ドラマ版の♣︎は♠︎寄りの『げぇむ』が多くて、本作でも♣︎Jが♠︎寄りだったので、♣︎Qは♢と♡寄りにします。
ツエダside
「ここか……」
『ねくすとすてぇじ』開催6日目、私は大雨の中、『
『
ゲームセンターでやるような『げぇむ』なら、私の得意分野だったりして。
なんて考えつつ、会場に入ってビニール傘を畳んでいると、エントランスにテーブルが置かれているのを見つけた。
テーブルには、首輪とスマホが置かれていて、注意書きが書かれた三角スタンドが置かれ貼り紙が貼られていた。
三角スタンドと貼り紙には、こう書かれていた。
《エントリー数 15名》
《首輪を装着して会場にお入りください》
《1人1台お取りください》
「首輪を装着…ねぇ」
首輪を手に取って首にかけると、カシュッと音が鳴って首輪が勝手に閉まる。
そんで試しにスマホの電源ボタンを押してみたけど、うんともすんとも言わなかった。
私はそのまま、ガラス張りの扉の向こうに足を踏み入れた。
『
私が会場に入ると同時に、ゲームセンターの扉が勝手に閉じた。
どうやら、私が最後の1人だったらしい。
会場に入って他の『ぷれいやぁ』に目を向けると、見知った顔もいた。
そこには、マヒルとレイがいた。
「あらマヒル。無事だったのね」
「君もね」
「レイも、また会えて何よりだわ」
「ツエダさんもね。無事で良かった」
私が声をかけると、マヒルとレイが返事をする。
「てかアンタらずっと一緒に行動してたの?」
「ああ…『
私が質問すると、マヒルが私の質問に答えた。
するとその時、ゲームセンター内にアナウンスが鳴る。
《エントリー数が15名に達しました。『げぇむ』を開始します》
合成音声と共に、モニターが白く光る。
《げぇむ、『これくしょん』。難易度、『
モニターの画面が切り替わり、♣︎のQのトランプが表示される。
《まずは皆様、お手元の端末が起動した事を確認してください》
合成音声と共に、さっきまでうんともすんともいわなかったスマホがパッと点く。
スマホには、名前の入力画面が表示されていた。
《端末が起動したら、名前を入力してログインしてください》
「えっ、マジか。自分で名前決められんの?じゃあサザエさんにしていい?」
「チームワークが乱れるかもしれないから、やめた方がいいんじゃないか?」
「ちぇー」
「というか、なんでサザエさん?」
「なんとなく」
私がノリでふざけた事を言ってみると、マヒルとレイが真面目にツッコミを入れた。
名前を自分で入力できる…ねぇ。
…そうだ、悪い事考えた。
《全員のログインが確認できました。これより『るうる』の説明をします。このゲームセンター内には、『もんすたぁ』が100種潜んでいます。これより皆様には、『げぇむ』会場内を探索し、『もんすたぁ』を捕獲していただきます。『もんすたぁ』は、お手元の端末で捕獲する事ができます。制限時間は、5時間。5時間後に、100種全ての『もんすたぁ』を集め終えていれば『げぇむくりあ』》
「なるほどな、100種集めれば『げぇむくりあ』か。単純な『げぇむ』だな」
「100種って…全員で100種だったとしても、かなり大変ですよね」
『るうる』説明中に、オジサンと女の子がそんな事を呟く。
私は、スマホの画面を眺めながら『るうる』の説明を聞いた。
スマホの画面には、ボールマークのアイコンと、本マークのアイコンと、吹き出しマークのアイコンが下に並んでいて、画面上には緑色のゲージが表示されている。
《このゲームセンター内に隠されている『もんすたぁ』や『あいてむ』は、お手元の端末を使って入手し、アプリ内の『ぽけっと』で管理できます。『ぽけっと』内の『もんすたぁ』や『あいてむ』は、自身もしくは半径3m以内にいる他者に使用できます。ただし、一度使用した『もんすたぁ』や『あいてむ』は消滅します。次に、『らいふげぇじ』の説明。皆様には、あらかじめ全員に『らいふ』が100点分支給されます。持ち『らいふ』が0を下回ると、装着していただいた首輪が爆発し、『げぇむおおばぁ』。『げぇむおおばぁ』となった参加者の『ぽけっと』内の『もんすたぁ』は消滅しますので、ご注意ください。そして、端末にはチャット機能がございますので、ご自由にご活用ください。なお、『げぇむ』での禁止事項は、『もんすたぁ』や『あいてむ』以外の手段で他者を殺害する行為。首輪や端末を物理的に破壊する行為。皆様の行動は、会場内に設置された監視カメラで把握されています。違反者は即『げぇむおおばぁ』》
