せっかくなら、アンさんの化学知識を活かせる『げぇむ』にしたかったので。
ねくすとすてぇじ
滞在61日目、正午。
昨晩のうちに絵札の『げぇむ』の会場が設置されていたらしく、朝早くに起きたら東京の空に絵札が描かれたタペストリーを吊るした飛行船が浮かんでいた。
『ねくすとすてぇじ』が始まる前に望遠鏡で『げぇむ』会場の位置を確認して、
「よし、ちゃんと動くわね」
ちゃんとエンジンがかかった事を確認した私は、一緒に下に降りてきたチシヤに声をかけた。
「それじゃ、行ってくるわ」
そう言って私は、ひたすら北へとバイクを走らせる。
私が向かうのは、練馬区にある『
今から向かえば、1時前には到着する。
流石に今から行って定員オーバーで参加できないって事はないわよね…?
なんて考えながら、世田谷区の区境を超えて、杉並区に移動した。
そのまま杉並区を北上して練馬区へ移動し、『
――タァァン!!
突然、どこからか銃声が聴こえた。
銃声がした方向を見てみると、『ぷれいやぁ』が大勢逃げてくる。
マジかよ、まだこんなに生き残ってたのか。
逃げてきた『ぷれいやぁ』は、次々と頭や身体を吹き飛ばされてバタバタと倒れていく。
ちょっ……何よこれ!?一体どうなって……
ふと見上げると、数キロ先のビルの屋上がキラッと光る。
ビルの上には、飛行船が浮いていて…飛行船からは、♠︎のKのトランプの絵が描かれたタペストリーが吊るされていた。
おいおい、嘘でしょ…?
アレが『
『るうる』説明もなしにいきなりライフルで撃ってくるとか、反則だろうが。
SASかよ、ふざけんじゃねえマジで。
てか何でこっち来てんのよ、さっきはあんなところに『
「キャアアアアッ!!」
「クソッ、どうなってんだよ!!これもう『げぇむ』始まってるパターンか!?」
「ウソでしょ、エントリーもしてないのになんで!?」
『
エントリーもしてないはずなのに『げぇむ』が始まってるって事は、『ねくすとすてぇじ』が始まった時点で、既に『
エントリーしたつもりがないのに勝手に『げぇむ』が始まるとか、なんかデジャヴ……
「てか、『るうる』説明もなしに撃ってくんなよなぁ……安全圏から見下ろして一方的に撃ち殺すとか、『げぇむ』っていうよりオナn……」
私が『
マジかよ、対物ライフルか…?
ランボーでスクール・ボーイが使ってたな。
確かバレットM82だったっけ?
流石に12.7ミリ弾の威力は馬鹿にできねぇべ。
つか『ぷれいやぁ』相手に過剰戦力だろ。
一撃でお兄さんを仕留めた『
「人がっ、話してるっ、時にっ、撃つな!!
バイクを降りた私は、近くにいた『ぷれいやぁ』を盾にして難を逃れつつ、路地裏に逃げ込んだ。
一旦路地裏に身を潜めた私は、呼吸を整えてから状況を整理した。
このクソオn……一方的な殺戮も、『げぇむ』なんだとすれば『るうる』があるはず。
差し詰め、げぇむ『さばいばる』。
エントリー数無制限、制限時間なし、難易度『
『ぷれいやぁ』が『
『
そしておそらくだけど、『
他の『げぇむ』中に『
エントリーすらしてないのにいきなり殺すとかいう、『げぇむ』ですらない『
だったら、積極的に『げぇむ』に参加する意思がある『ぷれいやぁ』の事は、真っ先には狙わないはず。
せめて『
私は、『
すると私の読み通り『
私はその隙に、『
◆◆◆
No side
ツエダが『
『
『
だが、『げぇむ』のエントリー数が5名だったため、4人は『げぇむ』会場に入れずにいた。
「1人…足んねーじゃん…」
「…みたいやな」
「どーすんだよ!?モタモタしてっといつまた『
そうタッタが叫んだ、その時だった。
「待ちくたびれたぜぇ…あんまり誰も来ねーもんだから、すっかり興が削がれちまってたところだ…」
「お…お前は…!!」
「ようやく5人、揃ったじゃねーの」
4人の前に現れたのは、ニラギだった。
クイナとタッタは、ニラギが『げぇむ』に参加するのを拒否したが、ニラギが先に腕輪を嵌めたので、他の4人は渋々ニラギと一緒に『げぇむ』にエントリーした。
