蒼月君と出会って半年、今日で12月も過ぎて1月に変わった正月一日目を私は宿場の一室で迎えている。本家や分家は戻ってくるように言っているけど。
怪しい外国の対妖怪機関との会談に私は不必要でしょう。そもそもハマー機関のやり方は好きじゃない。妖怪を捕まえて実験を繰り返すなんて人道に反している事に付き合うつもりはないのよ。
「や、明けましておめでとう」
「お妙さん、明けましておめでとう!」
神社にお参りも良いけど。
折角なので蒼月君の家のお寺のお賽銭箱に案内して貰い、お金を投下してお願い事で良いのかは分からないが、親戚一同の安全と平穏を願う。
「(まあ、私より年上の爺婆は心配せずとも平然と生き残っていそうだから問題ないわね。問題は類と私の恋愛事情を知ろうとする新しい分家の当主だけね)」
年賀状にムカつく写真を乗せてムカつくわね。
『幸せのお裾分けよ、独り身さん』ってなによ。此方だってその気になれば結婚……い、いや、まだ手も握った事もないし、でもキスはしちゃったわけだし。
……ああ、もう心が乱される。
「ああ、そうだった。蒼月君、これ」
「なに?」
「フフ、お年玉よ。今年も宜しくね」
「お年玉!?い、良いよそんなの!?」
「最近の画材って高いでしょう?この前も言ったけどさ、私は蒼月君の絵が好きだからまた見せてね」
そう言って彼の頭を優しく撫でてあげると「じゃ、じゃあ、貰っておくよ」と素直に受け取ってくれた事に私は満足しながら、暇そうに屋根の上に寝転んで欠伸をしているとらの事を見上げる。
流石に妖怪にお年玉は無理だから爺やに頼んで満漢全席という料理を用意して貰えた。流石に物凄い料理だったから心配したけど。
爺やは「妙様のお願いを聞けずして何がお目付け役でしょう。この老骨に万事お任せ下さいませ」と言い、今日の朝に作り終えていた。
本当に何者なのかしらね?
「とら、明けましておめでとう。ウチの爺やが魂を費やして作ってくれた料理をプレゼントするわ!(まあ、私も蒼月君も蒼月紫暮も一緒に食べるけど)」
「うひょおおっ!!儂のために、こんだけ作るなんざ流石は儂の家来だあ!」
「あああああっ!?海老を全部食いやがったな!」
境内に設置された巨大なテーブルに並ぶ料理に飛び付き、一皿をペロリと食べていく彼に対抗心を燃やし、蒼月君も一緒になって食べ始める。
「妙様、家来云々とは一体?」
「ハハハ、さあね。でも面白いでしょう?」
「全く奥様に知れたら大変な事になりますね」
そのときは謝れば許してもらえる。