ふと上を見上げると、天井に設置された監視カメラがキラッと光る。
え、てか『
絵札の『げぇむ』である以上は、『
『
なんて考えていると、お兄さんがハッとして口を開く。
「おいちょっと待て、絵札の『げぇむ』は『今際の国』の国民との対人戦だって聞いてんぞ!?『
「まさか……」
お兄さんが言うと、マヒルはこの『げぇむ』のシステムに気付く。
多分そのまさかだろうねぇ。
《『
ほら来た。
そうじゃないかと思ったよ。
「ウソでしょ、『
「なんかこれ…『
他の参加者が、不安そうにお互い顔を見合わせる。
この中に三人、『今際の国』の国民がいる。
要は、100種集めるだけじゃなくて、くらぶのくいいんチームを出し抜いて最後まで『もんすたぁ』を100種持ってなきゃいけないって事ね。
《最後に、この『げぇむ』は、いかに仲間同士で協力できるかの『げぇむ』です。皆様、仲間同士で協力し合って頑張ってください。それでは、『げぇむすたあと』》
「この中に『
「どうすんのよっ…!?」
『げぇむ』が既に始まっているというのに、『ぷれいやぁ』達は困惑してその場から動かなかった。
そんな中、マヒルが手を挙げて提案する。
「ひとつ提案なんだけど…『
「はぁ!?『今際の国』の国民が3人も紛れ込んでるのに、全員で協力しろだと!?ふざけてんのか!?」
「どのみち制限時間内に『くりあ』条件を達成できなければ、全員共倒れだ。それは、くらぶのくいいんチームも避けたいはず。今は全員で協力して、『くりあ』条件を達成する事を最優先すべきだ。『もんすたぁ』集めに協力してくれるなら、たとえくらぶのくいいんチームの誰かでも構わない」
マヒルは、全員で協力して『もんすたぁ』を集めるよう呼びかけた。
だけど何人かは賛成せず、その場を去っていった。
「あっ、おい!どこ行くんだよ!?」
「うるせぇ!『今際の国』の国民となんて、一緒にいられるか!」
「私も…!」
15人の参加者のうち、5人がマヒルに協力せずに自分達で探索をする事を選んだ。
そのうち二人はカップルで、あとの三人は一人でエントリーした『ぷれいやぁ』だった。
アイツらの中には、『
この『げぇむ』のシステムを考えればおそらく、相手から『もんすたぁ』や『あいてむ』を奪う『もんすたぁ』や『あいてむ』があるはず。
私が『
この状況で単独行動をする奴は、『
その代わり、情報共有しない奴は死ぬのも早そうだけどね。
なんて考えていると…
「あの…わたしは賛成です」
参加者の中で一番小柄な女の子が、手を挙げて口を開く。
「マヒルさんの言う通りです。皆で協力した方が、効率が良い…ですよね?」
「ああ…」
「そう、だな。オレらも乗った!」
「おう!」
「私達も参加するわ」
結局マヒルに協力する事にしたのは、レイを含めた8人の参加者だった。
男二人女一人の三人組と、男のペアと、小さい女の子と、パーカーのフードを被ったお兄さん。
皆が9人でチームを組んでいると、レイが私にも声をかける。
「ツエダさんは?」
「いーよ、乗った」
私は、マヒル達に協力して一緒に『げぇむ』を攻略する事にした。
とりあえず、まずゲームセンター内のマップを確認して、手分けして『もんすたぁ』を探す事にしたわけだけど…
「それにしても、『もんすたぁ』を捕獲って…どうすりゃいいんだ?」
「このアプリが関係あるのかな…」
マヒルの作戦に協力した三人組は、ゲームセンターやスマホを観察しながら呟く。
するとその時、スマホを見ていたロン毛のお兄さんが声を上げる。
「あっ、おい見ろ!いたぞ!ポスターの下!」
「え、どこ!?」
「いねーじゃねーか!」
「スマホ越しに覗くんだよ!」
ロン毛のお兄さんに言われた通りに、スマホ越しにポスターの下を覗くと、ポスターの下に不細工な顔をしたネズミがいた。
「あ、いた…!」
「何だこれ、立体映像か?」
「ああ、ARね」
「えーあーる?」
