「……んッ、ふわぁ……」
もぞりと布団を脱け出して背伸びをする。
流石に五人も同時にお酒で酔っ払った男の人を相手を相手にするのはダメね。お酒は飲まずに別れたけど、蒼月君はおじさんと二人きりで大丈夫なのかしらね。
みんな、慌てて帰ってたけど。
何かあったのかしら?
北落師門を爺やの使いに預け、類のところまで返しに行って貰っている間、私はいつものようにジーンズとシャツ、ジャンパーに着替えて、ヘアゴムで髪を束ねる。
虎翼は打ち直しの鍛え直し中、予備の槍達は軒並み度重なる激戦で破損し、それらも刀々斎様に打ち直して貰い、手元に在るのは蛮竜だけだ。
「中学校は始業式だっけ」
三年生は修学旅行で京都に行くとは言っていたし、四乃森に頼んで葵屋をオススメしてみようか。そう考えながら歩道橋を登っていたとき、ザザッ…と一瞬だけ頭の中にモヤが掛かったように目眩が起こる。
……流石にあれだけ近くで暴れるみたいにお酒を飲まれたんだから酒気に当てられても仕方ないわね。けど、鏢のおじさんは本当にお酒に強かった。
「(蒼月君はもう学校に行った後か…)」
暗くて見えなかったが、ずいぶんと派手に壊れたお寺の本堂を見上げつつ、石柱のごとく連なって固まった字伏達を見上げる。
これが、とらと同じ種族だって言われても受け入れるのは難しく思える。彼らからは白面の者に対する憎悪だけが溢れている。
とても悲しくて嫌な気持ちになる。
白面の者は獣の槍で討つことは出来るけど。
その先はどうなると言うのだろう。蛮竜は獣の槍のように白面の者に反応はしたけれど、因縁や敵意を持つほど悠久の時は共に過ごしていない。
のんびりとお寺の正門を潜り抜け、蒼月君ととらが始業式を終えるまでのんびりと街を歩いて回る。初めて蒼月君と出会い、すれ違った場所から、公園、それから、それから、私は蒼月君ととらと出会った場所を巡る。
出会いの思い出を巡る。
刹那、頭の中が白けた。
「……
誰かを探していたような、気がする。
────だけど。思い出せない。
そもそも、どうして私は東京に来てるんだっけ。
私は何をするために、東京に来たんだろう。
「……ハ、ハハ、寝不足かな?」
そう独り言を呟きながら人混みを避けるように歩きつつ、泊まっていた旅館のフロントで帰ることを家に告げ、借りていた部屋からスポーツバッグを手に取り、チェックアウトをする。
バス停に移動して次の時間まで待つために缶コーヒーを買おうとしたとき、また僅かに頭の中に誰かが見えた。消えた。思い出せ、違う、忘れない、忘れるな、私は誰にも屈しないから
「────ッ、ふざけた真似しやがって…!」
頭に向かって霊気を叩き込んだ頭の中に潜り込んでいた婢妖を弾き出す。クソ、寝ている間に仕込まれたんだ。いつもなら直ぐに起きるのに、どうして?
……まさか、