ヤブヤベside
『げぇむ』 『どくぼう』
難易度 『
エントリー数 20名
制限時間 1時間
『るうる』
最後の5分間だけロックされる『どくぼう』の中で、自分の首輪に現れたマークを当てれば、次のターンへと進める。
『
生存者が残り2人になれば、『
禁止事項は3つ。
ロックされた『どくぼう』内に2人以上がいた場合。
他者の『どくぼう』への入室を妨害した場合。
他者を自力で解答できない状態にした場合。
《それでは次のターンも、パートナーを信じて頑張って下さい》
8ターン目。
最初は20人いた『ぷれいやぁ』も、残り9人になってもうた。
窓の外を覗いたら、雨が降っとった。
「いつの間にか…夜明けだ…雨が…降ってたんだな…」
「台風が、来るのでござろう…」
ウチと一緒にいやはったイッペーはんとロクドーはんが、そう言わはった。
もう夜明けやなんて、全然気づかへんかったわ。
こうしてずっと閉じ込められとると、時間の感覚がおかしなるんやんな。
ウチは、お茶を飲んで深呼吸し、緊張をほぐした。
食堂を出て、一般房にいやはるヤバはんとコトコはんのペア、バンダはんとエンジはんのペアに目を向ける。
「あきまへんなぁ…」
一番警戒せなあかんのは、ヤバはんと、バンダはん。
片や、自己愛と万能感に満ちた、傲慢なサディスト。
片や、共感性の乏しいサイコパスの快楽殺人者。
『
ウチが二人を観察しとると、バンダはんとヤバはんが御手洗いに行かはった。
その間に、ミツルギはんとカリヤはんが、エンジはんとコトコはんに声を掛けに行かはった。
ウチらも、ミツルギはんやカリヤはんと一緒に、エンジはんとコトコはんを説得する。
したら、ちょうどええタイミングで、バンダはんとヤバはんが戻って来はった。
「…これは一体、何の集まりだ?」
「これで、9人全員が揃ったな…ここにいる君達のパートナーには、これからある
ウチらは、そう言わはるミツルギはんの後ろに立った。
エンジはんとコトコはんは、ウチらの宣言に驚いてはった。
そないな中、ヤバはんがウチらを嘲り笑う。
「フ…ハハ!この数時間、何を見ていたのだ?性懲りも無くまたグループを組むだと?あの寄せ集めの悲惨な末路を知らぬ訳ではあるまい?」
「あのグループには、欠けていたからだ…『理念』が。オレ達のグループは、この『げぇむ』を降りる。今後二度と誰かを欺いたり、殺めたりしないと決めたんだ。それが『
「…まるで、無期懲役刑だな。よもや、本気ではあるまい?」
「本当なら…ここまで犠牲が増える前に何とかしたかったが…何ターンも前から皆に話をして回った末に、説得に応じてくれたのは、この3人だけだった…」
「『
ヤバはんは、ミツルギはんの計画に乗ったウチらにそう訊かはった。
したら、イッペーはんが俯いたまま口を開く。
「オレは…もう…疲れたんだ…目の前の人が騙したり騙されたりして死んでいく事に…これ以上、あんなのを見ずに済むのなら…誰が『
「今、正に奴の発している言葉こそが、欺瞞だとは疑わないのか?」
「説明なんて…できねーけど…わかるんだよ…彼の言葉が、嘘じゃないって…」
ヤバはんが尋ねると、イッペーはんはミツルギはんを見て言わはった。
◇◇◇
6ターン目。
「キミ…ちょっといいかな」
ウチは、ミツルギはんに話しかけられた。
「少しでいいんだ。オレ達の話を聞いてくれないか?」
ウチは、ミツルギはんとカリヤはんに連れられて、食堂の端に集まった。
そこには、イッペーはんもいやはった。
ウチとイッペーはんは、ミツルギはんとカリヤはんから、計画を聞かされた。
「殺し合いの『げぇむ』を…オレ達で…降りる!?」
「ああ…放棄するんだ。この理不尽な国でのやり取りの一切を、オレ達自身の選択で」
「オレ…は、そうしたい……でも、やっぱり……ダメなんだ…!!今のオレにはもう…誰の言葉も…信じられねぇんだよォ…!!」
イッペーはんは、仲間殺しをしはるウルミはんらを見て、すっかり疑心暗鬼に陥ってはった。
まぁ、目の前であないな事されたら、無理もあらへんなぁ。
なんて考えとると、ミツルギはんが口を開く。
