血液採取。レントゲン。透化スキャンだかよく分からないものを受け、高電圧5万ボルトを受けるも蛮竜の雷撃に比べれば静電気だ。
「いつ終わるわけ?」
「次の実験で今日は終わりだ」
そう言って、また彼らの作った槍を差し出されて素直に受け取った瞬間、両足を固定するように鉄製の地面に足首まで身体を取り込まれる。
逃亡防止、もしくは動きを止めるためね。
本当に陰湿な連中ばかりで嫌になる。そう思いながら蒼月君の実験を別の実験室で行っている可能性を考えて舌打ちをした瞬間、私の頬を真空の刃が切り裂いた。
「鎌鼬?!」
成る程、私を押さえつけて一方的に攻撃を仕掛けて対処する方法を知りたいってわけね。ああ、もう本当にムカつくわ。コーヒーが飲みたくて、ものすごくイライラしてきた。
「へ、へへ、お前を殺せば出られるんだ、おれはここを出ていくんだあっ!!」
「ごめんね、私は貴方より速い鎌鼬を知っているの」
全身に刃を出して跳んできた鎌鼬に謝りながら槍を振るい、首を撥ね飛ばす。八寸を使えば痛みを感じずに殺すことは出来るけど。
この足じゃ八寸は使えない。
「やはり素晴らしい。戦闘時に君のキルリアン反応は格段に上昇している。日本の巫女はこの様に自分自身の強さを自発的に高めることが出来るのか!」
スピーカー越しに聴こえる男の声に溜め息をこぼし、手の中で霞のように消えた鎌鼬に手を合わせて、両足の拘束を槍で突き壊す。
そのまま出入り口に向かう途中、扉の向こう側に強烈な気配と嫌な臭いに気が付き、全身に力を込めて右拳を振り抜いて扉を破壊する。
二重の極みって便利よね、当たれば壊せるもの。
「Don't Stop!!!まだ終わっていな────ッッ」
「いや、もう終わりだよ」
けたたましく鳴り響く警報の音を聴きつつ、虎翼の霊気を追って通路を歩いていると私のジャンパーが無造作に机に置かれていた。
………まあ、破られてないだけマシか。
そう不服ながらも納得してハマー製の槍を捨て、手槍、鎌槍、虎翼を手に取って服の中に隠し、蒼月君の事を探すために廊下にまた出た瞬間、中村のお嬢さんと青色の大男が白面の者に似たものに襲われていた。
「お嬢さんッ、そこを退きなさい!」
「お妙さん、バルちゃんがッ!?」
「ばる?後で聞くわよ、その子の事…!」
石か鉄かも分からない白面の者の顔をした妖怪に虎翼を突き刺し、青色の大男を引き剥がそうとするがそれよりも速く妖怪は私の事を弾き、彼の事を呑み込んだ。
「居たぞ!キルリアン振動機を使え!」
「そんなものが効くわけないでしょうがッ!それから中村のお嬢さん、悪いんだけど。蒼月君を助けに行ってあげてくれる?あの馬鹿達を助けないとだから」
「…わ、わかった!バルちゃんもお願い!」
「オーライ。そっちもよろしくね」
私の実験を行っていた男を殴り、蒼月君の居場所まで案内するように叫ぶ彼女の胆力にビックリしながら「キルリアン振動機」というもので応戦しようとする防護服の男達を押し退け、虎翼で妖怪の攻撃を防ぐ。
「さっさと逃げるか、武器を変えなさいッ」
「い、いとしきだ、Miss.糸色だ!」
「時間稼ぎは彼女に任せろ!」
ドタドタと逃げていく男達に唖然として、すぐに「……外国の男って嫌いだわ!」と私は逃げていった彼らに文句を叫ぶ。流君や杜綱悟、強羅だったら手助けしてくれるのに全くひどすぎるわね。