男の娘で何が悪い!   作:ナマエナガ

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第五話ー
鼻血が辛い…


月曜日のサプライズ

あれから日曜日を過ごして月曜日を迎えた。

 

今日からまた学校に行かねばならない。あー、嫌だ。すっごい嫌だ。家でぐーたらしてたいが、そんなことをしたら教師や親に怒られてしまうので仕方なく学校へ向かう。

 

あっちぃなぁ…

 

そう思いつつも歩いているとやがて教室に辿り着いた。自分の席に向かい、椅子に座り込む。

 

「時成、おはよう」

 

「おう、おはよう」

 

と、隣にいる美少女と挨拶を交わす。ん、ん?あ、あれ?

 

隣にいる美少女を見る。サラサラの髪が肩のあたりで揺れ、輝く瞳がパチリとまばたき、白い肌はとても柔らかそうで…女子用の制服を着込んだ汐音が……汐音だとぅ!?なぜ学校でも女装をしているんだコイツは!?

 

「し、汐音…お前なぜ学校でも女装を…」

 

「いやー、女装した僕って凄い可愛かったじゃん?僕としても結構いいかなって思ったから女装して来ちゃった♪」

 

来ちゃった♪じゃないんだよ。分かっているのか?教室にいる多くの生徒がお前を見てコソコソ話してたり、視線を向けたりしているんだぞ。

 

その視線に気付いていないのか、汐音はやたらと楽しそうに笑顔を浮かべた。

 

「って言うかその制服どこで手に入れたんだ?学校から貰ったわけじゃないだろ?」

 

「あぁ、これ?知り合いにここの学校の卒業生の人がいたから貰ってきたんだ」

 

またである。こいつ知り合い何人いるんだよ。学校でボッチなのに謎に知り合いが多いコイツは一体…

 

とか思っているとショートホームルームの時間がやってきた。

 

俺達が所属するクラス、2年1組の担任である栗克清美先生が声を張る。

 

「えー、おはようお前ら。色々話したいことはあるんだが…まあ、取り敢えずは天宮について、本人に語ってもらう。天宮、前出て説明しろ」

 

汐音ははい、と頷いて立ち上がり教壇に立った。クラス中の視線が集まる。汐音は人見知りで、まぁ、つまるところ陰キャなので緊張しているのか俯いていた。

 

「え、えっと…僕は今まで男子用の制服を着ていたんですが…今日から、女子用の制服で過ごすことになりました!よ、よろしくお願いします!」

 

お、おう…みたいな感じで困惑しているクラスメイトたち。まぁ、そうだわな。困惑するよな。つーか俺が一番困惑していると言っていいね。

 

どういう思惑があって学校でも女装しているのかは知らないが…まぁ、唯一の友人として受け入れよう。一人ぼっちは辛いからなぁ…

 

――――――――――――――

 

そんなこんなで昼休み。いつもなら汐音と机を合わせて俺が作った弁当を食っているところなのだが…

 

「ねぇねぇ!そのメイクどうやったの?」

 

「天宮くん可愛いね!美容院ってどこ行ったの?」

 

「天宮がここまで変わるとは思ってなかったわ!お前面白いし今度一緒に飯行かね?」

 

おい、最後のやつ何ナンパしてんだ。ぶっ飛ばすぞ、クソガキ。

 

ハッ!俺はなんてことを思っていたんだ…まぁ、いいか。あいつはクラスのムードメーカー的な奴だがうるさくて嫌いだったんだよなぁ。

 

まぁ、そういうことで汐音はクラスメイトに囲まれて大変なことになっている。クラスの隅で縮こまっていた陰キャ男子が突然美少女なればこうもなるだろう。

 

「え、えっとね。この化粧品はあのお店で…」

 

「美容院はあそこのお店で…」

 

「ご、ご飯は断られてもらうかな。その日は用事があって…」

 

いやはや、本当に大変そうだな。極度の人見知りである汐音は陽キャ特有のキラキラオーラが苦手なのだ。そういう奴と話すときは大体俺の背中に隠れてたし…

 

と言うか本当に大丈夫かアイツ…?なんかフラフラしてるし声も小さくなってる気が

 

マジで大丈夫か心配になる。しょうがない、そろそろ助け船を………!!!

