白面の者を倒すために着実に準備を続ける光覇明宗と糸色本家、そして分家の支援していたハマー機関の三組織は獣の槍と蛮竜に期待を籠めた。
想いの丈ほど蛮竜は強く呼応し、私のために動いてくれるけれど。今は手入れの最中であり呼び出すことは出来ず、類の北落師門を借り受けている。
でも、決戦が始まる前に済ませておきたい。
そう缶コーヒーを飲みつつ、深夜の工事現場を借りて集まってきた三人の男を見据える。
「待ってたわよ、三人とも」
「妙ちゃん、私達に使いを出してまで呼び出すなんてどうしたんだ?」
「強羅、また何かやらかしたか?」
「そんなわけねえだろうがブチ転がすぞ」
「今日、三人を呼んだのは私の婚約者を決める件について。悪いけど、今夜中に決着をつけて貰わないと私は三人の誰とも結婚しないわ」
私がそう言うと困惑して焦る杜綱悟の肩を叩き、しっかりと私の事を見つめる流君と強羅、ふたりは私の言いたいこともやりたいことも理解してくれたらしい。
「糸色当主、糸色妙。勝ったら好きにして良いわ」
左手を差し出して、手招きをする。
「俺に蛮竜無しで勝つつもりか」
「強羅は私と類に負けたでしょうに」
私の言葉に押し黙ったまま錫杖を振るい、鋭い突きを仕掛けてきた強羅の攻撃を北落師門の片鎌で往なし、お互いの武器を地面に突き刺すように落とす。
鏡合わせのように同じ構えだ。
同時に槍と錫杖を手放して、手印を結ぶ強羅の法力の高まる刹那に放たれる彼の誇る単独に於いて大数量の法力の朏を放つ方術────。
「唵ッ!!」
「覚えてるわよ、孤月でしょう!」
後ろ腰の手槍を引き抜き、引き伸ばすと同時に孤月を破壊しながら突き進み、下段から振り上げるように石突きで強羅の顔を弾く。
すかさず北落師門を掴み、構え直す。
「まだだ、俺はやれるぞっ。怨ッ!!」
朏を束ねて一つの形態に組み換える強羅。
「お前を倒すために考えたんだ百の月は月齢の如く廻り、鋸刃のようにお前の事を斬り穿つ!喰らえやがれ、単独最強方術の月代だァーーーッ!!!!」
「素敵なプレゼントをくれて、ありがとう」
その裂帛の雄叫びに呼応し、孤月は真っ白に輝いて私に向かって弾き出された。満月のように美しく麗しく円を描く法力の月を北落師門で迎え撃つ。
生半可な技じゃダメだ。
この方術を撃ち破るには裏・八寸しかない。
「行くわよ、強羅!」
「嗚呼、来てくれ!!」
私の最も得意とする突きで強羅の放った最強の一撃を破壊し、彼の身体を石突きによる八寸で殴り、悔しげに血を吐いて彼は気を失った。
「───次は、どっちが来るの?」
目尻の血を指先で拭い、鼻血を袖で拭う。
まだ、私と彼らの戦いは終わっていない。