とらの背中に乗って移動する途中、火炎を纏った白馬に跨がった白童子に攻撃を受け、私に手を伸ばす蒼月君に「ふたりは先に行っていなさい!」と叫び、蛮竜を踏みつけて熱風を巻き起こす。
私の言葉を聞き入れてとらは蒼月君を連れていき、ゆっくりと私は白童子を見上げ、睨み付ける。この前もそうだけど、あの火炎を纏った白馬はズルい。
蛮竜はあくまで一時的な浮遊、熱風を何度も撃っていれば私の霊気も尽き果ててしまう。蛮竜の妖気だって塚居続けるのは難しく、下手に蛮竜に力を込めると地面を抉り潰し兼ねないのだ。
「白童子、どういうつもりなの?」
「儂の意思ではない、奈落の思惑だ。婢妖を利用してお前の記憶を抜き取り、自分にとって好都合な記憶を植えつけ、お前を自分だけに従順で何でも言うことを聞く玩具に作り替えるそうだ」
「き、きっもちわるい…!」
ゾワゾワする言葉に自分の身体を抱き締めて、白童子の言葉を聴いていたその時、私は異様な風切り音に虎翼を引き抜き、風を切り裂く。
妖気の斬風。
鎌鼬もこれほど強力な攻撃は使えない。
「成る程、あの時の異様な気配は貴女ね」
「神楽、儂を付けていたな」
「勘違いするんじゃないよ。私は神無とアンタの片割れに頼まれて仕方なく来たんだ」
後ろに振り返って明るい空を見上げる。巨大な羽根に座っている目付きの悪い美女と白い美少女、それから白童子の面影を感じる赤ん坊を見つめる。
「ん!」
「え?」
ずいっと両手を伸ばす赤ん坊に戸惑う。どこか期待を込めて私に手を伸ばす赤ん坊と白童子、それから二人の女性を見比べていき、恐る恐る赤ん坊を受け取る。
ぎゅっと抱きついてきた赤ん坊に違和感を抱くと同時に赤ん坊の身体は真っ二つに斬り別れてしまい、驚愕の眼差しを向ける赤ん坊を見据える。
コイツは私の魂を掴み、支配しようとした。
「今、私の魂に触れましたね?」
「……なぜ、だ?…わしの…っ……!」
「お返しします」
白童子に赤ん坊を差し出して蒼月君ととらを追いかけるために蛮竜の熱風の範囲を狭め、音速に到達する勢いで空気を焼き焦がす。
しかし、私の行く手は
「斗和子、貴女も邪魔をするつもり?」
「あら、当たり前の事でしょう。白面の御方様のために獣の槍は不要、我らの御方様の欲するものは貴女だけよ、糸色妙」
キリオ君を引き連れて歩いていたときよりも弱まっているようにも感じながら、黒衣を切り裂いて人間の姿のまま白い尾を振るう彼女に舌打ちをする。
弱っているけど、流石は白面の分身───。
隙を見せたら危ないわねッ…!