エンジside
『げぇむ』 『どくぼう』
難易度 『
エントリー数 20名
制限時間 1時間
『るうる』
最後の5分間だけロックされる『どくぼう』の中で、自分の首輪に現れたマークを当てれば、次のターンへと進める。
『
生存者が残り2人になれば、『
禁止事項は3つ。
ロックされた『どくぼう』内に2人以上がいた場合。
他者の『どくぼう』への入室を妨害した場合。
他者を自力で解答できない状態にした場合。
俺の目の前にはヤバとバンダ、そしてヤブヤベが立っていた。
信じがたい光景に、俺は思わずその場でへたり込む。
嘘だ…あり得ねぇ…!!
コイツらは、自分の本当のマークを知らないはずだ。
なのに何で、まだ生きてんだよ!?
「嘘…だ…何で…!?あ…りえねぇ…何でお前らがまだ、生きてんだよォ!?」
《それでは次のターンも、パートナーを信じて頑張ってください》
「悲しい…ね。君とはいい友達でいられると思ったのに…まさか、裏切られるなんてね…恐怖で気が動転してしまったのか…それとも…もしかして君が、『
俺がコトコを通じてコイツらに嘘のマークを教えた事も全部…バレてたってのかよ!?
いつから…?
どうやって…!?
あり得ねぇ、あり得ねぇだろ!!
俺の支配は完璧だった!!
「君は1つ…大きな思い違いをしているね…人心操作の鉄則は、『決して相手を見下さない』事だ。どれだけ支配者側が一方的な立場であろうと、そこに信頼関係は不可欠だ。己の支配力に慢心し、技術さえ磨けば人を操り人形にできると思っているようでは、君は支配者として、三流と言う他ないよ…」
「お前らは…違うって言いたいのか…!?一流の支配者として、相手を操作でき──」
「まだわからんのか?そんな事は、この『げぇむ』を『くりあ』する上で、何ら重要ではないという事が」
俺が言おうとすると、ヤバが顎に手を当てながら、俺の言葉を遮った。
「…だったら、何が…!?」
「『
――最後に、この『どくぼう』は、いかに相手を信用できるかの『げぇむ』です。皆様、いち早く信頼できるパートナーを見つける事をオススメします。
ヤバの言葉を聞いた俺は、『げぇむ』開始直前に流れたアナウンスの内容を思い出した。
「私達がこの『げぇむ』に勝つ為に捜すべきは『
「それが…バンダだったってのか…!?お前らは実はとっくに裏で…通じていたと…!?オレがコトコを操ってお前達に嘘のマークを教えた時も…お前達は事前に正解のマークを教え合っていたから死なずに済んだと…!?」
「ご明察」
「納得…できねぇ!!大体、何をもって信頼できるパートナーだって言えんだ!?テメェらのどこに…そんな関係が…」
俺は、ヤバを指差して尋ねた。
わからねぇ…コイツらのどこに、信頼関係があったってんだ…!?
「僭越ながら、死んでいった『ぷれいやぁ』とお前に、1つ忠告をしよう。お前達は何もわかっていない。だから彼等は死に、お前は敗れたのだ。いいか、人を信用する、人を信頼するに足る根拠とは、『誘導』や『操作』などでなければ、『支配』でもない。『洗脳』でも、『信心』でも、『正義』でも、『金銭』でも、『催眠』でも、『契約』でも、『恐怖』でも、『欺瞞』でも、『服従』でも、『和平』でもなく…『対等』だ」
「対…等…?ハ…ハハ…それが、お前らだってのか…?何でそうなるんだよ…!?わからねぇ…全然わからねぇよ…!!」
そうだよ…!!
このエゴイストとサイコパスの間に、どんな接点があるってんだよ…!?
そもそもこの2人は、『げぇむ』が始まってから、会話すらしてねぇじゃ…
いや…待てよ…8ターン目のあの時…トイレから2人で…
「あの時…お前らは…一体何を…話してやがった…!?」
「死んだミツルギという男は、1つだけ、正しい事を言っていた」
正しい事…?
まさか、あの時の…
――あのグループには、欠けていたからだ…『理念』が。
『理念』…?
理念が、大事だってのか…!?
