「戛ッ!!」
「ハハハ、良いわね!」
さっきと同じように独鈷を投げ撃ってきた杜綱悟の攻撃をギリギリの間合いで弾き、往なし、叩き落とす。四発目の独鈷を繰り出す彼の動きに迷いはなく、私を倒すために本気で挑んできている事を嬉しく思う。
「妙ちゃん、僕は君が好きだ!」
「うん。知ってるよ」
独鈷の剣を手のひらで受け止めると刃先は容易く私の肌を貫く。熱くて痛い傷を作った杜綱悟の独鈷を彼の手と一緒に握り締めるように掴み、ジッと彼を見上げる。
私に出来るのはこれぐらいだから────。
「私を好きになってくれて、ありがとう」
顎先に添えた左手で二重の極みを撃ち込み、彼の意識を完全に断ち切る。あとは流君だけだと思い、ゆっくりと後ろに振り返ると錫杖を伸ばす彼が居る。
ハンカチを使って右手の傷を塞ぎ、簡易的な応急措置を行いつつ、地面に転がっている北落師門を拾って、ゆっくりと彼の事を見据える。
「最後はオレだけか。なあ、この勝負はお前が勝つと分かっているのに仕掛けてきたな。一体、どういうつもりなんだ?」
「何でもないわよ」
「ったく。自分がオレ達よりも強いからって何でもかんでも一人で背負えると思うなよ?」
その言葉に私は口を噤み、静かに彼を見る。
それでも、変えることは出来ない。
「私は糸色妙だもの。全部背負えるわ」
「
苦虫を噛み潰したように顔を歪める流君に北落師門の穂先を突きつける。他の二人は何も言わず、私と戦うことを受け入れてくれた。
貴方もそうして、お願いだから。
「来なさい、流君」
「行ってやるよ、糸色」
私は血の滴り落ちる左手を差し出して、手招きをすると錫杖を槍のように構えた流君は素早い踏み込みから、突きと左薙ぎを繰り出してくる。
この前の時よりも鋭く速い動きに彼が本気だと理解し、嬉しさに頬が緩みそうになるけれど。その鋭く力強い錫杖を受け止める度、私の身体は力負けして、後ろに弾き飛ばされる。
「どうしたァ!オレに力負けしてるぜ!!」
「うるっ、さいわねぇ!!」
煽るように吼える流君に反論し、北落師門を薙いで押し返しながら八寸を放つ。───が、私の八寸を流君は往なし、弾き落とした。
得意技を防がれて唖然とする私は流君に手首を掴み、地面に叩きつけられた。槍も手から離れ、馬乗りになって私を押さえ付ける流君と目が合う。
「……殴らないの?」
「殴るわけねえだろ。さっきの話の続きだ、どうしてこんな勝負を始めた?」
「私は背負えるものは背負いたい。でも、貴方達は私が居なくても生きていけるし、ずっと私に勝てずに囚われるのはイヤでしょう?」
そう言うと流君は大きく深い溜め息を吐き、私を押さえ付ける手首の拘束を外し、ゆっくりと立ち上がると私の手を引き、立たせてくれた。
「どういうつもり?」
あのまま殴れば勝てたのに。
「オレも倒れてる二人も糸色妙っていう女に心底惚れてるんだよ。いきなり結婚できなくなります?そんなもん知るか、オレは絶対にお前を娶るぞ」
「……フフ、なによそれ。ばかじゃないの?」
真剣に私を見つめて宣言する流君に呆れ、クスクスと笑いながら三人とも私と本気で結婚する気なんだと知ってしまった。
ああ、本当に好きになっちゃうよ。
「あの条件だけどさ、少し変えるね」
その言葉に気絶していた筈の二人も顔を上げ、私を見上げてきた。あまりにも物欲過ぎる彼らに苦笑を向けつつ、私は今決めた言葉を口にした。
「
糸色ではなく、ただの女の子として───。