「…オレの、かつての世界での生業は…いわゆる詐欺師だった。生まれながらに他人の考えを見通せた。あまりに簡単に人を欺ける才能から、当然の権利と自分の行為を正当化し、ただ驕っていた…そんなある時、1人の男に水脈投資詐欺を持ちかけた。騙された事も知らずに、男は会社の資金を使い込み、追い詰められた挙句…一家無理心中。男には…2歳になる娘と、出産を間近に控えた妻がいた…どうして…もっと早くに気づけなかったのか…この他人を見通す力は、こんな事に使う為に持って生まれたんじゃなかったのに…『オレを信じてくれ』なんて、口が裂けても言えない…今のオレには、本当に信じてもらいたい相手にすら、そんな言葉を口にする資格などないのだから…」
ミツルギはんは、俯いて泣きながら言わはった。
ミツルギはんの言葉には、嘘偽りはあらへん。
「………オレ…は、アンタを…信じるよ…」
イッペーはんは、ミツルギはんを信じて計画に乗らはった。
「その計画…ウチも協力さしてもろうてもよろしおすか?」
ウチも、手を挙げてミツルギはんとカリヤはんの計画に賛同した。
「ウチは、生き残る為に誰かを騙すなんて、やっぱ嫌やわ。それに…どのみちウチは、誰にもマークを教えて貰えへんかったら生き残れしまへん。ウチで良かったら、協力させておくれやす」
「もちろん、協力してくれるなら嘘偽りないマークを教えるわ」
ウチが協力を申し出ると、カリヤはんは本当のマークを教えるて約束してくれはった。
殺し合いをせんで済むんやったら、その方がええもんな。
◇◇◇
「どのみちウチは、ミツルギはんに協力しいひんかったら生き残れしまへん。それに…ウチは、もうこれ以上殺し合うんは嫌やわ…」
「儂は…自分が生き残りさえすればそれでいい…だが、この『げぇむ』を『くりあ』して外に出ても、数日後に死ぬかも知れぬくらいなら…確実に半年は生き延びられる
ウチとロクドーはんは、ミツルギはんの計画に乗った理由を言うた。
したら、コトコはんが口を出す。
「ちょっと…待ってよ!!『びざ』は…!?いくら半年分の食糧があったって、『びざ』が切れたらおしまいなのよ!?」
「そもそも、『げぇむ』の最中は、『びざ』はカウントされるのか?オレの知る限りでの『げぇむ』はこれまで、必ず日付が変わる前に決着がついていた。ここに来て初めて、日付を跨ぐ『げぇむ』が現れたんだ。そしてその疑問は、既に検証済みだ。オレの『びざ』は、昨日で切れるはずだった」
ミツルギはんがコトコはんの疑問に答えると、コトコはんとエンジはんが目を見開いて驚かはる。
ミツルギはんは、驚いてはる2人に対してさらに話を続けはった。
「昨夜のうちにこの『げぇむ』が開始され、日付を跨った今も、オレがまだ生きているという事は、少なくともこの『どくぼう』が続く限りは、オレ達の『びざ』の残り日数が減る事はない」
「これが例外的なのかはわからないけども、半年以上の食糧が用意されていた時点で、この『げぇむ』の最中は、『びざ』がカウントされない可能性が高かったわけね…」
「これまでずっと『今際の国』で残り数日の命に怯えていたオレ達が、少なくとも、あと半年は平穏に暮らせる選択肢を手に入れたんだ。殺し合いの放棄と平和的共生が、オレ達5人の『理念』だ」
「…大切なのは理念。その考え方には大いに賛同だが…生憎その理念は、私のものとはかけ離れている」
「最後まで…同意を得られないのは、アンタ達2人だという事はわかっていた…残りの取り巻きの2人は、気が変わったら、いつでも声をかけてくれ…オレ達の宣言は、以上だ」
そう言うてミツルギはんは、ヤバはんとバンダはんに背を向けた。
ウチらも、ミツルギはんと一緒にその場を去った。
◇◇◇
《制限時間5分前になりました。ロックされた5分の間に自分の首輪のマークを、口頭で当てて下さい》
「『
ウチは、残り5分の間に、『どくぼう』で自分のマークを答えた。
えらい長う感じる5分間が、過ぎていく。
《制限時間になりました。8ターン目の生存者は、9名中9名》
9ターン目。
それは、ウチが『どくぼう』の外に出るのとほぼ同時の出来事やった。
――ガシャアアン!!