「いやー良かった!!やっと参加者が来てくれた!!THANK YOU FOR COMING!!『
そこに立っていたのは、天然パーマの髪をした全裸の男だった。
「オレがこの『げぇむ』を取り仕切る、『
『
ミュージシャン
全裸のキューマを見て、アリス達は唖然とする。
キューマの後ろには、彼の仲間のマキ、ゴーケン、ウタ、シタラが立っていた。
状況を飲み込めずにいるアリス達を前に、キューマが『げぇむ』の『るうる』を説明した。
◆◆◆
ツエダside
『
病院は下からライトアップされていて、頭上には巨大な♢のQのタペストリーが吊るされた飛行船が浮かんでいる。
正面から病院に入ろうとすると、病院の前に人が集まっているのが見えた。
よく見たら、『ビーチ』で一緒に過ごした顔だった。
私は、よく知る4人に笑顔で手を振って声をかけた。
「あらヤダ、アン久しぶり〜♪会いたかったわぁ♡」
「ツエダ……」
私が声をかけると、アンが振り向く。
私がアンに抱きつこうとすると、褐色肌の取り巻きの男がアンを庇う形で前に出る。
「お前、何しに来たんだよ!」
え、コイツなんでこんな怒ってんの?こわっ。
ああそっか、皆の中では私が武闘派に寝返ったって認識になってんのか。
あーあ、やっぱり人を裏切ると碌な事になんねぇな。
「はぁ〜?何って、『げぇむ』だけど?」
「テメェ……!」
私がタバコの煙を吐きながら挑発するように言うと、取り巻きの男が殴りかかろうとした。
すると小麦色の肌の女の子が、私達の間に入って仲裁した。
「やめなって、『げぇむ』前に仲間割れしたってしょうがないでしょ!?」
「そーだそーだ」
「あなたも不必要に人を煽るのはやめなさい」
私が女の子に同調して取り巻きの男を煽ると、アンが私を窘めるので、ベッと舌を出す。
あーあ、怒られちゃったわぁ。
「そういやアリス君は?一緒じゃないの?」
「…………」
私が尋ねると、4人が黙り込む。
……あれ?
私、何か変な事聞いちゃった?
なんて考えていると、アンと、ツインテールの女の子が口を開く。
「散り散りになったのよ。『
「それで、『
「え?『
私がそう言うと、さっきまで暗い顔をしていた4人が顔を上げる。
えっと、『
『
なのにどうして北上して練馬区にいる私達を襲ったのかしら…
そもそも、どうして世田谷区にいたアン達を真っ先に襲ったのかしら?
集団で移動している『ぷれいやぁ』を優先して殺してるって事?
なんて考えつつ、『げぇむ』会場の入り口に目を向ける。
入り口の前に立てられた看板には、こう書かれていた。
《げぇむ とらいある》
《エントリー数 5名》
《難易度 ♢Q》
「エントリー数5名…か」
参加人数は、『
『
「5人……いや、
「ちょっと、縁起でもない事言わないでよ!まだどんな『るうる』かわからないじゃない!」
「冗談よ」
私が冗談を言うと、ツインテールの女の子が怒鳴ってきたので、ベッと舌を出して肩を竦める。
そんな事言われても、私が今まで参加した『
なんて考えていると、さっきまで開かなかった病院の自動ドアが開いた。
5人全員で病院の中に入ると、病院内の待合室のモニターがつく。
モニターには、こう表示されていた。
《『ぷれいやぁ』の皆様》
《検査室へお越しください》
「検査室…?」
アンの取り巻きがきょとんとしていると、モニターに矢印が表示される。
矢印に従って進むと、『検査室』と書かれた扉があった。
扉を開けると、部屋の中央に白いテーブルが置かれていて、奥の席には長い藍色の髪をハーフアップにした凄い美人のお姉さんがいた。
「ようこそ、『げぇむ』会場へ。私は
『
内科医
「『
「お前が、昨日の会見で言ってた『今際の国』の国民なのか…!?」
レイカという女が自己紹介をすると、アンとお兄さんが口を開く。
戸惑う私達を見て不敵に笑うレイカは、聴診器を首から下げ白衣を着ている。
元の世界での職業は、医者だったのかしら?
