素早く妖怪の身体を切り裂き、傷だらけの白衣の集団を庇う。本当はこういう自業自得の結果を招いてしまった彼らを助けるのは嫌だけど。
私は大人だ。救える人は頑張って助ける。
「ほら、もっと下がりなさい」
「Miss.糸色までここに!?」
そう言うのは聴いている暇は無いのよね。
舌打ちをしながら邪紅刀と白清刀を右手に重ねるように掴み、またデータを取ろうとする彼らを押し退け、妖怪の事をにらみつける。
少なくともアレは白面の者には届かない。
「お妙さん、その刀どうしたのさ」
「男からの貢ぎ物よ!」
蒼月君の問いかけに適当に答えつつ、十字に構えた二刀を振り抜いて妖怪の表面を斬る。しかし、蛮竜のように強く妖怪を破壊する力はない。
やっぱり槍の使い手には不馴れすぎるわね。虎翼も他の槍もアイツを倒すには霊気も穂先の耐久度も足りず、逆にへし折られる可能性もある。
もっとも霊気の刀たるこの刀達は折れず、曲がらず、欠けずの優れた妖刀だろうけど。
「いかんっ!白面の
「本当に面倒臭い相手を作ったわね!」
「麻子、ちゃんも殺さずに『バルちゃん』ってのを助けてやるから待ってろよぉ!!」
飛天御剣流は私の身体に適していないから、あまり多用することは出来ず、妖怪の外皮を切り裂く程度の攻撃を行うことしか出来ない。
「ソドムの塩化ガスだ!触れれば溶けるぞ!」
その言葉に私の動きは迷うことなく中村のお嬢さんに向かっていった。
彼女の身体を抱き締めて降り注ぐ塩化ガスを回避するも飛び散ったガスに両足が焼かれ、痛みを堪えながら彼女を部屋の壁際まで逃がしたものの、私の両足は霊気で守ったおかげで溶けることはなかったけれど。
ジュウゥゥッ……!!!
「いぎッ、
痛みで立つことも走ることも出来なくなった。
「お、お妙さん、ごめんなさい!」
「だ、大丈夫よ、私は糸色妙だもの。貴方達、結界くらいは張れるわよね、そこの科学者も合わせて守っててもらえる?」
「娘、何をするつもりだ!」
「痴れ者が、無駄死にする気か!」
邪紅刀と白清刀の二本を中村のお嬢さんに預け、手槍を引き伸びして無理やり身体を起こす。八寸、使えても一回か二回で私は完全に動けなくなる。
私は虎翼を引き伸ばして、構えた。
「私は糸色妙だ!!」
溶けたスニーカーを踏み壊して妖怪の身体に八寸を叩き込み、蒼月君と同時に青色の大男以外の取り込まれていた妖怪を倒し、地面を転がりながら着地して虎翼を地面に突き刺して、さっきと同じように無理やり身体を起こした、その時だった。
「このうつけがあっ!!!」
青白い雷撃と火炎を纏ったとらが現れる。