「るあぁっ!!」
「野蛮ね……でも、良いわ」
蛮竜の重さを利用し、空中を落下しながら縦回転の斬撃を斗和子に叩きつける。蛮竜の破壊力を知っている彼女は大鉾の一撃を受けず、尾の形状をしなやかに変化させて逸らすように受け流す。
「ふふふ、受け流して尚も身体を裂く破壊力。獣の槍に迫る新参の霊槍が此処まで成長しているなんて随分と無茶な戦いと、数多の妖怪の血を吸ってきたのね」
「無茶な戦いは認めるけど。数多の妖怪の血を吸ってきたっていうのは否定するわ。この蛮竜に宿るのは、しとりお婆様のお友達よ」
「あら、そうなの」
ゆっくりと嗤った斗和子は円を描く尾に剣山のごとく大量の針を作り出し、尾を薙ぐように振るい、その針を投げ飛ばしてくる。蛮竜を盾代わりに構えて、針の弾幕を防ぎつつ、手槍と鎌槍を振り伸ばす。
弾幕の止んだ一瞬を狙う。
金剛槍破を撃つには間合いがいるし、溜めを作るためにも槍で彼女の動きを止める必要もある。
蛮竜の刀身を蹴り踏み、肩や右足に針の弾幕を受け、それでも空高く飛び越えると同時に槍の柄に尾を絡めるように投げ撃つ。
「チッ…!」
「余裕が無くなったわねえ…!」
蛮竜の月牙を蹴り上げて巨大な大鉾を巻き起こし、柄を掴みながら金剛石の刀身に変化させ、空中で振りかぶるように蛮竜を構える。
「どうして、御方様を受け入れない!」
「私に押し付けるなッ、私は私だ!!」
「糸色妙えぇぇーーーーっ!!」
「金剛槍破あっ!!!」
太陽の光を浴びて虹のように輝く金剛石の槍は斗和子の身体を貫き、彼女の存在を粉砕し、ゆっくりと右足に突き刺さった針を引き抜き、肩に突き刺さった針を引き抜き、止血のためにハンカチを巻き付ける。
刹那、空気の読めない男が現れた。
「蛮竜を振るう女、お前が糸色妙だな」
「(三本線に『A』の文字……確か、糸色家と百年近く因縁を持つ)……そう、錬金術師だったかしら?」
「御明察。蛮竜と身柄をお預かりまい」
「……はあ、あなた達は今はもうお呼びじゃないのよ。そもそも今更出てきて何がしたいわけ?此方は世界のために頑張っているって言うのに」
「無駄な話は不要だ。お前は連れていく」
そう言うと彼は異質な雰囲気を放つ両拳を構える。こんなところでボクシング?と首を傾げつつ、蛮竜を担ぐように構える。
いや、相手が素手なら私も合わせるべきなのかしら?と構えを解いて悩んでしまう。それに私が攻撃しないから相手も困っているわね。
一先ず、蛮竜で倒そう。