てかあの女何色のパンツ穿いてんだろ。興味湧いたわ。
「それじゃあ、『るうる』の説明を始めるわ」
レイカがそう言うと、設置されたモニターが光る。
《『げぇむ』、『とらいある』。難易度、『
合成音声と共に、モニターの画面が切り替わる。
モニターには、♢のQのトランプが表示される。
「『るうる』の説明よ。あなた達5人には、私とギャンブルで勝負してもらうわ」
そう言ってレイカは、テーブルの上に箱を置いた。
箱の中には、黄色い液体の入った注射器が6本並んでいる。
「ここに、6本の注射器があるわ。6本のうち5本はビタミン剤、そしてもう1本は人を死に至らしめる猛毒よ。1人1回ずつ私と勝負をして、負けた方が1本選んで自分の身体に打つのよ。もしあなた達の誰かが毒薬を打ってしまったら、その時点であなた達『ぷれいやぁ』は全員『げぇむおおばぁ』。残った私だけが『げぇむくりあ』よ。もし5回勝負しても誰も死ななかったら、勝ち数の少ない方が最後の1本を打つ。私を毒で殺せれば、あなた達は全員『げぇむくりあ』よ。ここまではOK?」
「なるほどね、臨床試験がモチーフの『げぇむ』だから『とらいある』か。アタシ達は、臨床試験のモルモットってわけ」
「そうよ。この会場にピッタリな『げぇむ』でしょう?」
私が口を挟むと、レイカがニコッと微笑んで答える。
『
なんて考えていると、アンの取り巻きのお兄さんが抗議する。
「おい、ちょっと待てよ。アンタは、どれが毒薬かわかってんじゃねぇのか?アンタは毒を回避できるのに、オレ達は毒で死ぬリスクを冒さなきゃいけないなんて、そんなのどう考えてもアンタに有利なギャンブルだろ!」
お兄さんがそう言うと、後ろにいた女の子二人も頷く。
私達には毒の注射器を引いて死ぬリスクがあるけど、『
つまり私達には、毒の注射を引かないようにして、尚且つ『
こんな『げぇむ』、公平もクソもないわ。
「……そうね。確かに、私はどれが毒入りの注射器かを
そう言ってレイカは、手を広げて不敵に微笑む。
検査室には、サイコロ、トランプ、花札、コインなんかのカジノゲームと、将棋、チェス、囲碁、オセロなんかのボードゲームが揃えられていた。
この中から選んで勝負をしていいのね……
毒の注射器を見分けられる『
それでイーブンってわけ。
「アンタ達が提案した勝負内容を私がOKした時点で、勝負開始よ」
レイカが『るうる』の説明をしている間に、アンが部屋を見渡す。
検査室の棚には、薬品や実験器具、医学書なんかが並んでいる。
その中のひとつに目星をつけたアンは、手を挙げてレイカに質問する。
「質問よ。あなたが勝負をしている間に、私がこの部屋を調べるのはアリ?」
「『げぇむ』の邪魔さえしなきゃ何してもいいわ。他に『げぇむ』について質問は無いかしら?」
「……ええ」
「じゃあ、『げぇむすたあと』よ。最初は誰からやる?」
「それじゃあ、アタシからやるわ」
最初にレイカに勝負を挑んだのは、褐色肌の女の子だった。
「勝負の内容は、『30を言ったら負け』よ。アタシとアンタで交互に数を数えて、30を言ったら負け。1度に言える数字は3つまでよ」
「わかった、30を言ったら負けね。あなたが先攻でいいわよ」
そう言ってレイカは、余裕そうに微笑む。
このゲームには、必勝法がある。
必勝法を知っていれば、先手を取った方が勝ったも同然。
多分レイカは、それを分かった上で勝負を受けてる。
最初の1勝はくれてやるってわけね……舐めやがって。
「じゃあ…1」
「2、3」
「4、5」
「6」
「7、8、9」
「10」
「11、12、13」
「14、15」
「16、17」
「18、19」
「20、21」
「22」
「23、24、25」
「26」
「27、28、29」
「30……あら。私の負けね。まずは1勝、おめでとう」
1回戦の『30を言ったら負け』ゲームでレイカが30を言って、まずは私達のチームが1勝した。
レイカは、白衣を脱いでブルーのシャツの袖を肘の上まで捲る。
そして箱の中から注射器を一本取り出して、手に取った注射器を観察してから自分の腕に刺す。
注射器を打っても、レイカは死ななかった。
「じゃあ…次はオレがやる」
次は、アンの仲間のお兄さんが立候補した。
