【完結】風薫る日陰に寄り添う妙花   作:SUN'S

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黒い字伏 急

四人の手当てを終えた後、私も左手の手当てをしてもらった。独鈷の傷だから直ぐに治るとは思うけど、杜綱悟の「私の与えた傷が一生妙ちゃんに?」と混沌極まる表情で囁くように呟いていた。

 

悪いけど、私は乱暴な人って嫌いよ?

 

「潮、酒はあるか」

 

「オヤジのなら幾つかあるけど」

 

「なんだ、酒盛りか?」

 

「いや、符咒の師匠の受け売りだ。戦ったあとは酒で濁った憎しみを血から流しちまえ、とな……」

 

彼の言葉に納得できる部分もある。私も缶コーヒーを飲んで昂っていた気持ちを抑えることもあり、いつも缶コーヒーを飲んでいたけど。

 

最近は飲むことが減ってしまった。

 

蒼月君ととらのおかげなんだろうけど。二人は全くそういうことに気付いていないし、私を除け者にして男達は楽しく酒盛りを始める。

 

お酒は苦手だから飲めないのよね。

 

「妙、貴女は男と一緒にお酒を飲んじゃダメよ?貴女は一口で昏睡するから」って類に言われているし。彼女はウソは言わないから事実だろう。

 

妙は(・・)飲まないのか?」

 

「……私は飲まないわよ、一口でも飲んだらお酒が抜けきるまでずっと寝ちゃうから……」

 

ちょっとだけ恥ずかしさを誤魔化すように顔を逸らして、蒼月君に貰ったジュースを飲みつつ、そう言うとピクリと流君、杜綱悟、強羅の三人の肩が動いたものの、おじさんの鋭い眼光に睨まれて押し黙った。

 

「お妙さんはオレと乾杯で我慢してくれよ?」

 

「フフ、ありがとう。蒼月君」

 

コツンとガラスのコップを軽く合わせ、乾杯をすると蒼月君は嬉しそうに笑ったものの。流君は「オレともしようぜ」とお酒を注いだコップを差し出してくる。

 

なんだか、怪しいわね。

 

「……底を当てるだけね?」

 

「他にどうするんだよ」

 

悪ふざけが成功した子供のように笑う流君にムッとしてしまう。でも、たまには許してあげよう。……なんだか上から目線になっちゃうわね。

 

そう思いながらもジュースを飲み、静かにお酒を飲むおじさん以外は楽しそうに笑って、話し合っている。主に私に受けた攻撃のどれが一番痛かったかとか聴こえる。

 

まだ本気で二重の極みは撃ってないけど。三人とも気になるなら撃ってあげようかしら?なんてことを考えて、直ぐに考えることを止める。

 

楽しそうに話しているなら、それでもいい。

 

「(私のパンチってそんなに痛いのかしら?)」

 

二重の極みは万物必壊の奥義。妖怪の分厚い身体も貫通するし、破壊の衝撃は必ず伝播する。が、彼らが言うようにそこまで多用できるものじゃない。

 

本気の二重の極みには溜めがいるのだ。

 

 

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