男の娘で何が悪い!   作:ナマエナガ

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四話目ー

眠い…


汐音の思い

それから汐音と色々して遊んだ。

 

単純にテレビゲームをしたり、勉強をしたり、並んで昼寝をしたりだ。

 

特にやばかったのはお勉強の時間である。俺は大の勉強嫌い…というか、努力嫌いなのだ。

 

ん、なぜって?疲れるからに決まっているだろう。成功するか分からないものに真剣に取り組んでも失敗したときに無駄に精神ダメージを負うだけである。

 

ってなわけで俺は2時間ほど汐音にしごかれたわけだ。数学は酷かったなぁ…汐音が作ってくれたテストは21点だった。ちなみにテストは100点満点である。

 

そして気付けば夕方、時刻は既に午後6時を回った。俺は夜の街を出歩かない健全少年なのでそろそろ帰ろうかと思っていたのだ。

 

「汐音、もう夕方だし…そろそろ帰るよ」

 

ソファから立ち上がりショートバッグを肩にかける。

 

「えっ…そ、そうだね…うん…もう夕方だもんね…」

 

汐音は心底残念そうに言った。声のトーンは低くなって、俯きがちになっている。

 

そ、そこまで残念がるのか?学校でも会えるんだし…でもまぁ、家に来た友人が帰る時に謎に湧き上がるもっと遊んでいたい気持ちは理解できる。

 

ここは俺なりに気の利く言葉を言ってやるか。

 

「途中まで一緒に行くか?いや、まだ夕方とは言え暗くなってきてるし…1人で歩くのはなんか怖いからな」

 

そう言うと汐音は顔を上げて嬉しそうに笑った。

 

「そ、そうだね!まったく、時成はビビリさんなんだから、しょうがないね!」

 

満足げな笑顔を浮かべる汐音。やはりコイツには明るい笑顔が似合う。

 

そうして俺は汐音と並んで夕陽に照らされた街に足を向けた。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

隣にいる君を見る。君は僕より身長が高くて見上げるような形になってしまうけど、君の顔が見たくて顔をあげた。

 

夕陽が差し込んで君を照らしている。どこか神秘的な景色に僕は思わず微笑んだ。

 

「どうかしたか?」

 

「ううん、何でもないよ」

 

そう、なんでもない。ただ、僕は君を見ていたいと思っただけだ。

 

そう、僕は…天宮汐音は君のことが好きなんだよ。これが友人としてのものか、それとも…その、えっと…恋愛的なものなのかは、まだ自分でも区別は付かないけれど、僕は君が好きなんだ。

 

君の隣にいると安心できて、その手に触れると心臓がうるさいくらいに激しく鼓動する。

 

君と僕は似ている。お互いに一人の時間が好きだったり、でもやっぱり独りは寂しかったり、その心を誰にも話せないところとかね。

 

君も僕もずっと独りだったんだと思う。君の過去を聞いたことはないけれど、それは分かるよ。君の目は、寂しさと諦めと…そして、怒りに満ちているときがある。

 

僕はまだ聞けない。君の過去を知っても君のことを好きでい続けられるか分からない。聞いてしまえば君との関係が終わってしまうんじゃないかって怖くなる。

 

思えば、いつも君から僕に話しかけてくれたよね。出会ったときも、遊ぶときも、勉強をするときも、本当に色々…僕は君の言葉に頷いて、君と共に同じことをするのが好きになった。

 

「はぁ…」

 

「いきなり溜息なんて吐いてどうした?やっぱり嫌なことでもあったんじゃないのか?」

 

「いや、そういうわけじゃないよ?ただ…その…少し、寂しくて」

 

僕はそう言って俯いた。寂しいよ、君と離れるなんて。

 

マンションに戻れば僕は一人だ。望んだ一人暮らしではあるが、だだっ広い部屋で一人きりというのは結構苦しいものがある。

 

君とまだ一緒にいたいよ。

 

そう思う。でも、この言葉を聞いたら君は困るよね。無理やり君を僕の部屋に押し留めても意味がないことは分かる。まぁ、でも、きっと僕がそう言ったらなんやかんや言いつつも君は付き合ってくれるとも思うけどね。

 

でも、それは卑怯だ。自身の欲望のために友人を利用して騙して押さえつけて…それはきっと悪だ。だから、どれだけ君が恋しくなっても無理やりなんてしない。

 

だから、君に意識してほしくて女装をしてみた。僕がもっと可愛くなれば君は僕に釘付けになる。そしていずれ距離の縮まった僕たちは静かに抱き合って…唇を合わせる。

 

そんな妄想をしてみる。僕は男だし、君も男だ。この妄想を知ったら君はどう思うだろう。失望するだろうか、毛嫌いするだろうか、逆に受け入れてくれたりするのかな?

 

僕としては3つ目の選択肢がベストだけど、それはもう少し後でもいいかなって思う。

 

ここからだ。ここから僕は段々と女の子になっていく。体の方じゃないよ?もちろん心の方さ。

 

そんな事を思っているとつい内心で笑ってしまう。さっきは恋愛的な感情か分からないって言ったけど、ほぼ確定してるよね。僕としてもそんな簡単にこの想いを曝け出せるわけではないから、そういう言い方になってしまう。

 

「ねぇ、時成」

 

「なんだ?」

 

「僕さ、好きな人がいるんだ」

 

君は目を見開いて驚いている。その様子が可愛らしくて小さく笑う。

 

「ふふっ…まぁ、冗談だから安心して。僕は好きな人なんかいないから」

 

君は落ち着いて胸元に手を当てて安心したように息を吐いている。まだ女装初日だけど結構意識してくれてるんだね。やっぱり僕は美少女適性◎だぜい。

 

そう、僕の好きな人は君だけだから。僕はいつまでだってこう言うよ。

 

君以外を好きになるはずかない。君以外に好きな人なんていないから。

 

「ここまででいいぞ。ありがとうな、汐音」

 

「うん、こちらこそありがとうね、時成」

 

駅前に辿り着いて君はそう言った。ここでお別れかぁ…まぁ月曜日になれば会えるからね、不満なんてないですけど?

 

いや、本当に不満なんてないよ?僕の手を引いて君の家に連れ込んでほしいとか、優しく抱き締めて…その…キスしてほしい、とか。

 

まったく…そう!まったく思っていませんけど?

 

手を振って君を見送る。僕に背を向けて去っていく君を見る。本当ならその背中に抱き着きたいくらいだけど、やっぱり我慢する。

 

1人でトボトボと歩いてマンションに戻る。暫く歩いてマンションに辿り着くとエントランスを通ってエレベーターに乗る。

 

廊下を通って自室である287号室に向かう。キーを開けて部屋に入ると寝室に足を運ぶ。

 

寝室に向かう途中、窓に反射した僕自身を見る。サラサラの髪、輝く瞳、白い肌。我ながら美少女だ。時成を送っている最中にも周囲の人から僅かに視線を感じた気がするし…

 

時成も可愛いって言ってくれた。頬を赤らめて恥ずかしいのか視線を逸らそうとしてたときもあったなぁ。

 

意識、してくれてるんだね。

 

「ふふっ…やっぱり嬉しいや」

 

寝室に入ってベッドにぽすんと倒れ込む。枕を抱き締めて時成との思い出を想起させる。

 

僕は時成のことを想いながら小さく微笑んでゆっくりと眠りを迎えた。




ねむーい!あとオチこれで大丈夫かなー、毎度オチに悩まさられる俺なのでした
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