きな音してたが…」

 

「うん…ありがとう。お互いに急いでてぶつかっちゃったんだ」

 

と、パンを咥えていない方の彼女はフラつきながらも立ち上がった。パンを咥えている方も汐音に支えられながら立ち上がる。

 

2人はお互いに向かい合って謝罪をし、ゆっくりと歩き始めた。朝っぱらからこんな事故に遭遇してしまうとは…今日は厄日なのだろうか。

 

「大丈夫かな、2人とも…学校に着いたら保健室に行くって言ってたけど…」

 

「まぁ、大丈夫だろ。本人たちがそう言うなら信じるしかない」

 

俺がそう言うと汐音は心配そうにしながらも頷いて、自然と俺の手を握った。そのままゆっくりと歩き始める。

 

え?なんで自然に俺の手を握ってるの君?というかこうやっているところを見られたら、カップルと誤解されてしまうのでは?

 

とか俺は内心パニクっていたが、汐音はいつもの優しい微笑みを浮かべて歩いている。そんな彼を見ると、俺の不安も吹っ飛んだ。

 

名前も知らぬ誰かが立てる噂より、目の前にいるコイツを大切にしたい。そう思ったのだった。

 

―――――――――

 

パンを咥えていない方の彼女…鈴音心和はスマホを開き、とある相手に電話をかけながら歩く。

 

「会長、妨害成功しました。『食パンを咥えた少女と衝突してからのラブコメ展開』、抹消完了です」

 

『そう、よくやったわ。他のメンバーからも報告は受けているから。疲れたでしょう?学校に着いたら保健室でしっかりと休みなさい』

 

心和は「了解」と短く返すと電話を切った。

 

ふぅ、と息を吐く。感じたものは安心感ただ一つ。村上時成と天宮汐音…2人に魔の手を伸ばす邪魔者を、あらかじめ駆除できたことへの安心感である。

 

そう、彼女…いや、彼女らこそ、時成と汐音を見守り、2人へ近付く邪魔者を排除する極秘裏に結成されたファンクラブ…

 

『TSウォッチャーズ(時成と汐音を見守る会)』である!

 

―――――――――

 

僅かに夕陽が差し込む生徒会室。そこに集まる数人の女生徒たち。夕陽を背に浴び、生徒会長の席に座る彼女が口を開いた。

 

「それで、今日の二人について報告をしてもらえるかしら?」

 

その言葉に、ソファに腰掛けた眼鏡をかけた小柄な少女が答える。

 

「今日のお二人はいつも通りに授業を過ごされていました。途中、お二人に声をかけようとする邪魔者も数名いましたが、その場にいたメンバーで即座に排除しました」

 

「そう、今日も順調そうね。それで、今の二人はどうなっているの?」

 

その問いに、先ほど語った少女の隣に座っていた、日焼けが美しく映る短髪の少女が答える。

 

「今は心和たちのチームが監視中っすね。心和も朝に負った怪我は治ったみたいで、問題はなさそうです。時成さんと汐音さんもいつも通り仲良く下校中とのことっす!」

 

元気よく報告する少女に、生徒会長は頷いて微笑んだ。

 

そんな彼女の隣に凛と立つ金髪の少女が、報告を行った先の二人に言葉を告げる。

 

「順調そうなのは何よりですが、警戒は緩めないように通達してください。私たちの使命は時成くんと汐音さんの甘い生活を守ること。それをお忘れなく」

 

二人はビシッと立ち上がると「はっ!」とまるで何処ぞの兵隊のように返事をした。

 

さて、ここいらで紹介するべきだろう。彼女らこそ、TSウォッチャーズの要。そう、生徒会メンバーである!

 

まず、生徒会長兼TSウォッチャーズ会長『風峰凛子』!

 

そして!彼女を支える金髪の副生徒会長『青崎静音』!

 

眼鏡をかけた小柄な少女は生徒会書記である『雁月夏鈴』!

 

最後にスポーツ大好きな日焼け少女は生徒会会計である『海谷理祢』!

 

彼女ら4人はTSウォッチャーズに所属する生徒たちを統制、監視、管理することで、時成と汐音の生活を守る影の立役者である!




どうでもいいっすけど、毎日投稿はやっぱりつれぇ…
というわけで、適度に休みの日を入れることにしましたよん♪
元から不定期更新のつもりでタグも付けてますが、なんだか使命感が出てきてしまったので、これからは週に1〜2回くらいの更新にします。
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