「勝負内容は?」
「勝負内容は、ダイスゲームで丁半はどうだ?まずはダイスを振って、出目の和が多い方が親だ。互いにチップは100枚ずつ。先にチップが無くなった方が負け……でどうだ?」
「ええ、いいわよ」
お兄さんがカジノゲームの並んだテーブルに上に置いてあるダイスとダイスカップを指差すと、レイカが微笑む。
レイカが先にダイスを振って、お兄さんがその次にダイスを振る。
レイカの出目が11、お兄さんの出目が12。お兄さんが親を取った。
お兄さんがダイスをダイスカップに入れて、勝負を始める。
一方で、私とアンは、毒薬を見分けるのに必要なものを探していた。
「あった……!」
毒薬の判別に必要な『あるもの』を見つけ出した、ちょうどその時。
「半」
レイカが宣言すると、お兄さんがダイスカップを開く。
出目は、サブロクの半だ。
賭けに勝ったレイカは、自分が賭けた分の枚数のチップを、お兄さんから没収する。
このゲームで、お兄さんのチップは全部なくなってしまった。
「嘘だろ…?チップ全部持っていかれた…」
「私の勝ちね♪」
お兄さんが唖然としていると、レイカがニッコリと微笑む。
どう見てもお兄さんが有利なギャンブルだったのに、レイカは9回中7回正解してお兄さんのチップを根こそぎ奪い取った。
レイカは、注射器の入った箱をズイッとお兄さんの前に出した。
「それじゃあ、一本選んで打ちなさい」
レイカがニヤリと笑うと、お兄さんは冷や汗を垂らして注射器を取る。
そして自分の腕に注射を打とうとした、その時だった。
「ちょっと待って」
お兄さんが注射を打とうとするのを、アンが待ったをかける。
アンは、お兄さんから注射器を取り上げると、取り上げた注射器にライトを当て、他の注射器にもライトを当てた。
そして、お兄さんが打とうとしたのとは違う注射器を一本取る。
「腕出して」
アンがそう言うと、お兄さんは恐る恐る左腕を差し出す。
アンは、お兄さんの左腕の脈を探し当てて注射を打った。
薬を打っても、お兄さんは死ななかった。
薬を打たれたお兄さんは、安堵のため息をつく。
それを見たレイカは、僅かに目を見開いて口を開く。
「あら。この短時間で、もう毒薬を見分ける方法に気づいたのね」
「ええ、あなたがヒントをくれたおかげでね。安全な注射器に入っているのは、おそらくビタミンB2が入った栄養剤。ビタミンB2を構成するフラビン骨格は、紫外線のエネルギーを吸収して励起し、基底状態に戻る時に余分なエネルギーを光として放出する性質がある」
「……つまり?」
「ブラックライトを当てて光った方が安全な薬って事」
そう言ってアンは、検査室から見つけ出したブラックライトを注射器に当てた。
すると残った4本のうち3本がぼんやりとネオンイエローに光り、1本だけ光らなかった。
「けど、検査室にブラックライトが置いてなかったら、どうするつもりだったの?」
「置いてある可能性が高かったわ。これは『
ツインテールの女の子が尋ねると、アンが答える。
レイカは、毒薬がどれかを『知ってる』じゃなくて、『見分ける事ができる』と言った。
それはつまり、毒薬がどれかを見分ける方法があるという事。
そして、レイカが安全な方の注射器を『ビタミン剤』と言ったのが最大のヒントだった。
これは運ゲーじゃなくて、小さなヒントを見逃さない洞察力や、化学の知識も試される『げぇむ』だったってわけね。
アンのおかげで毒を回避したお兄さんは、アンに謝る。
「すまねぇ、アン……」
「気にしないで。毒を見分ける方法は見つけた。あと2回勝てば、私達の勝ちよ」
お兄さんが申し訳なさそうに俯くと、アンがお兄さんのフォローをした。
するとレイカは、アンを興味深そうに眺めながら口を開く。
「……アンと言ったわね。あなた、元の世界では何をしてたの?」
「警視庁刑事部鑑識課、指紋鑑定官。ちなみに、『
「そう……流石は今日まで『げぇむ』を生き延びてきた猛者『ぷれいやぁ』というだけの事はあるわね」
「そんな事より、聞きたい事があるわ。『
「そうよ」
「だったら、どうして彼女達は死ななきゃいけなかったの?」
「そんな事聞いてどうするの?もう死んだ奴等の事なんて、どうでも良くない?『