「理…念…?『理念』…!?一体…!!何なんだよオイ…!?お前らのその『理念』ってのは、何なんだよォォ!?」
◆◆◆
No side
8ターン目、ヤバとバンダは、2人きりでトイレに並んで会話をしていた。
「やはりお前とは、気が合いそうもないな」
そう言ってヤバが立ち去ろうとすると、バンダが口を開く。
「ところで…君は…何の為にこの『今際の国』で、『げぇむ』に参加しているんだい…?」
バンダが尋ねると、ヤバは足を止めて答えた。
「『ぷれいやぁ』の間で広まっている、
「ああ…元の世界に戻る希望なんてもう、どこにもない…と、多くの『ぷれいやぁ』達は嘆いているね」
「嘆く?フハハ!相変わらずどこまでも、温い連中だ!私はな、かつての世界で全てを手に入れた。富、権力、名声…凡そ、人の羨む全てを手中にし、支配者として君臨していた。…だがな、足りないのだよ。そんなものでは。『今際の国』こそが、この私が支配するに相応しい真の世界だ。現存する無能な『今際の国』の国民を根絶やしにし、私が『ぷれいやぁ』共の命を支配する神となる。それが私がこの国で『げぇむ』に参加する為の、『理念』だ」
ヤバは、野心に満ちた表情を浮かべながら、自身の『理念』を語った。
するとバンダは、ヤバに背を向けて俯いたまま口を開いた。
「…僕はね、見た事が…なかったんだ…血で血を洗い、殺人ですらがほんの茶飯事の…恐怖と背徳と絶望と混沌に満ち満ちている…これ程までに美しい世界を、僕は未だかつて…見た事がない…初めてだよ。『国民になりたい』という、僕と同じ『理念』を持つ人間に出会ったのは。僕と、友達になろう」
「お前のような異常者と友人になる気など毛頭ないが、認めよう。お前が…信頼するに足る、『対等』なパートナーだと」
◆◆◆
エンジside
「な……」
『今際の国』の国民になりたい、それがコイツらの『理念』だってのかよ…
あり得ねぇだろ…
「いや…そんな事より、誰が『
俺は、論点をすり替えてヤブヤベが怪しいと主張した。
ヤバとバンダはともかく、なんでこの女まで生き残ってやがる…!?
コイツには、自分のマークを知る方法はなかったはず…
「彼女のマークなら…僕が教えたんだよ。ヤバと話をする前に、少し…仲良くなってね…」
俺がヤブヤベをスケープゴートにしようとすると、バンダが口を挟んできた。
は…!?
バンダが、この女にマークを教えてた…だと…!?
「やっぱり…エンジはん、ウチに嘘つかはったんやね。あきまへんなぁ」
ヤブヤベは、扇子を広げながら不敵に笑った。
「あり得ねぇ…お前までバンダと組んでたってのかよ…!?だったらなんでわざわざオレにマークを聞きに来た!?」
「ああ、何や、お気づきやあらしまへんでしたん?あれは、あんさんの反応を見る為のお芝居どすえ」
「は…?芝居…?」
「ウチはな、はじめからアンタが『
そう言ってヤブヤベは、扇子を扇ぎながらクスクスと笑う。
あり得ねぇ…
なんで快楽殺人者のバンダが、この女に本当のマークを教えた…!?
この女もわからねぇ。
なんで殺人鬼の言葉なんて信じたんだ!?
「わかんねぇよ…お前らのどこに、信頼関係があったっていうんだよ!?」
◆◆◆
ヤブヤベside
ウチがバンダはんに話しかけられたんは、5ターン目、ウルミはんのグループを抜けて一人で行動しとった時やった。
「……なんでウチを助けるん?あんさん…何考えてはりますの?」
ウチが尋ねると、バンダはんはウチの耳元で囁いた。
「どうして…普通のフリをしているんだい?」
「え……?」
「君は、人生というものに心底退屈している。どんなに親しい人間と過ごしていても、常に孤独と退屈に喘いでいる。君の理念が誰にも理解されない事を、君自身が理解している。だから、世間で良しとされる道徳的な価値観で自分を塗り固め…君自身の声に気づかないフリをしている…君が本当の自分を解放しない限り、満たされる事はない…」
バンダはんは、一眼見ただけでウチの本性を見ぬかはった。
ウチは、元の世界で何不自由あらへん暮らしをしてきた。
家族仲は悪うなかったし、中学ん頃からずっと一緒の親友もおった。
そやけど元の世界で触れてきた価値観や道徳観は、どれもウチを納得させてくれへんかった。
どないに家族や友達と仲良うしとっても、ウチはこれっぽっちも満たされへんかった。
ウチはいつも独りや。
――小鳥!アタシ、たい焼き買うてきてん!皆でわけっこしよ!
