北落師門を担いで流君と杜綱悟の二人を見据える。今回のこの瞬間に私の全てを懸けている事に気付いた強羅は迷うことなく自分の全身全霊をぶつけてきた。
「次は私が行こう。妙ちゃん、こうして戦うのは初めてになるが負けるつもりはない」
「期待しているわよ、杜綱君」
そう言うと私は北落師門の穂先を下段に構え、石突きを上に向けるように構える。それと同時に、杜綱悟も独鈷と長数珠を握り締めて構えた。
式神を召喚するかと思ったけど。
純粋な方術と法力を使い、私の事を倒すためにあの時とは比べ物にならない強烈な覇気を纏い、ジリジリと間合いを詰める彼の動きを見定める。
「ハアッ!!」
「せやあっ!」
左手に握り締める独鈷を投擲し、牽制を仕掛けてきた杜綱悟の攻撃を弾き、二撃目の独鈷を払い落とした刹那、北落師門の穂先に長数珠が巻き付き、八寸で数珠を千切ろうとした。
「戛ッ!!」
「なッ、重い?!」
彼が気迫の籠った言葉を発した瞬間、北落師門の穂先は私でも持ち上げることが出来ないほど重くなり、地面と柄に指を挟み、動けなくなる前に槍を手放すために後ろに向かって飛び退く。
──刹那、長数珠は標的を変える。
更に後ろに飛び退いたその時、ドンと背中に硬いものが当たる感覚にまさかと思い、振り替えると地面に突き立てたまま放置された鉄骨が聳えていた。
その行動で左右に逃げるタイミングを失い、私の身体を鉄骨に押さえ付けるように長数珠は飛来し、私の霊気を強制的に封じ込める。
「あぐうぅッ!?」
ミシミシと骨が軋み、苦しさに呻き声を上げる。
「妙ちゃん、敗けを認めてくれ」
ジャラリと音を立てて数珠が首に絡み付き、いつでも私の首を締め上げることも出来ると示す。杜綱悟の眼差しは真剣で、どこまでも誠実だ。
私を締め上げる事も不本意なんだろうけど。
「認めなかったらどうするわけ?」
「……どうしてほしい?」
「えっ、ちょっと!?」
「認めてくれたら離すよ」
ゆっくりと私の頬を撫でるなり、いきなり顔を近付けてくる杜綱悟に焦りと不安を抱いて彼の事を見上げ、一気に身体を力ませて瞬時に脱力し、そのまま真下に開脚して拘束を脱出する。
「あ、あぶなかったあ……!」
ドキドキとする心臓を押さえるように両手を胸に押し当てて、ゆっくりと後ろに振り返ると悲しげに笑う杜綱悟が静かに私を見つめていた。
「やはり、私じゃダメみたいだね。それでも私は君を愛している、この想いに嘘偽りは存在しない。だからこそ僕は敗けを認めたくないッ」
「……フフ、良いわよ。受け止めてあげる」
杜綱悟の言葉を聞き、両手を広げて構える。