白面の者の欠片を使って生み出された妖怪は私の攻撃を避けもせず守りもせず、ひたすらに追い回して周囲の妖怪を取り込み、強さを爆発的に高めている。
蛮竜があれば爆流破で倒せるけど。
無い物ねだりは時間の無駄だ。
「Miss.糸色、コレを使ってくれ!」
「なら、それを投げて!」
防護服を身に纏った男が投げてきたものを妖怪の攻撃を躱しながら受け止める。赤い柄と白い柄のみで刀身の無い刀の柄に困惑する刹那、妖怪の攻撃を柄で無理やり弾き上げる。
「手荒に扱うな、無礼者!」
「我らを何と心得るか!」
「刀がしゃべ……顔がついてる?!」
「我が名は邪紅刀、妖魔斬滅の霊刀なり。お主の持つ白い刀、白清刀の片割れよ」
「兄上、我らも自己紹介は出来るぞ」
「然り。兄上は過保護すぎるのだ」
私の手の中で会話を始める二本の刀に驚きつつ、どうやって使えば良いのかと防護服の男に視線を移すとナイフを振り、突き刺すジェスチャーを繰り返していた。
刺したら、刀身が出来る?
「貴方達、白面の者は斬れる?」
「無論!」
「「容易き事なり」」
「オーライ。ぶっつけ本番っていうのは嫌いだけど、貴方達を信じるわよ!」
そう言って私は赤い方の刀を白面の者に、白い方の刀を自分に突き立て、同時に引き抜いて深紅の血よりも赤く紅く朱い刀、白雪の如く一切の穢れを纏わぬ無垢で恐ろしい程に純潔な白い刀に目を見開く。
「刀は不馴れだけど。これならイケる!」
地面を蹴ると同時に駆け出し、槍のように鋭く真っ直ぐに伸びる妖怪の触手を切り裂き、狭い通路に豪雨のように降り注ぐ攻撃を躱し続ける。
ただ、槍と違って範囲と間合いがズレるわね。
「刀の使い方は心得ているな。娘」
「まあね。こう見えても日本最強の喧嘩屋『相楽左之助』に日本の黒幕なんて言われてる『糸色景』、明治最強の剣客『糸色姿』と『緋村剣心』の血筋だからね!」
こう考えるとハイブリッドな人間かもね。
「飛天御剣流…!」
紅白の刀を同時に振るって白面の者の欠片を使って生み出された妖怪を切り刻む。────けれど。飛天御剣流の技を受けて尚も妖怪は動きを止める事なく、進行方向を変えて私を避けた。
「追いかけるわよ」
「否、ヤツの行く先には別種がいる」
「じゃあ、それは私の味方だよ」
蒼月君を助けるためにとらが来ないわけがない。二人はそうとしか言えない関係であり、二人揃えば唯一無二の強さを発揮できるのも知っている。
だからこそ、私も彼らに会うのが好きなんだよ。
「蒼月君、お嬢さんも大丈夫!!」
そう言って私は地面を蹴り、触手を切り裂く。