――コトちゃん、今度の週末、一緒に映画館行かへん?コトちゃんの好きそうな映画見つけてん。
ミヨちゃん、ハナちゃん、こないなウチと仲良うしてくれてありがとうなぁ。
一緒に遊んでくれて、ほんまに嬉しかってん。
そやけどな、堪忍え。
ウチは、皆が思てるようなええ子ちゃうねんで。
ミヨちゃんは、たい焼きをわけっこしてくれたやんな。
ハナちゃんは、おもろい本とか映画を教えてくれたやんな。
将来の事とか、好きな人の事とか、一緒に語り合うたやんな。
アンタらにとっては、それが幸せなんやろ?
そやけどな、ウチにとっては、命の奪り合いをする事が
ウチは、ミヨちゃんとハナちゃんの事、ほんまに好きなんや。
そやからウチは、ほんまは皆で殺し合いたかってん。
殺し合えたら、きっとえらい楽しいんやろなぁ。
そやけど、そないな事言うたら、ウチら友達やのうなってまうやんか。
いらん子や、好かんって言われてまうやんか。
ウチは、ミヨちゃんもハナちゃんも好きやのに。
ミヨちゃんハナちゃんと遊んどっても、ウチは全然満たされへんの。
大好きな友達とおっても、ウチはいつも独りぼっちやねん。
大事な友達と殺し合うてみたいなんて思うとるウチは、生まれて来ぃひん方が良かったんかな。
悲しいなぁ、悲しいなぁ。
そやからウチは、お芝居する事にした。
嘘をつくのんは嫌やけど、ミヨちゃんとハナちゃんがいーひんなるのはもっと嫌やから、我慢して、心の声に気づかへんフリして、普通の女の子を演じてきた。
ウチが普通でいたら、ミヨちゃんもハナちゃんも、一緒に遊んでくれた。
そやけどな、この国に来て、気づいてもうてん。
ウチは、命の奪り合いをしてる時が一番楽しいんや。
ウチは最低や。
ミヨちゃん、ハナちゃん、堪忍なぁ。
ウチは、ミヨちゃんとたい焼き食べるより、ハナちゃんと映画見るより、この国で『げぇむ』しとる方が幸せなんや。
「ぷっ…ふっ…ふふっ…あっはははははは!!」
ウチは、堪えられへんくなって、お腹を抱えて笑うた。
ウチのお芝居を見ぬかはった人は、この国に来て初めてやった。
「あー、おもろい。アンタほんまおもろい人やわぁ。ウチ、お芝居抜きで話せる人なんて初めてやさかい、つい嬉しなってもうて。堪忍なぁ」
ウチは、笑いすぎて溢れた涙を拭いもって言うた。
お芝居してへんウチを嫌わへん人なんて、初めてや。
嬉しいなぁ、嬉しいなぁ。
「実のところ…あんさんが『
「さぁ…どうだろうね。そうかもしれないし、違うかもしれない…としか答えられないよね」
「言われてみたらそうどすなぁ」
ウチが冗談を言うと、バンダはんがとぼけはるさかい、ウチは肩を竦めた。
この反応は、『
「そらそうとあんさん、誰が『
「何の事だい?」
「シラを切らんでもええ。あんさんもわかってはるんやろ?あんさんのパートナーのエンジはんが『
「彼は僕の大事な友達だよ。どうしてそんな事を言うのかな?」
ウチが包み隠さへんで言うと、バンダはんが尋ねはった。
あきまへんなぁ。
ほんまはわかってはるくせに。
ウチの事、試してるんかいな。
どこまでも食えへん兄さんやなぁ。
「自分ら、お互い話したんは1ターン目が初めてやろ?どないに人心掌握に長けてはったかて、人はあないに短時間で人に従順になる事はできひん。それにアレは、安全圏で人を見下して楽しんではる人の顔や。
ウチは、エンジはんを疑うとる根拠を話した。
エンジはんがバンダはんと話したんは、1ターン目が初めてやった。