 

「あっぶねぇ…大丈夫か、汐音。」

 

汐音が倒れそうになるのを慌てて支える。汐音の顔が胸元に来てなんだかくすぐったいが我慢だ。他の奴らも汐音に心配そうに遠く声をかけいる。

 

「と、時成…うん、大丈夫だよ…少し、フラついただけで…」

 

汐音は顔を上げ、弱々しい声でそう言った。まったく、どこが大丈夫なんだ。無駄に意地を張るのが汐音の悪いところだ。

 

「大丈夫なら倒れはしないだろ。あんまり無理するんじゃない。辛くなったらちゃんと俺に甘えろ」

 

自分で言ってて恥ずかしいな…だが、この言葉は本心でもある。辛いときには支え合うのが友達ってもんだろ。

 

「そ、それなら…もう少し、このままで…」

 

そう言って汐音は脱力し、俺の体に身を預けた。柔らかな香水の香りと細いながらも熱のある体が俺に密着する。

 

「………」

 

恥ずかしい!なんだこの時間は!俺は汐音を抱き留めて汐音は俺の胸元に顔を寄せて静かに目を閉じている。

 

困惑が頭を駆け巡る。それでも出来るだけ冷静に努めて汐音を優しく抱き直した。

 

汐音もそれなりに疲れたんだろう。甘えろと言った手前、突き放すのもやりにくい。ここは素直に甘えてもらおうじゃないか。

 

――――――――――――――

 

君の胸元に顔を埋める。そっと、君の腕が僕の背中に回されて優しく撫でてくれた。

 

(温かい…時成の鼓動が伝わってくる…)

 

君の胸の奥、心臓が震える度に僕にそれが伝わる。あぁ…溶けてしまいそうだ。君の温かさに包まれて、君の鼓動を聞いて…

 

周囲の雑音が消えていく。君の息遣いと鼓動だけが頭の中で反響する。

 

離れたくないな、と思う。出来ればこのままずっと君に抱き着いてこの鼓動を感じていたい。

 

でも、まだ我慢だ。それは僕が君に想いを告げて、そして君が僕の想いを受け入れてくれたとき。そのときに、僕は君の鼓動を独り占めするんだ。

 

正直ね、皆にチヤホヤされて嬉しかったよ。僕は見た目以外にあんまり才能がないからさ、こうやって注目されて褒められるのは気持ちよかったんだ。

 

あぁ…でも、一番嬉しいのは君に褒められるときだ。やっぱり好きな人に褒められると気分が良くなっちゃうよね。

 

と言うか僕ってもう結構女の子になってるよね、心が。いやぁ、まぁ…時成のことが好きになって女装してる時点でアレだけど…

 

そんな感じで思案し、時成に抱き着いていると簡単に時間は過ぎ去ってしまった。

 

「汐音、そろそろ…」

 

「うん…分かったよ…」

 

渋々顔を上げる。君は僕のことを優しく見つめて、寄り添いながらもゆっくりと離した。

 

「ありがとうね、時成。やっぱり時成と話すのが一番落ち着くよ」

 

「それなりに友達やってるからな。またこういうことがあったら頼れよ。友達なんだから」

 

友達。そう、君にとって僕はまだ友達なんだよね。いいよ。うん、全然いい。

 

ゆっくり、静かに、穏やかに…僕のことを友達とは思えないようにしてあげる。僕のことを求めて離したくないと、そう思うくらいに惚れさせてあげる。

 

僕たちは離れて席に着く。隣の席同士だからそんなに離れてないけど僕にとっては永遠にすら思える距離だ。

 

今日は女装して登校するってサプライズをやったけど、明日はどんな手で時成にアピールしようかな…?

 

服装のレパートリーも増やしたいなぁ。ゴスロリに地雷系、メイド服にチャイナ服、ナース服に巫女服、大人っぽくハイヒールを履いてみたり…大胆に水着とか!?

 

本当に、時成との未来を思い描くだけで心底から楽しいと思える。

 

「時成」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「助けてくれたお礼をさ、何かしたいんだ。何かやってほしいこととかある?」

 

「え、いや、お礼なんていらねぇよ。別に見返りが欲しくてやったわけじゃないし…」

 

頬を赤らめ、指先でかきながら君は言った。君は何もいらないのかもしれないけれど、僕はお返ししたいんだ。君から貰った優しさを。

 

「それでも、だよ」

 

そう、それでも僕は君にお返しをするよ。絶対ににね。

 

「まぁ、そうだな……ん、ん〜」

 

顎に指を当てて悩む君を眺める。思い悩む君も素敵だなぁ…うん、やっぱり僕は君が…

 

「好きだなぁ…」

 

「…なっ!?」

 

あれ?時成が僕を見つめて固まっちゃった。何か変なことでも言ったかな…でも、まぁ…こういう時成は珍しいし、この瞳にちゃんと焼き付けておかないとね。




毎回似たような感じの文脈にならないか怖いぜ…
というか今日は俺の誕生日だぜーー!祝ってくれる人が家族以外にいないの草!というわけでHAPPYBIRTHDAY TO ME!
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