「いよぉう、また会ったなァ…」
「ちょっと追い付かれてるわよ、大将さん!」
「とら、最初の威勢はどうしたんだよ」
「うるせぇーっての!!儂は背中に人間二人に蛮竜なんていう大の男が十人いねえと持ち上がらねえ馬鹿みたいな妖器物を乗っけてんだぞ!?」
それだと私が重いみたいじゃない。そう文句をとらに言おうとした瞬間、三本の刀を振り下ろしてきた黒い妖怪の斬撃を蛮竜で受け止める。
今、わざと蒼月君を狙ったわね。
ニタニタと私の事を見下ろして小馬鹿にしたように嗤う黒い妖怪───紅煉に舌打ちを向け、とらの背中に立って蛮竜を突きつける。
「この私に喧嘩を売ったらどうなるのか。貴方の薄汚い身体に刻み付けて、教えてあげましょうか」
「ホウ。俺と殺り合いてえわけか」
私の言葉を嘲笑う紅煉に「上等じゃない」と叫び、蛮竜で攻撃を仕掛けようとした刹那、私の肩を掴んだ蒼月君に「お妙さん、此処はオレがやるよ」に力強く、そう言われてしまった。
「蒼月君、その言葉の意味分かっているのよね?」
「分かってるよ。でも、だからってお妙さんとコイツが戦うのは違う。コイツは鏢さんの獲物だ。だから、オレはテメェを殺さずにぶっ飛ばす!!」
「儂もやってやるぞぉーっ!!」
「かかかっ。テメェらみてえな雑魚がいくら集まろうが俺には関係ないんでなァ……!」
紅煉の配下らしき妖怪に跳び移り、飛びかかってくる黒い妖怪達を薙ぎ払い、蛮竜で切り裂きながら包囲網の抜け道を探り続ける。
少なくとも二人が怪我を負い、戦えなくなることを避けたいものの、あの紅煉をどうにかするのはおじさんだけ。私達は退けて、アレを追い返す。
下手に動けば被害拡大の危険性もある。
そう思いながらも私は火炎を吐き、雷撃を繰り出す黒い妖怪を斬り伏せる。
「なぜだ!なぜ、一匹に負ける!」
「答えは簡単よ、貴方達弱いもん」
焦りと困惑に叫ぶ一体にそう告げると狂ったように咆哮を上げ、私に向かって突撃してくる黒い妖怪達は自分は弱くないと示すために強引に爪を振るい、髪を乱すが私には届かない。
「雷撃よ!!」
その言葉と共に放たれた青白い雷撃は容易く黒い妖怪を粉砕し、焼き焦がす。やっぱり、あの紅煉と比べると弱いし、脆いし、こんなのに負ける要因を探す方が難しく思えてくるわね。
「蛮竜、お疲れさま」
私を取り囲んでいた黒い妖怪を全て雷撃だけで粉砕し、破壊してくれた蛮竜にお礼を言いつつ、蒼月君ととらを見上げると私と同じように広範囲に雷撃を撒き、豪快に黒い妖怪と紅煉を攻め立てている。