「!?」
いきなりヤバはんが、ミツルギはんのいやはる『どくぼう』の扉を閉じて、ミツルギはんを『どくぼう』に閉じ込めた。
「オイッ!?アンタ…何してんだよッ…!?」
「私には、こんな穴蔵で半年を過ごす気など毛頭無いものでな。少しばかり強行手段を取らせてもらおう。このまま1時間、『どくぼう』の中で誰とも接触できなければ、自分のマークを知る由もあるまい。お前達の理念とやらは、この国に似つかわしくない。元々世界は理不尽だったのだ。『
ヤバはんは、『どくぼう』の扉に体重をかけてミツルギはんを閉じ込めながら笑わはった。
あかん…この人、うち思うとった以上にえげつない人や…
「アンタが力尽くでミツルギを止めるっていうなら、こっちだって…!!」
カリヤはんは、ミツルギはんを助ける為にヤバはんに立ち向かおうとしはった。
したらそん時、コトコはんが包丁を持ってカリヤはんの前に立ち塞がる。
「ヤ…ヤバ様の、
「殺すなよ。失格になられては困る。お前は大切な私のパートナーなのだから」
「はい…ヤバ様…!!」
ヤバはんが言うと、コトコはんは恍惚とした表情を浮かべながら頷く。
ヤバはんの発言を聞いて、カリヤはんがハッとしはった。
「そうよ…『るうる』!!『るうる』の禁止事項よ!!禁止事項の2つ目は、『他者の『どくぼう』への入室を妨害した場合』!!アタシがその『どくぼう』に入室する意志を邪魔すれば、アンタ達は『げぇむおおばぁ』よ!!」
カリヤさんが言うと、コトコさんは包丁を下ろして俺達の前から退く。
カリヤさんは、ヤバの正面に立って言い放った。
「さあ、ドアの前から退いてちょうだい!」
「…フム、確かに。私には、お前の要求を拒む事はできないようだな。いいだろう」
そう言うてヤバはんは、あっさりとドアの前から退き、カリヤはんの肩に手を置く。
「そんなに入りたければ、さあ、遠慮なく入れ!!」
ヤバはんは、強引にカリヤはんを『どくぼう』の中に押し込み、乱暴にドアを閉めてカリヤはんとミツルギはんを同じ『どくぼう』に閉じ込めた。
「オイ開けろ!!開けろォ!!」
『どくぼう』から、カリヤはんの怒鳴り声が聴こえる。
「…なるほどね。『どくぼう』からの退室の妨害は、禁止されてはいない…そして、『るうる』の禁止事項の最後の1つは…『ロックされた『どくぼう』内に2人以上がいた場合』」
バンダはんは、『どくぼう』のドアを封じてはるヤバはんを見て言わはった。
ミツルギはんとカリヤはんが『どくぼう』のドアを内側から叩いてはるけど、ドアはビクともしいひんかった。
「学生時代を思い出す。アメフト部では、クォーターバックを4年間務めていたっけな」
そう言うてヤバはんは、ミツルギはんとカリヤはんを閉じ込めながら笑わはった。
あきまへんなぁ…
これでもう、ウチらのグループは終わりやんか。
◇◇◇
その後、ウチは食糧庫に行かはったイッペーはんを探した。
イッペーはんは、食糧庫の隅で泣き言を言ってはった。
「もう無理だ…オレはもう、無理だ…!!」
「『
ウチが言うと、イッペーはんが顔を上げる。
ウチは、イッペーはんにボトルのお茶を差し出した。
「よかったらこれ、おあがりやす」
ウチがお茶を差し出しても、イッペーはんは受け取ってくれへんかった。
立て続けに仲間を失うて、もう限界なんやな…
「イッペーはん。お気持ちはようわかりますえ。ミツルギはんとカリヤはんがあないな風になって、もういっぱいいっぱいなんやろ?」