「Augmented Reality(拡張現実)。現実の風景にデジタル情報をリアルタイムで重ね合わせる技術の事だよ」
私がボソッと呟いた言葉にお兄さん達が首を傾げると、マヒルが私の代わりに説明する。
まぁ、他の皆が知らなくても無理ないか。
AR技術は、まだ一般に普及してる技術じゃないし。
「けどこれ、どうやって捕まえるんだ?」
「あ、わかったこうだ!」
タンクトップのお兄さんが、不細工なネズミに狙いを定めてスマホから青く光るボールを飛ばした。
すると黄色いネズミは、ボールに驚いて逃げた。
「あ、おい待て!」
他の皆は、逃げたネズミを追いかけて、捕獲アプリのボールを使って捕まえようとする。
「しっかり狙いを定めて…今だ!」
タンクトップのお兄さんがネズミに狙いを定めてボールを投げ、ネズミにボールを当てると、さっきまでそこにいたネズミがパッと消えた。
ボールを投げたお兄さんの方を見ると、お兄さんはニヤリと笑った。
「よっしゃあ!『もんすたぁ』ゲットだ!」
『もんすたぁ』を手に入れたお兄さんのスマホの画面を見せてもらうと、さっきボールを当てた『もんすたぁ』が『ぽけっと』の中にいた。
《No.001 ねずみぃまうす》
《レア度 E》
《消費らいふ 1》
《どこにでもいる ふつうの ねずみ。》
《わらいかたが とてつもなく うざい。》
《きらいな たべものは れもんぱいと ちぃず。》
「獲り方はわかったんだ、手分けしてジャンジャン捕まえるぞ!」
『もんすたぁ』の獲り方を覚えた私達は、手分けして『もんすたぁ』を探した。
私、マヒル、レイは、小さい女の子、マリと一緒に、ゲームセンターの2階で『もんすたぁ』を探した。
4人で協力して、ジャンジャン『もんすたぁ』を狩っていく。
「よーし、どんどん狩るぞー」
「ツエダさん、乗り気だね」
私が腕を軽く振りながら探索すると、レイが少し呆れたように笑う。
だけど、その時だった。
「あ゛っ」
私の手から、スマホが滑り落ちた。
床に落ちると思ったその時、マヒルが私のスマホを拾ってくれた。
「…うん、大丈夫。無事だよ」
「あ、ありがと…」
マヒルは、私の落としたスマホが壊れていない事を確認すると、スマホを私に返した。
あー良かった、これで落として壊れでもしたら、強制『げぇむおおばぁ』になってたところだった。
ちょっとしたアクシデントはあったけど、その後の『げぇむ』は怖いくらいに順調に進んだ。
「アタシ4種目〜」
「わ、わたしは5種です…」
「お〜、やるじゃん」
現時点で、『げぇむすたあと』から1時間が経った。
この時点で、『もんすたぁ』は全部で31種類。
滑り出しはまあまあ順調なんじゃないかしら。
『げぇむ』をプレイしているうちに、いろいろわかってきた。
『もんすたぁ』や『あいてむ』には、E〜SSの7段階のレア度があって、E〜Cは探せば普通にゲットできるけど、BとかAはなかなか見つからなかったり、S以上に至っては特定の条件を満たさないと出現すらしないものまであるらしい。
「それはそうと、ツエダさんの『ぽけっと』はダブりばっかりだね…既にダブってる『もんすたぁ』はスルーでいいんじゃない?」
「やー、だってこれから何があるかわかんないじゃん?」
私がEランクやDランクのダブりばっかり集めていると、レイが私のスマホの画面を覗き込んで呆れたように言った。
何があるかわかんないからねー。
こういうゴミ『もんすたぁ』に限って、たくさん集めておくとレア『もんすたぁ』と交換できたりするかもしれないし。
「っと、『らいふ』が減ってきたな…」
「回復アイテムとかあればいいんだけどね」
私は、スマホに表示されたゲージを見ながらそんな会話をする。
皆で協力して『もんすたぁ』集めをしていて気付いた事だけど、捕獲用のボールを1個投げるごとに、ゲージの点数が1『らいふ』減る。
何も考えずに『もんすたぁ』を見つけて手当たり次第ボールを投げてたら、あっという間に『らいふ』が無くなる。
だからこの『げぇむ』は、『ぷれいやぁ』同士の協力が必要不可欠ってわけね。
…って、悠長に考えてる場合じゃないわね。
どこかに回復アイテムとか……都合よく転がってたりしないかしら…?
