【完結】風薫る日陰に寄り添う妙花   作:SUN'S

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西の妖怪 破

「テメェだな、最強の人間はっ!!」

 

ビシッ!と私を指差す妖狼族の青年に少しだけムッとする人を指差すのは悪い行為だと教わっていないのか。それとも煽るために指差しているのか。

 

イマイチ相手のやりたいことが掴めない。

 

「チッ、西の連中は妖狼族を引き入れたのか」

 

「厄介な相手なの?」

 

「妖怪の中じゃ群を抜いて面倒臭い」

 

一鬼の言葉に納得する。

 

確かに纏う妖気は弱いけど、あの右手には異様な気配を感じる。多分、あの右手に雷撃を防がれて、彼の自尊心を助長させている。

 

もっとも向こうも私と同じで飛べない。

 

「オレを無視するんじゃねえよ!!」

 

「あら、ごめんなさいね。でも私は弱い妖怪と戦ってあげると暇じゃないのよ、後にしてくれる?」

 

「誰が弱いって言ったぁ!!」

 

私の言葉に怒った妖狼族の青年は右手に鉤爪を作り出し、大きく振りかぶって私と一鬼の事を切り裂こうとしてきた。が、余りにも稚拙で杜撰な動きに思わず、二重の極みを連発して叩き込んでしまった。

 

「がはっ…!」

 

私のパンチを見切ることも出来ていない妖狼族の青年に呆れながら彼を抱き抱える妖怪を避けて、こちらに向かってきた妖怪のみを攻撃する。

 

「風の傷ッ!!」

 

「いけすかねえ蛮竜だが役立つじゃねえか」

 

「貴方のおかげよ、一鬼。私に向く攻撃を悉く弾いてくれるおかげで、私は危害を受けることなく相手と戦えている。ありがとう!」

 

「やっぱり、しとりの曾孫だぜ。お前」

 

「当然よ、私は糸色妙だもの!」

 

そう言って、私は笑った。

 

「おのれ、東の勢力に獣の槍と蛮竜が揃うなどあってはならん。どちらかを確実に我らが勢力に取り込まねば均衡が崩れる!」

 

訳の分からないことを叫ぶ蛇を体に巻いた男の妖怪が牙を剥き、無限に等しく伸びる蛇頭を弾く。しかし、一鬼は避けることはせず、力任せに蛇を殴り落とした。

 

まさかの力業に驚きながらも、しとりお婆様の大切な友達なのだから、これぐらいやってのけるだろうと納得し、足を固定する蛇の頭を優しく撫でて、ゆっくりと全身に力を溜めていく。

 

蛮竜もまた金剛石の刀身に変わる。

 

「金剛槍破ッ!!!」

 

「コイツは宝仙鬼の御業か!!」

 

千の槍となって飛ぶ金剛石の攻撃に一鬼も西の妖怪もざわめき、私を見つめる視線に蔑みや警戒ではく畏敬の念が混ざり始めている。

 

「やってくれたな、この野郎!!」

 

「タフな男の子ね」

 

思いっきり殴った筈なのに、もう目覚めた彼に感心するも私を見つめる視線がおかしい。ハアハアと呼吸を荒くし、ギラギラした目で私を見つめている。

 

「しとりの曾孫、アイツはお前に欲情しているぞ。どうする?しとりのときも似たようなヤツがいたが、無垢なアイツに手出しできねえと血涙流してたが、お前は危ねえんじゃねえか?」

 

今、それを言わないでもらえる?!

 

 

 

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