「ヤブヤベさん……オレには…見つからないんだ…あそこまでしてでも、この国で生き続ける理由が…もう何も…見つからないんだ…」
「そうなんやな、悲しいなぁ。そやけど今は、ウチらで正解を教え合うしかあらへんやんか。今回だけでええ。今回だけは、ウチのマークを教えておくれやす」
そう言うてウチは、イッペーはんに背を向けて首輪のマークを見した。
したらイッペーはんは、ウチのマークを見て口を開く。
「……『
「……おおきに」
◇◇◇
イッペーはんとマークを教え合うた後、ウチは御手洗いに寄ってから、廊下に戻ろうとした。
そん時、ロクドーはんがウチを見つけるなり走って来はった。
「ああ、いた!!ヤブヤベ殿ォ!!」
「…何どす?」
「わっ、儂のマークを教えてくれぇ!!もうミツルギ殿も、イッペー殿も頼れませぬ…かくなる上は、儂とヤブヤベ殿で、マークを教え合いましょうぞ!!」
ロクドーはんは、ウチにマークを教えろと迫って来はった。
エゴ剥き出しもここまで来ると、逆に尊敬もんやわ。
そやけどウチは、こうはなりたないなぁ。
「かなわんわぁ。なんでウチがあんさんにマークを教えなあきまへんのん?」
「なんでって…儂らでマークを教え合うしか、生き残る道は残されておりませんぞ!!」
「ウチはええんどす。もうマークはわかっとるさかい、あんさんに頼るまでもあらへん。そないな訳で、ウチは勝手にやらしてもらいますわ。自分のマークは、自分で何とかしたらええんとちがう?」
「そんなッ…何故そんな事を言われるのだ…!?儂らは、新たなグループでマークを教え合うと約束したではありませんか!!」
ウチは、どこまでも自分が生き残る事しか考えてへんロクドーはんに、ハッキリ言うたる事にした。
「イッペーはんに聞いたんやけど…アンタ、カネコはんとヒビノはんに嘘のマーク教えはったんやってなぁ?」
ウチは、ロクドーはんがカネコはんとヒビノはんを騙して殺した事を言及した。
絶望の表情を浮かべはるロクドーはんに、ウチは扇子を広げて口元を隠しながら言い放つ。
「堪忍え。ウチ、嘘つきは好かんどすえ」
ウチはそう言うて、一人で立ち去った。
「ま、待ってくれ!!ヤブヤベ殿ッ!!ヤブヤベ殿ォーーーー!!」
後ろからロクドーはんが呼び止めはるけど、ウチの知った事やあらへん。
多分もうマークを教えてくれはる人はいーひんと思うけど、せいぜいおきばりやす。
◇◇◇
《制限時間になりました。9ターン目の生存者は、9名中5名》
10ターン目。
ミツルギはん、カリヤはん、イッペーはん、ロクドーはんが脱落した。
ウチは、イッペーはんが入った『どくぼう』の小窓を覗きながら、ポツリと呟く。
「優しすぎやわ、イッペーはん……」
『どくぼう』の中では、首から上が無うなったイッペーはんの死体が、血溜まりの中に沈んどった。
イッペーはんは、ウチがマークを教えたのに死んでもうた。
彼は、殺し合いの『げぇむ』に身を置く事に耐えられんと、自ら命を絶った。
「かなわんなぁ。ウチ、パートナーがいーひんやんか」
生き残りはウチ、ヤバはん、バンダはん、エンジはん、コトコはんの5人。
パートナーがいないのは、ウチ一人だけ。
……これ、ピンチやんか。
◇◇◇
その後、ウチは食糧庫でお菓子を選んではるエンジはんに声をかけた。
バンダはんは、今いやはらへんみたいやな。
「あんさん」
ウチが声をかけると、エンジはんが振り向かはる。