なんて考えていると、キラキラ光る薬の瓶が浮いているのを見つけた。
試しにボールを投げて当ててみると、薬の瓶を入手できた。
「よっしゃ、『あいてむ』ゲット〜♪」
私は早速、入手した『きずぐすり』を使って減った分の『らいふ』を回復させた。
その後も、皆で協力してどんどん『もんすたぁ』を集めた。
だけどあと少しで40種というところで、壁にぶち当たった。
「あれ?この『もんすたぁ』、捕獲できないんだけど」
クレーンゲームの中に『もんすたぁ』がいたから捕獲しようとしたけど、ボールを投げてもクレーンゲームに当たって跳ね返るだけで、『もんすたぁ』を捕獲できなかった。
すると、クレーンゲームの前に小さな下向き三角が現れる。
下向き三角を押してみると、クレーンゲームの前に説明文が表示された。
《くれぇんで 「もんすたぁ」を つかまえよう!》
《5『らいふ』消費で くれぇんを ぷれいしますか?》
《はい》 《いいえ》
「クレーンゲームでケースの外に出さないと、捕獲できないみたいだね…」
「1プレイあたり5『らいふ』消費か…地味に痛いね」
ボールを投げても捕獲できない『もんすたぁ』を見て、マヒルとレイがそんな事を呟く。
どうやらこの『もんすたぁ』を捕獲するには、5『らいふ』消費してクレーンゲームで外に出してやるしかないらしい。
どうしようか考えているとだ。
「あの…!わたし、挑戦してみてもいいですか?」
マリが、手を挙げて立候補する。
「えっ、でもこれ5『らいふ』消費するよ?」
「任せてください。クレーンゲーム、得意なんです。私がプレイするので、誰かスマホの画面を翳してくれませんか?」
そう言ってマリは、自分の『らいふ』を消費してクレーンゲームに挑戦した。
マリは慣れた手つきでレバーとボタンを操作して、3回目の挑戦で『もんすたぁ』を解放する事に成功した。
マリが『もんすたぁ』を解放すると、『もんすたぁ』はマリに懐いて足元に寄ってくる。
マリがそのままボールを投げると、『もんすたぁ』はマリの『ぽけっと』に入った。
「わっ、やった!」
「なるほどねぇ、こういうタイプもあるんだね」
ゲームセンター内のゲームをプレイしないと入手できないタイプの『もんすたぁ』もいるって事か。
それぞれが得意分野のゲームに挑戦して、皆で協力して『もんすたぁ』を集める…いかにも『
そうと決まれば、ジャンジャン狩っていきましょ。
その後、マヒルがダーツに、レイが格ゲーに挑戦して『もんすたぁ』を1体ずつ捕獲した。
さらに続けて、どんどん未回収の『もんすたぁ』を回収していく。
「わっ、今そっち行きました!」
「速すぎて捕まえられない…!」
小柄な猿が、私達の周りをものすごい速さで駆け回る。
あまりにも速すぎるせいで、ボールが全然当たらない。
「軌道は見えた…!『よだれどり』召喚!」
マヒルは、ヨダレを垂らしたアホ面の鳥の『もんすたぁ』を召喚した。
《No.024 よだれどり》
《レア度 D》
《消費らいふ 3》
《べたべたの よだれで てきを ほかくする。》
《ぴんちのときに よだれを まきちらす。》
マヒルが『よだれどり』を猿の軌道上に置く。
すると猿は、ベタベタのヨダレに引っかかって身動きが取れなくなった。
マヒルは、動けない猿にボールを当てて、『もんすたぁ』をゲットした。
「よし、No.076…『まっはもんきぃ』ゲット!」
《No.076 まっはもんきぃ》
《レア度 A》
《消費らいふ 10》
《もんきぃの なかで いちばんはやい さる。》
《すばやい うごきで てきを かくらんする。》
《きらいな たべものは ばなな。》
なるほどね、『もんすたぁ』を捕獲するのに、『もんすたぁ』や『あいてむ』を使うわけか。
面白くなってきたじゃん♪
なんて考えつつ、私達は、次は1階上のフロアに向かった。
次は、シャボン玉で包まれている『もんすたぁ』が居座っているスロットに、レイが挑戦する。
「あっ…これ、もしかしてアレが使えるんじゃないかな」
「え?」
「マリ。さっき『ころころくん』をゲットしてたよね。1体私にくれない?」
「あ…!」
レイは、さっきマリがゲットしていたサイコロ型の『もんすたぁ』を指差す。
《No.031 ころころくん》
《レア度 B》
《消費らいふ 7》
《ぱぁとなぁの こううんを でめのかずだけ さいだいにする》
