【完結】風薫る日陰に寄り添う妙花   作:SUN'S

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伸びる魔の手 序

蒼月君の実家「不玄院」の近くに怪しい気配を感じて近付こうとしたその時、三台のトラックから拳銃やライフルを構えた集団が三十人ほど飛び出してきた。

 

体格の良さと金髪や茶髪など染めたとは思えない地毛の毛髪をオールバックに纏めたスーツ姿の男達に舌打ちをする。海外勢の才賀かしろがね-Oの使いか?

 

「Don't Stop!!!」

 

「止まれって言うなら止まってあげる」

 

スッと両手を頭の上に上げて無抵抗のポーズを取ると同時に全身で二重の極みを行い、高速振動することで地面を粉砕し、唖然としたまま私の近くに立っていた男から順番に殴り倒していく。

 

「止まりなさい。Miss.糸色、貴女の行動次第でこの蒼月潮を傷付けることになるわよ」

 

「……貴女達、才賀でもしろがねでもないわね」

 

トラックの中で手足を拘束されて気絶する蒼月君の姿に目を見開き、ゆっくりと動きを止める。流石に子供を人質にされたら手出し出来ないわね。

 

両手の五指に小さな手錠を着けた上、更に手首と両足にも手錠を掛けてきた警戒心の強さに呆れながら、私の持つ虎翼を含めた槍を奪っていく彼らを見据える。

 

「lance of the barbarian。蛮竜はどこ?」

 

「今は本家の刀鍛冶が手入れしているわ」

 

バーバリアンって言ったわね、こいつ。

 

しかし、かなり不味い状況になってきたわね。獣の槍と蛮竜、その二つを欲しがっている海外勢の敵か、あるいは白面の者と奈落のどちらかに関わる相手だ。

 

蒼月君が目覚めるまで迂闊に動けない。

 

「到着するまでインタビュー……Miss.糸色と会話しても構わないかしら?」

 

「お好きにどうぞ」

 

私の言葉を聞いたおばさんはこれまでの出来事をお復習するかのように質問を繰り返して、とくに蒼月君の獣の槍と私の蛮竜の相違点や類似点を問う回数の多さに違和感を覚える。

 

「もう着いてしまったのね。貴方達、丁重に彼女の事を運んでちょうだい」

 

「いやよ、好きでもない男に触られるなんて」

 

そう文句を言いながら手錠を破壊し、蒼月君の事を抱き抱える男の方に視線を向ける。槍を奪って無力化したつもりでしょうけど。

 

「暴れなければご自由にどうぞ。少なくとも貴女の感性は子供を見捨てて戦いを選ぶ人間でないことは既に判明しているわ」

 

「当たり前でしょう、私は糸色妙だもの」

 

いつものように言葉を返し、私の虎翼を使おうとしても柄が伸びないことに驚く金髪の男に失笑する。霊気を持つ槍が普通の人間に使えるわけないでしょう。

 

それにしても、随分と要塞じみた場所だ。

 

 

 

 

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