「少し、お話聞いてくれはりますか?」
「何だよ」
「あんさんのマークを教えたるさかい、ウチのマークを教えておくれやす」
「間に合ってるよ」
ウチが交渉を持ちかけようとすると、エンジはんは黙って立ち去ろうとしはる。
ウチは、食糧庫を出て行こうとしはるエンジはんの前に立って口を開いた。
「あんさん、バンダはんに騙されてはるかもしれへんで?」
「……は?」
「残り5人。ここからは、パートナー同士の裏切りがあってもおかしない。今回のターンで、あの兄さんがあんさんに嘘教えるかもしれへんで。本当のマークは、ウチが教えたる。答えの選択肢は多い方がええやろ?あんさんのマークは『
ウチがそう言うと、エンジはんはウチを疑うような目つきで見やはった。
そやけど少し考え込んだか思うと、ウチの横を通り過ぎながら言わはった。
「……アンタのも『
そう言うてエンジはんは、ウチより先に食糧庫を出て行かはった。
ウチは、去って行くエンジはんに向こうて、ボソッと言い放つ。
「おおきに」
◇◇◇
その後、ウチは御手洗いに行ってはったコトコはんに声を掛けた。
「コトコはん。今、少しええか?」
ウチが声をかけると、コトコはんは足を止めて振り向かはった。
「アンタのマークを教えたるさかい、ウチのマークも教えてくれはらへん?」
ウチが交渉を持ちかけると、コトコはんはわかりやすう視線を逸らす。
かなわんなぁ、ヤバはんに他の『ぷれいやぁ』と喋るなとでも言われてるんかいな。
「アンタ、ヤバはんとえらい仲ようしてはりますなぁ」
ウチがそう言うと、コトコはんは頬を赤らめて顔を背けはった。
「堪忍な、ほんの冗談どすえ。そやけどアンタ、ほんまはヤバはんの事、信じきってはらへんのとちがう?」
「っ………」
図星やな。
もうひと押し、してみまひょか。
「心配せんでええ、ウチが本当のマークを教えたる。アンタのは『
ウチが尋ねると、コトコはんはウチの質問には答えへんで去って行かはった。
……さて。
まんまと罠にかからはったなぁ、『
◆◆◆
エンジside
10時間前。
『げぇむ』開始直前───
うっは♪役者が揃ってきやがった。
開演が楽しみすぎて、うっかり顔に出ちまいそうだぜ。
ようこそ───
この俺のご機嫌な
早めにエントリーして今回の役者を観察しておいた俺は、ヤバ、バンダ、アイゼン、ミツルギ、そして最後に入ってきたパーカーの女に目を向けた。
人心誘導に長けていそうなご機嫌な役者は、ざっとあの5人。
もう少し…的を絞るなら…
主演は、
役者が何人いようと、そのほとんどはただのエキストラ。
この『どくぼう』はとどのつまり、圧倒的な自信とカリスマでもって他者を
グループを組んで付け焼き刃の信頼関係を築くなんてのは素人のする事。
あの2人は、最も操作しやすい人物ただ1人をパートナーに選び、得意のカリスマで完全な支配下に置くはず。
途中の過程はどうあれ、最後に残る席は4つ。
俺は出しゃばらずに裏方に回らせてもらうから、皆、楽しませてくれよな!
1ターン目、ヤバは主体性の低いコトコに目をつけ、言葉巧みに言いくるめてパートナーにした。
おうおう、手が早いねぇ。
この『げぇむ』を最終幕まで楽しむ為には、まずは残った空席を確保しとかねーとな。
オレは、バンダに接触し、いかにも奴の好む支配を受けやすそうな役を演じる事で、奴に俺を支配させた。
頭がいいと思ってるだろ?