アンが尋ねると、レイカは不敵な笑みを浮かべながらはぐらかす。
それでもアンは、真剣な表情を浮かべて食い下がった。
「それでも私は、どうしても知りたいの。この世界が何なのかを、『ビーチ』の仲間がどうして死ななきゃいけなかったのか。死んでいった皆の思いを、無駄にしない為にも」
そう言ってアンは、レイカに詰め寄る。
するとレイカは、根負けしたのか、ため息をついて答える。
「仕方ないわね……『
「そんな…」
「アサヒとモモカは、いつか死ななきゃいけない絶望と戦いながら『ビーチ』で過ごしてたって事…?」
「そうなるわね。全種類の『げぇむ』を『くりあ』される前に『ぷれいやぁ』を皆殺しにするなんて、ほとんど不可能に近いもの」
話を聞いたアンの取り巻き達が呆然とする中、レイカは平然と言い切った。
なるほどねぇ……想像の3倍は無理ゲーだったわ、運営サイド。
私は前に、モモカが『まじょ』役を引き受けたのは、アサヒを守る為なんじゃないかと考えていたけど…そんな無理ゲーを強いられてたんじゃ、友達とか関係なく、死にたくもなるかもね。
…まあ、レイカの言葉が全部真実なら、だけど。
なんて考えていると、レイカが手を叩いて話を打ち切る。
「さ、おしゃべりはここまで。そろそろ、次のゲームを始めましょう。次は誰が勝負するのかしら?」
そう言ってレイカがテーブルの上のダイスとダイスカップを片付けると、今度はツインテールの女の子が立候補した。
「私が……」
「勝負内容は?」
レイカが尋ねると、ツインテールの女の子はテーブルの上に置いてあるボードゲームに目を向ける。
女の子は、その中の一つを指差して口を開く。
「じゃあ……囲碁で」
「あら。あなたに有利な勝負にしなくていいの?」
「馬鹿にしないで。こう見えても私、高校の頃に囲碁の全国大会でベスト4まで残ったんだから」
「いいわよ。やりましょうか」
女の子が碁盤を指差して言うと、レイカはニコッと微笑んで碁盤を自分の前に置いた。
3回戦、囲碁の対決が始まる。
開始から1時間ほどで、勝負が見えてきた。
レイカは、碁盤に白の碁石を置きながらニヤリと笑う。
「確かに……あなた、なかなか強いわね。おかげで楽しめたわ♪」
「嘘でしょ……たったの140手で…!?この
レイカは、たったの140手で女の子を逆転不可能な状態に追い込んだ。
うちのチームの女の子も強い方だけど、レイカはそれ以上の化け物だった。
ギャンブルだけじゃなくて、ボードゲームも強いとはね……
流石『
打つ手がなくなった女の子が手を震わせながらも碁石を置こうとすると、アンが女の子の肩に手を置く。
「無理しないで。あと2回残ってるんだから」
アンがそう言うと、女の子は碁石を置こうとした手を止めて口を開く。
「と、投了します……」
「あら、また私の勝ちね♪」
そう言ってレイカは、注射器の入った箱を差し出す。
アンは、箱の中から安全な注射器を1本取ると、女の子の腕に打った。
アンが注射器を打つと、女の子は息を吐く。
これで1勝2敗。
アンが毒を見分ける方法を見つけてくれたけど、それでもイーブンになっただけに過ぎない。
レイカが6本目の注射を撃たない限り、彼女を毒殺するという『くりあ』条件を満たせない以上、私達は一度の負けも許されない。
『げぇむくりあ』するには、私とアン、どっちも勝たなきゃいけない。
……あれ?これ、私らやばいじゃん。
「次は誰がやる?」
レイカは、フッと微笑みながら尋ねる。
私は、アンと顔を見合わせてから手を挙げる。
「アタシがやるわ」
「ツエダ……」
「心配すんなって。知能戦の女王だか何だか知らないけど、このツエダ様に敵なんかいないのよ♪」
私はそう言って、レイカの向かい側の席に座る。
さーて、そろそろ本気出しちゃいますか♪
げぇむ 『とらいある』
難易度 『
1回戦 勝者:『ぷれいやぁ』チーム
2回戦 勝者:『
3回戦 勝者:『
生存者 6名中6名
ちなみにアンの仲間の三人の名前ですが、原作では名前が出てこなかったので、本作では作者が勝手に名前を付けています。
それぞれ鏡の国のアリスの白の女王、赤の女王、白の騎士が名前の由来です。
1回戦で対戦したのがアカリ、2回戦がキシベ、3回戦がマシロです。