《じぞくじかんは でめのかず ×1ぷん》
「そうか…!『ころころくん』が起こせる『こううん』がこのゲームセンター内のゲームの勝率の事なら、最小限の『らいふ』消費で『もんすたぁ』をゲットできるかもしれない…!」
「試してみる価値はあるでしょ?」
「わかりました!」
マリがレイに『ころころくん』を渡すと、レイは『ころころくん』を召喚してその場で振った。
レイが6の目を出すと、レイの身体がキラキラ光る。
レイが光っている状態でスロットを回すと、1発でジャックポットを引き当てた。
「おおっ!」
レイがジャックポットを引き当てると、シャボン玉で包まれていた『もんすたぁ』が解放される。
レイは、解放された『もんすたぁ』をその場でゲットした。
その後も私達は、他の参加者とチャットで情報共有しつつ、それぞれの得意分野を活かして、『もんすたぁ』や『あいてむ』を使ってお互いをサポートし合って『もんすたぁ』をゲットした。
『げぇむ』開始から3時間、この時点で『もんすたぁ』を75種、『あいてむ』を36種ゲットしていた。
『くりあ』条件の100種まで、あと25種。
《アチキを満足させられたら、仲間になってあげてもいおす♡》
ゲームセンター内を探索していると、悪魔の翼と尻尾を生やし花魁の格好をしたお姉さんが、私達の前に現れた。
……これも『もんすたぁ』よね?
なんかエロい感じのお姉さんは、煙管を吹かしながら、マヒルにウインクをした。
するとマヒルは、顔を引き攣らせて
「こういうタイプもいるんだね…」
お姉さんは完全にマヒルをロックオンしているけど、彼の手を煩わせるまでもない。
私は、パーカーを脱いでお姉さんに歩み寄った。
「よし、ここはアタシの出番ね。教育に悪いから、ガキは下がってな」
《えっ、ちょっ…アチキ、女には興味ありんせんけど!》
「大丈夫よ、アタシ女もイケるクチだから♡ホラ肩の力抜け。30秒でイかせてやるよ」
《ちょっ、ちょいと待っておくんなし!そこはっ…ああああぁぁぁぁ♡♡♡》
「私達、何を見せられてるんだろうね…」
「さぁ?」
私は、アーケード筐体の裏にお姉さんを連れ込んで、お姉さんに性感マッサージをした。
…まあ、相手はホログラムだから、あくまでやってるフリだけど。
私が軽く遊んでやると、お姉さんは恍惚とした表情を浮かべて地面の上にだらしなく倒れた。
ARゲームのくせに、なんでこういう生々しいディテールは凝ってんだよ。
なんて考えつつ、お姉さんをボールで捕まえて、早速『ぽけっと』の中を確認する。
《No.069 おいらんさきゅばす》
《レア度 S》
《消費らいふ 30》
《きせるの けむりで おとこの せいきを うばいとり 10ぷんかん こうどうふのうにする。》
《こうぶつは ほそまっちょの いけめん。》
「ワォ、これSランク『もんすたぁ』じゃない♪」
「ここに来て初めてのSランクだね…」
これで回収済みの『もんすたぁ』は、86種。
私達が初めてSランクの『もんすたぁ』を手に入れた、その瞬間。
「キャアアアッ!!」
いきなり、私達4人の首輪に電流が走った。
私達は、身体が痺れてその場に倒れ、身動きが取れなくなる。
「いったぁ〜…!」
身体が痺れる痛みに顔を歪めながらも、頭を上げると…
「ひゃはは、やりぃ〜!Sランク『もんすたぁ』ゲットォ!」
さっき別行動をする事を選んだお兄さんが、ニタニタ笑いながら近寄ってくる。
お兄さんの足元には、電撃を纏った黄色いネズミがいた。
《No.048 いなずぅまうす》
《レア度 B》
《消費らいふ 7》
《はんけい 3めぇとる いないにいる あいてに でんげきを あびせる。》
《でんげきを あびた あいては 3ぷんかん こうどうふのうになる。》
私達に電撃を浴びせた『いなずぅまうす』は、シュンッと音を立てて消滅する。
「お前らオレちゃんの為にせっせと集めてくれてありがとよ!いや〜、アンタらをこっそりつけておいて良かったぜ。動きを止めてから『もんすたぁ』を効率良く奪うなんて、やっぱオレちゃん天才〜♪」
……聞いてもいない事をよくもまあベラベラと喋るな、コイツ。
コイツは、間違いなく『今際の国』の国民じゃなくて『ぷれいやぁ』だ。
『今際の国』の国民なら、こんな早い段階からこんなあからさまに『もんすたぁ』を奪いにくるような真似はしない。
だったら何でいきなり私達を狙ったの…?