お前は幻想の世界で自分に酔ってるだけのただの異常者だ。
最終幕への最後の1席は確保した。
さぁて、お次はいよいよ、この『
俺はヤバと離れて一人で行動していたコトコに接触し、コトコに催眠をかけた。
『ヤバは必ず最後に君を裏切る。ヤバを信じちゃいけない』、そう刷り込んだ。
舞台が整ってきたぜ!
ダメ押しの、総仕上げといこう!
俺は時間をかけてコトコに催眠を施し、『ヤバを殺せ』と命令した。
俺の用意したシナリオは、概ね順調に進んでいた。
ひとつだけ、想定外があったとすりゃあ…もう一人、ヤブヤベとかいう女子高生が最終幕まで生き残った事だ。
運良くここまで生き残れたようだが、パートナーがいない脇役なんざどうとでもなる。
『
後は衝撃の最終幕に向けて皆、存分に、歌って、踊って、俺を楽しませろ♪
10ターン目。
いよいよ、
コトコに仕上げの催眠をかけ、嘘のマークを教えた俺は、バンダのところに戻った。
「とうとう…5人にまで減りましたね…」
「そうだね…僕らのどちらかが、『
…ここに来て、まだ主導権を主張する為の揺さぶりをかけてくるか。
最後まで…喰えない奴だ。
せいぜい、自分に酔ってな。
「じゃあ、僕から教えようか。君のマークは…『
『
コイツがこのターンで俺を殺そうと嘘を教えた可能性もある。
そんな事をしても無駄だとも知らずにな。
「では次はオレが、バンダさんのマークも、『
俺は、バンダの首輪に表示された『
完ッッッ璧だ!!
自分を支配者と疑わない男2人と、自分が操られている事にすら気付かない女!!
その全てを人知れず俺が支配する、完璧な
この達成感!!
優越感!!
充実感!!
高揚感!!
堪んねぇよなぁ!!
これだから『げぇむ』はやめられねぇんだ!!
こんなご機嫌な『
俺は、永遠にこの世界で『げぇむ』を楽しむ為に、『今際の国』の国民に
制限時間5分前まで1分を切り、全員が『どくぼう』に入室した。
上機嫌で3番目の『どくぼう』に入ると、扉がひとりでに閉まる。
《制限時間、5分前になりました》
ちなみに、実のところこの『げぇむ』には、端からお前ら『ぷれいやぁ』に勝ち目なんて無かったんだけどな!
何故なら…
俺は、前髪で隠していた右眼の瞼をこじ開け、中に仕込んでいた義眼を取り出す。
そのまま数秒経つと、義眼の表面にマークが浮かび上がる。
俺の首輪のマークと連動しているこの義眼モニターがあれば、間違えようが無いんだからな!!
義眼に浮かび上がったマークは、『
バンダが俺に教えたマークは、本当だった。
「マジで『
コイツは卑怯でも何でもないぜ。
『るうる』で貴金属の持ち込みを禁止されてるのは、『今際の国』の国民ではなく、『ぷれいやぁ』だけなんだ!
そもそも20人の中からたった1人生き残らなきゃならねぇ『
誰が
『るうる』を創ってんのは
俺は殺し合いの『
《ロックされた5分の間に自分の首輪のマークを、口頭で当てて下さい》
「『
楽しい『
アンタら主演賞もんだったよ!
名残惜しいが、これにて閉幕…
早速俺の頭ん中は、次の『
《制限時間になりました。10ターン目の生存者は、5名中───4名》
……………は?
「オ…オイ、どうなってんだ…!?何かの間違い…」
俺が『どくぼう』から出て振り向くと、そこには、ヤバとバンダ、そしてヤブヤベが立っていた。
「あ…りえねぇ…何でお前らがまだ、生きてんだよォ!?」
げぇむ 『どくぼう』
難易度 『
11ターン目
生存者 20名中4名