そやのに、エンジはんは、たったの1ターンでバンダはんに服従してはった。
『げぇむ』が始まる前からヤバはんに主従関係を叩き込まれてはったコトコはんとはちゃう。
どないにバンダはんがこわい人やったとしても、普通の人やったら、何の疑念も抱かへんで服従出来るわけがあらへん。
相手が殺人鬼やったら尚更や。
それにエンジはんは、全く死の恐怖を抱いてへん。
そないな人、死ぬのんが楽しい変態か、
違和感に気づいたんは、1ターン目、エンジはんと廊下で肩がぶつかった時やった。
エンジはんは、ウチとすれ違うた時、避けるのんが一瞬遅れてはった。
あん時、あぁ、右眼が見えてへんのやろな、って思うた。
前髪で隠して見えてるフリしてはるんは、ただのコンプレックスか、
そういや、入り口の貼り紙には、『『ぷれいやぁ』の貴金属の持ち込みは不可』って書いてあった。
それって、『
反射物でカンニングしとるさかい、自分が死なへん事をわかっとるっちゅう事やったら、一応筋は通る。
……ま、全部ウチの妄想やねんけどな。
「…なぁんてな。今のはうちの独り言やさかい、忘れておくれやす。ほんまはウチ、『
そう言うてウチは、その場から立ち去ろうとした。
したら、バンダはんがウチに話しかけはった。
「ひとつ…聞いてもいいかい?どうして何もせずにグループを抜けたんだい?僕なら、1人残らず殺すのに」
「ウチ、嘘つきはすかんのどす。それに…嘘さえつかな『くりあ』出来るのに、勝手に疑心暗鬼になって自滅する人らを眺めるのんが、この『げぇむ』の醍醐味どっしゃろ?何がおもろおして、お楽しみに水差さなあきまへんのん?せっかくの『げぇむ』やさかい、楽しんだもん勝ちやろ?」
ウチはそう言うて、扇子を広げて笑った。
ウチの言葉に何か感じるもんがあったんかは知らへんけど、バンダはんはウチにマークを教えてくれはった。
ウチがバンダはんを信じたんは、同族やから。
ウチらはきっと、元の世界に生まれてきた事自体が間違いやった。
傷つける事でしか人と関われへん欠陥品。
そやからこそ、こないなどうしようもない世界で出会うたんやろなぁ。
エンジはん、アンタは何もわかってへん。
バンダはんはな…この兄さんは、アンタが思てるよりずぅっとタチの悪い土腐糞や。
そやからこそ、バンダはんは、絶対に最後まで生き残る。
そう信じとったから、ウチはバンダはんの言葉を迷わんで信じた。
それ以上の理由なんていらへん。
堪忍え、ウチは悪い子どすえ。
◆◆◆
エンジside
か…格が違うのか…!?
オレは…コイツらと…!!
…いや!
だから…何だってんだ!!
「オレがお前らを嵌めようとした事は確かだが…それでオレが『
そうさ!!
俺の義眼モニターは、絶対に見つかりっこねぇ…!!
コイツがある限り、俺が『げぇむおおばぁ』になる事はねーんだ!!
こうなりゃ何ターンでも続けてやる!!
粘り続けてさえいりゃ、いつかコイツらの信頼関係を崩す機会だって──
……いや、待てよ…!?
コイツらが俺を『
「何故…バンダは…さっきのターンでオレを殺そうとしなかったんだ…!?」
俺の頭の中で疑問が過った、その時。
ヤバが俺の髪を掴み、『どくぼう』の扉の前へと引き摺った。
「なっ…!?オイ…!!は…離せッ…!!」
俺を引き摺ったヤバは、『どくぼう』の扉を開けて、俺を『どくぼう』の中に放り込んだ。
「何の…つもりだ…!?オレを……どうしようって…」
コイツら…俺をどうするつもりだ…!?