そう考えていると、マヒルも同じ事を考えたのか、お兄さんに質問する。
「君…どうして僕達を狙うんだい?『ぷれいやぁ』同士で潰し合うメリットは無いはずだろう?」
「う、うるせぇ!お前らの誰かが『
そう言ってお兄さんは、ほっかむりを被った幽霊の『もんすたぁ』を召喚した。
《No.042 どろんぼう》
《レア度 C》
《消費らいふ 5》
《ひとの だいじなものを ぬすんでしまう どろぼうおばけ。》
《あいての ぽけっとから 「もんすたぁ」を らんだむに 1たいうばう。》
お兄さんが召喚した『どろんぼう』は、私の持っているスマホへと飛んでいく。
『どろんぼう』が私のスマホに潜り込むと、スマホから勝手に赤いボールが放たれ、お兄さんのスマホへと赤いボールが吸い込まれていく。
「さぁSランク『もんすたぁ』来い!!」
《No.001 ねずみぃまうす》
《レア度 E》
《消費らいふ 1》
《どこにでもいる ふつうの ねずみ。》
《わらいかたが とてつもなく うざい。》
《きらいな たべものは れもんぱいと ちぃず。》
「なぁああ!?」
「あ、それさっきアタシが手に入れた『ねずみぃまうす』じゃん」
「た、たまたま運が悪かっただけだ!オレはまだ『どろんぼう』を持ってるんだぜ!」
お兄さんは、続けざまに『どろんぼう』を召喚して、私から『おいらんさきゅばす』を奪い取ろうとした。
だけどお兄さんが奪い取ったのは全部EランクかDランクのカードで、お兄さんの無謀な挑戦は惨敗に終わった。
奪取系『もんすたぁ』を全部使い切ったお兄さんは、膝をついて項垂れていた。
そんなお兄さんを見て、私は鼻で笑う。
「あーあ、せっかくの奪取系『もんすたぁ』で全部クズ引くとか…よっぽど運がないのね」
「ふざけんな!!テメェの『ぽけっと』、クズばっかじゃねぇか!!」
「『げぇむ』も終盤になれば、アンタみたいなバカも現れるだろうからねぇ。こんな事もあろうかと、手を打っておいて正解だった」
「どういう事…!?」
私がニヤリと笑うと、レイが驚いたような表情で私を見る。
私は、状況を飲み込めていないレイとマリに、私の作戦を説明した。
「ある程度『ぽけっと』の中の『もんすたぁ』が貯まれば、この『げぇむ』は奪い合いのフェーズに突入する。だから相手の『ぽけっと』から『もんすたぁ』を奪う『もんすたぁ』がいる事くらい、簡単に想定できた。例えば、相手の『ぽけっと』から『もんすたぁ』をランダムに1体奪う…とか?」
「な…!」
「だからレア『もんすたぁ』を奪われるリスクを少しでも下げる為に、『ぽけっと』の中をクズ『もんすたぁ』でいっぱいにしておいたのよ」
私がネタバラシをすると、お兄さんはわなわなと震える。
バカが意気消沈している間に、マヒルは、私達を攻撃してきたバカを説得しようとした。
「これに懲りたら、もうこんな真似はやめて、僕達に協力してくれないか?まだ未回収の『もんすたぁ』が10体以上残ってるんだ。このまま『もんすたぁ』が集まらずに制限時間が過ぎたら、全員共倒れだぞ」
「うるせぇ、知るか!こうなったら、力づくで奪ってやる!!」
お兄さんが、マヒルの説得に耳を貸さずに私達に殴りかかろうとした。
お兄さんが私達のスマホを無理矢理奪おうとした、その時だった。
「があああああっ!!!」
突然お兄さんの身体に、電撃が走る。
動けなくなったお兄さんは、その場に膝をつく。
