「ガハッ!?」
私の言葉に呆気に取られる流君のボディに二重の極みを叩き込み、ゆっくりと三人を見下ろす。緋村妙としては貴方達の好意を全面的に受け入れるけど。
糸色妙は受け入れない。
ううん、私もこの身体に流れる血も受け入れることは絶対に出来ない。何処までも誰よりも何よりも強く負ける事の無い最強の鉾使い。
それが、本家分家の求める
蛮竜を扱える最強の鉾使い。白面の者の執着を一身に受け、比類無き個の強さを有し、退かず、怯まず、蛮勇の如く突き進み、勝利する。
それが、糸色当主の
「今度は私を倒すか、恋させてね♪︎」
そう言って傷だらけの三人に微笑む。
もっとも私を本当に好きなら糸色妙を越えるだろうし、気長に待っていたらお婆ちゃんになっちゃいそうだけど。彼らなら本当に私を倒しそうなのよね。
「糸色、お前は翳らねえのか?」
「お婆様が言っていたわ。私は天の道を往き、総てを司るってさ。例え寄り道をしようと私は真っ直ぐ信じた道を進んでいけるわよ」
「……お前、それ……いや、未来だもんなあ」
強羅は頭を抱えて苦笑いを浮かべながら「確かに、お前は太陽だよ」と言ってきた。糸色景の残した格言は幾つか存在するけど。
向こうにも伝わっているのだろうか。
「妙ちゃん、私も話に混ざりたいんだが」
「混ざっても良いわよ?」
「ついでに言えば昔みたいに膝枕を」
「だから覚えてないってば」
ジリジリと這いずりながら寄ってくる三人に危機感を抱き、スッと足を抱えるように資材置場の上に座り直す。三人とも強いのに、たまに目付きが怖いのよね。
「(類に相談しようかな…)」
そう考え事をしていたその時、今まで感じたことのない邪悪な気配に全身の霊気が弾け、北落師門をいつも以上に力強く握り締めてしまう。
しかし、その邪悪な気配は現れる事はなかった。
「蒼月君の家に向かった?」
「なにっ?!」
「チッ。もうその時期か…!」
「妙ちゃん、行ってくれっ」
杜綱悟の言葉にうなずき、私は北落師門を握り締めて駆け出す。ビルの壁や信号機を跳び移り、丘の上に建つお寺で荒々しく雷鳴と火炎の巻き起こる光景に目を見開き、私は冷や汗を流す。
初めて感じる、物凄い威圧だ。
「蒼月君ッ!!とら!!」
「お妙さん、来ちゃダメだ!」
真っ黒な獣が其処に立っていた。
「女、それも上玉が来やがったなァ…!」
「黒い獣ッ!?」
顔に三本の刀を刺した黒い妖怪。とらに似た妖怪が一堂に会し、唖然とする私に黒い獣の牙が迫る最中、強烈な妖気と霊気が爆ぜる。
地面に突き刺さる大鉾を掴み、槍と鉾を構える。
「流石は刀々斎様、ナイスタイミング♪︎」
蛮竜と北落師門、獣の槍が揃った。