「ねぇ、時成。僕のこと好き?」
「当たり前だろ。ずっと前から、好きだった」
俺の部屋。
ベッドに座る俺の膝に、汐音が座る。俺の身体に背中を預け、ゆったりとした様子で休んでいる。
時間帯は朝。休日に汐音が家にやって来た。なんの用か聞いてみたが、ただ甘えたいかららしい。
「あ〜…時成大好き…」
汐音は俺と向き合うように体勢を変え、ギュッと抱きついてきた。
手足を俺の背中に回し、頬を俺の胸板に擦りつける。
え、これって……だいしゅきホールドじゃないか?
しかもすごい力でしがみついてくるし……や、やばい。普通にドキドキしてきた。
つーか俺たちもう付き合ってるし、そういうことしてもいいよな……?
改めて汐音の顔を見る。蕩けた瞳で俺の胸にスリスリと頬を寄せ、その頬も赤く染まって――はい、えっちぃです。
「あ〜、好き。好き好き……本当に大好き……」
ええい!もう我慢できない!
バサッ!
「汐音……もう、我慢しなくてもいいか?」
汐音をベッドに押し倒して、耳元で囁く。
汐音は目を見開いて驚くが、すぐに優しく微笑んだ。
「こんな朝っぱらから、もう我慢できなくなっちゃったの?まったく、時成はしょうがないな〜」
ニヤニヤと楽しそうに笑う汐音。そんなことを言われたら、こっちも意地を張りたくなる。
「俺みたいな奴は嫌いか?」
「そんなわけないじゃん……時成のこと、愛してるよ」
俺たちは静かに唇を重ねる。お互いの体温が伝わり、心が満たされていく。
愛し合う俺たちはそのままに、ベッドへと沈んでいった。
――――――――――
「時成、次どこ行こっか?」
「そうだな……たまには映画でも行くか」
あれから数時間後。
俺たちは勢いのまま家を飛び出し、デートをすることになった。
デパートで買い物をし、ゲーセンで遊び、今は映画館に向かうところだ。
「よ〜し、それじゃあ流行りの映画ハシゴしてみる?Tierランク付けちゃおうよ」
ワクワクした表情で言う汐音。なんか最近、汐音がはっちゃけてきた気がするな……。
「面倒くさい気もするけど。いいぞ、最高の映画を見極めてやらぁ」
汐音と手を繋いで映画館に入る。
アクション、恋愛、サスペンス、ホラー、謎解き……とにかく色々ある。
こりゃ、長丁場になりそうだ。
―――――
「さっきのは微妙だったね。バトルシーンの作画がすっごい適当だった」
「確かにな。ストーリー自体は悪くないのにもったいない。」
「あの映画はダメダメだけど、逆にそこが面白かったね。C級どころかD級映画だったけど、それがギャグになってて笑えた」
「全部雑で作画もガタガタだったが、ギャグ映画としては一級品だな。」
「あの恋愛映画は普通に泣いちゃったなぁ。最後、ヒロインが病気で死ぬシーン……」
「ありふれてたけど、ぐっとくるものがあったな。恋愛モノも悪くない。」
―――――
「ふぅ〜、結構時間使っちゃったね。気づいたら夕方じゃん」
映画館を出て伸びをする汐音。その表情は満足そのもので、色々言いながらも楽しめたようだ。
「どうする?俺はもう帰ってもいいけど……汐音は?」
「できれば僕は……まだ、時成と一緒にいたいかな」
汐音は俺に身を寄せ、そっと手を握る。俺も優しく微笑んで、その手を握り返した。
「なら、今日は泊まってくか?」
「えっ!?いいの!?なら、泊まらせてもらうね!」
ワクワクとした瞳でにこやかに笑う汐音。その笑顔を見るだけで、頬が緩むのを感じた。
夕焼けの街を静かに歩く。
会話を交わし、笑い合い、ただ隣を歩く。
オレンジ色の光が汐音の頬を照らす。
少し赤まったその横顔を見つめすぎて、首を傾げられた。
「時成、どうかしたの?」
「いや……ただ、好きだなって」
汐音は一瞬ぽかんとして、それから真っ赤になって俯いた。
もにょもにょと身を捩る姿が、どうしようもなく愛おしい。
「汐音、愛してる」
耳元で囁くと、汐音は目を見開いて驚き、俺の腕を強く抱きしめた。
その仕草だけで、「僕もだよ」と伝わってくる。
愛おしい。恋しい。
汐音といる時間は、何よりも尊くて――
きっとこれからも、俺はこの手を離さない。
もし、俺と汐音の関係に茶々を入れるような奴がいたら、俺はこう言うだろう。
――俺の彼女が男の娘で、何が悪い!
静かな夜風が吹く。
手を繋いだまま歩く俺たちの影は、並んでひとつに重なっていった。
短い上にあっさいタイトル回収だって?そこは素直にごめんなさい。取り敢えずこれで完結。これからは思いついたエピソードをちょいちょい出していくことになるかな。
私、ナマエナガの次回作にご期待あれ〜