「あららぁ、アンタら災難だったねぇ。大丈夫〜?」
声が聴こえたので振り向くとそこには、パーカーを被ったお兄さん、ビルがいた。
ビルの足元には、『いなずぅまうす』がいた。
ビルは、足元に伏したお兄さんを一瞥すると、スマホを操作し始めた。
「えっ…?お、おい…お前、何スマホ操作してんだよ!何をする気だ!?」
「えい」
ビルは、時計モチーフの装飾が施された死神の『もんすたぁ』を召喚して、お兄さんに取り憑かせた。
すると、お兄さんの『らいふ』が1秒ごとに1ずつ減っていく。
《No.094 とけいじかけのしにがみ》
《レア度 S》
《消費らいふ 30》
《あいての らいふを 1びょうごとに 1へらす。》
《いちど しょうかんすると 1ぷんかん こうどうふのうになる。》
「ああっ、オレの『らいふ』が…!いきなり攻撃するなんて卑怯だぞテメェ!!」
「聞け。オレは別に、アンタを陥れようとして攻撃したわけじゃない。ただ、アンタのさっきの行動は、あまりにも迂闊だった。だからそれを反省してほしくて攻撃したんだ」
「だ、だからって…何も攻撃する事ねぇだろ!?」
「そうだったかもしれない。でもさぁ、これから先、ああいう事されるとチームに迷惑がかかるんだよねぇ。それをわかってほしくてやった。わかる?」
マヒルは、解呪系の『もんすたぁ』を召喚して、お兄さんにかけられた呪いを解こうとした。
だけどさっき喰らった『いなずぅまうす』の電撃のせいで、スマホが操作不能になっていた。
「くそっ…解呪系の『もんすたぁ』が使えない…!」
私達は、このお兄さんを助けられる『もんすたぁ』を持ってるけど、生憎スマホが操作不能になっているせいで召喚できない。
自分で自分の首を絞めるなんて、とことん運が無い奴だわ。
「わ…わかったよ…オレが悪かった!オレが悪かったから!頼む、オレの呪いを解いてくれ!スマホが操作不能で、自分じゃ解呪できねぇんだ!頼む…死にたくない!!お願いします!!助けてください!!」
そう言ってお兄さんは、泣きながらビルに懇願する。
するとビルは、ニコッと笑ってスマホを操作した。
「わかった、呪いを解けばいいんだね?えーっと、解呪系の『もんすたぁ』はーっと………あ、ごめん。1体も持ってなかったや」
そう言ってビルがニヤリと笑うと、お兄さんが絶望の表情を浮かべる。
そして、その次の瞬間。
《ここで、所持『らいふ』が0を下回った参加者がおられます。その方は、『げぇむおおばぁ』》
「がべぁっ!!」
『らいふ』が0になったお兄さんの首輪が、私達の目の前で爆発した。
首から上が無くなったお兄さんの死体が、力無く倒れる。
「あー、スッキリした。誰がお前如きに解呪系の『もんすたぁ』を使うかよ」
バカを殺したビルは、無邪気な笑顔を浮かべていた。
コイツは、『ぷれいやぁ』だと分かりきっている参加者を、わざわざ自分の『らいふ』を使ってまで殺した。
いや…
この短時間でSランク『もんすたぁ』を手に入れて、このバカを殺す為だけにそれを手放したっていうの…?
「き、君…自分が何をしたのかわかってるのか…!?」
マヒルがビルを責めると、ビルはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「『げぇむ』らしくなってきたじゃ〜ん♪」
げぇむ 『これくしょん』
難易度 『
残り時間 89分
生存者 15名中14名
『