「『今際の国』の国民と腰を据えてじっくり話せる…今後、こんな機会はそうあるものではないと思わんか?だからお前には、この『今際の国』に関する全ての情報を、一つ残らず喋ってもらわねばな」
ヤバは、俺を見下ろしながら不気味な笑みを浮かべた。
するとバンダも、俺を見下ろしながら口を開く。
「口を割らせる為なら…何をしても構わない…よね」
「ああ…『るうる』の禁止事項は、『他者を自力で解答できない状態にした場合』。既にこの『どくぼう』の中にいて、口さえ利けるのであれば、眼も四肢も、もはや必要あるまい」
おい…嘘だろ…コイツら、まさか……
「君を…殺せないのは残念だけど…それでも…可能な限り楽しむ方法は、たくさん知ってる…」
そう言ってバンダは、竹串やおろし金、ハサミなんかを取り出しながら、不気味な笑みを浮かべた。
俺は、コイツらに喧嘩を売った事を、心の底から後悔した。
「う…ああ…ああ…ああ…!!うあああああああ!!!」
そこからは、地獄の始まりだった。
◆◆◆
ヤブヤベside
「ぎゃあッ!!あああああッ!!は…話しました…!!知っている情報は全部話しましたァ…!!」
『どくぼう』から、聴くに耐えへん悲鳴が聴こえる。
『どくぼう』の中では、バンダはんがエンジはんを拷問してはった。
エンジはんは……あーあ、えらい色男にしてもろうてますなぁ。
「君は…嘘が上手いからね…本当は…もっと色々知ってるんだろう?」
「ぎいいっ!!がっ…!!あぎゃあああ…!!ぐえっ!!ぎひぃいッ!!」
バンダはんがフォークでエンジはんの身体を刺すと、エンジはんが悲鳴を上げる。
あーあー、元気がよろしおすなぁ。
この様子やと、まだまだ楽しめそやな。
そないな事を考えとると、外にいやはったヤバはんが口を開く。
「フン、異常者め」
ヤバはんは、エンジはんを拷問してはるバンダはんを見てそう言わはった。
えらい楽しんではりますなぁ。
ああ、ほんまえげつないわぁ。
「えげつないなぁ。ウチにはあないな事できしまへん。ウチに出来る事と言うたら、お水ぎょうさん飲ましたったり、気付のお薬塗ったるくらいが精一杯どす」
「…お前とは、気が合いそうにないな」
ウチが調理場から一味唐辛子や、チューブのわさびとからしを持ってくると、ヤバはんがウチの事も鼻で笑わはった。
かなわんわぁ、バンダはんと一緒にせんといてほしいわ。
そらそうと、頭使うたさかい、お腹減ったなぁ。
はぁーあ、甘いもん食べたい。
◇◇◇
バンダはんがエンジはんを訪問してはるうちに、残り時間が6分半になった。
ヤバはんは、お楽しみ中のバンダはんに声をかける。
「口は、利けるんだろうな?」
「もちろんだよ…」
「そろそろ5分前になるのでな。この続きは次のターンにしようか。ああ…その前に、お前の首輪のマークを教えておかなくてはな」
そう言うてヤバはんは、エンジはんの頭を掴んで首輪のマークを確認した。
「お前の、マークは…『
「『
「…うん、『
「食糧は半年か1年分…だったかな?まだまだ時間はある。次のターンもよろしく頼むぞ」
ウチらは、それぞれ自分の『どくぼう』に入った。
ウチは、ヤバはんとバンダはんに教えてもろたマークを答えた。
エンジはん、ウチな、嘘つきは好かんのどす。
そやけどな、あんさんはウチを楽しましてくれるさかい好きどすえ。
せいぜい次もきばっておくれやす。
1ターンで終わってもうたらおもんないさかいなぁ。
◆◆◆
エンジside
…オ…レは…
忘れて…いた…
『ぷれいやぁ』達を恐怖で支配していたのは…
俺達『今際の国』の国民じゃなかった…
ここにいる全ての人間を凶行に駆り立てる、この『今際の国』こそが、恐怖による支配者そのものだという事を…!!
《制限時間5分前になりました。ロックされた5分の間に自分の首輪のマークを、口頭で当てて下さい》
『どくぼう』の中で、アナウンスが響く。
俺は、さっきのヤバの言葉を思い出した。
――次のターンもよろしく頼むぞ。
続くのか…!?
この恐怖が…永劫…!!
そう思った瞬間、俺の右眼から義眼が落ちた。
義眼モニターに表示されていたマークは…
『
「オ…レの…マークは……………『
――ボンッ!!
