「改めて、みんなに再紹介するけど。彼は蒼月潮君、中村と井上のお嬢さん二人の幼馴染みで、獣の槍の使い手、あとは光覇明宗に父親がいるわね。で、こっちの強くて頼りになる大妖怪がとら、二千年生きているわね。東西の長も知り合いよ」
「コイツが私達の幼馴染み?」
「今はまだ思い出せないだろうけど。安心して、みんなの記憶は私達が何がなんでも絶対に取り戻すわ。そうでしょう、蒼月君、とら?」
「当たり前だぜ、お妙さん」
「けっ。儂はムカつくからブッ殺すだけだ」
私の言葉に頷く蒼月君、とらは自分の戦う理由を口にした。二人の理由は言い方こそ違うけど、目的は一緒だ。私もみんなに二人の事を思い出してほしい。
そう願ったところで簡単に叶うわけはない。
三人だけで白面の者と戦う。
かなり苦しくて辛い戦いになるだろうけど、私の蛮竜にはしとりお婆様と一緒に戦ってくれた妖怪達、かなり不服ではあるけれど。本家と分家も含めた二百人を越える糸色がずっと付いている。
「さて、あの黒い妖怪が来る前に移動しようか」
「紅煉か…!」
「まだ確証はないけど。アイツはおじさんだけじゃなくて私の事も狙っていた。───此処に長居すると巻き込んじゃうかも知れないからね」
中村と井上のお嬢さん達に一応の護身用として糸色景の使っていたという懐剣を貸しておく。蛮竜より強力な結界を張ることが出来るし、抜けば大抵の妖怪は瞬時に刀身に潜む妖怪が切り裂いてしまう。
まあ、自動反撃する
私の話しにどっちが持つのかを相談する二人を置き、東西の長に「白面の者の封印された場所を人間が破壊しようとしているから、出来るだけ早く最大戦力を集めてもらえる?」と伝えつつ、もしものときは最初に思った通りに私と蒼月君、とらの三人だけで戦う。
「また会いましょうね」
スニーカーを履いて私と蒼月君はとらの背中に乗り、邪悪な気配を放っている妖怪を誘き寄せるために動きを遅くし、あの黒い妖怪を引き付ける。
これなら多少なり時間は稼げる。
「(はあ、コーヒーが飲みたいわね)」
「……お妙さん、さっきの人間が白面の結界を破壊しようとしているって話は本当なんだよな?」
「えぇ、本当よ。だからこそ私は蒼月君をお母さんのところに届ける必要がある。貴方ならお母さんを守ってあげられるでしょう?」
「ッ、分かった!」
私の言葉にハッとした蒼月君は力強く応えてくれた瞬間、黒い妖怪が似たような見た目の妖怪を引き連れて向かってくるのが見えた。
本当に来るのが速いわね。