◆◆◆
ヤブヤベside
《『
『げぇむくりあ』したウチら3人は、ようやっと外に出る事ができた。
『
外に出る頃には、朝になっとった。
ウチらは、出口に設置されとったレジから発行されたトランプと『びざ』を受け取る。
「わざと間違うて自滅しよったわ。わざわざほんまのマークを教えたったのに…」
「結局…1ターンしか遊べなかった…案外…粘り弱かったね…」
「それでも、充分に有益な情報は得られた。おかげでこの国の正体が見えてきたではないか。なるほど、『ねくすとすてぇじ』を『くりあ』した先に待つものは、そういう
ウチらがエンジはんから聞き出した情報は、『ねくすとすてぇじ』を『くりあ』した先に待つもの、ほんで『今際の国』の国民になる方法やった。
爪を剥がしただけで全部喋ってまうんやもん、えらい口が達者な人やったわぁ。
そやけど、充分おもろい事聞けたわ。
そないな事を考えとると、バンダはんがヤバはんに話しかけはった。
「…ところでさ、10ターン目の事だ…これは僕の勘なんだけど…もしかして君…あの時、あのコトコって女に、正解のマークを教えたんじゃない?」
バンダはんが尋ねると、ヤバはんの眉がピクリと動く。
ウチはコトコはんにカマかけたかったさかい、ほんまのマークを教えたったけど…バンダはんにほんまのマークを教えてもろてるヤバはんが、コトコはんにほんまのマークを教える理由があらへんやんな。
「エンジとコトコが僕達に嘘のマークを教える前に、僕達は互いの正解のマークを教え合っていた。僕達は『
「やはりお前とは、気が合いそうにないな。くだらん勘繰りはそのくらいにしておけ…全『げぇむくりあ』までの道のりもあと僅かだ。進もうか、冥府魔道を」
そう言うてヤバはんとバンダはんは、前へと歩き出した。
ウチは、二人の背中を見て、この国でどう生きていくか、自分の中で結論を出した。
ミヨちゃん、ハナちゃん。
ウチと仲良うしてくれてありがとうなぁ。
ウチ、ミヨちゃんハナちゃんと友達になってくれて、嬉しかってん。
二人と遊んでた時、えらい楽しかってん。
ウチがこの国に来る前、皆で映画見ようて約束してくれたやんな。
ウチ、またアンタらと一緒に遊べるのんが楽しみやったんや。
ほんまやで。
そやけどなぁ…ウチは、この国で、もっと楽しい事に出会うてもうたんや。
ウチは、この『今際の国』が好き。
死がすぐそこにある世界で、命の奪り合いをするのんが、楽しおしてしゃあないんや。
そやからウチは、『今際の国』の国民になる。
今なら、ヤバはんバンダはんとも仲ようなれそうな気ぃするわ。
バンダはんは、国民になる事を選ぶってわかってはったさかい、ウチを生かしてくれたんやろなぁ。
……ほんま、ええ性格しとるわぁ。
ミヨちゃん、ハナちゃん。
ウチはアンタらの事、えらい好きなんや。
ミヨちゃんハナちゃんと、たい焼き分けっこして、映画見て、もっといっぱい遊びたかった。
そやけど、堪忍え。
ウチはもう、約束守れへん。
ウチはほんまの自分でいたいから、もうお芝居やめるわ。
アンタらとは、永遠にお別れや。
ウチはこの国に残るけど、二人で仲ような。
───今際の国滞在45日目
残り滞在可能日数
藪谷部小鳥 11日
『ねくすとすてぇじ』開催6日目
『げぇむ』 残り6種
『ぷれいやぁ』 残り98人
年齢:17歳
身長:158cmくらい
出身地:京都府
職業:高校生
好きなもの:たい焼き、映画
得意ジャンル:『
容姿:腰まで伸びた黒髪ロングヘアー
服装:膝丈の黒いセーラー服
本作の三人目の主人公。関西出身の女子高生。
東京での修学旅行中に『今際の国』に迷い込んだ。
元の世界では、殺し合いをしてみたいという欲求を抱いていたが、欲求を解放しないまま平凡な日々を送っていた。
絵札の『げぇむ』に参加した事で、押さえ込んでいた欲望が表面化し、『今際の国』に留まる事を決意する。
『ねくすとすてぇじ』開催6日目、ヤバとバンダと共に『
名前の由来はジャブジャブ鳥(ジャバウォックやバンダースナッチがいる島に生息している怪物鳥)。